Escape 消えた美食家
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内田先生と浅見光彦、そして謎めいた女性井上薫が、3人でおいしいものを求めて食べ歩くという設定です。たぶん実際には、内田先生が担当編集者と2人で行かれたのでしょうが、架空の人物が本当に存在しているかのように描かれているのがおもしろいです。ちょっと小説風にしてありますが特にあらすじというものはなく、”食い意地が張っている僕”が食べ歩いたグルメ・エッセイと思っていいでしょう。 また、食べ物のことだけでなく、その時つれづれに感じていたことなどもまじえて書かれています。 東京が11店、軽井沢が1店、京都が1店、神戸が1店、そしてフレンチ・イタリアン・洋食が7店、和食が5店、中華が2店という構成になっています。どうしても東京が多くなってしまうのは仕方ないですが、東京以外在住だと、なかなか実際に行くことができないのでもどかしいです。 いくつか興味深かった章がありました。まずは”新橋、鳥割烹「末げん」”。こちらは1970年に、あの三島由紀夫が現在の防衛省、当時の自衛隊市ヶ谷駐屯地で自決する前夜、弟子たちを連れて夕食に訪れた店だそうです。若女将が少し話してくれたその時の話が興味深かったです。絶品だという鳥鍋が出てきますが、こちらでは具に鴨や軍鶏、お肉だけでなく、レバーや砂肝、つくねも入れるようで、とてもおいしそうです。 ”代官山、イタリアン、カンビアーノ”。こちらでは同潤会アパートのことが語られます。同潤会というのは、大正に起きた関東大震災の翌年に、被災者に良質の住宅を供給するために作られた財団法人です。当時の最先端の技術とモダンなデザインで憧れの的となり、特に代官山と表参道のものが有名でしたが、今も確か表参道のものが残っていますよね。そんなことを思いながら、内田先生と浅見が、シーフード中心のイタリアンのコースをいただきます。 ”軽井沢、手打ち蕎麦、東間”では、蕎麦の薀蓄が詳しく語られて、へえ~とうなりました。殻つき状態の蕎麦の実を脱穀したものをまず挽くのだけれど、その時にまず出てくるのが、なぜだが1番内側の胚乳が砕けた内層粉。色は真っ白で、これで作ったのが更科蕎麦だそうです。2番粉は胚乳と甘皮に近い部分が含まれていて、蕎麦の香りと風味にすぐれ、1番粉よりも色が濃い、これが並み蕎麦。 そして外側の表皮から挽かれて甘皮がほどんとの3番粉で作ったのが田舎蕎麦、舌触りやのどごしはやや劣るけれど、蕎麦本来の香りが一番強くたんぱく質が多ということ。 先生は、蕎麦打ちに挑戦したいという人に「おやめなさい」とアドバイスします。おいしい蕎麦を作るには、良い蕎麦粉を使うのはもちろんのこと、湿気、空気、光の変化にも注意しなければいけない大変デリケートな作業で、またゆでた時からどんどん乾いてくるので、14秒以内に食べ始めないと本当のおいしさは味わえないなどなど。蕎麦のことはあまりよく知らなかったので、とても勉強になりました。 ただひとつの不満は写真です。料理の部分を接写でアップにしたものが多く、しかもわざとピントをずらせてピンボケにしてあったりします。白や茶色や赤の色が識別されるだけで何が写っているのかわからないものもあり、料理のおいしさが少しも出ていません。料理写真に限ったことではありませんが、プロのカメラマンの写真には、何か勘違いしているのではないかと感じるものが多いです。何が写っているのかさっぱりわからない、その方が芸術的でしゃれていると思うのでしょうか。特にこのように料理が主役の写真だと、カメラマンの自己主張より、どんな料理かよくわかることの方が大事だと思うのですが。 2003年の本なので中にはすでに移転、閉店した店もあるようですが、なかなか内容の濃いグルメ本になっていると思います。もちろん内田先生のファンにはおすすめです。 | ||||
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基本的にはグルメ本なんだと思います。実在のお店を取材して書かれてるわけですし。内田先生ご本人も登場していますが浅見光彦や井上薫といったキャラクターも登場しているため小説のよな雰囲気もあります。「逃げろ光彦」という短編小説を読まれた方ならこの1話目の「旬香亭グリル」の冒頭がそっくりなことに驚くんじゃないでしょうか?私も驚きました。「逃げろ光彦」を先に読むか「Escape」を先に読むか・・・。この新手のグルメ本に悩まされるかもしれません。 | ||||
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