蝶として死す: 平家物語推理抄
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| 「歌人探偵 定家」が面白かったので、遡って本書を購入。こちらも十分満足。平頼盛を主人公とする本作と、子息の平保盛が登場する「歌人探偵 定家」、2作続けて読むと面白さが倍増する。 「禿髪殺し」は冒頭から、一気に物語に引き込まれ、「葵前哀れ」「屍実盛」はオーセンティックな推理の展開が楽しい。 「弔千手」のトリックは判ったが、その後の後日談の部分―千手前の遊女としての切ない願いを描いた部分は、胸に迫る思いだ。 「六代秘話」鎌倉方の検分役・北条時政との丁々発止のやり取りにはらはらした。本作のネタ元に横溝正史の「犬神家の一族」が入っていた理由に納得!更に本連作の作品や、全編と関係する仕掛けも施され、実に緻密な構成となっている。読者は頼盛、いや、羽生飛鳥の掌(たなごころ)の上で転がされていたと気がつくだろう。見事なエンディングに感服した。 主人公、平頼盛は異母兄の清盛から謀反の疑いをかけられ、解官、所領没収の憂き目にあいながら、自らを芋虫に例え、蛹から蝶となって羽ばたく姿を想い、自身の才覚を頼りに自らと子孫の安寧を計る。蝶となれるか否か…謎解きと共に興味をそそられる。謎解きはもとよりだが、作者の正確な歴史観に、頼盛の知的な雰囲気が漂う文体が相まって、稀有な時代ミステリーの秀作が生まれた。 著者が大学時代に専攻した日本の中世と呼べる期間は約500年。そのうち平安時代はおよそ400年あるそうだ。作品の主役となる人物には事欠かないだろう。今後も時代ミステリーの秀作が期待できそうだ。 著者「あとがき」も面白い。 自作解説として自著を称揚する作家もいたが、著者は時代背景の解説や、参考としたミステリー作品を列挙し、どのような作品からヒントを得て執筆したか示している。いわば、創作上の秘密を明かしているのだが、読者としてはそれがどのように作品に盛り込まれたかーそれを探索することもでき興味深い。 因みに。 登場人物の会話は現代語表記だが、当時の言葉は今と全く異なっていた。NHK『木村多江の、いまさらですが・・・平安時代の女性作家たち〜蜻蛉日記 枕草子 和泉式部日記〜』(2024年8月26日放送)で平安時代の言葉を再現していたが、全く分からなかった。大和言葉による頼盛らのやり取りがどのようなものだったか、実際に聞いてみたいと思った。 | ||||
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| メチャ、マイナーな人物を見つけて来ましたね。この主人公からは、こんな風に見えるのかと思いました。主人公がよくあるタイプの安倍晴明みたいなクールで聡明で神秘的な感じなのかと思いきや、人間臭い、運任せ、弱い、しくじる…タイプでした。読みやすいので休日1日で読み切りました。 | ||||
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| 平家の直流で鎌倉時代を生き延びた人がいたのに驚くし、ミステリとしても楽しめた。人物の内面描写も、完全に現代人の思考法と同じで無いので、かえって良い。このクオリティでどんどんやって欲しい。 | ||||
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| 最近、歴史本格ミステリがマイブームなので。 平安時代が舞台のミステリはこれがはじめてだったが、歴史に詳しくなくても楽しめた。ただ、権謀術数うずまく世界で起きる事件は複雑なので話によっては頭が追いつかないこともあった。中でも『屍実盛』と『弔千手』が特によかった。 | ||||
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| 主人公の頼盛の生き方がジーンと来ます。現代で言えば、大企業とか政治家とかの意向に振り回される弱小会社がいかに時代に生き残り、自社と従業員の生活を守り抜くかに、涙ぐましい努力をする。それは源平の時代も現代も変わらないなあ。勝手気ままに権力を振り回した清盛の一族が滅びて、頼盛が必死で守った一家は生き残っていく。その人生の中の5つのエピソードを抜き出した物語は、感慨深いです。 | ||||
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