失われた時間
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名作「完全殺人事件」でミステリ史上に名声を残す英国推理作家ブッシュ1937年発表の久々の邦訳作品です。著者は60冊以上の長編ミステリーを出していますが、邦訳は本書でやっと5冊目で翻訳も半世紀以上途絶えていましたので、今や忘れられた作家といえましょう。作風の持ち味はアリバイ崩しとやや地味で、本書にも登場する名探偵ルドヴィック・トラヴァースの人物造形も個性に乏しく小粒な印象ですので、日本で大きな人気は獲得しなかったのだと思えます。本書におけるトラヴァースの私が受けた印象はとにかく心優しい好人物でありまして、祖父を殺されてショックを受けた孫娘の少女に対して壊れ物を扱うように慎重に優しく穏やかに接して行きます。これだけならまあ普通ですが更に驚く事に、それまで警察に協力していたのに被害者が悪人と解った途端に事件からさっと身を引いてしまいます。気持ちは解らないでもないですが果してプロとしては如何かなと思いますし、良く言えばあまりにも繊細に過ぎるのかなと思います。トラヴァースの推理についてですが、それなりに頑張ってはいますがやや常識の範囲内で収まっている感触で、周りの警察も捜査を行っていますが何故この程度の事が掴めないのだろうと首を傾げたくなります。タイトルが示す容疑者の10分間のアリバイ=消えた時間が最大の謎の焦点となるのですが、最後に明かされた解答にはある意味唖然とさせられます。こんなに繊細で優しい情緒をたたえた物語は今時お目にかかれませんので、その意味では貴重な作品とは思いますが、これが作者の最高傑作であると紹介されると少し内容的に寂しいなと思わざるを得ません。今後の運によると思いますが、リベンジの為に他の残された作品の翻訳を期待して待ちたい気持ちが強いです。 | ||||
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