(短編集)
セヘルが見なかった夜明け
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この短編集の著者がトルコでは、あのエルドアンに対する著名な大統領候補であり、テロリズムへのプロパガンダを行った廉で拘束され、服役中であることなどを知らずに、この「セヘルが見なかった夜明け "SEHER"」(セラハッティン・デミルタシュ 早川書房)を読むことになりました。(オルハン・パムクを読んだからと言って、トルコが理解できるわけでもなく、クルド人と言えば多くの冒険小説の中では、敵役が多いですね。私の理解などはその程度です)12の短編が収録されていますが、技巧的でヴァラエティに富んだ優れた短編集だと思います。 ①「我々の内なる男」・・・ 虚勢ばかりの雄の雀も人間の男もまた同じ。 ②「セヘル」・・・・・・・ 表題作。クルバンバイラム(犠牲祭)は、トルコのお祭りのことだったんだ。これほどの悲劇。憎むべき慣習。おそらく、バックグラウンドでは①が存在しています。唾棄すべき内なる男。 ③「掃除婦ナっち」・・・・ 憧れの車は黒の「マスタング」。衝撃。デモ。そして、何故かソフィスティケイテッド。 ④「知った顔すんなってば」 女性で身を滅ぼす。そう、知った顔はできない。墓石に刻まれた言葉。ターキッシュ・ノワール。 ⑤「黒い瞳によろしく」・・ 彼女の瞳はもっと高みを見つめていた。とんでもない高みを。「恥辱」 ⑥「刑務所内書信検査委員会への手紙」 ピアノと詩とパストラミ。深いアイロニーに満ちています。 ⑦「にんぎょひめ」・・・・ 最近読んだ「夕陽の道を北へゆけ」の難民を思い、ジェーン・カンピオンの映画「ピアノ・レッスン」がフラッシュ。映画つながりで「シェイプ・オブ・ウォーター」を想起したところで、この短編の「愛」にはとても届かないことに気づくことになりました。最も好きな短編。 ⑧「アレッポ挽歌」・・・・ テロリズムと郷土料理。 ⑨「ああ、アスマン!」・・ スリラーの読み手として、Twistが素敵だ。 ⑩「母との清算」・・・・・ 母親への思い。 ⑪「歴史の如き孤独」・・・ これはとてもいい小説です。俗ですが、飛んでイスタンブール。父親への思い。 ⑫「最後は大団円」・・・・ そして、誰もがアメリカへ向かう。 「政治的なのかもしれない」という私の予想を覆し、庶民的で、ローアングルで、時に詩的でした。そして、「セヘル」が見なかった夜明けを思うとき、「暴力」への怒りに震える。 この困難な時代において、今も戦っている世界中の多くの医療従事者、介護従事者に敬意を表します。本当にありがとうございます。この短編集の「母との清算」のように、「どんな厳しい時代も絶対にいつか過ぎ去る」 | ||||
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