一人だけの軍隊: ランボー1



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    初公開日(参考)1975年01月
    分類

    長編小説

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    一人だけの軍隊 ランボー (ハヤカワ文庫)

    1982年11月25日 一人だけの軍隊 ランボー (ハヤカワ文庫)

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    一人だけの軍隊: ランボー1の総合評価:8.73/10点レビュー 15件。Bランク


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    全1件 1~1 1/1ページ
    No.1:
    (7pt)

    映画のイメージを覆す原作

    ハリウッドアクション大作『ランボー』の原作である。
    同映画が公開されたのがまだ小学生だった頃。当時ワクワクしながら観たのを覚えている。とにかくアクションがすごいというだけで観たため、詳細なストーリーや設定は頭に入っていなかった気がする。

    さてその原作がマレルの手によるものだというのは知っていた。発表されたのは映画より10年も前の1972年。なんと私の生まれた年である。
    映画化から37年経って読んだ原作。なんだか感慨深いものがある。

    一読して驚いたのはランボーの敵役の警察署長ティーズルがいわゆる田舎町を牛耳る悪徳署長などではないことだ。

    ランボーを町から追い出そうとしたのも身元不明で怪しい身なりの人物が町をうろつくことで住民が不安を覚え、治安が乱れるのを防ぐためだし、またランボーを追うことになったのも彼が目の前で自分の部下を殺したからだ。また彼は朝鮮戦争を経験した後に警察署長としてマディソンに戻ってき、警察機構として機能していなかった署の改善に尽力してきた人物でもある。
    つまり至極まっとうな人物なのだ。

    片やランボーはヴェトナム戦争で捕虜になり、そこから生還した元グリーンベレー。名誉勲章も得たが捕虜になった時の経験で心が壊れた状態になっている。
    従って署に運ばれた時に髪を切り、ひげを剃られる時に捕虜で受けた拷問を思い出し、とうとう耐え切れなくなり警官から剃刀を奪って殺害し、逃亡してしまうのだ。
    そこからはグリーンベレー時代のことを思い出し、人を殺すことへの罪悪感も薄らぎ、逆に追ってくるティーズルら一味を皆殺しにすることを決意する。

    そう、通常の物語構造から云えばランボーは元グリーンベレーでヴェトナム戦争の時に抱えたトラウマでおかしくなった殺戮マシーンであり、それを追い出そうとする警察署長ティーズルらは彼のターゲットとなり、善と悪で云えばティーズルが善、ランボーが悪なのだ。
    これは映画の構造と全く逆で驚いた。まさに価値観の転換である。

    そして単なる一人対多勢の戦闘小説に終始しない。ランボーが生き抜くためのサヴァイバル小説でもあり、はたまた冒険小説の要素も兼ね備えた内容になっている。

    そして読中、しきりに頭を過ったのはレンデルの『ロウフィールド家の惨劇』だ。この全く色合いの違う作品だが、物事の発端は全く以て同じだ。

    先にも書いたが、ティーズルは不審者である男を尋問し、町から出るよう警告したのだが、相手が何者であるかを知らなかった。というよりも理解しようとしなかった。
    だから彼は通常犯罪者に行うように裸にして、洗浄したり、個室に入れて取り調べをしようとした。しかしランボーはヴェトナム戦争で捕虜としてひどい扱いを受け、閉所に対して深いトラウマを持っていたため、それが彼の生存本能を引き起こしてしまった。

    片やランボーは署長の警告を無視した。彼はそれまで何度も行く先々で同じような仕打ちを受けており、うんざりしていた。彼は戦争の英雄であり、ティーズルのような小物に指図されるような男ではないと思っていた。そして彼は逃げ出した時に元来持っていた闘争本能が目覚め、自分がどれほど強い男なのかを知らしめようと思ってしまったのだ。
    お互いがそれぞれの思惑を通そうとしたが故のボタンの掛け違え。それが大量殺戮を生み、1つの町を殲滅する寸前の大事にまで発展してしまうのだ。

    最終的にこの小説はあらぬ疑いを受け、いわれのない虐待を受けた戦争帰りの男の復讐譚ではなく、町の治安を守るために不安要素を排除しようとした町の署長が一人の男によってそれまで築き上げてきた地位や安定、全てを失う物語であり、ヴェトナム戦争で捕虜となって奇跡的に生還した男が再び闘争心を甦らせ、無敵の戦士になる物語であるのだ。
    そう、これはランボーとティーズル2人の物語なのだ。あまりにも有名になってしまった映画のためにこの作品の本質は多くの人間が誤解を招いてしまっているように感じる。斯くいう私もまたその一人なのだ。

    しかし映画と小説は別物だという主張もある。ハリウッドはこの作品の設定を借りて映画史に残るアクションムーヴィーを作り、成功した。
    作者の意図や希望がそれに合致したかどうかは寡聞にして知らないが、それもまた良作故の功罪か。
    『ジュラシック・パーク』がクライトンの作品から一人歩きをしたように、この作品にもまたそのような道を辿ったのかもしれない。

    とはいえ、続くシリーズ2作、3作もマレルによって書かれているのだから上のような判断は早計というようなもの。果たしてマレルの真意はどこにあったのか。
    これについてはそれらも読んで判断していこう。


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    No.14:
    (5pt)

    購入には相当迷いました

    Amazonで検索を掛けたら1冊しか無く、定価の3〜4倍のプレミア価格でした。DVDやBlu-rayの方が安価だが2時間前後もまとまった時間が取りにくいので本は魅力。内容は分かっているので訳文を噛みしめて読書します。
    一人だけの軍隊 ランボー (ハヤカワ文庫)Amazon書評・レビュー:一人だけの軍隊 ランボー (ハヤカワ文庫)より
    415040299X
    No.13:
    (5pt)

    感謝!感激!

    ずっと探していて、やっと購入が叶いました。懐かしい!素晴らしい!本当に嬉しい!
    一人だけの軍隊 ランボー (ハヤカワ文庫)Amazon書評・レビュー:一人だけの軍隊 ランボー (ハヤカワ文庫)より
    415040299X
    No.12:
    (4pt)

    ヴェトナム帰還兵の問題を扱った社会派アクション小説

    ヴェトナム帰還兵がある町で拘束され・・・というお話。
    いわゆるヴェトナム戦争後の問題をアクションシーン満載の娯楽小説にした作品に思えました。そういう意味ではデミルの「誓約」に通じる所のある社会派小説としても読めるなかなか奥の深い小説だと思いました。
    これが書かれた当時は訳者あとがきにあるようにヴェトナム帰還兵が色々な意味で問題になっていたというのはよく聞きますが、流石にここまではやらないであろうという事象が描かれていてそこら辺は著者のマレルの筆力のなせる業か、単純に面白いアクション小説としても読めました。
    それと、主人公がいじめられて切れた末に町を破壊する所はキングの「キャリー」を想起させますが、マレルはこの後キングと仲良くなってホラーも書くようになるので、類縁性がなくもないと思いました。
    それと、昔観た映画版と細部が違い、結末も違う様に思えましたが、勘違いでしょうか。もう何十年も前のことなので、また見直さないとよく判りませんが。
    ともあれ、社会派アクション小説としてはかなり良くできた作品に思えました。機会があったらどうぞ。
    一人だけの軍隊 ランボー (ハヤカワ文庫)Amazon書評・レビュー:一人だけの軍隊 ランボー (ハヤカワ文庫)より
    415040299X
    No.11:
    (4pt)

    良い商品だと思います。

    息子に頼まれての購入です。面白かった用ですぐ読み終わったといってました。
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    415040299X
    No.10:
    (5pt)

    映画を観た人も是非読んでもらい、人間とは、戦争が及ぼす悪影響とは似ついて考えてもらいたい。

    大筋は映画と同じですが、小説と言う媒体である本の方が各キャラクターが細かく書かれていて、一概にどちらが悪者、被害者、加害者と言う区分けもされていないでの印象は結構違うかもしれません。これは映画と小説のどちらが優れているかと言うのではなく、映画の方は制作された当時の基準の2時間以内に纏めるとなると90分前後の時間がベストだったと思いますし、逆にもっと盛り込むとなると逆に2時間の枠を超えていたと思います。それに私自身、両方とも最高点を付けて評価しています。

    映画の方が無理解で(そもそも理解しようとすらしない)冷たい仕打ちをしてきた世間に対して、ティーズル保安官とタイミングが悪く出会ってしまった田舎町で鬱積していた不満が爆発してしまった。と言う立ち位置で描かれていたのに対して、小説の方は今まで通り過ぎてきた街で同じ目に合っていたのもありますが、ランボー自身の方からも保安官のティーズル相手にトラブルに首を突っ込んで行き、映画ではやむを得ない一人を除いて、誰一人殺すどころか戦意を喪失させる程度に痛めつける所でとどめていた反撃も、小説の方では何の躊躇もなく狙撃して射殺しているので、主人公ランボーの暴力を行使する事へのその結果を含めての思考、除隊してからの自分をどれだけ把握しているかが大きく違います。

    映画のランボーは帰国してからの世間からの仕打ち、それに追い打ちを賭ける様に何の資格も技術もなくアルバイト程度の仕事にも就けない屈辱、そういう経験を経てストレスを感じる世間とは極力接触せず、自分の唯一の戦闘能力の高さにすら嫌悪感を痛いているのに対して、小説の方は同じような不満を抱き世間にも自分にも抱いて悩みながらも、理性を失ってしまうと戦闘本能が全開になって見境なくなり、逃げる人間を追ってまで徹底的に行動を起こしてしまうと云う事になるでしょうか。

    ティーズル保安官は小説では朝鮮戦争の英雄としてちゃんと明記され、今は別居中で仕事にのめり込む事でそのことを忘れようとしている人物として描かれていて、ランボーと接触し追跡した挙句に反撃を受けた事で、自らも戦闘本能に目覚めて対峙していくのですが、そうなるとこれは朝鮮戦争とベトナム戦争と言う2つの大きな戦争を挟んでの父と息子程年の離れた、理解しあえない世代間の差を描いたものではないかと思います。
    両方の戦争とも本当の敵は旧ソ連、今のロシアなのですが、戦勝国ムードで盛り上がってそのまま参戦した朝鮮戦争で戦い無事帰国して英雄として社会復帰した父。
    対するランボーは捕虜になり重度の精神障害を患った上、勝敗どころか軍は逃げるようにして引き上げてきて、はっきりとした成果を得る事も出来なければ、何時まで経っても何かと理由を付けては社会復帰をしようともする気も見せない、理解できない人間になって戻ってきた息子と言う構図でしょうか。

    只、映画でも小説でも1番辛く惨めな思いをしたのは、もしかするとトラウトマン大佐だったのではと思います。
    それは映画の方では最後の最後、包囲されて大佐から無理やり説得されるあまり、今まで鬱積していた思いのたけをランボーからぶちまけられるにあたって、初めて指揮していた自分とは違い実際に戦場で戦った人間のあまりにも過酷な戦場を潜り抜けてきたのを知り、何から何まで知っているつもりだったランボーが泣いてわめいて苦しんでいる姿を目の当たりにして驚愕し、小説の方ではちゃんとした一人間としての兵士を育てていたつもりが、実際は復帰してきても社会生活に適応できないまでに人間性を奪い精神的に追い詰めダメージを与えているのを改めて知り、最後は自らの手でその責任を取る行動をするからです。

    巻末に初出版当時の訳者のあとがきがあり、そこでも同じ事を言っていましたが、自分の目の前にある日突然、汚らしい身形をし髪も髭も伸ばし放題に伸ばした、生意気な口をきく正体不明な人間が来たら自分ならどう対応するのか?それがランボーだとして、映画を観、小説を読んだ後でも自ら歩み寄り親しくなろうとすのか?駅周辺で見かけるホームレスにそんな同情を覚えなければ顔をしかめて避けて通っているのを思い返すと、映画であれ小説であれティーズルの行動を批判する気にはなれません。

    広大なアメリカの、その町で生まれ育ち、そのまま一生その町から出る事無く老いて死んで苦であろう田舎町の人間には、まだまだ偏屈と言うか極度に排他的な一面があるとあったので、小説や映画の様な騒ぎにはならないまでも、小さなトラブルは多々あったのではと思ったりもしました。
    一人だけの軍隊 ランボー (ハヤカワ文庫)Amazon書評・レビュー:一人だけの軍隊 ランボー (ハヤカワ文庫)より
    415040299X



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