廃墟ホテル



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初公開日(参考)2005年12月
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長編小説

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廃墟ホテル (ランダムハウス講談社文庫)

2005年12月15日 廃墟ホテル (ランダムハウス講談社文庫)

廃墟に蠢く怪しい影 かつての豪華ホテルに封印されし痛ましい過去が 都市探険者たちに襲い掛かる! 忍びこむ者——廃墟のもつ魅力に取り憑かれた彼らと共に、新聞記者バレンジャーはかつての豪華ホテルに潜入した。畸形のネズミ、5本足のネコが棲まう建物を探索するうち、秘密の通路を発見!オーナーの大富豪カーライルは、そこから客室を覗いていたのだ。そして客室で起きた殺人、虐待といった惨劇の痕跡を保存したまま彼はホテルを閉鎖していた——その異常な光景を目にした瞬間、一行の背後に怪しい影が忍び寄る。(「BOOK」データベースより)




書評・レビュー点数毎のグラフです平均点8.00pt

廃墟ホテルの総合評価:7.43/10点レビュー 7件。Bランク


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全1件 1~1 1/1ページ
No.1:
(8pt)

マレルの化け方に脱帽

バングラデシュの密林など世界の自然を舞台に冒険・スパイ小説を繰り広げていたマレルが21世紀に選んだ冒険の舞台はなんと廃墟。
資金難で打ち捨てられたホテルやオフィスビル、デパートに忍び込む。彼の行動は彼ら曰く「写真以外は何も取らない、足跡以外は何も残さない」。しかしそれは立派な不法侵入と云う犯罪。それ故彼らは自らの素性を語らない。従って紹介もファーストネームもしくはニックネームだけだ。

まさか廃墟探索がこれほどスリリングだとは思わなかった。
暗闇に巣食う動物たち。不衛生的な環境で育ったそれらは攻撃的でもあり、傷つけられると病原菌に感染してしまう。さらに長年風雨に曝され、老朽化が進み、床が突然抜けたり、階段が崩落したり、思いもかけない危難が待ち受けているのだ。そんな状況で機転を働かせて仲間の救出を行うところなど、手に汗握るスペクタクルになっている。機能を失った建物が未知なるジャングルの如き迷宮に見えてくる。

そんな危険を冒してまでも廃墟侵入を止めないのはそこに魅力があるからだ。当時の時間を体験することが出来るからだ。
原作者のあとがきによれば彼らのようなグループは世界中に実在するとのこと。いやあ、マレルは実に面白い題材を見つけたものだ。

そして挿入されるかつての宿泊客たちのエピソードも興味深い。
亡き夫と思い出のために訪れ、自殺する者。
ホテルに荷物を残して失踪したまま行方知れずになった者。
不治の病に侵され、最後の記念にホテルに泊まり、自害する者。

さらには各登場人物のエピソードも面白い。特に主人公のバレンジャーの軍隊時代の恐ろしい捕虜体験は読み応え十分。この辺はランボーの原作者たる所以か。

そして物語は暗闇の中の廃墟探索という冒険物から不測の訪問者である窃盗グループによる拘束を受けるというサスペンス物に変わり、さらに廃墟のホテルに住まう異常殺人鬼の登場で次々と仲間が殺されていくホラーへと転調していく。

『ダブルイメージ』ではあまりに物語の転調が激しく、読後はなんといったらいいか解らないほど戸惑いを覚えたが、本作では舞台設定が廃墟と固定されており、その不気味なムードが冒険、サスペンス、ホラーを包含しているため、上に書いた物語の転調が非常にスムーズで、逆に先の展開に好奇心が募る思いがした。

正直云って本書は私が今まで読んだマレル作品で一番面白い長編となった。作家生活30年以上も経って物語力の感じる作品を生みだす、まさに円熟味のなせる業か。
前回読んだ短編集『真夜中に捨てられる靴』でも感じたが、マレルは21世紀になって作風がガラリと、しかもいい方に変わった。これほど味が出るとは思わなかった。

こうなると近年発表されたマレルの作品が実に気になる。本書は2005年の作品。しかも版元のランダムハウス講談社は武田ランダムハウスジャパンに経営を移した後、本書は絶版の憂き目にあっている。
どこかマレルの未訳作を訳出してくれる寛大な出版社はないだろうか?


▼以下、ネタバレ感想

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Tetchy
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No.6:
(3pt)

恐怖の一夜(アクション付き!)

真夏の夜には、やはりホラー小説が一番!
 怖いホラー小説でも読んで背筋をゾクゾクさせ、
少しは涼しくなるかと本書を選んだ。
 作者デイビィッド・マレルは最近はホラー作家へ
シフト・チェンジしてきたのかな?
 「ランボー」の小説三部作を過去に読んだ経験有り。
 バリバリのアクション作家だったマレル。
 久しぶりに読むマレルの作品。
 果たしてどのようなホラー作品を書き上げたのか
興味シンシン。
 出だしはなかなかのゾクゾク感。
 きっと何か恐ろしいものが出てくるぞ。

 ええっ!?
 やっぱりアクション小説だったの?
廃墟ホテル (ランダムハウス講談社文庫)Amazon書評・レビュー:廃墟ホテル (ランダムハウス講談社文庫)より
4270100222
No.5:
(2pt)

ホテルの構造が

「真夜中に捨てられる靴」がおもしろかったので、この作家の長編を読んでみたいと思い、読みました。
でも、なかなかおもしろくならない。
主人公がタフガイなので、ちょっとぐらいの悪が出てきても、危機感がイマイチ高まらない。
やっと本物の敵が出てきてスリリングになるけど、そこまでが少々長いです。

それと、舞台になるホテルの構造がよくわからなくて、主人公がいまどこにいて、どういう状況にあるのかが把握できませんでした。
「階段」はどれも「階段」、「タンク」はどれも「タンク」と書いてあって、それは原文どおりなのかもしれませんが、「どこそこの秘密通路の階段」とか、「何々のタンク」とか書いてもらえると、もう少し混乱せずにすんだと思います。
「バルコニー」とか「廊下」も、どこを指すのかよくわからなかった。

「真夜中に……」を読んだ限り、この作家の真の実力はこんなもんじゃないと感じます。
「あとがき」にあったミステリ三部作を読んでみたい気がします。
廃墟ホテル (ランダムハウス講談社文庫)Amazon書評・レビュー:廃墟ホテル (ランダムハウス講談社文庫)より
4270100222
No.4:
(3pt)

一気読み必至のホラー・エンターテインメント

ヒット映画『ランボー』の原作者デイヴィッド・マレルによる、ホラー・サスペンス。

’06年、「このミステリーがすごい!」海外編第18位にランクインしている。

かつての繁栄の名残として、地方都市アズベリーパークに佇むパラゴン・ホテル。オーナーだった大富豪カーライルは、海運会社の御曹司で血友病患者だった。彼はこのホテルを古代マヤ文明のピラミッドを模倣して設計し、自らその頂上のペントハウスに住んだ。

ストーリーは、打ち捨てられた廃墟を専門に、違法に探検する、“クリーパー”と呼ばれる、大学教授とその元教え子たち一行と一緒に、表向きは新聞記者として、取材の名目でこのホテルの探検に同行した主人公の一夜の冒険物語である。

はじめのうち、読者は、登場人物たちと一緒にこの不気味な廃墟ホテルの探検行に、‘怖いもの見たさ’で参加することになる。やがて、大富豪カーライルが、とんでもない事実を封印したままこのホテルを閉鎖して亡くなっており、また、別の一団がホテルに潜入していることが分かるに及んで、事態は急展開を見せ、単なる探検物語ではなくなってしまう。

ただ本書は、閉鎖されて久しいホテルから、いきなりブロンドの女性が現れたり、謎の男が住んでいたり、やや荒唐無稽な感は否めないが、単にグロテスクで暴力的な不気味さを強調する“劇画的”なホラーものに堕すことなく、前半を純粋な探検もの、中盤を宝探しと別の窃盗グループの登場、そして主人公の正体と真の目的が明らかになり、後半がアクション映画ばりのサバイバル調となる、という具合に、最初から最後までを一気読みさせるエンターテインメントにしているあたりに、デイヴィッド・マレルの実力がうかがえる。
廃墟ホテル (ランダムハウス講談社文庫)Amazon書評・レビュー:廃墟ホテル (ランダムハウス講談社文庫)より
4270100222
No.3:
(5pt)

廃墟ホテルの暗闇を歩く

ゴーストタウンに聳え立つ7階建てのマヤ文明に残るピラミッドを模したホテル。最上階に住んでいた創業者はエキセントリックな人物で、いろいろ怪しい趣向をホテル内に張り巡らせていた。新聞記者と都市探検隊の一行はヘッドライトと懐中電灯を頼りに建物内を探索する。表紙のおどろおどろしいタッチを見るにつけ、行く手には何かとんでもないことが起こるに違いないと期待してしまう。登場人物たちには申し訳ないが期待は裏切られなかった。スピーディに展開していくのでサクサク読める。序盤に奇形のネズミが登場するので「そっち方面」に話を持っていくのかなあと思っていたら、サスペンス色がどんどん濃くなっていく。終盤の畳み掛ける展開はアクション要素満載でスリリングだ。そういえばビデオゲームでも「零」とか「弟切草」とか「バイオハザード」など廃墟を巡るものは面白かったことを思い出す。
廃墟ホテル (ランダムハウス講談社文庫)Amazon書評・レビュー:廃墟ホテル (ランダムハウス講談社文庫)より
4270100222
No.2:
(5pt)

モダンホラーの修羅場で原点回帰を果たした「ランボー」

昨年あたりから日本で再評価されはじめた、デビッド・マレルの新作。都市探検者と自称する、廃墟好きの一行が遭遇する恐怖の一夜を描いた意欲作である。2006年という現在において「モダン」なホラーであると同時に、極A級のAFでもあるのであったよ。

舞台となるホテルは唯の廃墟ではない。血友病の故、生涯引き篭もって暮らした大富豪が、夢見ながら実現できなかった海外への憧れと歪なエキゾチズムをアステカのピラミッドを模した超高級ホテルへと結実させた。20世紀初頭の出来事だ。

そして彼は、自分のホテルのペントハウスに引き篭もりつつ、ホテル内に設えた全客室に通じる秘密通路から宿泊客の生活を覗き見る。そして、60〜70年代の動乱の時代を経て、近代アメリカ社会を看取るかのように、オーナーは自殺していたのだった。

営業を停止してもなお、管財法人によって取り潰されるでもなく手を入れられるでもなく、野ざらしにされたまま今日に至る「廃墟ホテル」。その中には、ホテル内に取り残されたまま、三十年に及ぶ近親交配の末奇形化した猫や鼠が巣食っている。

物語前半で語られる廃墟ホテルの描写は、21世紀の幽霊屋敷を連想させるおぞましさに満ちている。そして、廃墟の闇を闊歩する恐怖の正体とは。。。。 いやもう、この「恐怖の正体」というのがね、アイデア、構成ともに「やられた!」という嬉しい裏切りがザクザクと心地よい。いや、ホラーだから心地悪いと言うべきだな。

主人公のキャラクター造詣は、悪く言えば「ランボー」から一歩も出ていないとも言える。だが、フィクションにおけるヒーローの資質は、過去を乗り越え現在と対峙する克己の強さにこそあるわけで、そういう意味では、マレルの手法もテーマ性もなんら間違っているわけではない。

恐怖に曝される一瞬一秒の刹那を「今」と呼び、「今」を生きる事に全力を傾ける主人公の姿は、ビターだけれども熱い感動を呼ぶのだ。
廃墟ホテル (ランダムハウス講談社文庫)Amazon書評・レビュー:廃墟ホテル (ランダムハウス講談社文庫)より
4270100222



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