少年Nのいない世界 03
- 異世界 (87)
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都市伝説「猫ごろし13切符」を実行に移したクラスメイトを追った挙句、 巻き添えで異世界に飛ばされた七人の少年少女の姿を、事件から5年経た時点で追うシリーズ、第三弾。 前巻までの時点で双葉が中心となって音色、歩巳、波留斗という4人までが集まった事で ようやく残った3人を力を合わせて探す展開に……という流れを予想していたのだけど、そうは問屋が卸さない。 前巻で歩巳を誘い出そうとするなど、その存在が匂わされていた彼ら「異世界からやってきた少年少女」を集めようとする組織が いよいよ本格的に牙を剥き、力づくでも手にしようと暗躍し始めた事で物語はサスペンス的展開に。 ……と、書くとのっけから危機また危機の連続みたいな話かと思っていたら なんと話がスキャンダルと言うかスクープと言うか、エアボードのトッププレーヤーであるアッシュと 「惑星キュアの至宝」とまで呼ばれる様になったダンサーのネイロの熱愛発覚が報じられる場面から始まるという意外性。 まさか少し前に描かれたアッシュのしつこすぎる「おっかけ」の話がこういう形で展開されるとは思ってもみなかった。 そのマスコミの殺到により、ようやく集まって仲間探しに本腰を入れようとした四人が思う様に動けなくなり、 仕方なしに別れ別れでコソコソ動き始めた所歩巳と波留斗の前に姿を現すのが全ての元凶である猫殺し少年・和久田悦史。 多少背は伸びて、髪はメッシュにしているけど、特徴的な目の下のクマで「あいつだ!」となって始まる追いかけっこ。 ところがこれが、完全に二人を誘い出す「組織」の罠で絶体絶命のピンチに陥った所で助けの手が入るのだけど、 これがまた助けてくれたは良いが、何とも胡散臭い人物で仲間探しを進める上で誰を信用して良いのか分からなくなるという状況に。 何とか元の世界に帰ろうと思ったら、元凶の悦史は「組織」の仲間になっているわ、 相変わらず少年Nこと野依と小学校時代はリーダー格だった文乃は相変わらず行方が知れず、 しかも熱愛発覚したネイロは「飼い主」であるダラニエが怒り狂って仲間と引き離される寸前に。 にっちもさっちも行かなくなって多少社会的地位を得たり、体はデカくなったりしても、 基本的には身元不確かで大っぴらには動けない少年少女という不自由さが突き付けられる事に。 その一方で並行して「集結組」とは完全に別行動の野依の旅の姿がチラホラ描かれるのも大きな特徴。 ただし、これが「5年後」ではなく、「2年後」が舞台となった少し前の野依の姿だったりする。 野依と悦史がその時点で出会っていたり、「少年Nの長い長い旅」では不思議なぐらいまっすぐな性格の野依が その性格故に意外と愛されて過ごしている姿が描かれたりしている。 しかし、この巻の最大の注目点は表紙にも描かれている悦史かと。 猫を13匹も殺して、保存し、ビルの屋上からばら撒くという、神戸の少年Aも真っ青な凶行に及んだ子だったけど、 彼の小学校時代の思い出や、再開した野依との関係を通じて描かれる「明るい物」「真っ直ぐな物」に対する 憎悪とも憧憬とも言い難い捻じれた心性は読んでいて何とも心がズーンと重くなってくる。 しかも冒頭で描かれた塾の先輩のお姉さんのエピソードとか、さらに読者の心を重くしてくれる。 これは確かに「ここではないどこか」に逃げ出したくもなるかな、と。 物語後半はネイロの解放の話がメインになっているのだけど、やっと日の当たる世界に出られたと思ったら ラストシーンであっという人物が現れて物語は更に予想がつかない方向へ。 いやー、面白い、面白いのだけど……実は不満が募る一方なのである。 不満の正体は分かっている。 この作品やっぱり「少年Nの長い長い旅」を読んでいないと、要するにこれ単品では「100%楽しめた」とは言えないのである。 今回ネイロがダラニエの元に縛り付けられる元になった事件であったり、 野依と悦史の過去の旅の中での絡みであったり、野依が生きていくために選んだ場所なんかが色々と触れられるのだけど、 こういう過去に絡むエピソードが描かれるたびに「これ、『長い長い旅』を読んでればもっと楽しめるんだろうな」と 単品でしか読んでいない読者には自分が楽しみ切れていないという感覚が湧いてしまうのである。 「それなら買って読めばいいじゃん」という人もいるだろうし、それは確かにそうなのだけど 俺は一冊の本に1000円以上出すのが辛いし、判型の違う本を並べて本棚に置きたくも無い人間なのである。 ……なんで講談社タイガはこういう酷い仕打ちをしてくれたのさ? 面白い作品だからこそ読めば読むほど「100%楽しめていない」という不満感が募っていくなんてあんまりじゃんか。 貧乏な読者は「長い長い旅」が文庫落ちするまで待てってのか??? | ||||
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