世界で一番かわいそうな私たち 第一幕



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初公開日(参考)2019年01月
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長編小説

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世界で一番かわいそうな私たち 第一幕 (講談社タイガ)

2019年01月23日 世界で一番かわいそうな私たち 第一幕 (講談社タイガ)

戦後最大の未解決事件“瀬戸内バスジャック事件”に巻き込まれた十年前のあの夏から、声を失った三好詠葉、十七歳。彼女は舞原杏が教壇に立つフリースクール―靜鈴荘で、傷を抱える子どもたちと学び、穏やかに暮らしていた。佐伯道成が教師として働きはじめるまでは…。詠葉の揺れる心に気付かぬまま、生徒の不登校を解決しようと奮闘する佐伯。彼が辿り着いた正解とは?(「BOOK」データベースより)




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No.3:
(5pt)

舞原家も登場!

ここで終わっちゃう?!と。全て揃えてから読めば良かった。
続きが気になります。
世界で一番かわいそうな私たち 第一幕 (講談社タイガ)Amazon書評・レビュー:世界で一番かわいそうな私たち 第一幕 (講談社タイガ)より
4065143039
No.2:
(3pt)

どうなるか

最終巻まで発行されたみたいなので、ようやく読み始めました。
もうすぐ時効を迎えるバスジャック事件を背景に、
関係者が数人集うフリースクールを舞台に繰り広げられるミステリー。
綾崎さんらしさ全開の作品で、非常に雰囲気があります。
メディアワークス文庫の花鳥風月シリーズやノーブルチルドレンシリーズとも世界観を共有し、
舞原や千桜なる因縁の家柄も登場してきます。
そう言った意味でも綾崎さんファンには嬉しい作品だと思います。
さて、本筋のこのシリーズはどうなるか。
一巻としては、まずまずのスタートです。
世界で一番かわいそうな私たち 第一幕 (講談社タイガ)Amazon書評・レビュー:世界で一番かわいそうな私たち 第一幕 (講談社タイガ)より
4065143039
No.1:
(4pt)
【ネタバレあり!?】 (1件の連絡あり)[]  ネタバレを表示する

「居場所」の無い子供たちの物語。教師ものとしてもミステリとしても好作だが、中核となる事件に少々疑問も。

講談社タイガでは「君と時計」シリーズ以来久しぶりの綾崎隼。表紙イラストを担当したのがワカマツカオリということで「これMW文庫の作品じゃないんだよな?」と首を捻りながら拝読。

物語は1989年の夏、新潟から東京へ向かった高速バスがバスジャックに巻き込まれ犯人によって岡山へと向かわされた「瀬戸内バスジャック事件」によって幕を開ける。バスに乗っていた小学一年生の女の子・三好詩葉を人質と助手に使った犯人の要求通り前年に完成した瀬戸大橋を渡り終えたバスから人質が解放されるが犯人は忽然と消失。警察による大規模な捜索にも関わらず劇場型犯罪は迷宮入りする事に。

その後、マスコミの報道が過熱した事で人質として使われた詩葉は同級生を中心とした周りの目に晒され続け、時に共犯者扱いを受けた事で心を病み言葉を失う「緘黙症」に陥る。学校にも通えなくなった詩葉だったが、事件から三年後三好家を編集者と共に訪問した青年作家・舞原詩季と出会う。詩季が持参した原稿はあの日何が起きたのか、犯人はどうやって逃走したのかを「告発」する物だった。出版に当たって詩葉の許可が欲しいという詩季の申し入れに応じる形で詩葉はその原稿を読み、その上で世に出す事を承諾。原稿は「残夏の悲鳴」と題されて刊行、大ヒットする事に。

更に三年の時間が流れた夏、詩葉は緘黙症で普通には生きられない苦しさを誰かに知って欲しいと詩季に手紙を出す。返事が来ることを期待しないままに出した手紙であったが、意外にも詩季は再び三好家を訪れ妻であるという女性・舞原杏を詩葉に引き合わせる。杏は八王子で営んでいるフリースクール「静鈴荘」に詩葉を誘い、詩葉はこれに応じて新潟を離れ、八王子に移り住む事に。

詩葉が静鈴荘の住人になって四年後の夏、杏と買い出しに出掛けた詩葉はスーパーからの帰路で行き倒れになっている奇妙な青年を助ける事に。元教師で両親から勘当された身であるというその青年・佐伯道成は助けられた縁からそのまま静鈴荘に教師として居付く事になるが……

……相変わらず綾崎隼という作家が「読ませる力」という点ではズバ抜けた力量を持つ作家である事を再確認。序盤で「完全犯罪」を描く展開からミステリと思わせておきながら、さにあらず。中盤以降は未熟な教師が学校に通えなくなった教え子の為に奔走するフリースクールを舞台にした熱血教師ものに色を変じて、最後の最後でもう一度別の色に物語を染め変えてみせる……まるで歌舞伎の早着替えの様に物語の様相が次から次へと変じて、それでもなお読者が振り落とされる事無く読み続けさせる……尋常の作家に出来る芸当では無い。「見事」という他なかった。

上に紹介させて頂いた冒頭を読まれた方は本作が三好詩葉という言葉を失った少女を中心とした物語であると思われるかもしれないが、意外な事にこの第一幕において彼女は脇役を務めるに過ぎない。主役となるのは彼女と舞台となる静鈴荘の中心人物である舞原杏に拾われた行き倒れの青年、佐伯なのである。この佐伯青年が静鈴荘の教師となった直後にそれまで通っていた高校を休学して静鈴荘にやってきた少年・島田裕貴が学校で居場所を失うきっかけとなった事件の真実を求めて奔走する姿がこの第一幕の軸となっている。

学校教育法第一条で定められた「学校」に属しない自由な形での教育の場「フリースクール」を舞台にしている事からもお分かりの通り、本作は「居場所を失った子供たち」の物語でもある。過去の綾崎作品もどこか普通の人生に馴染めない人物を主人公に据えてきたが、今回はより明確にその傾向を打ち出してきた感がある。物語はそんな「みんな」に馴染めずに流れる様にして静鈴荘に辿り着いた子供たちを前に佐伯が未熟ながらも教師として「やるべき事」を果そうと若干危なっかしい所はありながら「自分の教え子」裕貴に掛けられた疑いを晴らそうと孤軍奮闘する姿を追う形で進む。

そう言う意味で本作はまごう事なく「熱血教師」の物語なのだが、危なっかしい佐伯を導き「教師は探偵ではない」と諭す静鈴荘の中心人物・杏の存在が佐伯が頑張るほどに際立ってくる。この杏、夫の舞原詩季との関係自体も、その出自である「もう一つの名家」との関係も相当に謎めいているのだが(「ノーブルチルドレン」シリーズの人なら言わなくても分かると思うけど)話が進むにつれてその存在感は物語全体を覆うかの様に広がっていき、全ては杏の掌の上で転がされている様な奇妙な錯覚に陥ってくる。まるで同じMW文庫出身の作家・野崎まどの描く最原最早や曲世愛の様な怪物染みた存在感すら放っているのである。

佐伯が未熟ながらも裕貴の抱えてきた問題に筋道を付けた所では「一件落着」という感すらあるのだが、タイトル通りこの作品はまだ「第一幕」そもそも冒頭で描かれた奇妙な完全犯罪とは何の関係もなく終わってしまっている……と首を捻っていたら最後の最後に巨大爆弾が。怪物・杏が明かしたまさかの真実にアゴがカクンと落ちる羽目に。1999年という物語の時代背景を妙に強調する様に実名を使った小道具が登場し(「完全自殺マニュアル」なんて懐かしい名前も)時代を彩ったヒットソングのタイトルも実名で登場するから「綾崎作品では珍しいな」と思っていたら全てが計算し尽くされていたとは……まさに脱帽。

終盤までかけて描かれてきた絵の色がまったく別の色に一瞬で塗り替える驚異のオチで「次回へ続く」となっており、さらには今回は脇役であったヒロインの詩葉をはじめ、まだまだ描かれていない人物も多い事から話がどこまで広がっていくのか想像がつかない程にスケールの大きい物語となりそう。猛スピードで二転三転しながら読者を振り落とさない綾崎隼の筆力が今後も炸裂し続ける事を嫌でも期待せざるを得ない見事な第一幕であった。

……で、ここまで褒めちぎっておいて何で星が一つ減るのか?
理由はただ一つ、物語の中核である完全犯罪「瀬戸内バスジャック事件」がどうにもリアリティという点で納得いかない所がある。完全犯罪というのは全てが犯人の計算通りに進む事を前提としているわけだが、人質に取られて更に助手として使われたのが当時小学校一年生の詩葉というのは……やっぱり釈然としない。幼稚園児に毛の生えたぐらいの女の子が犯人がどれだけ慎重に計算したとしても期待通りに動いてくれるものだろうか?予想外の行動に走られたり、指示した行動が正確に出来なかったりという形で全てがおじゃんになる可能性の方が高い様な気がするのだが……。ベースとなる事件がご都合主義ではこの物語自体が砂上の楼閣となる危険性も。
世界で一番かわいそうな私たち 第一幕 (講談社タイガ)Amazon書評・レビュー:世界で一番かわいそうな私たち 第一幕 (講談社タイガ)より
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