影の棲む城

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種別
長編
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あらすじ

2008年01月01日 影の棲む城〈上〉 (創元推理文庫)

チャリオン国太后イスタは鬱々としていた。元国主の夫はとうに亡く、娘はチャリオンの国主となっている。では、自分は?このまま故郷の城で、とらわれ人のように一生を過ごすのか…。耐えられなくなったイスタは、わずかな供だけを連れ、巡礼の旅に出た。『チャリオンの影』に続く“五神教シリーズ”。ヒューゴー、ネビュラ、ローカスの三賞受賞。異世界ファンタジーの金字塔。(「BOOK」データベースより)

評判

影の棲む城の評価:

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影の棲む城の総合評価:

9.82/10点 レビュー 11件。

感想一覧

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Amazonレビュー

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

No.11
(5pt)

懐かしいタイトル

何回も読み返して表紙がボロボロになってしまったので、もう一冊買い増し、表紙を交換しました。同じ初版なのに程度もよく、嬉しかった
影の棲む城〈上〉 (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: 影の棲む城〈上〉 (創元推理文庫)より
4488587046
No.10
(5pt)

とても良くできたファンタジー活劇

「チャリオンの影」、「影の棲む城」、「影の王国」からなる三部作の第二部で、ヒューゴー、ネビュラ、ローカスの3賞受賞につられて読んでみましたが、とても良くできたファンタジー活劇、と言った感じでした。

よくある中世騎士物語で、それほど斬新さは感じませんでしたが、中心となるファンタジーらしい仕掛けは良く練られています。次々にイベントが起こり、緊迫した場面ではスピード感のある描写になるなどテンポの良い展開で、上下巻を一気に読み終えることができました。特に下巻はもうちょっと、もうちょっとと読み進めるうちに朝になってしまうという高校生以来の経験をしてしまいました。

第一部の「チャリオンの影」はイマイチだったのですが、本作品はこれがベースになっているので、できれば読んでおいた方がより楽しめると思います。また、第三部は残念ながら本作品の続きではないそうです。

このように本作品には満足していますが、これが3賞受賞作という点については、近年のSFの凋落ぶりを感じずにはいられません。ヒューゴー、ネビュラのダブル・クラウン受賞作には、砂の惑星、闇の左手、ニューロマンサーなどの全く新たな世界観を提供してくれる斬新な作品がキラ星の如く並んでいますが、本作品はこれらと比べると小粒感が否めません。才能のある人達は必ずいるはずですが、何処へ行ってしまったのでしょうか?
影の棲む城〈上〉 (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: 影の棲む城〈上〉 (創元推理文庫)より
4488587046
No.9
(5pt)

上下巻を合わせたレビューです

チャリオンを蓋っていた呪いは忠実な家臣カザリルによって取り払われ、愛娘イセーレは国主になるとともにイブラ国子を婿に迎えたが、イスタ国太后の心は晴れない。
今は亡きアイアスは立派な国主だったかも知れないが誠実な夫であったとは言えず、19歳でチャリオンに嫁いでから40歳を迎えるこの年まで、彼女の半生は呪いと義務に縛られたものだった。
故郷のヴァレンダで廷臣や女官達に囲まれてはいるものの、母親の最後を看取った今ではイスタを真に理解する者はなく、このまま宮廷の中で朽ちていくのかと思うと居たたまれなくなる。
意を決したイスタは、周囲の反対を押し切って巡礼の旅へ出ることにした。
その身分からすれば供は僅かであるものの、安全には充分配慮された旅程のはずだったが・・・

イスタにとって「巡礼」は名目上のことで、ヴァレンダを離れるために用意した尤もらしい口実なのだが、神々に対して恨み骨髄に達している彼女のことだから、巡る先々の聖地に唾を吐きかけるぐらいのことは計画していたのかも知れない。
イスタ一行はチャリオンと敵対するジョコナ公国の軍隊と遭遇してしまうのだが、間もなくボリフォルス郡侯アリーズ率いる一隊によって囚われの身から救われることに。
旅の途上、イスタの夢の中で彼女に助けを求める謎の男性(with 小鳥)が幾度か現れていることもあり、ここからロマンスに発展してイスタが精神的に救われれば物語の王道というところなのだが、ボリフォルズの砦に案内されたイスタは、そこでアリーズから彼の妻カティラーラ(18歳の美少女)を紹介される。
その存在と惚気癖によってイスタと読者に深刻なショックを与えるボリフォルス郡妃だが、彼女のアリーズに対する一途な思慕の情は予想外に大きな呪いをボリフォルスに、引いてはチャリオン国に及ぼそうとしていた。
一種の逃走であった巡礼の旅の目的は庶子神の介入によって一転し、今再び呪いへ立ち向かうことをイスタに求めるが、彼女は過去にもチャリオンから呪いを取り除くべく尽力し、意図せぬ事ながら殺人という苦い結果に終わっている。
砦の外で行われる血肉の戦いに並行して描かれる、魂を相手にしたイスタの戦いは、彼女の深い葛藤とともに大きな見所だろう。
軽々に神が顕現するファンタジーはチープに感じられるものだが、人に働きかけることでしか力を及ぼせない<五神教>の神々は、見方によってはリアルな存在と言える。
また、異世界ファンタジーには国家や世界全体を巻き込む壮大なものが多いが、そのような目で見ると本書で描かれるのはさして重要とも言えない一地方の城砦の防衛戦に過ぎず、国太后という高貴の身分とは言えどもイスタはチャリオンの歴史上では脇役であり、更に定石から外れた中年の主人公でもある。
舞台としての異世界や架空の歴史を入念に整備しつつも、それへ執着することなく、背景を持った主人公を活かすべく比較的小規模な時間/空間の中で物語を展開させた定石破りは、結果として前作以上にのめりこませる効果を生み出している。
影の棲む城〈上〉 (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: 影の棲む城〈上〉 (創元推理文庫)より
4488587046
No.8
(4pt)

異世界のストーリー

ファンタジー小説の世界に浸ることができます。しかも作者はあのビジョルドですから、シーン毎の描写を堪能できます。私は「士官候補生」からビジョルドの本を読み始めましたが、スペースオペラの世界とはまた違った異世界のストーリーを楽しみました。いったん読み始めるとなかなか途中で止められないのがちょっと困ります。
影の棲む城〈下〉 (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: 影の棲む城〈下〉 (創元推理文庫)より
4488587054
No.7
(5pt)

悪い魔法使いをやっつける話ですけど、そんな単純にはいきません

息抜きのための気楽な旅に出たつもりが、敵国の軍事作戦に巻き込まれ、そこから辛くも救い出されたと思ったら、またもや五神が絡んだトラブルに巻き込まれる事になってしまいました。
軍事作戦と五神が絡んだトラブルには関係がなさそうに見えましたが、実は直接的な因縁があったのです。

前作「チャリオンの影」では、昔に行われた奇跡(呪い)の儀式が予期せぬ結果を残して、この世に災厄(呪い)として残ってしまったことが発端になっていました。
今作は、前作にも少し登場した、中年皇族女性のイスタが主人公です。
イスタの娘イセーレは、前作で国主になっていますから、イスタは国太后になります。

前作では、「気がふれた中年女性」のように描かれていたイスタですから、とても主人公に向いているとは思えません。
予想外の起用のように感じられるかもしれませんが、それこそがこの作品の肝なのです。

前作で語られていることですが、イスタはイセーレを身ごもったときに神と会い、聖人になりました。
しかし、そこで与えられたミッションを果たすことができませんでした。
奇跡の失敗は不幸な事件を引き起こします。
若かったイスタは事態を理解することも収集することもできず、周りにも理解できる人間がいなかったため、事実は誰にも語られることがないまま封印されました。
その結果、周りからは「抱えきれない不幸のために気がふれてしまった女性」と見なされ、呪いの影響もあって不幸のどん底にありました。
神から果たしようもない過重なミッションを与えられ、そのせいで人生の半分を不幸に塗りつぶされてしまっていたわけです。
前作ではカザリルの活躍で呪いは取り除かれましたが、それまでに受けた不幸の数々は清算されたわけではありません。
(これをなんとかしよう、ということでこの作品が作られたのだと思います)

イスタは「気のふれた人物」と見なされているので、保護監察の下での生活を余儀なくされています。
今作でイスタは国太后になっているわけですが、これは状況をむしろ悪化させました。
それはそうです。
頭のおかしな国太后が権力を使って好き勝手したら周りは大迷惑ですし、万一事故に巻き込まれたら、保護責任者が処罰されます。
ですから、ますますがんじがらめの保護監察下に置かれているわけです。

そこでイスタは一計を案じ、「巡礼の旅」と称した息抜きの旅行に出かけることに成功します。
そしてその旅の途中で「魔」が絡んだ陰謀に巻き込まれていき、その解決のために冒険をすることになるというのが、「影の棲む城」のストーリーです。

前作「チャリオンの影」では、「魔法」が出てきませんでした。
しかし今作では、「魔法」が重要な要素になっています。
簡単に言えば悪い魔法使いが出て来て、それをやっつけてハッピーエンドという形です。
とは言え、ビジョルドさんの作品ですから、そんな単純な話にはなりません。

イスタからすると、前回、神から過重な使命を与えられたことが不幸の始まりでした。
だからイスタは神にたいして信仰心など持っていません。
被害者なわけですからむしろ憎んですらいます。
神々の思惑通りに動くなど、まっぴらごめんなわけで、好き勝手に行動をします。
それがストーリー展開を面白くしているのです。

前作では、神々はほとんど姿を現しませんでした。
ところが今作では、何度も擬人化した姿をイスタの前に見せます。
前作のカザリルに対しては直接姿を見せなかったのに、イスタの前には度々姿を現し、言葉を交わすのです。
つまり神々にとってイスタは、それだけ特別な存在ということなのです。

イスタは苦労の末にミッションを完遂し、過去の不幸な事件は清算されます。
「影の棲む城」は、「チャリオンの影」の後にどうしても語られなければいけない話だったのです。
影の棲む城〈下〉 (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: 影の棲む城〈下〉 (創元推理文庫)より
4488587054

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