(短編集)
千葉淳平探偵小説選
- 探偵小説選 (68)
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千葉淳平は1924年3月3日生まれのミステリー作家で、1963年に「或る老後」「ユダの窓はどれだ」の二作が第4回宝石短編賞を受賞してデビューしている。同時受賞が、天藤真の「鷹と鳶」であった。また、この年の第2回宝石中編賞は斎藤栄の「機密」が受賞しており、日本推理作家協会賞は宝石出身作家である土屋隆夫の「影の告発」、江戸川乱歩賞も宝石出身作家の藤村正太(川島郁夫)の「孤独のアスファルト」であった。なお、翌年の1964年に宝石社は倒産し、宝石は廃刊となっている。 解題等に書かれていることだが、千葉淳平には以下の話題性(特徴?)がある。 一、 受賞後1年の間に本書一冊分の短編を書き、各雑誌に掲載されたが、1年で引退状態となり、その後の消息は不明である(2015年1月時点の話。本書が出てから、何かわかったかもしれない)。なお、決して謎の作家ではなく、デビューまでの履歴はかなり詳細にわかっている。東大工学部理工学科卒で、玉川大学講師、発明協会調査課長等・・。 二、 雑誌「幻影城」の最終号(1979年7月1日発行の7月号680円)に8月号予告として「千葉淳平・密室小説特集」(もちろん復刻)が載っていたのだが、8月号は刊行されなかった。 三、 本格ミステリー短編を11作品残したが、ほとんどがトリックミステリーである。そして、密室ミステリーが多い。 そして、11作品だけでは、単行本一冊の分量には足りないが、連作短編、ショートショート、随筆等を含めると一冊分になることから、本書は、実質上の一巻全集として刊行されたのものである。 さて、ほとんどのことは解題に書かれており、何か新しいことを書くのは困難だが、ない知恵をしぼって、ちょっと書いてみよう。 私的感想 ●11作品のうちの、最終作「悪党はいつも孤独」をのぞく10作品がトリックミステリーである。そして、10作品のうちの6作品が密室ミステリーである。そして、「13/18・8」と「或る老後」では、密室トリックが二つずつ使われており、「同じ星の下の二人」も機械的心理的二重密室と解する余地がある。そして、「ユダの窓はどれだ」は、まさに「ユダの窓」トリックだが、これに西洋古典の有名トリックをくっつけており、お洒落である。 ●千葉淳平は理科系、技術系の経歴の人間で、その点は海野十三に似ている。また、理化学トリックを多用する点でも、海野十三に似ている。それで、千葉淳平が海野十三のファンであったかどうかは何の記録もないが、私は絶対にファンであったと思う。理由は、千葉淳平の代表作のメイントリックは、海野十三の名作「振動魔」の優れたバリエーションだからである。 ●小説中のトリック以外の部分では、お色気趣味が結構豊かである。この点の是非は両論あると思うが、私は好きである。 ●小説の舞台が日常世界で、今読むと、60年代前半の光景、雰囲気が楽しい。たとえば、「或る老後」は工場、「ユダの窓はどれだ」は団地、「目の毒」は社宅の風呂、「同じ星の下の二人」は労働争議と組合、「六月に咲く花」は花屋と花市場、「静かなる復讐」は探偵社・・・。 ●引き続き、宝石出身作家の未書籍化作品が、書籍化されることを切望する。 | ||||
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