重要証人
- 法廷サスペンス (18)
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『重要証人』下巻を、22年ぶりに再読し終えた。 リーガル・サスペンスとしてこの下巻を読み進むと、被告側と検察側とが法廷で争うエピソードも多く挿入されているが、後半はフーダニット・ミステリの面白さも加味されてくる作品になっているように思える。 プタ・クリークで惨殺された高齢カップルの死体が発見された状態が、先に惨殺された若者カップル二組の状態とかなり異なることから、この高齢者カップルの犯人が模倣犯であるとの疑いを払しょくできず、マドリアニたち検察側は同一犯人として告訴しない方針であった。 若者カップル惨殺の容疑者として指名手配されたロシア移民のアンドレア・イガノヴィッチは、数々の証拠を残してカナダへ逃亡し、その後紆余曲折を経てアメリカに連れ戻され拘留されてしまった。 アンドレア・イガノヴィッチの弁護を引き受けたのが、かってマドリアニと訳ありのエイドリアン・チェンバースであるが、彼はマドリアニに恨みをもっている偏執狂的ともいえる男である。 上巻のエピローグで、猛禽類のアメリカワシミミズクを飼いならして狩りのようなことをしている謎の男が唐突に登場するところを描写している。 この謎の男が登場するのが、プタ・クリークであり、手練れの読み手は、これは何か深い意味があるだろうと頭の隅から離れない。 読者は、被害者のアボット・スコフィールドとその前妻カレンが鳥類学者であることから、この二人を殺した犯人は、イガノヴィッチとは別人だろうと想像し、この犯人捜しを始めるだろう。 リーガル・サスンスぺンスに加え、フーダニットものをも楽しむこともできるようなエピソードを挿入する後半は著者ならではの上手さだろう。 ニュヨーク・タイムズ・ブックレビュー紙に、『状況証拠』を概観したグリシャムのエッセイを、訳者の白石朗氏が本書の「あとがき」で引用していたので、その一部を下の・・・内に転載したい。 ・・・<前文略>作者には法廷実務の経験があるということだが、その法廷で無数の論戦を体験し、傷を負ってきたことが如実にうかがえる作品だ。小気味よいテンポでエピソードを綴っていくそのスタイルは、軽快なフットワークで、つねに敵の一歩先を行く法律家ならではのスタイルに通ずるものがある。<中文略>センセーショナルな殺人事件の裁判には必ず引き寄せられて顔を出す変人たちや不適応者たちのことまでも、ぬかりなく描きこまれているのだ。物語には一部の隙もない。サスペンス小説に欠かせないふたつの要素━━すなわち共感できる主人公と緊迫感もそなえている。・・・ 二転三転するストーリー展開の最後の最後に予想もしないエンディングを迎えるこの作品にも、先に引用したグリシャムの批評が当てはまるだろうと評者は引用してしまったのである。 就寝前にしか読書をしない評者であるが、二夜で読み終えた作品はあまりないから、それだけこの『重要証人』は評者にとって魅力ある作品だったのだろうと高く評価したい。 | ||||
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評者がジョン・グリシャムの『法律事務所』(アメリカ初版1991年)を、読んだのは1992年であった。 先に読んだスティーヴ マルティニ著『状況証拠』が刊行されたのが1994年2月であった。 当時、法廷もの全盛期だったような記憶が蘇り、評者の食指をそそり始めてしまったようである。 『状況証拠』を読み終え、何を読もうかと在庫を探していたら、同じ1994年6月刊行のスティーヴ マルティニの第二作である『重要証人』(上・下巻)を、在庫の中から見つけてしまった。 この本の帯に、「法廷ミステリー作家 J・グリシャム絶賛!」と、記してあり、本書を避けるわけにはゆかなくなり読み始めてしまった。 複雑なアメリカの法制度などを駆使して書かれたスティーヴ・マルティニの作品は、グリシャムが絶賛するほどであるから玄人好みの作風であろうと思う。 本書は、先に読んだ『状況証拠』から七か月過ぎてから物語が始まる続編である。 主人公の法廷弁護士ポール・マドリアニは、ダヴェンポー郡の地区主席検事の要職に就いている親友のマリオ・フェレッテイが入院し、退院するまでダヴェンポート郡特別検察官として代理を頼まれてしまった。 せっかく妻のリッキーと平穏な日々を過ごしていたのに仕事が増えてしまい、またまた夫婦の危機が襲ってくる。 マリオが手術を受けて無事復帰すると思いきや、悲しいことに亡くなってしまったから特別検察官として代理を務めなければならなくなってしまった。 そんなポールにふりかかってきた事件が、プタ・クリークで発見された六十代の男女の惨殺された死体であった。 ポールは、短い期間の代理のつもりであったが、地区検察トップとして仕方なく捜査を指揮することになってしまった。 この状態とよく似た大学生のカップルの惨殺死体が、この事件より前に、二組も違う場所で見つかり警察は捜査中であった。 前作でもヒール役で登場したアコースタ判事や盟友ハリーも登場しているが、新たに登場する郡裁判所判事デレク・インゲルや、ポールと因縁の再会をした弁護士エイドリアン・チェンバース、そして味方であるはずのローランド・オーヴアロイ検事補と、もうムカつくヒール役が登場し読者を飽きさせない。 がけっぷちに追い込まれたポールの救いは、有能な女性検事補のルノー・ゴヤと女性鑑識主任技官ケイ・セーリグが強力な味方であることである。 弁護士から検察へと立ち位置をかえたポールの奮闘を、興味津々で上巻を昨夜読み終えたので、今夜は下巻を読み始めることにした。 | ||||
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アメリカの中堅人気作家スティーヴ・マルティニによる、弁護士<ポール・マドリアニ>シリーズの’93年発表の第2弾である。 先日、邦訳されたばかりの第8弾にあたる『策謀の法廷』(’05年)を読んで、その読み応えに感銘を受けて既刊の作品を探して読むことにした2冊目である。 前作『情況証拠』の事件解決から7ヶ月。‘わたし’ことマドリアニは、キャピタル郡の河むこうのダヴェンポート郡で、病に倒れた幼少時からの友人・マリオに依頼されて臨時の地区首席検事をつとめていた。おりしも<プタ・クリーク連続殺人事件>が発生し、二組の大学生カップルと大学教授の鳥類学者とその前妻が猟奇的に殺害されたのだ。容疑者が物的証拠から浮かび上がり、‘わたし’は本来の弁護士という仕事から攻守ところを変えてこの案件を検事として指揮をとることになる。 初めから困難の連続であった。容疑者のカナダへの国外逃亡。検事局の無能な同僚の妨害とさえ言える邪魔と情報の漏洩。犠牲者遺族の地区実力者や‘わたし’と因縁浅からぬ判事と、郡の政治的圧力。そしてなんといっても容疑者の弁護人はかつて偽証買収罪で5年間の法曹資格剥奪をくらった、‘わたし’に逆恨みを持つ男だった。本来公正であるべき裁判に私情がこれほど絡んでいいものか、と思わせるくらい‘わたし’の鋭い、時には諧謔的な対人観察叙述と権力に対するプレッシャーが全編にわたって述懐される。 一連の事件を同一犯としたがる者たちを相手取って、三組目の殺人は別の模倣犯であるとする‘わたし’サイドが、決め手となる“重要な証人”を追って最後の逆襲に転ずる。 ストーリーは、ラストのその模倣犯である意表をつく真犯人の判明と、直接の暴力的対決のクライマックスまで、それこそ一分の隙もないサスペンスの連続で読者を惹きつけて離さない。マルティニ自身執筆には「苦労させられた」と言わしめただけの見事な作品である。 | ||||
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