追憶の殺意
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初版刊行(参考)
種別
長編
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あらすじ
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評判
追憶の殺意の評価:
0.00/10点 レビュー 0件。 C ランク
追憶の殺意の総合評価:
9.33/10点 レビュー 3件。
感想一覧
サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
Amazonレビュー
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
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読者は捜査員とともにフーダニット(犯人当て)とその動機、それぞれの事件とのつながりを追っていく。
・・・・・・と、途中からある人物が犯人として消去法的に絞られるが、その人物には鉄壁のアリバイがあった。
ストーリー後半で、筆者はこの人物を捜査員と読者の前に「倒叙としての犯人」として提供し、その他の登場人物との関係も含めて畳み込む筆致で真実を展開し、読者をして読後の余韻に浸らしめることに成功している。
中町信の他の作品にも共通しているが、関東近郊の鄙びた風土に根づいた人物・施設のイメージとしての「排他的な野鄙さ」が活写されている。
中町信の出身地であり居住地でもあった東京北部から北関東地域は、彼の作品に通底する〝原風景〟の趣を作品世界に添えている。
読者をして武蔵野や北関東、甲信越へのデジャビュを抱かしめる、良い意味での「泥臭さ」もまた心地よい。
本作にも埼玉県、群馬県などの実在の地名がギリギリまで記されているが、薄皮一枚のところでフィクションの世界(中町信ワールド)だと我に帰ることしばしばで、架空と実在の虚実の錯覚も楽しめる。
ただ本作品は『模倣の殺意』『天啓の殺意』に比べると、文体にやや回りくどい修飾や古風な言い回し、文章だけでは想起しにくい視覚情報の記述も多く、冗長と感じる部分もあったが、読み返したときに、実はその部分にこそ叙述トリックの伏線が〝擬態〟して語られていることに気づかされる。
再読、三読して、その芳醇なストーリーと武蔵野の旅情を味わう楽しみ方もある。
余談だが、中町信の作品のなかで私が楽しみにしているもののひとつが「食べ物」の描写である。
登場人物が意外なものを注文したり食べている描写は、ある意味で他の作者が飲食の描写を割愛したり、ステレオタイプな〝メニュー〟でお茶を濁すなかで、中町作品はよりリアリティに富んでいる。
これも薄皮一枚の虚実の好例だろう。
「サザエさん」の作者である長谷川町子はストーリーに直接関係のない調度品や日用品をこまごま描写したことで有名だが、中町信作品の事物や心理の描写も細部にわたっている。
本筋に関係ないこれらの描写は、ある意味中町信のサービス精神の発露か、張り詰めた文章が続くなかでの筆者自身の遊び場だと、微笑ましく感じた。
さて本作のなかで、中畔警部補が教習所近くの岩槻の喫茶店で注文したものは・・・・・・久しぶりに食べたくなること請け合い!