黒のトイフェル



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初公開日(参考)2009年02月
分類

長編小説

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黒のトイフェル 上 (ハヤカワ文庫 NV シ 25-4)

2009年02月06日 黒のトイフェル 上 (ハヤカワ文庫 NV シ 25-4)

1260年9月ドイツ、ケルン。新たな大聖堂を建築中のこの都市で、大がかりな陰謀が密かに進められていた。そんな折り、こそ泥のヤコプは、大聖堂の足場から建築監督が黒い影に突き落とされるのを目撃した。彼は友人のティルマンと娼婦のマリアにその事件を話すが、やがて二人は弩を使う不気味な殺し屋に殺害される。ヤコプは自分の命が狙われていることを知り、身を潜めようとする。だが殺し屋はついに彼に襲いかかった―。 (「BOOK」データベースより)




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黒のトイフェルの総合評価:6.43/10点レビュー 7件。Eランク


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全1件 1~1 1/1ページ
No.1:
(3pt)

ほとんど罪のような作品

文庫上中下巻という大巻でありながら、世の好評を得た『深海のYrr』。
その作者フランク・シェッツィングの作品を読むに当たって、まずはデビュー作となる本作から読んでみた。

13世紀のドイツ、ケルンを舞台にした貴族の陰謀に巻き込まれた盗人の物語。
『オリヴァー・ツイスト』のような物語を想像したが、濃厚さに欠けるように感じた。

大聖堂の建設が行われるケルンでその建設監督であるゲーアハルトが転落死する。しかしたまたま大司教の林檎を盗みに入ったヤコプは現場を目撃してしまう。事故と思われたその事件にはゲーアハルトに寄添う影があり、ヤコプはそれを捉えていた。
この殺し屋ウルクハートはある陰謀の下、集った貴族の結社が雇った殺し屋。彼はヤコプが目撃した自分の犯行と死に際にヤコプに漏らしたゲーアハルトのメッセージを抹殺せんと執拗に追う。

痛いのは物語の主役を務めるヤコプがさほど聡明ではなく、偶然の連鎖で身に降りかかる災難を避けているに過ぎないことだ。
こういう物語ならばやはり社会の底辺でしたたかに生きてきた盗人が狡猾さと悪知恵で大いなる陰謀を乗越えていく姿を見たいものだ。

そして物語の背景を彩ると思われた大聖堂建設が全く響かないことだ。
物が作られるというのは、物語が作られることの暗喩となる。特に今回のような話では大聖堂の建設が最高潮に達するに従って、貴族らの陰謀もまた最高潮に達するという劇的相乗効果が出来たはずなのだが、シェッツィングはそれをしなかった。これが非常に勿体ない。
大聖堂建設、貴族らの陰謀、そして1人の殺し屋の暗躍と物語を盛り上げるに事欠かない要素をこれだけ盛り込みながら、熱気がほとんど感じさせないとは、ほとんど罪のような小説である。

そしてケルンの貴族連中で結成された結社がなぜゲーアハルトを手に掛けたのか、この謎が曖昧模糊として物語の牽引力になっていないように感じた。少しずつ陰謀の手掛かりを晒しながら徐々に全貌を明らかにしていく語り口を期待していただけに残念。
これがデビュー作なのだからそこまで要求するのは高望みか。

しかしこの物語の主人公はヤコプというよりもこの殺し屋ウルクハートだと云えよう。金髪の長髪を湛えた長身のその男は目に奈落の底を感じさせる。彼の脳裏に時折過ぎるのは暗闇に鳴り響く人のものとは思えない悲鳴の波。元十字軍騎士だった彼がなぜ殺し屋に身を堕としたのかが物語の焦点の1つとなっている。

原題である“Tod Und Teufel”は英語に直すと“Death And Demon”だろうか。ドイツ語には明るくないのでWEB辞書でそれぞれの単語を調べて繋げると「死と悪魔」となる。この悪魔とは即ちウルクハートのことだろう。
しかし『黒のトイフェル』という題名はミステリアスで、読者に「どういう意味だろう?」と食指を動かす魅力はあるが、読み終わってもその意味が伝わらないのは明らかにマイナスだろう。
ドイツ語の「トイフェル」と聞き慣れない一種蠱惑的な響きを敢えてそのままとしたのだろうが。やはり題名というのは人の興味を惹きつけつつ、読了後にその意図が明確になるのが一番だろう。版元はもう少し配慮をして欲しいものだ。

しかしあとがきによれば、本書は本国ドイツでベストセラーを記録したらしい。ドイツにはよほど面白いミステリ・エンタテインメント小説がないのだろう。
まだ見ぬ傑作が山ほどあるドイツ国民はなんとも羨ましい限りだ。


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No.6:
(1pt)

てつじいの感想

アマゾンのお勧めで買って読みましたが前回買った西ドイツの女性探偵の話のほうがよっぽど面白かった、時代が前杉戸、やはり中世ヨーロッパの話は日本人読者としてはなじみの薄い題材かもしれません。
黒のトイフェル 下 (ハヤカワ文庫 NV シ 25-5)Amazon書評・レビュー:黒のトイフェル 下 (ハヤカワ文庫 NV シ 25-5)より
415041193X
No.5:
(5pt)

中世ドイツの歴史を体感!!

中世のドイツのケルンが舞台の歴史冒険小説です。
中世の中でもちょうどケルン大聖堂の建設がおこなわれていた時代の話で、
当時の町並みや人々がものすごくわかりやすく書かれていて面白いです。
特に、登場人物は様々な身分の人が出てくるので時代背景を掴みやすいと思います。
もちろんストーリーも面白いので5つ星にしました。
強いて言うならば、登場人物名を短くしてほしかったです。
黒のトイフェル 上 (ハヤカワ文庫 NV シ 25-4)Amazon書評・レビュー:黒のトイフェル 上 (ハヤカワ文庫 NV シ 25-4)より
4150411921
No.4:
(4pt)

中世ヨーロッパ好きなら

ドイツの歴史サスペンス小説。前作『深海のyrr』が面白かったので、これも読んでみたが、こちらは、前作と打って変わって13世紀のドイツのケルンを舞台にした歴史もの。十字軍やキリスト教の話、ケルンという町の歴史がふんだんに散りばめられていて、なかなか面白い。『薔薇の名前』とかが好きな人ならピッタリ(自分も好きだけど...)
ただ、やはりヨーロッパ中世、キリスト教の歴史の知識が前提として書かれているようなところもあって、その辺の知識に疎い自分にはちょっと読むのが大変だ。でも、そのヨーロッパ中世の重々しい暗い雰囲気がこの作品の良さでもある。

トイフェルって何かと思ったらドイツ語で悪魔という意味。高校、大学とドイツ語を勉強してきたのが全く役に立っていないな。しかし、ドイツ語そのままとは題名につけるとは...

下巻も楽しみ。
黒のトイフェル 上 (ハヤカワ文庫 NV シ 25-4)Amazon書評・レビュー:黒のトイフェル 上 (ハヤカワ文庫 NV シ 25-4)より
4150411921
No.3:
(4pt)

人間の持つ野蛮さに対する痛烈な批判

上巻に続いて下巻も一気に読んでしまった。ドイツのサスペンス小説も面白いのがあるもんだ。前作の『深海のyrr』よりも、自分にはこっちの方が向いている。
詳しいストーリーは書かないけど、中世ドイツのケルンの町の貴族と大司教の権力争いを軸に、十字軍という宗教的正義の名のもとに行われた野蛮は、現代の戦争の悲惨さにも通じ、筆者の思いが伝わる。第二次大戦の敗戦国ならではかもしれないが、単純な善悪を超えて、人間の持つ野蛮さに対する痛烈な批判精神を感じる。

「戦争を厳しく非難する言葉を、支配者たちは軽蔑して無視し、知識人は目新しくもないと申して切り捨てる。なれど、わしらが戦争を続けるかぎり、その言葉は通用する。」

という登場人物ヤスパーの言葉は、現代にも通ずる。
と、小難しいことを考えてしまったが、単純にサスペンス小説としてもよく出来ていて、楽しめる。
黒のトイフェル 下 (ハヤカワ文庫 NV シ 25-5)Amazon書評・レビュー:黒のトイフェル 下 (ハヤカワ文庫 NV シ 25-5)より
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No.2:
(4pt)

中世ドイツを体感できる歴史サスペンス

中世ドイツの都市、ケルンの大聖堂の建築現場で、有名建築家の死を目撃してしまった「こそ泥のヤコプ」が、殺し屋に命を狙われる……というのが上巻のあらすじです。
殺し屋のバックには貴族たちがいて、ケルンの町を揺るがす陰謀を企んでいます。貴族たちの企みは何なのか、なぜ建築家は死ななければならなかったのか、多くの謎を残したまま、上巻は終わります。

建築家の死を巡るスリリングな物語も面白いのですが、中世ドイツの情景を描いた部分も読みどころのひとつです。商業で発展した都市ケルンの活気ある市場の様子や、貴族や商人たちの生活、教会や修道士の活動などが生き生きと、また非常に詳しく描き出されています。中世ヨーロッパの世界を体感できる、上質の歴史サスペンスです。
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