花腐し

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種別
長編
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あらすじ

2005年06月15日 花腐し (講談社文庫)

希望を失い、にわか地上げ屋となった中年男。路地裏の古アパートに居座る奇妙な男と酒を飲めば、喪失感に満ちた過去へと意識は引き戻される。死んでしまった同棲相手や裏切られた友人。陰陰滅々とした雨の向こう側に、生の熾火は見えるか。第123回芥川賞受賞作。受賞後第一作「ひたひたと」を同時収録。(「BOOK」データベースより)

評判

花腐しの評価:

0.00/10点 レビュー 0件。 B ランク

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花腐しの総合評価:

7.60/10点 レビュー 15件。

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No.15
(4pt)

虚しさ満開の幕引き

芥川賞受賞作であるタイトル作に、書下ろし作「ひたひたと」が収録された二編からなる作品集。

■「ひたひたと」
遊廓街であった洲崎方面を足取り重く散策する中年の男。時に子どもの頃に立ち返り、過去を振り返る。待ち合わせ場所の着いた男を待っていたのは、男と暮らす女。女は、失業中の男との暮らしのために、体を売って生計を立てていた。

男の無気力さと諦め、そして二人の底辺感漂う哀愁漂う作品である。

時おり男が抱く子どもに返ったイメージは、逃避の心理状態を表しているのだろうか。罵りながらも二人でいるしかない男女の悲劇が、辛気臭くて重苦しい余韻を残す。

■「花腐し」
アパートの取り壊しのため、そのオーナーからひとり残っている住人を退去させる依頼を受けた主人公。住人の男と会話をするうちに、酒を酌み交わし、彼の独特の思想に反発と嫌悪を感じながらも、離れがたいものと感じていく。

主人公は、倒産寸前のデザイン会社の四十代の経営者。大久保界隈で雨に打たれ、十数年前に二年一緒に暮らした女に思いを馳せる。

退去させなければならない男、その男が栽培しているマジックマッシュルーム、続き部屋にいるバッドトリップした全裸の若い女・・・。人生をリセットしたい主人公が、過去を振り返りながら、今に流されていく。

たった一夜の出来事ではあるが、濃密な時がつづられていく。ひととき主人公と暮らした女の悲劇が、物語に暗い影を落とし、破滅に向かう男の心情を際立させる。

住人の男の、生き方、そしてそこに居座らなければならないわけは、テツガクとして面白い。虚しさ満開の本作品の幕引きも良いね。

【芥川賞】
花腐し (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 花腐し (講談社文庫)より
4062751216
No.14
(4pt)

虚しさ満開の幕引き

芥川賞受賞作であるタイトル作に、書下ろし作「ひたひたと」が収録された二編からなる作品集。

■「ひたひたと」
遊廓街であった洲崎方面を足取り重く散策する中年の男。時に子どもの頃に立ち返り、過去を振り返る。待ち合わせ場所の着いた男を待っていたのは、男と暮らす女。女は、失業中の男との暮らしのために、体を売って生計を立てていた。

男の無気力さと諦め、そして二人の底辺感漂う哀愁漂う作品である。

時おり男が抱く子どもに返ったイメージは、逃避の心理状態を表しているのだろうか。罵りながらも二人でいるしかない男女の悲劇が、辛気臭くて重苦しい余韻を残す。

■「花腐し」
アパートの取り壊しのため、そのオーナーからひとり残っている住人を退去させる依頼を受けた主人公。住人の男と会話をするうちに、酒を酌み交わし、彼の独特の思想に反発と嫌悪を感じながらも、離れがたいものと感じていく。

主人公は、倒産寸前のデザイン会社の四十代の経営者。大久保界隈で雨に打たれ、十数年前に二年一緒に暮らした女に思いを馳せる。

退去させなければならない男、その男が栽培しているマジックマッシュルーム、続き部屋にいるバッドトリップした全裸の若い女・・・。人生をリセットしたい主人公が、過去を振り返りながら、今に流されていく。

たった一夜の出来事ではあるが、濃密な時がつづられていく。ひととき主人公と暮らした女の悲劇が、物語に暗い影を落とし、破滅に向かう男の心情を際立させる。

住人の男の、生き方、そしてそこに居座らなければならないわけは、テツガクとして面白い。虚しさ満開の本作品の幕引きも良いね。

【芥川賞】
花腐し Amazon書評・レビュー: 花腐しより
4062103796
No.13
(3pt)

雨ふって茸のさばる

芥川賞の「花腐し」と、受賞を寿ぐ「ひたひたと」の短篇2作品。どちらも幻想というより技巧の作である。

「花腐し」
倒産の危機に追い込まれた主人公の中年男が、金策として引き受けた「にわか追出し屋」、相対するは法外な負債を背負い、朽ちたアパートにひとり「居座る茸男」だ。じめりとした鬱陶しさに、しぶしぶ酒を酌み交わせば、人情と人生訓がたぎる、来し方への想いがたゆたう。去った旧友にも死んだ同棲相手にも憎まれていたのではないか、消極的な態度が疎まれていたのではないか。「川のない街」、それは濡れそぼる。雨は流れずに浸み込み、腐すばかり。いまこの瞬間を生きなくては……。

「ひたひたと」
中年のカメラマンが運河沿いを歩めば、子どもの頃そして青年の頃の自分がフラッシュバック。どすぐろい影が蠢いている。路地から路地へとさらい、濁った深い水の運河へ。「川の流れる街」、そこは堤防に守られている。そこから逃げることはできない。
花腐し Amazon書評・レビュー: 花腐しより
4062103796
No.12
(4pt)

じとじとと湿った物語 さらりと爽やかな文体

〇 ひとつは風情ある作品名に惹かれ、もうひとつは詩人松浦寿輝が書いた小説ということで、どれどれと読んでみた。作品名のようにじめじめと雨が降り続いているような雰囲気が充満した物語。それでいながら文体にはジメついたところがなく、さらりと爽やかだ。この文体が魅力かなと思った。

〇 ストーリーは、倒産の瀬戸際に追い込まれた40男が、たまたま知り合った同じように風変わりな男と交流し、同時に昔の同棲相手との生活を思い起こすというもの。情緒があって叙情的だとも言えるし、すべてが男に特有の身勝手な幻想だとも言える。作者には主張したい思想があったわけではなく、こうした気分を描きたかったのだろうと思う。そうだとすれば成功している。

〇 とは言え、これはひとむかし前の古びた叙情だ、デジタル時代には振り向かれないだろうなと思ったのだが、なんと2023年に綾野剛・柄本佑で映画化されたというではないか。こういう気分はまだ受け入れられるのかな?
花腐し Amazon書評・レビュー: 花腐しより
4062103796
No.11
(4pt)

じとじとと湿った物語 さらりと爽やかな文体

〇 ひとつは風情ある作品名に惹かれ、もうひとつは詩人松浦寿輝が書いた小説ということで、どれどれと読んでみた。作品名のようにじめじめと雨が降り続いているような雰囲気が充満した物語。それでいながら文体にはジメついたところがなく、さらりと爽やかだ。この文体が魅力かなと思った。

〇 ストーリーは、倒産の瀬戸際に追い込まれた40男が、たまたま知り合った同じように風変わりな男と交流し、同時に昔の同棲相手との生活を思い起こすというもの。情緒があって叙情的だとも言えるし、すべてが男に特有の身勝手な幻想だとも言える。作者には主張したい思想があったわけではなく、こうした気分を描きたかったのだろうと思う。そうだとすれば成功している。

〇 とは言え、これはひとむかし前の古びた叙情だ、デジタル時代には振り向かれないだろうなと思ったのだが、なんと2023年に綾野剛・柄本佑で映画化されたというではないか。こういう気分はまだ受け入れられるのかな?
花腐し (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 花腐し (講談社文庫)より
4062751216

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