名無しのヒル
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『Mr.クイン』、『わが名はレッド』の二作のクライムノベルでちょっとした盛り上がりをみせたシェイマス・スミスの翻訳三作目。 クールな犯罪者を淡々と描いた前作までと異なり、無実の罪で三年余拘禁された青年が主役の文学作品だ。 作品の背景である70年代の北アイルランドを理解していないとピンとこないので、調べながら読み進めることになる。 怪しい連中は誰彼構わず施設へ収容するインターンメント(予防拘禁)で囚われの身となった主人公。いわれなき暴力が常態化する中、収容者たちは仲間としての絆を深めていくのだが、さほど深刻さや怒りを感じないのは、著者独特の乾いた人物造形にあるのだろう。 テロと向き合う姿勢が、比較的ゆるゆるであるのが印象的である。 | ||||
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「Mr.クイン」、「わが名はレッド」とは作風が全然違います。 上の2作にしびれて犯罪小説を期待してこの本を読もうという人は心した方がいいかもしれません。 舞台は1970年代の北アイルランド。 IRAのテロリストかと疑わしい人物は警官に暴行を受けた後、裁判無しで捕虜収容所に入れられる。 そんなことが認められてしまう"悪法"が施行された混沌とした状況の当時の北アイルランドでの若者の収容所生活をつづった話です。 割り合いたんたんと話がつづられていって上記2作との違いに「おや?」と思ってしまいました。 なんでもこれは作者の自伝的な小説らしいので、後から思えば逆にたんたんと書いているところにリアリティを感じます。 アイルランド問題と、青春小説に興味がある人はぜひ。 | ||||
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シェイマス・スミスの日本翻訳3冊目。Mr.クインを初読した時、作者は、主人公のライトで酷薄な性格の1人称の語り口の裏に、妙な諦念を持たせ、社会情勢(特にアイルランド問題)に対して、冷徹な目も持たせている、本当はこいつ何が言いたいんだ、と感じた(と、後から言うのは簡単だがな)。本当なんスけど・・・。その疑問は、2作目の”レッド・ドック”で、カトリック教会(の託児施設)への執拗な糾弾でもっと理解したくなったが、この、”名無しのヒル”で、作者が、ユーモラスなストーリーテラーとしての才能だけでなく、ジャーナリストとしての”目”を持っていると確信できた。最も、彼の目は、この自伝的小説を読むと、”開いた目”ではなく、”開かされた目”である事も想像できる。ま、ベルファストに住んでりゃ、それ位の事は誰でも経験させられるんだぜ!?、と言われそうだが、イギリス、アイルランドの差別の現状を、現代小説に盛り込んで、世界に発表される機会を得られている、という点では、稀有な例ではないかと考える。また、著者は貧乏人の被抑圧者だったとイメージできるが、もう一方で、抑圧者側の貧乏人代表の、アンディ・マクナブが貧乏人街を抜け出て、文字通りアイルランドに派遣される”SAS戦闘員”になった話は、イギリスの(ちょっと所得が低めの)労働者層の裏表として読める事に気づいた(その後、アンディは、初小説”リモート・コントロール”でアイルランド問題についてちょっと触れているのでこちらもご一読をお勧めする)。戦う事を選んだ(というか選んでしまった)アンディと、徹底して、非暴力による問題解決を説くシェイマス(Mr.クインは見事に裏返しだったな。本当にアイリシュッってヤツぁ・・・)は、今後かなり面白いと思う。 | ||||
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