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bamboo さんのレビュー一覧

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レビュー数23

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No.3: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(6pt)

異常者はどこにいる?

本作は、兄妹と兄弟の視点で並行して物語が進められます。
兄妹は母親を交通事故で亡くし、父親から暴力を振るわれ、兄が密かに父親を殺害しようと計画することから始まります。
兄弟も同じく母親を海で亡くし、その死に継母が一枚噛んでいるのではと疑います。
二つの視点で物語が進む場合、意外な所で繋がりがあっておもしろいのが醍醐味でしょう。まったく別の事柄と考えられていた二つのエピソードが、実はリンクしていたら高評価したくなります。

では、本作はどうか。それぞれの話が独立していて、残念ながら意外な繋がりは見つけられませんでした。正直、一方のエピソードをそこまで深掘りした意図がわかりませんでした。
ですが、意外性は充分にあり、ミステリ好きには堪らないと思います。私自身、作者のミスリードにひっかかり、真相の一歩手前までは騙されていました。読んでいて違和感が生じた箇所があったので、少し悔しかったです。
真相が判ったとき、実はあのとき、何が起こっていたのか明かされ、驚きました。そして、本作の犯人の異常性、、、。
とても読み応えがあり満足できる一作でした。

☆7にするか揺れましたが、先に挙げた一方のエピソードの付属的な要素と、度々文中に登場する龍の唐突さが理解できず、マイナス1した評価としました。

▼以下、ネタバレ感想
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龍神の雨 (新潮文庫)
道尾秀介龍神の雨 についてのレビュー
No.2: 2人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(6pt)

序盤は『キングを探せ』を想起させるパズル小説

複数の人物が犯罪に加担するが途中で犯人側に不測の事態が発生する、、、。最近、キングを探せのレビューをした際、『疾風ロンド』に似ていると書きましたが、本作こそまさしく類似していました。
『ブルータスの心臓』では、3人の男が死体をリレー方式で運び、アリバイも担保するというもの。本作では第一章の終わりに、犯人にとっての不測の事態が起こります。こういう展開だとおもしろいなと予想しながら読んでいた私は、想像が当たり、思わずニヤリ。さすが東野圭吾、読者を驚かしてくれるなと思いました。
そして、主人公の疑心暗鬼。顔もわからない人物から狙われサスペンスに満ち、これは当たりだと思いました。

ではなぜ私が評価を☆6にしたか。
本作は、殺人リレーに加担することになる主人公の男、同じ職場に勤務する女性社員、事件を捜査する刑事の3人の視点で物語は進められます。なんといっても見ものは主人公の視点ですが、刑事の視点になると、どうも、話が冗長とでもいうのか、すでに読者の知っていることをなぞって事実がわかるのが退屈に感じられました。(これは、キングを探せを読んでいるときも思いました)これが倒叙物の欠点なのでしょうか。それでも刑事の視点に意味があると思い、結末まで読みましたが、やっぱり刑事視点の描写はいらなかったと思います。刑事の口調にも違和感がありました。刑事小説ではないので目は瞑りますが、若手とはいえ、刑事が自分のことを僕なんて言うのかなと。聞込みの前に私的な買物をする描写もどうかと思います。
それから登場人物が多い故に誰が誰だかわからなくなる点。あまり細かすぎる描写は不要ですが、人物の相関関係が複雑で理解しづらかったです。
そして結末の尻切れトンボ感。終盤駆け足になって、これで終わりなのと唖然としました。皮肉ある結末でしたが、では最後の、専務と宗方のやり取りは、なんだったのだろう。ひたすら上を目指し、逆玉の輿を狙い、関係を持っていた女性を捨てるという非情な男が、簡単に見捨てられるという、これまた皮肉なのだろうか。
第一章を読んだ時点での期待との落差があり、少し残念でした。
ブルータスの心臓 新装版 (光文社文庫)
No.1: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(4pt)

短めの話を13個収録した豪華な短編集・・・

初めてレビューをします。
本書は、見出しのとおり13個の話を収録した短編集です。13個も収めてあるので豪華と感じる人もいれば、その分、1話あたりの話が短く、物足りなく思う人もいるでしょう。
私は本書を読み終え、ドイルのホームズを思いだしました。本書における探偵、ミス・マープルが、火曜クラブに集った面々からの話を聞き終え、すぐに真相を見抜くのです。超人といってよいでしょう。私はホームズシリーズを齧ったほどしか読んでいませんが、謎が提示され、すぐに解決してしまうのですから、読者に推理させる暇がありません。なので、推理するよりかはマープルの推理のキレの良さを楽しむことに力点を置いて読むほうがよいかもしれません。
13個の話を平均して星4つとしましたが、際立っておもしろいと思ったものもありました。『聖ペテロの指のあと』は、英語ならではのアイデアが活かされていると思いましたし、『溺死』は、より一層、マープルの慧眼に畏れ入りました。

ところで、作中に『卵の黄身"が"白いか、それとも、卵の黄身"は"白いか』と問う文章が気になりました。いわゆる助詞にスポットを当てていると思いますが、英語圏に助詞など関係あるのでしょうか。いずれもisで表せそうですが、、、。原文が気になるところです。
火曜クラブ (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)
アガサ・クリスティ火曜クラブ についてのレビュー


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