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bamboo さんのレビュー一覧
bambooさんのページへレビュー数2件
全2件 1~2 1/1ページ
※ネタバレかもしれない感想文は閉じた状態で一覧にしています。
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この作者さんの本を読むのは以前にレビューした『スイッチ』に次ぎ二作目となります。発表は三冊目。『時空版』はおもしろそうな内容なので、先に本作を読んでみました。
本作もテーマは興味を惹かれました。他界した作家である姉の遺作が、自殺肯定派に利用され、自殺肯定派VS主人公である弟含めた否定派が討論したりする内容から始まり、ミステリ色を帯びてきたりします。目新しいテーマなので、どんなふうに物語が展開しておくのかワクワクしながら読んでいきましたが、、、。 感想は見出しどおりです。肝心の自殺肯定派VS否定派の討論が、空虚に感じられました。話を早く展開させたいからか、あっさりしていた、というか空虚な議論だった、というか。自殺否定派の意見が一つしかなく、それもかなり低レベルに思えました。 もちろんジャンルはミステリなので、そんな議論は些末だからいいじゃないかという意見もあるでしょうけど、少しずつ期待が萎んでいきます。 それに、スイッチのときにレビューしましたが、文体が性に合わなかったです。軽い文体がラノベ感があって残念でした。 とあるトリックは高評価でした。新型コロナを話題に出さなくてよいというアマゾン評価がありましたが、とあるトリックが、主人公が真相に至るキッカケともなっていて、必要な要素だったと思います。コロナによる若者の苦しみも、まあまあ上手く書いてあり、メッセージ性があって良かったです。 けど、読み終わって脱力しました。警視が出てきたり、しかもその警視がリアリティないキャラクターで突飛だったり、いろいろと好みに合いませんでした。 |
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これまでの久坂部作品でも医療の現実について描かれていましたが、本作は、介護現場の過酷さが色濃く詳述されていたと思います。
今回のテーマはタイトルどおり『介護』。人生100年時代を美辞麗句に長生きできる社会になった反面、認知症や褥瘡で悲惨な状態になってもなお、機械で命を長らえさせることの是非。メッセージ性があり、考えさせられる小説でした。 とある介護施設で入居者が転落死するニュースを目にし、主人公である女性ルポライターが不審に思い、調査に乗り出すところから話は始まります。その不審に思った点は、さすが、医師と作家の二足のわらじである作者ならではの着眼点で感心しました。作者が医師でもあるだけに、死体の描写もリアルに感じられました。ホラー小説ではないのに、空恐ろしくなります。 ただ、物語としてどうかというと、辛辣にならざるを得ません。先ほどホラーではないと書きましたが、ではミステリーかというと、それも当てはまらないです。純文学ともまったく異なります。 だからでしょうか、ミステリ好きな私には、あまり楽しめませんでした。また、主人公の女性ルポライターが、入居者を転落させたかもしれない人物Kに、中盤から共感しているのも、どうかと思いました。そこは対立軸として相容れないということを貫いてほしかったです。 そして致命的にマイナス評価になったのは、現実の犯人を擁護する描写があったことです。たしかに、ひょっとするとメディアの印象操作により、犯人の人物像が歪められ、子供時代のエピソードを悪く脚色した部分はあったかもしれません。ですが、大勢の入居者を死傷させたことは事実であり、肯定してはならないと思います。 話がとっ散らかってると思ったら案の定、連載していたものを一冊の本にしたようなので、もう少し煮詰めて書けば、出来栄えが良くなったのではないかと思える一作でした。 |
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