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永遠の0



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【この小説が収録されている参考書籍】
永遠の0 (ゼロ)
永遠の0 (講談社文庫)

永遠の0の評価: 3.96/5点 レビュー 2076件。 Sランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.96pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全162件 121~140 7/9ページ
No.42:
(3pt)

歴史観としては賛同しないが、本としてはまとまっている

知人に勧められて読みました。他の方のレビューにあるとおり、宮部という零戦パイロットにかかわった人々の言葉はまるで本当に自分が話を聞いているようで何度かこみ上げるものがありました。おそらく作者の伝えたかったことは

・戦後教育の異常性
・零戦初め前線で戦った人々は狂信的な愛国者ではなく、同じように死を悩み、
 家族を思いながら戦った人間だった。
・当時戦争を煽った一旦はマスコミにあるが、マスコミが己の暴力性に気づいていない。
 あるいは気づいていながら自己批判せず、一方的に戦争を論じている。

といったあたりではないかと理解しました。
現代パートの稚拙さというのレビューされていますが、上記の内容を伝えるために、「戦後の教育で戦争は悪だ・日本兵は狂信的な愛国者ばかりだった」と考える20代〜30代の人物が必要だったと考えればいくらか仕方ないことかと思います。確かに荒っぽくは感じますが。

また、この本の戦争に対する結論が「軍部のエリートはアホな作戦ばかり考え、前線の人間を使い捨てした」という点。
一方で「戦った日本兵たちは自分たちと同じく人間だった」としながら「エリートは出世ばかり考えて非人間的な作戦を指示した、前線の人間のことなど考えていなかった」と帰結するのは矛盾していると感じました。「軍部のエリートたちもまた人間だった」とは考えないのかは非常にひっ掛るところです。
しかし考えてみれば現代社会でも「本社は現場のことをまったく理解せず、アホな指示ばかり出す」というギャップはよくみられることであり、当時の前線で戦う日本兵たちが同じような思いを抱えていたとしても自然です。物語もこれだけの分量ですから、軍上部まで書き切ることは難しいでしょう。書いてしまったら冗長になってしまいますし・・・。この結論に落ち着かせるというのも一つの話としてはアリだと思います。作者がそこまで意図してこのような結論をとったのか、それとも「悪かったのは軍部のエリート」と本気で捕えているのかは判断しかねます。

今度はこの作者に軍部のエリートの話を描いてもらいたいですね。また違った面を上手く書きだしてくれるのではないでしょうか。
浅田次郎的というのは私も思いました。浅田次郎が好きな方にはおすすめです。
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No.41:
(3pt)

自分を律する書

戦争ものの文章を意識的に避けており、戦争を教科書などでしか知らない私にとって、目を開かせるいい機会となった。物語のプロットはわかりやすく、また肝心の結論も明記せずに読者の想像に任せるスタイルも好きでした。この平和の世が大量の犠牲の上にあるものだということ、そんななか今までのうのうと生きてきた自分を律することができました。
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No.40:
(3pt)

平和で有り続ける努力は現代世代の勤め

平凡な毎日を得るために壮絶な覚悟で死んでいった世代が本当にあった事に
改めて平和の尊さを知るとともに、英霊に感謝したいと思います。

特攻隊だけじゃなく、アメリカ兵も仲間のために自己を犠牲にして
亡くなった人が沢山いたことなども知り
戦争はどんなことがあっても起こさない努力をするべきだと
改めて考えされられました。

登場人物の大半が実在しないのでストーリーに感動するより
大勢の人間が死ぬ戦争であっても、ひとりひとりの死は
周りの大勢の人が悲しみ、そして人生が変わったことを思うと
非常に胸が痛みました。

本としては非常に内容の濃いモノで
是非読むことをお薦めしたいと思います。
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No.39:
(3pt)

日本人という狂気

本書は旧日本軍の特攻隊員の真実の心情を描きだそうとしている。
特にイスラム教徒の自爆テロとの相違については考えさせられた。
イスラム教徒はアラーの神への信仰のために自爆テロを行う。
しかし特攻は決して天皇陛下のために狂信的に行ったわけではなく、
特攻隊員は自らの死を避けられない運命として誇り高く受け入れた人間だ。
信仰でなければ、なぜ特攻隊という狂気の思想が生まれたのか?
現実を直視できない日本軍上層部、軍部におもねり戦争を煽るだけのジャーナリズム、
その報道を安易に信じてしまい、自らも戦意発揚に奔走する国民。
一人ひとりの個人の心情では特攻や戦争そのものすら否定しても、日本人としては一億玉砕に突き進むしかない、
という狂気にとらわれてしまった集団。
巷間よく言われていることだろう。
だが私はいまだにこの集団の狂気を生み出す日本人、日本文化の元凶がいったい何であるのか、
それを本当には理解することができない。
しかも、この日本という国が本質的に持つ狂気は決して過去のことではない。
日本の経済的な破綻がこれほど明らかになっても、自分の組織の利益にのみ固執している官僚と政治家たち。
そしてそれをどうしようもないことと受け入れ、自らも自己の所属する組織の利益に固執している大多数の日本国民。
私たち日本人は今また太平洋戦争下と同じ狂気の集団に成り下がっている。
本書を読み終えて、私にはそう思えてならなかった。
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No.38:
(3pt)

ディティールに現実感のないのが残念

卑怯、臆病と周囲にののしられながらも生き残ることに執着した特攻隊員の祖父。

彼の子孫が特攻で亡くなった自分の祖父を、当時の彼を知る人々を訪ねて話を聞くことで、徐々にその人物像に迫っていく。
その過程で戦争の悲惨さと特攻隊員たちの生き様が語られていく。

とても読みやすく、戦争を知らない世代には当時の状況を知る良い作品だと思う。

ただ以下の内容で、いまひとつ物語に入り込むことができなかった。

・当時を語る80才をこえた人達が、そんなにも矍鑠として当時の様子を語れるとは思わない。
 私は職業柄、ご老人と接することが多いが、この年代の方々は大なり小なり認知症があるのが普通だ。
 また語る内容として、普通の感性ならば胸に秘めて置きたい事実を、知人の孫だからといって洗いざらい打ち明けるだろうか。

・戦争史を誤解する代表として登場する新聞記者も、あまりにも偏りすぎた見解に固執しているのも妙な感じがする。

・ストーリーテラーである姉弟の物事に対する見識の浅さや安直な感情の発露もどこか白々しい。
 戦争を知らない「あまりにも無知な世代」の相似形として彼らを描きたかったのだろうが、逆にシンパシーが持てない。

・物語の描かれ方は「壬生義士伝」を真似ている。というかほとんどいっしょ。

とはいえ実際に、親兄弟の未来を思い、死を覚悟して飛び立っていく隊員たちの姿に胸が詰まる思いがした。

私はへそ曲がりなので、細かいところが目について、純粋に感動はできなかったのかもしれない。それでも心が揺さぶられるシーンはいくつかあった。

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No.37:
(3pt)

零戦の勉強になりました。

百田作品を初めて読んでみました。
特に、本屋でもとても薦められていたので
かなり期待が大きかったのもあるかもしれません。
ただ、割と早くに結末が見えてしまったところが残念でした。
零戦の活躍ぶりは聞いていたのですが、
戦争後半における状況は知らなかったので
とても勉強になりました。
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No.36:
(3pt)

きっかけとしては良いが。。。

航空戦をリアルに描き出すだけでなく、太平洋戦争の日本軍の失敗を分かり易く描いており、ある程度当時のいろいろな本を読んでいる自分でも勉強になった。
また、20代の前半で悲壮な覚悟をせざるを得なかった戦闘機乗り、特攻隊員達の方々の話は、「きけわだつみの声」を読んだときも思ったが、今我々がここに生きていることの多くを彼らに負っていること、そしてそれがあってこそ、今我々がここにいることの尊さを感じざるを得なかった。戦後、生き残った特攻隊員、飛行機乗りが非常に苦労したことなど、初めて知る話もあった。

ただ、一人の人物に語らせているものとはいえ、戦争に突き進んだ理由を新聞社(とりわけ朝日新聞を連想させる)が世論を煽ったことに求め、また、戦後のメディアの変節が人々から愛国心を奪ったという記述があるが、このあたりは、賛否両論あるとは思うが、あまりに紋切り型過ぎて共感できなかった。
何故、日本があの無謀な戦争に突き進み、そして組織的に特攻という人命を一方的に損耗する戦争史上最悪の作戦に至ったのかというのは、同じ轍を決して踏まぬために、より深い視点で着目して欲しかった。

総合的に見て、戦争の話を非常に分かり易く、感動巨編に”翻訳”し、普段あまり感心を持たない読者層に訴えたことは評価できる。
ただし、戦争の不合理、背景の事実は描いているものの、その分析・解釈はあまりに深みがなく紋切り型に過ぎるため、ここのレビューにあるような
レベルで感動は出来なかったことも事実である。

読者を短絡的な結論に陥らせてしまう危険性があるという意味で、星は3つとした。
このレビューを読んだ方には、この本を入り口として、様々なこの時代を描く本を読んで、多角的にこの時代をみて頂きたい。
「昭和史」半藤一利 「きけ わだつみのこえ」 この二つはぜひ読んで欲しい。私も再読しようと思っている。



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No.35:
(3pt)

この本は、肥え太っている

この本が感動に値する素晴らしい作品であることは疑うべくもない。そして、その感動の根底が、戦争の背景にあることは言うまでもない。だから必要ないとは言わない。この本には必要なファクターとして、戦争の薀蓄は欠かすべからざる存在だった。
 しかし、本当にこの薀蓄を書籍の中に盛り込む必要があったのかと問われれば、甚だ疑問である。そんなものはこの本を読んだ個々人が、興味に駆られるまま調べればいい話だ。

 本を読む→感動する→日本の敗戦に興味を持つ→自分なりに調べる→本を読み直してみる→深く感動する

 このプロセスが大事なのだ。読書を楽しむという意味でも、戦争の記憶を留めるという意味でも。「永遠の0」は良質のスパイス(きっかけ)になる可能性を孕んでいたのに、結局は読者から機会を奪う書籍になってしまった。それも“満足”というカタチで。これでは深く知ろうという意欲には繋がるまい。とても残念なことに。
 残念なことはいまひとつある。それは薀蓄のせいで、物語が不格好に肥え太ってしまったことだ。戦争の詳細を語る段になると必ず登場する「伝聞」。自分が直に目にしたことならともかく、伝え聞いただけの話のほうが、やたらと微に入り細に入っているのである。これのせいで物語は間延びし、リアリティも薄れてしまっている。まるで著者の調べたことを全て羅列しているかのような感触があり、読者が現実に引き戻されてしまうのである。

 断言してもいいが「永遠の0」は総ページ数:400ほどまで減量すれば、後世に語り継いでも恥ずかしくない力作になったと思う。それだけに、本当に、残念に思う。
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No.34:
(3pt)

多少悠長ですが、宮部久蔵の生き様には感動します!

すごく話題になっていたので、普段あまり小説に触れないのですが、読んでみました。

ストーリーの詳細は省きますが、正直何度も挫折しそうになりました。
中盤は要はひたすら健太郎と慶子のインタビューを掲載しているだけで、
毎回ストーリーのコアの部分とは全く関係のない部分にかなりのページが割かれており、
「こんなボリュームはいらないのでは?」と思いました。

もちろん徐々に浮き彫りになってくる宮部久蔵の人柄は本当に素晴らしく、
特に10章以降は本当に感動的でした。
また、そんな宮部に憧れを抱き、彼を守ろうとした妻子を守ることに生涯をささげる同輩たちの姿もとても引き込まれました。

ただ、全体としてはその悠長さが多少目に余る部分があったため、上記の評価にさせていただきました。
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No.33:
(3pt)

それほどには。

戦争の内幕を知るには、得るものがありましたが
ストーリーは無理があります。あの時代にこんな
人はいないでしょう。現在から想像して人物を
作った所があって、現実味に欠けます。
最後は辻褄を合わせる所は、どうも感心しません。
どうも文章が深くないので、この点数です。
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No.32:
(3pt)

自衛隊を、日本を見る目が変わると思います

読み始めたのが東日本大震災の直前だったのですが、いま読んだことは大正解。日本のあり方に関する思いが変わります。自衛隊を見る目も変わるでしょう。

特攻の誰もが国家や天皇陛下のために死んだのではない、愛する人を思いながら死んだのだという主張を、現実の資料を引きながら描きます。宮部をめぐる物語自体は秀逸ですが、現代の登場人物の描き方と、無理やりのミステリ仕立てが興ざめ。

太平洋戦争をめぐるエピソードは生々しく、読みやすかったです。戦後六十年も経った老人が喋るにしては内容が細かすぎるという違和感もありましたが、わたしのような戦争モノ初心者に最大限気を配った結果なのだと思います。

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No.31:
(3pt)

若者にとって歴史を知るきっかけ

太平洋戦争の歴史を知らない若者には一読の価値があると思う。長編の
割に文体が非常に読みやすく、戦争の概要が理解できる。若者視点で語られているので入りやすい作品。特攻隊含め戦争に加わった人達それぞれに人生があり、価値観は様々だったのだと改めて考えさせられる。ただ、資料を分かりやすくまとめただけと言えばそれまで。最後に明かされるミステリーは本当に要らないと思った。申し訳ないけれどこんな陳腐な取って付けのようなミステリーに泣かされるような読者はどうかと思う。フィクションと言えばそれまでだが、これほど重いテーマにお涙頂戴のストーリーをつけるのは侮辱のような気がして、読後気分が悪くなった。
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No.30:
(3pt)

最強の臆病

臆病者という言葉について宮部久蔵の生きかたをとおして深く考えさせてくれますね。
戦争を遂行した軍部・政治家・官僚・マスコミは時代の勇者であったのか・それとも本当の臆病者だったのか
勇気とは最強の臆病かもしれません
現在の世相を憂えます
憲法9条の意味を問い直してみましょう。
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No.29:
(3pt)

テレビの特番を見ているような・・

第二次大戦終戦60周年を記念したテレビ番組で、戦争を知らない若い世代のタレント二人が特攻隊の生き残りを訪ねてインタビューをする、といった趣きの本です。宮部さんという天才パイロットがなぜ、終戦間際になって特攻に志願し、死を選んだかという謎が、物語を引っ張っていきます。
面白く読めるのですが、感動したかと言われると首をかしげました。あまりにも一方的なのです。特攻という無謀で悲惨な事態を作り出すのに、海軍上層部の無能、兵の命への無関心、無責任なジャーナリズムが力を貸したのはもちろんでしょうが、それでも、批判されているそれらの側からの発言が無くては片手落ちです。これでは、海軍上層部は悪魔である、と言っているのも同じで、戦争中、大本営発表を鵜呑みにした人々とあまり変わりません。読みながら、センセーションに流される危険というようなものをむしろ強く感じました。
戦争を描くには、掘り下げが足りないように思います。というわけで、星三つです。
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No.28:
(3pt)

飛行の場面が素晴らしい。

とにかくページを捲る手を止められなくなる一冊でした。特に印象的だったのが飛行に関する場面。実在の撃墜王や架空の人物宮部の操る零戦の華麗な飛行は、悲惨かつ壮絶な日々のなかにあるからこそ、おそろしくも爽快でした。また、私は普段、戦争モノを敬遠しがち、なのですが、まったく「勉強させられている感」なく、純粋にストーリーに引き込まれる、ミステリ風の展開も良かったと思います。ただし、気になったのは、このテーマで、ここまで大勢の実在の人物を扱うのならば、表現にはもう少し気遣いが必要では? という点。例えば戦時中、大本営や上層部に問題があったのは事実かもしれませんが、ある人間のある時点での一つの決定(言動)だけで善悪を決めつけるような、勧善懲悪的な表現は如何なものかと、私は基本、反戦の主義ですが、それでもそう感じました。このように善悪を断定的に描いてしまうのは、作者が物語中でかなりオーバーな場面を使い責任を問うたマスコミの行った罪と、根本が同じでは? どうしてもその場面、書く必要があるのならば、せめて架空の人物と置き換えるべきだったのでは? それこそがフィクションの利便性、心配りではないか、と私は思うので。さらに、完全にフィクションとして楽しむのには、ドラマ性に既視感が。また、ミステリ(的エンターテイメント作品)として楽しむには、肝心かつ最大の謎が回収しきれていない。そうした消化不良の部分が少し残ったので、☆を減らしました。あと、これはごく個人的な感想ですが、この物語、そのものは、老若男女、誰でも楽しめる、理想的なタイプのものだ、と思います。しかし女性読者の一人として、戦時中を生きた女性たちの描写はともかく、現代を生きる30代女性、主人公の姉については、現代の男性作家が、作中の感動をうながすためにつくった架空の登場人物として、好感が持てないのが本音です。
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No.27:
(3pt)

愛とヒロイズムの井戸

戦後生まれの作家が、戦前日本の良心と苦悩をある零戦搭乗員に投影させて描いた力作。テーマは愛とヒロイズム。祖国愛と家族愛をごっちゃにしたものに限定されてはいるものの、読んでいて涙を禁じえないのは、それが著者の綿密な調査と感情移入により、「きけ わだつみのこえ」や「戦艦大和ノ最期」に匹敵する深みに達しているからだと思う。ただし掘り下げは深いが、視野は狭い。当時の欧米列強がわが国になした悪、そしてわが国がアジア諸国になした悪についてほとんど描かれていないのだ。後者についてはまったくの「ゼロ」。タイトルが皮肉に思えてくる。そういう悪に思いがいたらないのか、わざと避けたのか不明だが、アメリカに気を使いほかを無視する歴史観は保守層と共通するようだ。特攻隊や国民義勇隊まで繰りだしたからこそ、国体を守れ、権益の一部を持ちこせてよかった、と思っている人には受けるだろう。
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No.26:
(3pt)

現代編はいらないと思います。

読了しての感想です。若干のネタバレを含むのでご注意下さい。戦争体験者から語られる当時の日本の様子は実に生々しく感じました。またその状況下におかれた人々も綿密に描写されているため鬼気迫る迫力がありました。さらに当時がどういう状況だったかについて丁寧に書かれているので読んでいくうちにどんどん引き込まれていきました。この点は素晴らしいと思います。戦争の良い悪いは別にして、そこに書かれている事は多くの人が知るべき内容だと思いました。で、勘弁して欲しいのが姉弟が織りなす現代編の描写。三文芝居すぎます。主人公である弟は別段何も感じなかったのですが、代わりに姉の描写が酷かったです。人間としての道徳、無責任さ、TPO…書ききれないので割愛しますがどれをとっても最低でした。少しだけ例をあげるなら元特攻隊員がわざわざ設けてくれた席に遅刻した上、男同伴で参上。しかも男は男で特攻隊員をテロリスト扱いして相手を煽る始末。後のフォロー描写も微妙すぎます。挙句の果てにバカボムについて悔しがっている人間を前にして姉が「バカバン?」と言った時はもう…あとは不良青年が祖父の話を聞いて号泣→改心の流れも強引というかステレオタイプな印象でした。なんにせよ、もうちょっと読んでいて不快にならない設定や描写があっても良いだろうと思いました。本当に、本編である戦争体験者の話は素晴らしいために、それに対する現代編の稚拙さが残念でなりません。
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No.25:
(3pt)

着想がすばらしい

分厚くて読むのに7時間くらいかかったと思う。史実を詳細に調べて書いてあるのだろう、巷にあふれているような軽めの小説ではないと思った。ただ、祖父の謎が明らかになる最後の部分が着想がいいだけに急ぎ足で書かれているのがとてももったいなく感じる。そして文章が平坦なため読者を引き込む力に欠けているとも思う。着想のよさと大変苦労したであろう調査の緻密さを買って☆3としたいと思う。
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No.24:
(3pt)

極論に御注意を

海軍航空隊がいかに戦ったか、という点をうまくはないが纏められた本だな、とは思います。ただし、この本に書いてある内容を全て鵜呑みにするのは危険です。極論が方々に見受けられます。情報は様々なソースから引っ張って比較検討すべきでしょう。小説のような形ではなく、ドキュメンタリーとして作ればより面白かった。小説としては、表現力、描写、人物の設定などがあまりに稚拙です。あと何回かは推敲して、内容を練っていただきたい。海軍の問題点が現在の官庁や企業にも当てはまるのではないか?という指摘は的を射ていると思います。マスコミの責任(戦争に限らず全てにおいての報道責任)についても然り。ただし、それらが全て極論で語られているところに、違和感を感じました。一点付け加えるとすれば、読後感の悪さ、でしょうか。ただ、個人的な意見からすれば、特攻隊は決して美談で語られてはならない、という思いがあるので、それはそれで良いのかもしれません。
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No.23:
(3pt)

ストーリーは良いんですが

祖父を調べる動機がありきたりで少々がっかりしました。
それとどうしても主人公の語り口が淡々としていて中々感情移入できません。
もっと主人公と言う切り口からストーリーを広げてほしかったし、姉のキャラも弱かった。
飛行機乗り、整備兵達の話しは鬼気迫る物があり、とても良かったです。
ただ、体験記みたいな感じなので、ストーリー性を求める人には物足りないかと思います。
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