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片隅の迷路



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片隅の迷路の評価: 4.00/5点 レビュー 6件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.00pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全6件 1~6 1/1ページ
No.6:
(1pt)

品質

とても汚くてシミだらけでした
片隅の迷路 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:片隅の迷路 (創元推理文庫)より
4488486010
No.5:
(5pt)

読み応えあり

前半、暫くはこれが開高健の作品?と思いましたが、読み続けるうちに、あっという間に読了してしまいました。
片隅の迷路 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:片隅の迷路 (創元推理文庫)より
4488486010
No.4:
(5pt)
※削除申請(1件)

実際にあった殺人事件・冤罪事件をもとにした 長編小説 片隅の迷路 など 8篇を収めた全集第4巻

本書は
開高健(1930-1989)全集の第4巻です。
次の小説8篇が収められています。

『指のない男の話』
『睦雄の経験』
『無邪気』
『任意の一点』
『パンテオンを‥‥‥』
『お化けたち』
『名人』
『片隅の迷路』

『指のない男の話』から『名人』までは短編で
『片隅の迷路』は長編です。

参考までに
開高の小説を長い順に並べると
ベストテン(ロンゲストテン)は次の通りです。
長い=本全集でページ数が多い
と規定し私が計測しました。

1)『青い月曜日』=396ページ(第5巻)
2)『片隅の迷路』=356ページ(第4巻)
3)『耳の物語』=354ページ(第8巻)
4)『新しい天体』=264ページ(第6巻)
5)『ロビンソンの末裔』=257ページ(第3巻)
6)『輝ける闇』=250ページ(第6巻)
7)『日本三文オペラ』=242ページ(第2巻)
8)『夏の闇』=210ページ(第7巻』
9)『花終る闇』(未完)=131ページ(第9巻)
10)『珠玉』=99ページ(第9巻)

さて
本巻の『片隅の迷路』は
「徳島ラジオ商殺し事件」という
実際に起こった冤罪事件をもとに
書かれた小説です。
毎日新聞夕刊に
1961年5月から同年11月まで
199回にわたって連載されました。
開高にとっては
唯一の新聞小説です。

徳島ラジオ商殺し事件とは
1953年11月5日早朝
徳島市でラジオ商(電器店)店主の男性が
殺された事件です。
いっしょに寝ていた妻(内縁)もけがを負いました。
徳島地検は
ラジオ商住み込みの少年2人(17歳と16歳)を
何十日も拘束して
ウソの証言をでっちあげます。
それによって
翌1954年8月13日
店主の妻が逮捕されます。

1審の徳島地裁は有罪
2審の高松高裁は控訴棄却
経済的な理由で
妻が上告を取り下げたため
懲役13年の有罪が確定
妻は刑に服します。
1966年11月30日
仮出所し
再審請求に取り組みますが
1979年11月15日
肝臓癌のため亡くなりました。享年69。

その後
妻の遺志をついだ親戚が再審請求を続け
1980年12月13日
徳島地裁は再審開始決定
1985年7月9日
徳島地裁は無罪判決を言い渡しました。
――という
冤罪事件が徳島ラジオ商殺し事件です。

開高は
登場人物の名前を変えたくらいで
ほぼ事件の通りに小説を書きました。
「事件を知ってほしかった」というのが
執筆の動機らしいです。
時系列的には
妻が上告を取り下げたところまでを
描いています。
詳細は是非
本巻をお読みください。

ウソの証言をした2人の少年は
開高の小説では
「坂根少年」と
「柳原少年」という名前になっていて
特に前者はフルネームで
「坂根進」です。
これは寿屋(現・サントリー)だった
坂根進(1931-1998)にちなんでいます。

「柳原少年」も
主任検事の「山口検事」も
寿屋の同僚の名前(苗字)でしょう。
メインのストーリーではありませんが
「谷沢助教授」という大学の先生も
登場します。親友だった
谷沢永一(1929-2011)由来です。

小説の前半の主人公である
ラジオ商の妻は「洋子」という名前です。
開高の妹の名前が「ようこ」だったと記憶します
(漢字は「陽子」でしたか)。
やはり思い入れがあったのでしょう。

ラジオ商の娘は「道子」という名前です。
もちろん開高の一人娘
開高道子(1952-1994)にあやかったものです。

ほかにも
登場人物の名前が
開高周辺の人々の名前由来かもしれません。
それを探しながら読むのも楽しみになるでしょう。

『片隅の迷路』は映画化され
『証人の椅子』(山本薩夫監督 1965 大映)となりました。
開高の小説で映画化されたのは
この『片隅の迷路』と『巨人と玩具』の2篇らしいです
(私はどちらも見ておりません)。

『片隅の迷路』を新聞に連載していた1961年
開高は
いわゆる「アイヒマン裁判」を傍聴・取材するために
イスラエルを訪れています。
この時期
法廷もの裁判ものに対する関心が高かったのでしょう。

なお
アドルフ・アイヒマンは
ドイツ第三帝国における
ユダヤ人問題の最終的解決を担当した課長で
SS(親衛隊)における階級は中佐でした。
戦後、南米へ逃亡していましたが
イスラエルの情報機関モサドにつかまり
イスラエルで裁判を受けました。
判決は死刑。
その通り執行されました。
片隅の迷路 (開高健全集)Amazon書評・レビュー:片隅の迷路 (開高健全集)より
4106452049
No.3:
(5pt)

題が秀逸

冤罪事件を取扱った作品は数多くあるけれども、この本が出色なのは題名にあるように「片隅」にスポットを当てている点。注目度も(事後的にかもしれないが)あまり高くない、片田舎の事件である。

そして、論点の少なさ。有名な冤罪事件は、有罪判決を覆せるような証拠があって、その証拠の発見や追求を巡って、ミステリー小説にもなりそうな展開が人々の耳目を集めている側面は否定できないであろう。しかしながら、この事件の論争は、ほぼ供述の真偽のみ。

もっとも、偽証か否かだけの展開であるからこそ、人間臭さがにじみ出ている。多分、この時代にはこのような多くの冤罪が「片隅」にあったのであろうとうことも窺い知ることもできる。
片隅の迷路 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:片隅の迷路 (創元推理文庫)より
4488486010
No.2:
(4pt)

冤罪事件を取材したルポルタージュ文学

以前、朝日新聞の土曜版で復刊本として紹介されていた。
 徳島ラジオ商殺人事件を取材したルポルタージュ文学。ルポ文学といえば、カポーティの「冷血」だが、それより前に発表された作品らしい。
 冤罪がテーマになだけに、とにかく一人の女性が犯罪者に仕立てられていく課程には、歯がみするばかり。それを正義感を振りかざすのではなく、ひょうひょうとした人間ドラマとして読ませる。
 世の理不尽に思いをはせると同時に、開高健っていい作家だったんだなというのが、もう一つの読後感です。
片隅の迷路 (1976年)Amazon書評・レビュー:片隅の迷路 (1976年)より
B000J97U7I
No.1:
(4pt)

冤罪事件を取材したルポルタージュ文学

 以前、朝日新聞の土曜版で復刊本として紹介されていた。
 徳島ラジオ商殺人事件を取材したルポルタージュ文学。ルポ文学といえば、カポーティの「冷血」だが、それより前に発表された作品らしい。
 冤罪がテーマになだけに、とにかく一人の女性が犯罪者に仕立てられていく課程には、歯がみするばかり。それを正義感を振りかざすのではなく、ひょうひょうとした人間ドラマとして読ませる。
 世の理不尽に思いをはせると同時に、開高健っていい作家だったんだなというのが、もう一つの読後感です。
片隅の迷路 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:片隅の迷路 (創元推理文庫)より
4488486010

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