下山事件 最後の証言

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下山事件 最後の証言の評価:

4.09/5点 レビュー 88件。 A ランク

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平均点4.09pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全123件 81〜100 5/7ページ
No.43
(5pt)

おもしろかったです。

友達に聞いて読んで見ました。江戸時代の日本橋について調べていたのですが、地下通路があるという記述が興味深いです。
下山事件―最後の証言 Amazon書評・レビュー: 下山事件―最後の証言より
4396632525
No.42
(5pt)

大変参考になる本

下山総裁の殺害事件を、多くの資料と壮大な視野から探った本である。
たくさんの人物が登場するが、索引と人物相関図は是非必要と感じました。
事件の中で登場したのは、国鉄民主化同盟の数人もそうであった。京都大学を出て重臣のカバンもちをした経歴があり、大陸にもいたことがある児玉直三は、次期総裁との連絡役でもあった。総裁の替え玉に似た人物と鉄道の中で目撃された森田という人物は、事件の日に大金を手にしたが、その後人工的な細菌に感染し死にそうになった。総裁が宿泊した、連れ込み旅館の経営者は、事件のあとで急に羽振りが良くなった。このような材料が出されているが、それについての推理は深くされていない。その辺を松本清張が生きていたらどう推理するのかと思う。
最近発行の、別人の書いた、白州次郎の嘘と言う本では警察上層部の方針が分裂し、左翼の大量逮捕にブレーキがかけられ、自殺とすることで、真犯人追及をさせなかったという説が出ていた。多くの鉄道事件が起こることにより、警察の体制が分散し捜査が弱体化したように感じられた。作者には、もう一度決定版を書いて欲しいと思った。
下山事件―最後の証言 Amazon書評・レビュー: 下山事件―最後の証言より
4396632525
No.41
(5pt)
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下山事件本の中で圧巻の臨場感

どうやら私も世に言う「下山病」に感染したようだ。ここ1ヶ月の間「下山事件本」から眼を離せないでいる。同病の著述家たちが引きも切らさず事件をレポートしているからだ。
 松本清張が『日本の黒い霧』上巻で本事件をGHQの仕業と断定し、「この謀略の実際の姿は…永久に発表されないだろう」と書いたのは1960年のことだが、この迷宮入り事件の真相はいまだつかめていない。著述家たちはいずれも本事件を、戦後史における「大転換点」と位置づけ解明に奔走している。
 今回読んだ本は上掲書の他、刊行順に、矢田喜美雄『謀殺下山事件』(1973)、諸永裕司『葬られた夏』(2002)、森達也『下山事件』(2004)、柴田哲孝『下山事件』ハードカバー(2005)である。当然ながら全て「他殺説」である。実際に事件に立ち会えたのは、朝日新聞社記者で1913年生まれの矢田のみで、後の3氏は事件当時生まれてもいなかった。3氏は一時行動を共にしたが、それぞれの思惑から別々の本となった。そこにジャーナリスト仲間の疑心・不信関係を読み取ることが出来る。この他に3氏にアドバイスをしていた斉藤茂男の『夢追い人よ』(1989)もあるが、3氏に引用されている部分で十分として外した。
  矢田氏は東大法医学班に加わり捜索も手伝ったという異例の記者である。同氏のお手柄は、氏自身が実際にルミノール液を使用し、下山総裁の轢断現場から列車進行方向の上手側200mに亘る枕木上に、総裁の血痕を発見したことで、下山氏が他所で殺害された後現場に運ばれたとする他殺説の傍証となった。他にも被害者の衣服に付着していた大量の油や、染料の種類も特定しており、著書はその捜査報告の体裁も兼ねている。
  下山事件追求の面白さは、事実発見と原因追及にある。原因の推定と事実の検証は切り離せない。従って後続書は矢田書を底本にして「新事実」の発見に力を入れる。そうは言っても事件から50年を経て新たな物証が出るはずなく、著者等が目指すのは、事件に関わったと目される人々が、老いて死ぬ前に、隠蔽してきた事実を告白してくれるのではないかという淡い期待で試みるインタビューである。
  森氏の重要な発見は、1994年に映画監督の井筒和幸氏から、「彼」と呼ぶ知人を紹介され、事件の「共謀者」のアジトが、下山氏が失踪した三越と目と鼻の先にあるライカビルにあったと知ったことだ。矢田氏は八重洲ホテルと推定していた。三越からライカビル付近まで地下道で行ける。ビルには亜細亜産業という怪しげな「貿易会社」があり、大物右翼の矢板玄が社長をしていた他、4階にはGHQ関係者のサロンもあったという。森氏は週刊朝日の諸永氏を誘って調査を始めるが、諸永氏の記事が週刊朝日に掲載されて物別れとなった。森書はその「彼」を始めとする風聞だけで構成され、氏独自の発見はない上に、その「彼」から、伝えたことが曲解されていると抗議を受ける等問題が多い。
  諸永氏は森氏と袂を分かった後、機関通信社の記者らしく、アメリカまで渡って、元キャノン機関員の延禎(韓国人)や戦後直ぐ北海道でソ連からの帰国日本人の思想調査に携わり、下山事件発生の直前に上京してキャノン機関に加わったジョージ・ガーゲット氏とのインタビューに成功するが、両氏とも口が堅く、あの世まで秘密を持って行くと確信しただけで空手で帰国する。諸永書はその苦労話が唯一の報告と言うだけの内容に終わっている。
  柴田書(本書)は森氏と諸永氏の調査の発端となったその「彼」が遂に現した書である。柴田氏が出版を逡巡していたのは、彼の祖父、大叔母、母親などの血族が亜細亜産業に関わり、或いは下山事件にも関与していたかも知れないと思っていたからだ。氏もジャーナリストの一人であり、その精神が遂に本書を書かせたと述べている。
 発端は柴田氏の祖父の33回忌法事の席で、祖父の妹が酔って口走った言葉、「あの事件(下山事件)をやったのは、もしかしたら兄さんかも知れない」にあった。著者はそれまで同事件には全く関心を持ってなかったのだ。祖父は英語が堪能で、矢板玄に誘われて亜細亜産業に入り、同社の幹部社員だったと知る。下山氏とも懇意だったという。同社には祖父の妹と娘も事務員として働いた。大叔母は高齢とはいえ抜群の記憶力の持ち主で、当時を知る生き証人としてこれ以上の相手はいない。しかも身内でインタビューに制限はない。関係者が集った場面の写真もある。著者の仕事は彼女の話の「裏を取る」ことだ。
  著者の成果は矢板玄氏との単独インタビューに成功したことである。矢板市役所の窓口で生存を尋ねた際、わざわざ応対した市長の矢板氏に対する畏敬ぶりに驚く。市役所の向かいに豪邸を構える氏は、訪れた著者の喉元に突然抜刀を突きつけて脅すが、元部下の孫と判ると上機嫌で会談は3時間に及ぶ。多くの話は大叔母の証言と一致する。亜細亜産業は北朝鮮と密貿易をしながらスパイを送り込んでいた等々、大叔母も知らない裏話も披露される。下山事件に及ぶと口が重くなった。ただし世上伝えられているGHQ犯行説も、共産主義者の犯行説も否定し、下山氏死亡の後、国労左派と共産党が求心力を失い国鉄の大量解雇が加速されたという著者の発言を、「結果論に過ぎない」と一蹴する。「祖父が日記を残していた」の言にうろたえ、俺が死ぬまで公表しないと約束させられる。本当は祖父の死亡後日記は大叔母の手で消却されたのだが、彼等に何かがあったと確信出来た一瞬だった。この後程なく矢板も大叔母も死亡する。生き証人が日一日と居なくなって行く。
  これから先は著者の推理が光る。森や諸永が到底及ばない能力だ。先ず矢田書が伝える、事件現場で高級外車を見たという工員の証言や、熱海で自殺した男の日記に事件への関わりが記載されていたと言う同僚記者の情報は、矢田記者を惑わせるために仕組まれたガセ種ではないかと違い、専属運転手の大西氏が朝9時半に三越前で同氏を下ろした後、夕方5時過ぎまで漫然と待っていたとは考えられず、同時刻まで行方不明にさせておくような何らかの脅しがあったのではないかと考える。自殺説の根拠となった「下山氏が現場近くの旅館で休憩した」と証言した女将から祖父宛に毎年年賀状が届いていたという事実や、旅館近くの河から防水シートが見つかり、中に轢断現場で見つからなかった下山氏のロイド眼鏡があったと言う他書にない事実も記される。総裁の出血が少なかったのは、亜細亜産業に出入りし大叔母に結婚を申し込んだりした殺人男による、血抜き拷問の結果ではないかと考える。彼の推理の範囲では矢板玄や大叔父の事件関与は免れそうもない。
  実行犯の特定と併せて著者は犯行の原因追及にも推理を延ばして行く。矢板玄の「もっと射程を延ばして考えろ」が論拠となる。国鉄職員の大量解雇は下山の死亡前に発表されていた。もともとGHQの後押しを受けた国鉄総裁をGHQが殺す謂われはなく、共産党を黙らせるなら三鷹と松川事件だけでこと足りた。松本清張が唱えるGHQ内部でのG2とGSの対立はすでにG2の勝利で決着が付いていた。消去法で考えて行くと自身も相当な策士であった下山総裁が、知られては困る情報を見つけたのかも知れないと言う疑問が残る。
 そこから先は愚鈍な読者の私には手がつけられない。唐突に次のような言が記される。「日本政府は外資から国鉄を守るために下山総裁を抹殺したのではないか」。ドッジプランの裏でジャパンロビーが冷戦の最前線に位置する日本の鉄道網を米軍の輸送網として確保するため、先ず民営化しそれから乗っ取ろうとしたのではないか。という意味に取れるが、では何故下山総裁なのかが判らない。
  最後の大風呂敷を除けば実に読み応えのある本であった。かなりの確率で、冷戦の開始という緊張した時期に、アメリカの反共勢力の意を組んだ日本の反共・右翼勢力が実行犯になったと考える著者の推論に感嘆するばかりである。
 余録として、同書は戦後史の表面で称えられている吉田茂を始め岸信介、佐藤栄作等の政治家、白州次郎やエリザベスサンダーホームの澤田美喜等の文化人の裏面の汚れも暴露する。歴史書や教科書が決して書かない史実を知るだけでも意味ある参考書である。
  このレビューを終いとして、私も下山病から回復したいが、来年(2014年)は時効50周年でもあり、全快はなかなか難しそうだ。
下山事件―最後の証言 Amazon書評・レビュー: 下山事件―最後の証言より
4396632525
No.40
(5pt)

一番真相に近い

他殺を無理やり自殺説を出したり変な事件ですね。
何冊か読みましたが、一番真相に近いと思います。
下山事件―最後の証言 Amazon書評・レビュー: 下山事件―最後の証言より
4396632525
No.39
(4pt)

意外と面白かったです。

元もとこの事件にあまり関心は無かった上に、こちらのレビューの批判的な文章も読んだ上なので、特に期待もせずに読んでみたら、予想した以上に面白かった、という感想です。
(それならなぜ読もうと思ったかと言いますと、一種の懐古趣味です。この本に鈴木金属という会社が登場するらしいと知って、少し関心を持ちました。その昔、鈴木金属の工場の近くに住んでいたので。)

実は松本清張氏の「日本の黒い霧」(の「上」だけ)も読みました。その理由も同様で、その昔の最寄駅だった赤羽駅の周辺のことが描かれているらしいと知ったためです。もっとも清張氏は「北区のある場所」とか「ある駅」と言うのみで、赤羽駅と明示していません。米軍に遠慮したのでしょうかね。

清張氏の本に「人が入れる大きさの四角いオイルカン」という推定が書かれていますが、「それほどの大きさで四角い缶なんてあるのかな?」と思いました。そういう缶は、鉄板を相当厚くしないと強度を維持できないはずなので、コストから考えても現実的ではない、と感じました。

その点、柴田氏の本では「ドラムカンを縦に二分したもの」という推定と、その実例も描かれていて、この点は「柴田氏の勝ち」だと思いました。(40年以上の時間差があるのでフェアな勝負ではないかもしれませんが。)

矢板氏の口を通して描かれる形のキャノンの人物像が生き生きと(?)していて面白かったです。

と同時に、柴田氏が「私が知る限りで、矢板玄ほど人を魅了する術に長けた人物はいない」と書いている通りに、矢板氏の人物像も伝わってきます。

この本によると、キャノンはガダルカナル島攻防戦のアメリカ側の指揮官だったとのことで、そうだとすると、「シン・レッド・ライン」という映画でニック・ノルティ氏が演じた人物のモデルなのでしょうかね。映画では実際よりかなり高齢に描かれていたようです。

八重子さんが夫と別れた理由を「ここで書くべきことではない」と書いていますが、その少し前で、簡単に
ですが、書いていますよね…

で、結論としては、私の理解では、政権与党や右翼の収入源だった国鉄を改革し、与党の汚職も公表しようとしたらしい下山氏を、与党と彼らを支持するCIA・右翼が共謀して排除した、ということのようです。

まあ、そうかもしれないし、そうでないのかもしれません…

で、鈴木金属は、柴田氏の考えでは、マスコミや警察をミスリードするためのおとりで、実際の犯行現場は綾瀬駅近くにあった亜細亜産業の工場内らしいと…

熊井啓監督の映画では、(名前は変えてありますが)ピアノ線を作っている会社が、胡散臭い場所として登場するようです。

その後、「日本の黒い霧」の「下」を読み始めたら、最初がダイヤモンドの話で、柴田氏の本のダイヤの話の背景がよくわかる気がしました。

柴田氏の本では、矢板氏がダイヤを埋めたのは戦後の話ですが、清張氏の本では「海軍が二万カラット以上のダイヤを、昭和19年に、那須地方のある個人宅に埋めたことがある。…黒磯事件と呼ばれた」とあります。一応別の話なのでしょうかね。

→どうやら全く別のできごとのようでした。
下山事件―最後の証言 Amazon書評・レビュー: 下山事件―最後の証言より
4396632525
No.38
(4pt)

日本史の闇

ホントに? と眉唾ながらも、面白く読みました。
史実に残らないことっていっぱいあるんだろうなぁ。
浦沢直樹の『BILLY BAT』なんかは、こういう本を読んでから読むともっと面白いと思う。
下山事件―最後の証言 Amazon書評・レビュー: 下山事件―最後の証言より
4396632525
No.37
(4pt)

下山事件

私が生まれる前のことなので、内容としても興味があったので面白かった。ただ、少し難しいかも。
下山事件―最後の証言 Amazon書評・レビュー: 下山事件―最後の証言より
4396632525
No.36
(4pt)

完全版への批判が多いようですが

完全版しか読んでいないゆえ、十分楽しめました。
近親者からスタートし、展開して行くノンフィクションはこれまでにも多々あり、珍しくはないが、が日本現代史重大事件ということになると、生存者もいるし、なおかつ以前極秘にされていることも実際に多く、かなり困難な作業だったことは容易に想像がつく。
その分、記憶の曖昧さや、歪みもあるだろう。
それを立ち止まり立ち止まり、解きほぐし、悩み、追求していく姿勢は共感が持てる。
GHQ、政治家、CIA、左翼、国鉄、右翼、財閥、それらが実名で登場するノンフィクションならではの醍醐味はじゅうぶんにあじわえる。
しかし、歴史というのは怖いものだ。
ほんの最近のことでさえ、隠蔽され、歪められ、真実を見えなくする。
そしてその上に また歴史が積み重ねられて行くのだから、ディスクロージャーや政治への監視、ジャーナリズムの適正な機能の重要性を痛感せずにはいられない。
下山事件―最後の証言 Amazon書評・レビュー: 下山事件―最後の証言より
4396632525
No.35
(5pt)

気持ち良い対応でした。

早く、気持ち良い対応でした。これからも機会があればよろしくお願いします。
下山事件―最後の証言 Amazon書評・レビュー: 下山事件―最後の証言より
4396632525
No.34
(1pt)

フィクション(虚構)としては面白いです

下山総裁は、他殺か自殺か。
いままでの研究史を踏まえれば、発作的自殺とほぼ断言できます。

発作的自殺説の決定版は佐藤一『下山事件全研究』です。
このレビューをご覧の方々、あるいはこの柴田哲孝氏の本に書いてあることが事実だと思われた方々が、佐藤一『下山事件全研究』をお読みになれば、発作的自殺説が正しいことを、おそらく99パーセント程度の方はご納得いただけるのではないかと思います。
佐藤さんは松川事件の被告として逮捕・起訴され、14年間の法廷闘争の末に無罪判決を勝ち取った人物であり、完璧な左翼の方です。松川事件と同時期に起きた下山事件も、GHQあるいは日本政府による他殺と当初は考え、「下山事件研究会」の事務を引き受けたわけですが、調査を進めるとどう考えても発作的自殺説しかありえないという結論に至ります。
他殺の根拠とされた物証について、地道な調査に基づいてほぼ完ぺきな反論に成功しております。

占領史研究会という、占領期を研究する左翼歴史家の大きな研究者グループがありますが、この研究者グループも、佐藤一氏の説がまったく正しいと結論付けております。
なんでもかんでもGHQ(G2)・保守政権が悪かったと言いたい左翼の研究者グループですら、佐藤説を支持しているほど、発作的自殺説は強力です。

もともと他殺説が世間に広まったのは、松本清張氏の著作によるものですが、これはGHQの文書を、英語もあまり読めないのに都合よく解釈するなどとんでもない作品です。
私は松本清張氏は嫌いではないですが、下山事件他殺説という荒唐無稽な説を広げた罪は否定できません。
多くの方々が、佐藤一『下山事件全研究』をご存じない中で、国民的作家である松本氏の主張が国民に浸透してしまったことは残念です。

さて柴田哲孝氏のこの本ですが、フィクションの読み物としては面白くできていると思います。その点は、松本清張氏と同じです。
柴田氏は賢明な方だと思いますので、下山総裁が発作的自殺であることは百もご承知だと推測します。
しかし、下山総裁が発作的自殺説だという事実を本にしても、本が売れないですから(そもそも出版すらできないですから)、他殺説をもっともらしく見せるあの手この手を使って見事なフィクションをお書きです。
日本推理作家協会にご所属の優秀な推理小説作家柴田氏ですからその点はよくできています。

柴田氏の、人を楽しませようとするサーピス精神を美徳として評価したいですが、内容面からみて星1つにいたします。
下山事件―最後の証言 Amazon書評・レビュー: 下山事件―最後の証言より
4396632525
No.33
(5pt)

あたりまえですが下山総裁は自殺です

下山総裁は、他殺か自殺か。
いままでの研究史を踏まえれば、100パーセント発作的自殺と断言できます。

発作的自殺説の決定版は佐藤一『下山事件全研究』です。
このレビューをご覧の方々、あるいはこの柴田哲孝氏の本に書いてあることが事実だと思われた方々が、佐藤一『下山事件全研究』をお読みになれば、発作的自殺説が正しいことを、おそらく99パーセント程度の方はご納得いただけるのではないかと思います。
佐藤さんは松川事件の被告として逮捕・起訴され、14年間の法廷闘争の末に無罪判決を勝ち取った人物であり、完璧な左翼の方です。松川事件と同時期に起きた下山事件も、GHQあるいは日本政府による他殺と当初は考え、「下山事件研究会」の事務を引き受けたわけですが、調査を進めるとどう考えても発作的自殺説しかありえないという結論に至ります。
他殺の根拠とされた物証について、地道な調査に基づいてほぼ完ぺきな反論に成功しております。

占領史研究会という、占領期を研究する左翼歴史家の大きな研究者グループがありますが、この研究者グループも、佐藤一氏の説がまったく正しいと結論付けております。
なんでもかんでもGHQ・保守政権が悪かったと言いたい左翼の研究者グループですら、佐藤説を支持しているほど、発作的自殺説は強力です。

もともと他殺説が世間に広まったのは、松本清張氏の著作によるものですが、これはGHQの文書を、英語もあまり読めないのに都合よく解釈するなどとんでもない作品です。
私は松本清張氏は嫌いではないですが、下山事件他殺説という荒唐無稽な説を広げた罪は否定できません。
多くの方々が、佐藤一『下山事件全研究』をご存じない中で、国民的作家である松本氏の主張が国民に浸透してしまったことは残念です。

さて柴田哲孝氏のこの本ですが、フィクションの読み物としては面白くできていると思います。その点は、松本清張氏と同じです。
柴田氏は賢明な方だと思いますので、下山総裁が発作的自殺であることは百もご承知だと推測します。
しかし、下山総裁が発作的自殺説だという事実を本にしても、本が売れないですから(そもそも出版すらできないですから)、他殺説をもっともらしく見せるあの手この手を使って見事なフィクションをお書きです。
日本推理作家協会にご所属の優秀な推理小説作家柴田氏ですからその点はよくできています。

柴田氏の、人を楽しませようとするサーピス精神を美徳として評価し(勿論皮肉の意味ですが)、星5つにいたします。
下山事件―最後の証言 Amazon書評・レビュー: 下山事件―最後の証言より
4396632525
No.32
(5pt)

下山国鉄総裁事件の犯人は私の祖父だ

『下山事件 最後の証言』(柴田哲孝著、祥伝社文庫)は、下山事件に関心を持つ者にとっては、見逃すことのできない一冊である。なぜなら、「GHQ(占領軍総司令部)の特務機関員だった私の祖父が、この事件の実行犯だ」と主張する著者・柴田が、事件の真相に迫った型破りのドキュメントだからである。

この作品と松本清張の「下山国鉄総裁謀殺論」(松本清張著、文春文庫『日本の黒い霧』<上巻>所収)を併読することによって、さらに知的好奇心を満足させることができるだろう。清張は、敢えて小説の形はとらずに、事実の部分と推理の部分とを書き分けた、と述べている。この戦後のアメリカ占領下に起きた怪死事件の裏に蠢く大きな謀略に肉薄しようとする清張の執念たるや凄まじい。
下山事件―最後の証言 Amazon書評・レビュー: 下山事件―最後の証言より
4396632525
No.31
(5pt)

コスパ高し

「謀殺下山事件」の映画を見たのは昭和56年の秋だった。長期出張先の長崎県大村市の場末の映画館だった。別にこの映画を見たかったわけではなかった。ただ暇な日曜の午後を潰そうとしただけだった。
そもそも昭和24年に起きた下山事件なんて知らなかったし、この映画しかやってなかったから見たにすぎない。
しかし映画そのものは非常に面白かった。というか、フィクションなのかノンフィクションなのかよく分からない展開で、多分そのときはフィクションだと感じていた。だがフィクションにしては内容が重すぎる気がしていた。まあ、そのまま現在に至ったわけだが。
で、先日テレビを見ていたらこの本の著者が出ていて、犯人は分かっているが今は言えないということを言っていた。この話を聞いて急にこの本が読みたくなってアマゾンで買って読んだわけだ。
著者は犯行の首謀者の名前をはっきりとは明かしてはいないが、結局著者が言いたかったのは、犯行の首謀者はときの○○国鉄副総裁かのちの総理大臣である△△ではないかということだ。
まあ今となっては二人とも亡くなっているし、まわりの関係者もこの世にほとんど生きていない。真相は結局闇の中だろう。
ところで、この映画だが、また見たくなってアマゾンで検索したら現在発売されていないのは勿論のこと、中古に数万円の値がついているのに驚いた。この作品は多くの人に見てもらいたいものだ。この作品が再発売されないのはそれこそこの事件を今更表沙汰にしたくない誰かの謀略ではないだろうか。
下山事件―最後の証言 Amazon書評・レビュー: 下山事件―最後の証言より
4396632525
No.30
(4pt)

『ビリー・バット』を読む前にこの本を読もう。

医学生時代、法医学の講義の中で、下山事件について、こんな趣旨の話を聞いた事が有る。下山総裁の死体に生活反応が有ったのか、無かったのか、即ち、下山総裁の轢断は死後轢断だったのか否かを鑑定したのは大学院生であった。そして、その大学院生の鑑定の為に、「下山事件」はこんなミステリーに成った、と言ふのである。即ち、下山事件における下山総裁の死体の鑑定は、未熟な大学院生がした物だった事を示唆する逸話を聞いたのであるが、その逸話を語った私の大学の法医学の講師(当時)は、決してはっきりとは言はなかったが、下山事件における法医鑑定は信頼の置けない物だった、と考えて居るのだと、学生であった私は受け止めた。その講師は、その話をなかばオフレコの裏話の様にその話をしたのだったが、その影響が有ったのだろう。私は、永い間、下山事件について、何を信じていいのか分からず、書店に並ぶ下山事件関係の本にも手を伸ばさずに暮らして来た。(ちなみに、当時の私の大学の法医学教授は、慶応系の法学者であった)従って、私は、下山事件に関する知識は極めて浅い。松本清張の著作も読んで居ないし、その他の本も読んで居ない。そんな知識の浅い人間の感想として、以下を読んで欲しい。
 ここに書かれた書評(レビュー)を読むと、本書の著者の手法には、色々問題が有る様である。即ち、過去に書いた事との整合性や、事件に関する著者個人の分析などには、色々問題は有るのかも知れない。その点について、予備知識が乏しい私は、あえて論評はしない。しかし、それでも、著者の祖父が、下山事件に関はった当事者であったらしい事は、余りにも重要な事ではないか。そして、関係者の大部分が既にこの世を去った時点で、ここまで当事者に近い所からの証言を発掘した事の意義は矢張り、余りにも大きいと、私は思ふ。
 『ビリー・バット』を読む前に、この本を読む事を、若い人々にお薦めする。

(西岡昌紀・内科医(下山事件初心者))


下山事件―最後の証言 Amazon書評・レビュー: 下山事件―最後の証言より
4396632525
No.29
(4pt)

松本清張が生きていたら

下山病という言葉がある。下山事件の真実が知りたくて資料を漁り、関係者達の新たな証言を聞けるなら、時間と金と労力を惜しまない人たちのことをいう。勿論、この私はその熱意もないし、またその任でもないと心得ているが、彼らの著作は出来る限り読んできたつもりだ。そういう意味ではこの私も下山病患者の末席をよごす一員かもしれない。

何故そうなったのか? 入口はやはり松本清張「日本の黒い霧」の中の「下山国鉄総裁謀殺論」を読んで昂奮したことによる。「黒い霧」は「文藝春秋」昭和35年1月号から1年に亘って連載され、単行本化は翌年だったように思う。ただこの時点で小学生だった私は、この本を読めるわけがなく、読んだのは後年の中学時代だ。ちょうど清張の推理小説に傾倒していた頃で、勿論、下山事件は推理小説ではないが、ミステリ度のかなり高い事件なので興味はもっていた。

1949年7月5日の朝、いつものように上池上の自宅を公用車で出た下山は、この日に限って、国鉄本庁には行かず、運転手に頻繁に行先の変更を指示する。最終的に三越百貨店前で降りた下山は「5分ほどで戻ってくる」と告げて百貨店に入っていく。運転手が生きた下山を見たのはそれが最後だった。

翌早暁、国鉄常磐線北千住―綾瀬間、東武線ガード下付近で下山の轢断死体が発見され、自殺、他殺の大論争が起き、当時の時代背景と密接に絡みあいながら、この大事件も迷宮の淵に入ってしまうのだ。

さて、それから、半世紀以上経過したにもかかわらず、2000年代に入って立て続けに関係する本が出た。「葬られた夏 追跡・下山事件」(諸永裕二)「下山(シモヤマ)事件(ケース)」(森達也)、そして本書である。ただこの3冊のネタ元は一緒なのだ。

ここで唐突だが、映画「パッチギ!」の監督・井筒和幸が登場する。井筒は森も柴田も知っていて、柴田の身内が下山事件に関係している事を森に話し、興味をもった森が井筒に柴田を紹介してもらう。その後、森は何度も柴田に会い詳細を訊く。やがて森は「週刊朝日」誌上で、柴田からのスクープを載せることになる。

短期集中連載の過程で、森と朝日新聞社とでトラブルがあり、朝日新聞記者の諸永が見切り発車的に本を出してしまう。それが「葬られた夏 追跡・下山事件」だ。いかにも新聞記者的な筆致で過不足なく仕上がっていた。

出遅れた森は翌年、思い入れたっぷり、かつ情緒的な文体で「下山(シモヤマ)事件(ケース)」を出した。

そして、満を持してというか、本来書くべき人が書いたのが本書である。そして日本冒険小説大賞の特別賞を受けたのである。

本書は地を這うように微細な資料を紡いで検証した作品ではない。偶然によって一級の事実を知り得た事から、その事実に蓋然性を持たせるべく演繹的手法をもって構築した作品である。

従って、これがほぼ決定版であると云っていいだろう。一級の事実をどう納得するかだが、それは、あなた(読者)が決めることだ。     

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4396632525
No.28
(3pt)

矢板は黒い

亜細亜産業というのは初めて聞いた。下山国鉄総裁が謀殺されたつまり他殺であることは間違いないが。いったい誰が指示して実行したのかは異論錯綜して今もよくわからない。下山総裁謀殺、三鷹事件、松川事件が国鉄労働組合をターゲットにした三点セットの謀略とすればghqの諜報機関の関与が疑われるのは当然である。ghq諜報機関の了解がなければあんな大規模な謀略工作が成功するはずがない。私が興味を持ったのがシベリア帰りの読売新聞記者と現在もあるピアノ線会社の経営者が山形県天童市の同郷でどうも知り合いだったということ。このことに鋭敏な松本清張も感ずいて小説に書いている。推理するに読売新聞記者はシベリアから帰国時の諜報機関の面接でヒモがついた。読売入社も諜報機関の斡旋だろう。つまりスパイである。役割は情報操作である。つまり本筋からもっともらしい情報を出して逸らす、ciがよくやる情報操作である。下山を殺したのは特務機関だろ。
下山事件―最後の証言 Amazon書評・レビュー: 下山事件―最後の証言より
4396632525
No.27
(5pt)

得も言われぬ日本の保守層の本質を言い当てていて、とにかく面白い

「下山事件」は戦後史最大のミステリーといわれる。松本清張が「日本の黒い霧」で米国の謀略論を展開したがいまだに謎だらけ。戦後史の忘れがたい事件のひとつだ。
本書は、自分の親族が深くかかわったという著者が、関係者のなまなましい証言をもとに従来の定説をくつがえしている。その追求の過程もミステリーなみに面白い。特に、よく言われるようにGHQではなく当時潜行していたCIAの関与によるものという指摘や、実行犯は満鉄や731部隊などの満州国関係者だという指摘も新鮮。
新たな視点の中核は、事件の動機に関することである。従来説は、国鉄合理化(大量馘首)や共産党壊滅を狙いとしたGHQの謀略というものだが、著者は国鉄民営化をめぐって利権を守ろうと暴走した日本の保守層が真犯人だとほのめかしている。
なかでも、三菱財閥が米国鉄道資本や金融資本と結託して民営化後の国鉄を支配しようとしていたという指摘は斬新。下山総裁は技官あがりの正義漢で、この路線に沿って汚職や不正利権を告発しようとしていたので消されたとも示唆している。米資本浸透に抵抗した保守層を支援したのが、その米国のCIA。この流れは、CIAの資金提供と鉄道利権を政治資金としてのしあがった岸(元満州国革新官僚)やその実弟の佐藤(元鉄道省長官)による親米政権につながっていく。
強烈な反共親米でありながら利権確保のためには外資や自由化に徹底抵抗するという得も言われぬ日本の保守層の本質を言い当てていて感慨深い。
誰が犯人とも言わず、多数の人々の複雑な思惑が交錯したあげくの暴走・偶発をほのめかす結末にかえって事件の深刻さとリアリティを感じさせる。とにかく面白い。
下山事件―最後の証言 Amazon書評・レビュー: 下山事件―最後の証言より
4396632525
No.26
(4pt)

昭和20年代の日本

他の方のレビューにあるように、よい編集者がついて、もっと力量のある筆者なら、
素材を活かして、さらに確固とした構成で練られた本が出来上がっていたかもしれません。
それはさておいても、本書は本書で昭和20年代の日本を描きだしつつ、
そこに下山事件をおいてみせて、読ませられる本でした。
読み始めて、思いがけず一気に読み切ってしまいました。
最後、断定的に書ききるだけのものが著者には見つけられなかったのだとは思いますが、
やはり著者なりの結論をもっと端的に示して欲しかったなと
最後、ちょっと拍子抜けした面はあります。
白州次郎や昭和20年代の日本、そこから金と権力を掴みのし上がっていった人々の
本を次によみたくなりました。
下山事件―最後の証言 Amazon書評・レビュー: 下山事件―最後の証言より
4396632525
No.25
(5pt)

森氏の下山事件を先に読みました

森達也版から流れてきました。
下山事件は教科書でならったくらい、という私には森版も十分面白かったのですが
あそこでやめなくてよかった。柴田版を読んだ後には、森版はエッセイだったのか?と
思うほどです。
森版では結論までたどり着く前に著者が息切れするというひどい構成でしたが
こちらは、きちんと読者を納得させるだけの仮説(しかも新説)を提示してくれて
歴史ミステリーとしても陰謀説としても面白かったです。そしてかなり事実に近いのでは
ないかと思わせてくれました。事件からこれだけの時間が経っているので、真実だと
証明しろ、というのは厳しいかと思いますが、逆にこれだけ時間が経ってさまざまな
ジャーナリスト・小説家が題材にしつくしたテーマで新説を持ってきた実力に
感動です。時間が経ったからこそ書けたのかもしれなませんが、時間が経てば証言者も
減りますし 著者のいうとおりこの時期を逃したらこの説は誰も発表できなかったのかも
しれません。
当初は、それでも森氏のほうが文章はうまいな、次へ次へとひきつける文章の
書き方ができているなと思いましたが、途中から柴田氏の筆ものりはじめ、また
事実や仮説のおもしろさで後半一気にひっぱられました。ただ、前半がやや
退屈なのと人名や事件が次々出てきてわかりにくいので、全く事件をしらない人にとっては
「どういう事件で」「誰が登場して」「当時世間ではどういう風に扱われたのか」が
わかりにくいかもしれません。それを知るための準備として 森氏の【下山事件】を
準備運動的に読むと楽になると思います。
下山事件―最後の証言 Amazon書評・レビュー: 下山事件―最後の証言より
4396632525
No.24
(4pt)

素直に、読んだ。

とあるバンドの元ギタリストの方がブログで紹介なさってたので興味をもちまして。
下山事件にお詳しい人から真実に込み入ってないという批判が結構多く見受けられますが
わたしは事件があったことすら知らなかったので読み物として楽しみました。
このころの人たちは国鉄の総裁であれ、亜細亜産業の人たちであれ、
殺し殺される側に回って何かに必死になって死んでいった。
運命に翻弄されたかのように。
微温湯に浸かったまんまのわたしには絶対にわからない。
下山事件―最後の証言 Amazon書評・レビュー: 下山事件―最後の証言より
4396632525