還るべき場所

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評判

還るべき場所の評価:

4.53/5点 レビュー 49件。 C ランク

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平均点4.53pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全94件 21〜40 2/5ページ
No.74
(5pt)

主人公にとっての4年越しの解答

「山岳小説の名作」という評判に違わぬ作品であった。ラストに近づくに連れて、手に汗握るようなスリリングな展開を見せ、作品世界に引き込まれていった。
本作品で主に取り上げられるのは、ヒマラヤ8000m峰ブロードピークの公募登山での出来事であり、ヒマラヤ公募登山の実態や問題点が示されていて、興味深い内容だ。公募登山に関しては、金で登頂を買うなどの批判的な意見もあるが、作者は肯定的に取り扱っている。

主人公は、学生時代にK2東壁を登攀中に、恋人であり、ザイルパートナーでもある栗本聖美をロープの切断によって失った八代翔平。
翔平は、聖美がロープで宙吊りになった時に、翔平を助けるために自らロープを切断したのではないかという疑念を持ち続け、それ以降、山から遠ざかり、世捨て人同様の生活を送るが、学生時代の岳友、板倉亮太が企画するブロードピークの公募登山隊のサポート役で参加することになる。
それ以外の主要登場人物は、竹原充明と神津邦正。
竹原充明は学生時代にK2登山に参加しており、その際にメンバーの雪崩遭難を目撃し、それがトラウマとなって、登山から離れるが、勤務している会社の会長である神津の要請により、登山を再開し、その繋がりでブロードピーク公募登山隊に参加することになる。
神津邦正は心臓のペースメーカーを製造する会社の会長であり、自身もペースメーカーを装着しており、人生の夢として、8000m峰登頂を追求している。

ブロードピーク登山が開始されると、様々なトラブルに遭遇する。特に、自ら先行して登ろうとはせずに、他の登山隊が張った固定ロープを無断で使用したり、デポしてある酸素ボンベを盗んだりする、アルゼンチン三人組の存在が厄介。先行するアグレッシブ2007隊が悪天候に捕まって、救助が必要となるなど、次々と起こる障害や試練を、翔平たちは、勇気と決断で乗り越えていく。金銭を対価として契約でつながっているだけの公募隊が、一致団結して、危機を打破するようになっていく。第4キャンプへの下降中に、致命的とも言える事態が判明するが、それを打開する翔平のアイデアが実にすばらしい。

作中で、神津と竹原らが、山と人生に関わる問答を行っており、含蓄のある内容で、興味深い。
翔平にとっての4年越しの解答が得られ、背負い続けた負い目から解放されるラストも印象的だ。
還るべき場所 (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 還るべき場所 (文春文庫)より
4167684039
No.73
(5pt)

主人公にとっての4年越しの解答

「山岳小説の名作」という評判に違わぬ作品であった。ラストに近づくに連れて、手に汗握るようなスリリングな展開を見せ、作品世界に引き込まれていった。
本作品で主に取り上げられるのは、ヒマラヤ8000m峰ブロードピークの公募登山での出来事であり、ヒマラヤ公募登山の実態や問題点が示されていて、興味深い内容だ。公募登山に関しては、金で登頂を買うなどの批判的な意見もあるが、作者は肯定的に取り扱っている。

主人公は、学生時代にK2東壁を登攀中に、恋人であり、ザイルパートナーでもある栗本聖美をロープの切断によって失った八代翔平。
翔平は、聖美がロープで宙吊りになった時に、翔平を助けるために自らロープを切断したのではないかという疑念を持ち続け、それ以降、山から遠ざかり、世捨て人同様の生活を送るが、学生時代の岳友、板倉亮太が企画するブロードピークの公募登山隊のサポート役で参加することになる。
それ以外の主要登場人物は、竹原充明と神津邦正。
竹原充明は学生時代にK2登山に参加しており、その際にメンバーの雪崩遭難を目撃し、それがトラウマとなって、登山から離れるが、勤務している会社の会長である神津の要請により、登山を再開し、その繋がりでブロードピーク公募登山隊に参加することになる。
神津邦正は心臓のペースメーカーを製造する会社の会長であり、自身もペースメーカーを装着しており、人生の夢として、8000m峰登頂を追求している。

ブロードピーク登山が開始されると、様々なトラブルに遭遇する。特に、自ら先行して登ろうとはせずに、他の登山隊が張った固定ロープを無断で使用したり、デポしてある酸素ボンベを盗んだりする、アルゼンチン三人組の存在が厄介。先行するアグレッシブ2007隊が悪天候に捕まって、救助が必要となるなど、次々と起こる障害や試練を、翔平たちは、勇気と決断で乗り越えていく。金銭を対価として契約でつながっているだけの公募隊が、一致団結して、危機を打破するようになっていく。第4キャンプへの下降中に、致命的とも言える事態が判明するが、それを打開する翔平のアイデアが実にすばらしい。

作中で、神津と竹原らが、山と人生に関わる問答を行っており、含蓄のある内容で、興味深い。
翔平にとっての4年越しの解答が得られ、背負い続けた負い目から解放されるラストも印象的だ。
還るべき場所 Amazon書評・レビュー: 還るべき場所より
4163271201
No.72
(4pt)

人生の言葉がたんまり

テーマは山だが、人生に対する言葉がたくさんあり、勇気付けられました。
哲学的な表現も多く、著者の造詣の深さに驚かさせられます。
還るべき場所 (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 還るべき場所 (文春文庫)より
4167684039
No.71
(4pt)

人生の言葉がたんまり

テーマは山だが、人生に対する言葉がたくさんあり、勇気付けられました。
哲学的な表現も多く、著者の造詣の深さに驚かさせられます。
還るべき場所 Amazon書評・レビュー: 還るべき場所より
4163271201
No.70
(5pt)

再生と決着の物語

丁度パキスタンのフンザにいたとき、宿の本棚に置いてあったので場所的にピッタリだなと思い読んでみた。
自分が通ってきた道やこれからいく場所、近くの場所など聞きなれた地名が沢山出て来て、幸せな気分で読めた。日本で読むのとはまた違った感覚。
最初の設定はよく山岳小説にありがちな設定だったがそれが興味を惹いた。
勿論、結びも想像通りではあるが、そこまでのストーリーがとても力強い人間の生への力と圧倒的な自然の力との2つの力強さを感じ、そして得ることができた。この作品を思い出すとき、生への、人生においても力を得られる。特に会長の力強さを思い出す。お薦めです。
還るべき場所 (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 還るべき場所 (文春文庫)より
4167684039
No.69
(5pt)

再生と決着の物語

丁度パキスタンのフンザにいたとき、宿の本棚に置いてあったので場所的にピッタリだなと思い読んでみた。
自分が通ってきた道やこれからいく場所、近くの場所など聞きなれた地名が沢山出て来て、幸せな気分で読めた。日本で読むのとはまた違った感覚。
最初の設定はよく山岳小説にありがちな設定だったがそれが興味を惹いた。
勿論、結びも想像通りではあるが、そこまでのストーリーがとても力強い人間の生への力と圧倒的な自然の力との2つの力強さを感じ、そして得ることができた。この作品を思い出すとき、生への、人生においても力を得られる。特に会長の力強さを思い出す。お薦めです。
還るべき場所 Amazon書評・レビュー: 還るべき場所より
4163271201
No.68
(5pt)

再生と決着の物語

丁度パキスタンのフンザにいたとき、宿の本棚に置いてあったので場所的にピッタリだなと思い読んでみた。 自分が通ってきた道やこれからいく場所、近くの場所など聞きなれた地名が沢山出て来て、幸せな気分で読めた。 日本で読むのとはまた違った感覚。 最初の設定はよく山岳小説にありがちな設定だったがそれが興味を惹いた。 勿論、結びも想像通りではあるが、そこまでのストーリーがとても力強い人間の生への力と圧倒的な自然の力との2つの力強さを感じ、そして得ることができた。 この作品を思い出すとき、生への、人生においても力を得られる。 特に会長の力強さを思い出す。 お薦めです。
還るべき場所 (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 還るべき場所 (文春文庫)より
4167684039
No.67
(5pt)

再生と決着の物語

丁度パキスタンのフンザにいたとき、宿の本棚に置いてあったので場所的にピッタリだなと思い読んでみた。 自分が通ってきた道やこれからいく場所、近くの場所など聞きなれた地名が沢山出て来て、幸せな気分で読めた。 日本で読むのとはまた違った感覚。 最初の設定はよく山岳小説にありがちな設定だったがそれが興味を惹いた。 勿論、結びも想像通りではあるが、そこまでのストーリーがとても力強い人間の生への力と圧倒的な自然の力との2つの力強さを感じ、そして得ることができた。 この作品を思い出すとき、生への、人生においても力を得られる。 特に会長の力強さを思い出す。 お薦めです。
還るべき場所 Amazon書評・レビュー: 還るべき場所より
4163271201
No.66
(5pt)

研磨剤たれ、潤滑剤たれ! ~エベレスト3Dを彷彿

主に神津(前)会長と竹原、矢代との会話が印象に残った。 山に登る意味は何かと問われたら、それは分からないが、山に登ることで自分の何かが変わった、ということではないだろうか、というテーマが心に残った。 (アッセンダーも効いていた!) 笹本氏の著作は、春を背負って、未踏峰に続く三作目だが、これも早く映画化して欲しいと思った。 世の多くの登山家の純粋な心が沁みとおってくる佳作だったと思う。 そして、大量遭難に紙一重の恐怖は、映画エベレスト3Dを彷彿とさせて、緊張の連続でもあった。
還るべき場所 (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 還るべき場所 (文春文庫)より
4167684039
No.65
(5pt)

研磨剤たれ、潤滑剤たれ! ~エベレスト3Dを彷彿

主に神津(前)会長と竹原、矢代との会話が印象に残った。 山に登る意味は何かと問われたら、それは分からないが、山に登ることで自分の何かが変わった、ということではないだろうか、というテーマが心に残った。 (アッセンダーも効いていた!) 笹本氏の著作は、春を背負って、未踏峰に続く三作目だが、これも早く映画化して欲しいと思った。 世の多くの登山家の純粋な心が沁みとおってくる佳作だったと思う。 そして、大量遭難に紙一重の恐怖は、映画エベレスト3Dを彷彿とさせて、緊張の連続でもあった。
還るべき場所 Amazon書評・レビュー: 還るべき場所より
4163271201
No.64
(1pt)

冒険物やサスペンスで笹本稜平にはまった者は、買う前に注意が必要

「太平洋の薔薇」「サハラ」「駐在刑事」など、冒険小説やサスペンス物から笹本稜平の書く作品にはまった者には、余りにも山岳小説に傾き過ぎて、まるで楽しめない作品。 苦労して読了した後、山登りの好きな友達に無料で譲った。 笹本稜平の新作なら内容を確かめずに買えてたのが、この作品で初めて挫折感を味わった。 山登りが好きな人以外は、手を出してはいけない作品。
還るべき場所 (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 還るべき場所 (文春文庫)より
4167684039
No.63
(1pt)

冒険物やサスペンスで笹本稜平にはまった者は、買う前に注意が必要

「太平洋の薔薇」「サハラ」「駐在刑事」など、冒険小説やサスペンス物から笹本稜平の書く作品にはまった者には、余りにも山岳小説に傾き過ぎて、まるで楽しめない作品。 苦労して読了した後、山登りの好きな友達に無料で譲った。 笹本稜平の新作なら内容を確かめずに買えてたのが、この作品で初めて挫折感を味わった。 山登りが好きな人以外は、手を出してはいけない作品。
還るべき場所 Amazon書評・レビュー: 還るべき場所より
4163271201
No.62
(5pt)

小説だと思って舐めていました。

こういう山や冒険ものは、やはりノンフィクションじゃないと鬼気迫る読書体験はできない。
そんな理由から山岳小説には手を出さないでいたのですが、たまたま手を伸ばしたこの作品は、意外にもとてつもなく面白かったです。

読後感としては、
「続編があればぜひ読みたい! でも、こういう結末、終わり方だからこそ面白いのか」
そんな気持ちになる作品でした。
最後の200ページあたりからは、ハラハラも伴って小休止もなしに読み進みました。
ボキャブラリーが豊富なわりに、全体を通してとても読みやすいのも一因だと思います。

また、登場人物・神津の言葉からは作者・笹本氏のメッセージとも汲み取れる熱いものを感じました。

ただ最後に難をつけていいのなら、終章のテンポが速すぎる気がしました。
また後日談も少なく、それぞれ濃い味を出していたメンバーのその後がとても気になります。
例の三人組、神津の会社のその後、竹原のその後の仕事などなど。
読後の想像が開放的過ぎて、あと少しだけ締めて欲しかったかもしれません。
ただ、それでもめちゃくちゃ楽しかったです(笑)。
還るべき場所 (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 還るべき場所 (文春文庫)より
4167684039
No.61
(5pt)

小説だと思って舐めていました。

こういう山や冒険ものは、やはりノンフィクションじゃないと鬼気迫る読書体験はできない。
そんな理由から山岳小説には手を出さないでいたのですが、たまたま手を伸ばしたこの作品は、意外にもとてつもなく面白かったです。

読後感としては、
「続編があればぜひ読みたい! でも、こういう結末、終わり方だからこそ面白いのか」
そんな気持ちになる作品でした。
最後の200ページあたりからは、ハラハラも伴って小休止もなしに読み進みました。
ボキャブラリーが豊富なわりに、全体を通してとても読みやすいのも一因だと思います。

また、登場人物・神津の言葉からは作者・笹本氏のメッセージとも汲み取れる熱いものを感じました。

ただ最後に難をつけていいのなら、終章のテンポが速すぎる気がしました。
また後日談も少なく、それぞれ濃い味を出していたメンバーのその後がとても気になります。
例の三人組、神津の会社のその後、竹原のその後の仕事などなど。
読後の想像が開放的過ぎて、あと少しだけ締めて欲しかったかもしれません。
ただ、それでもめちゃくちゃ楽しかったです(笑)。
還るべき場所 Amazon書評・レビュー: 還るべき場所より
4163271201
No.60
(5pt)

この本は、最後があっさりしているが

この人の小説は、登山に関することも読みごたえがありますが、
登場人物の人間関係、それぞれの思いなど、内面に関することでも
ぐんぐん迫ってきます。引き込まれる文章です
還るべき場所 (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 還るべき場所 (文春文庫)より
4167684039
No.59
(5pt)

この本は、最後があっさりしているが

この人の小説は、登山に関することも読みごたえがありますが、
登場人物の人間関係、それぞれの思いなど、内面に関することでも
ぐんぐん迫ってきます。引き込まれる文章です
還るべき場所 Amazon書評・レビュー: 還るべき場所より
4163271201
No.58
(4pt)

ヒロインに問題あり。

山のことを全く知らないので、用語についていけませんでした。最初の20ページくらいで挫折しかけました。
総じて良かったのですが、聖美が【善意に満ちあふれたお騒がせ人】に思えて好きになれなかったのがマイナスでした。
気の強い女性がどうも嫌いなので。
神津さんはとても素晴らしい方。
還るべき場所 (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 還るべき場所 (文春文庫)より
4167684039
No.57
(4pt)

ヒロインに問題あり。

山のことを全く知らないので、用語についていけませんでした。最初の20ページくらいで挫折しかけました。
総じて良かったのですが、聖美が【善意に満ちあふれたお騒がせ人】に思えて好きになれなかったのがマイナスでした。
気の強い女性がどうも嫌いなので。
神津さんはとても素晴らしい方。
還るべき場所 Amazon書評・レビュー: 還るべき場所より
4163271201
No.56
(5pt)

心を閉ざした若き孤高のクライマーにとっても、伝説の経営者にとっても、そこはやはり還るべき場所だった。迫真の山岳描写、極限の中で展開する傑作山岳冒険小説。

笹本稜平さんの本を読むのは、「未踏峰」に続いて2作目です。
「未踏峰」も面白かったけど、本作の方が断然に完成度は高いですね。

山と出会い、そこで共に命を預ける仲間と出会い、あまりにも激しく駆け抜けた十代後半から二十代前半の日々。
翔平は、ヒマラヤの難壁ルートをいくつも攻略し、世界レベルのクライマーにのし上がり、「これから」と言うときに最愛のパートナー聖美を世界2位の高峰K2登攀中に失う。
そのことで自責の念に駆られ、すっかり山から遠ざかり、心を閉ざした日々を送る。

その翔平を現世に引きずり出したのは、クライマー仲間の親友であり、登山ツアーの会社を起業した亮太だった。
亮太は、世界12位の高峰、ヒマラヤのブロードピークに一般登山客を登頂させるツアーの山岳ガイドとして、すっかり人間嫌いになった翔平を引っ張り込む。

「大名旅行のヒマラヤツアー」に違和感を覚える翔平の前に、一代で上場医療機器メーカーを興した伝説の経営者神津と、やはりK2での悪夢の体験を持つ神津の秘書竹原が現れる。ツアーに参加するのだと言う。
功成り名を遂げた神津が、リスクの高いヒマラヤ登山に挑戦するのは、何故だったのか。

そしてお話は、後半K2のベースキャンプ周辺に場所を移す。

ずっと「自分と限られた仲間たちが誰よりも早く登頂できればよい」という思いで生きて来た翔平。
だが、彼の忌避する企業社会に属するツアー客たち、そして企業社会の成功者でありながら誰よりも強いクライマー魂を持つ神津、かつての聖美を知る心優しい現地ガイドの連中や、かつて共に壁に挑んだ海外のクライマー仲間との触れ合いの中で、だんだん心を開き、「この人たちを何としても頂に登らせたい」という気持ちに目覚め、山岳ガイドの職責を越えたリーダーシップを発揮するようになる。

やがてブロードピークへのアタックを開始し、順調に進んでいた彼らの前に立ちはだかったのは、穏やかな表情の奥に隠された山の悪魔だった。。。。
高度8000m、吹き荒れる暴風雪の極限状態での息詰まる攻防は、ページを繰る手を止められない。

生死を共にした仲間、最愛のパートナーを失い、そこから出てくるまで4年の日々を要した翔平の気持ち。すごくよく判ります。
名声も金も手にした神津がなぜヒマラヤの高峰に登らなければならないか。今後も登るのか。登るでしょう、今までの企業家人生を捨てでも行きたい、それが山というものだから。
そしてあの日聖美が落下した理由、その後に起きていた奇跡。きっとそうです、彼女はやったんです、たった一人で。

ということで、迫真の山岳描写、登場人物の心の動きもとてもきめ細かく描かれていて大満足。
日本アルプスすらあまり行ったことがないのに、この本を読むと、真面目にヒマラヤ行ってみたくなりますね。
還るべき場所 (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 還るべき場所 (文春文庫)より
4167684039
No.55
(5pt)

心を閉ざした若き孤高のクライマーにとっても、伝説の経営者にとっても、そこはやはり還るべき場所だった。迫真の山岳描写、極限の中で展開する傑作山岳冒険小説。

笹本稜平さんの本を読むのは、「未踏峰」に続いて2作目です。
「未踏峰」も面白かったけど、本作の方が断然に完成度は高いですね。

山と出会い、そこで共に命を預ける仲間と出会い、あまりにも激しく駆け抜けた十代後半から二十代前半の日々。
翔平は、ヒマラヤの難壁ルートをいくつも攻略し、世界レベルのクライマーにのし上がり、「これから」と言うときに最愛のパートナー聖美を世界2位の高峰K2登攀中に失う。
そのことで自責の念に駆られ、すっかり山から遠ざかり、心を閉ざした日々を送る。

その翔平を現世に引きずり出したのは、クライマー仲間の親友であり、登山ツアーの会社を起業した亮太だった。
亮太は、世界12位の高峰、ヒマラヤのブロードピークに一般登山客を登頂させるツアーの山岳ガイドとして、すっかり人間嫌いになった翔平を引っ張り込む。

「大名旅行のヒマラヤツアー」に違和感を覚える翔平の前に、一代で上場医療機器メーカーを興した伝説の経営者神津と、やはりK2での悪夢の体験を持つ神津の秘書竹原が現れる。ツアーに参加するのだと言う。
功成り名を遂げた神津が、リスクの高いヒマラヤ登山に挑戦するのは、何故だったのか。

そしてお話は、後半K2のベースキャンプ周辺に場所を移す。

ずっと「自分と限られた仲間たちが誰よりも早く登頂できればよい」という思いで生きて来た翔平。
だが、彼の忌避する企業社会に属するツアー客たち、そして企業社会の成功者でありながら誰よりも強いクライマー魂を持つ神津、かつての聖美を知る心優しい現地ガイドの連中や、かつて共に壁に挑んだ海外のクライマー仲間との触れ合いの中で、だんだん心を開き、「この人たちを何としても頂に登らせたい」という気持ちに目覚め、山岳ガイドの職責を越えたリーダーシップを発揮するようになる。

やがてブロードピークへのアタックを開始し、順調に進んでいた彼らの前に立ちはだかったのは、穏やかな表情の奥に隠された山の悪魔だった。。。。
高度8000m、吹き荒れる暴風雪の極限状態での息詰まる攻防は、ページを繰る手を止められない。

生死を共にした仲間、最愛のパートナーを失い、そこから出てくるまで4年の日々を要した翔平の気持ち。すごくよく判ります。
名声も金も手にした神津がなぜヒマラヤの高峰に登らなければならないか。今後も登るのか。登るでしょう、今までの企業家人生を捨てでも行きたい、それが山というものだから。
そしてあの日聖美が落下した理由、その後に起きていた奇跡。きっとそうです、彼女はやったんです、たった一人で。

ということで、迫真の山岳描写、登場人物の心の動きもとてもきめ細かく描かれていて大満足。
日本アルプスすらあまり行ったことがないのに、この本を読むと、真面目にヒマラヤ行ってみたくなりますね。
還るべき場所 Amazon書評・レビュー: 還るべき場所より
4163271201