ねじまき鳥クロニクル 第3部 鳥刺し男編

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ねじまき鳥クロニクル 第3部 鳥刺し男編の評価:

4.08/5点 レビュー 132件。 B ランク

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平均点4.08pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全204件 101〜120 6/11ページ
No.104
(4pt)

救い

主人公は本当に正しい思考をしているのか問答を行い、物語は終幕を迎えます。人は無意識下で救われる事を望み、誰かに救いの手を差し伸べてもらう事を心の奥底に抱いているのかもしれません…。
「そうね?そしてあなたはその過程でいろんな人たちを救った。でもあなたは自分自身を救うことはできなかった。そして他の誰も、あなたを救うことはできなかった。あなたは誰か別の人たちを救うことで力と運命を使い果たしてしまったのよ。その種は一粒残らず、どこかべつの場所に蒔かれてしまった。袋の中にはもう何も残ってはいない。そんな不公平なことってないわよね」
ねじまき鳥クロニクル〈第3部〉―鳥刺し男編 Amazon書評・レビュー: ねじまき鳥クロニクル〈第3部〉―鳥刺し男編より
4103534052
No.103
(4pt)

救い

主人公は本当に正しい思考をしているのか問答を行い、物語は終幕を迎えます。人は無意識下で救われる事を望み、誰かに救いの手を差し伸べてもらう事を心の奥底に抱いているのかもしれません…。
「そうね?そしてあなたはその過程でいろんな人たちを救った。でもあなたは自分自身を救うことはできなかった。そして他の誰も、あなたを救うことはできなかった。あなたは誰か別の人たちを救うことで力と運命を使い果たしてしまったのよ。その種は一粒残らず、どこかべつの場所に蒔かれてしまった。袋の中にはもう何も残ってはいない。そんな不公平なことってないわよね」
ねじまき鳥クロニクル〈第3部〉鳥刺し男編 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: ねじまき鳥クロニクル〈第3部〉鳥刺し男編 (新潮文庫)より
410100143X
No.102
(4pt)

きっとまた読み返してしまうだろう

とにかく長くて難解なストーリーだ。
最後にたどり着くまでに何度も「やれやれ」と思う。
クリーニングに出しておいたワンピースとともに突然姿を消した妻を探し、岡田トオルの果てしない苦闘が始まる。
その妻探しの過程で幾度となく登場し、行く手を阻むのが義兄の綿谷ノボル。
学者にして、その後衆議院議員となる彼はまったくつかみ所がないが、読む者の心の奥になにやら「イヤ」な感じを残し続ける。
家の裏にある路地を抜け、空き家の井戸に降りるところから物語は様々な方面に波及し、つながっていく。
空き家の向かいに住む笠原メイ。
いなくなった猫を探す加納マルタと妹のクレタ。
預言者の本田さんとノモンハンで一緒だった間宮中尉。
謎の事業を行なうナツメグと話すことが出来ないシナモン。
長編かつ展開が複雑であるために、何度読んでもこの物語の主題がわからない。
間宮中尉から送られてくる長い長い手紙は、何を暗示しているのだ。
井戸の中と右頬に出来たアザには何の関係があるのか。
ギターを持った男とバットと綿谷ノボルに何の関係があるのか。
最後にはすべてのツジツマが合うかのように物語は終わる。
そして、読んだ者の心の中にはある種のうまく説明できない違和感が残る。
いつかまた読んでみたら、ふと謎が解けるのではないかと考えてしまう。
何か重要なことを読み落としているのではないか、と不安になる。
こんな気分になるのは村上春樹の作品の中で「ねじまき鳥」だけである。
きっといつかまた読み返してしまう。
ねじまき鳥クロニクル〈第3部〉―鳥刺し男編 Amazon書評・レビュー: ねじまき鳥クロニクル〈第3部〉―鳥刺し男編より
4103534052
No.101
(4pt)

きっとまた読み返してしまうだろう

とにかく長くて難解なストーリーだ。
最後にたどり着くまでに何度も「やれやれ」と思う。
クリーニングに出しておいたワンピースとともに突然姿を消した妻を探し、岡田トオルの果てしない苦闘が始まる。
その妻探しの過程で幾度となく登場し、行く手を阻むのが義兄の綿谷ノボル。
学者にして、その後衆議院議員となる彼はまったくつかみ所がないが、読む者の心の奥になにやら「イヤ」な感じを残し続ける。
家の裏にある路地を抜け、空き家の井戸に降りるところから物語は様々な方面に波及し、つながっていく。
空き家の向かいに住む笠原メイ。
いなくなった猫を探す加納マルタと妹のクレタ。
預言者の本田さんとノモンハンで一緒だった間宮中尉。
謎の事業を行なうナツメグと話すことが出来ないシナモン。
長編かつ展開が複雑であるために、何度読んでもこの物語の主題がわからない。
間宮中尉から送られてくる長い長い手紙は、何を暗示しているのだ。
井戸の中と右頬に出来たアザには何の関係があるのか。
ギターを持った男とバットと綿谷ノボルに何の関係があるのか。
最後にはすべてのツジツマが合うかのように物語は終わる。
そして、読んだ者の心の中にはある種のうまく説明できない違和感が残る。
いつかまた読んでみたら、ふと謎が解けるのではないかと考えてしまう。
何か重要なことを読み落としているのではないか、と不安になる。
こんな気分になるのは村上春樹の作品の中で「ねじまき鳥」だけである。
きっといつかまた読み返してしまう。
ねじまき鳥クロニクル〈第3部〉鳥刺し男編 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: ねじまき鳥クロニクル〈第3部〉鳥刺し男編 (新潮文庫)より
410100143X
No.100
(4pt)

圧倒的な暴力

妻がひとことの理由も言わず家出するという夫への精神的「暴力」、男が女を犯す「暴力」、子供が子供をいじめるという弱い者からさらに弱い者へと向かう「暴力」、終局的には殺人に繋がる戦争の中の「暴力」、傷つけられた者がバットを持って立ち上がる正義の意味合いを帯びた「暴力」、そして正義側の人物の心底にもある、人を思い切りこらしめてやりたいという本能的「暴力」……。
本作では、現代で考えうるかぎりの、ありとあらゆる暴力が描かれる。種々雑多な暴力をストーリー的につなぐキーワードが、前作『ノルウェーの森』にも描かれた「井戸」だ。主人公の「ぼく」は、空き家となった近所の家の庭に空井戸を発見し、そこに潜って、「もうひとりの僕」に出会う。半世紀以上も昔のノモンハン戦争で日本兵が放り込まれた井戸と、現代の井戸が繋がる。蓋を閉めれば井戸の底は闇だが、開ければ夜なら月光が差し込み、昼ならばまぶしいほどの光が井戸底に満ちる。その光は、闇との対比により、ページが真っ白く見えるほどの明るさを以って読む者を照らす。
だが、底にいる僕は、手を延ばして井戸の蓋を開け閉めすることはない。他者が閉めたり開けたりするのを待つだけだ。自分では何もできないで井戸底にいるだけの「僕」の心情こそ、現代で誰もが受けている暴力に近いのではないかと思えた。
サカキバラ事件以降、たくさんの作家が暴力をテーマにフィクションを書いたけれども、畢竟、それらは上にあげた無類の暴力の「ひとつ」に過ぎないかったのかもしれない。すべての暴力を統括して一冊の中でつなげようという作者の執念に驚きました。手法としてはジョン・アーヴィングに似ているけれども、テーマが圧倒的に暗いので、読み進むのに、アーヴィングよりはるかに時間がかかるのは確か。
考えてみれば、ここに描かれた暴力をひとつひとつに分解すれば、一冊ずつの本になる。子供のイジメだけでも十分一冊になるし。
「創作する者は、出し惜しみしてはいけない。一作に自分のすべてを込める。そうすれば、自分は空になることができ、また、次の作品を創ることができる」
 誰かがそのように言っていたのは、こういうことだったのかと、本作を読んで痛感した。
 悩みの果てに唐突に救われてしまうなど、甘いところもあるけれど(しかしそれがなければ本作は救われなかったと思う)、ものをつくる人ならぜひ読んでおくべき本だと思う。
 90年代に書かれた本なので、現代を席捲する、バーチャル世界から受ける暴力(ネットなど)は描かれていない。それが含まれればリメイクも可能なくらい、普遍性をもった作品だと思います。
ねじまき鳥クロニクル〈第3部〉―鳥刺し男編 Amazon書評・レビュー: ねじまき鳥クロニクル〈第3部〉―鳥刺し男編より
4103534052
No.99
(4pt)

圧倒的な暴力

妻がひとことの理由も言わず家出するという夫への精神的「暴力」、男が女を犯す「暴力」、子供が子供をいじめるという弱い者からさらに弱い者へと向かう「暴力」、終局的には殺人に繋がる戦争の中の「暴力」、傷つけられた者がバットを持って立ち上がる正義の意味合いを帯びた「暴力」、そして正義側の人物の心底にもある、人を思い切りこらしめてやりたいという本能的「暴力」……。
本作では、現代で考えうるかぎりの、ありとあらゆる暴力が描かれる。種々雑多な暴力をストーリー的につなぐキーワードが、前作『ノルウェーの森』にも描かれた「井戸」だ。主人公の「ぼく」は、空き家となった近所の家の庭に空井戸を発見し、そこに潜って、「もうひとりの僕」に出会う。半世紀以上も昔のノモンハン戦争で日本兵が放り込まれた井戸と、現代の井戸が繋がる。蓋を閉めれば井戸の底は闇だが、開ければ夜なら月光が差し込み、昼ならばまぶしいほどの光が井戸底に満ちる。その光は、闇との対比により、ページが真っ白く見えるほどの明るさを以って読む者を照らす。
だが、底にいる僕は、手を延ばして井戸の蓋を開け閉めすることはない。他者が閉めたり開けたりするのを待つだけだ。自分では何もできないで井戸底にいるだけの「僕」の心情こそ、現代で誰もが受けている暴力に近いのではないかと思えた。
サカキバラ事件以降、たくさんの作家が暴力をテーマにフィクションを書いたけれども、畢竟、それらは上にあげた無類の暴力の「ひとつ」に過ぎないかったのかもしれない。すべての暴力を統括して一冊の中でつなげようという作者の執念に驚きました。手法としてはジョン・アーヴィングに似ているけれども、テーマが圧倒的に暗いので、読み進むのに、アーヴィングよりはるかに時間がかかるのは確か。
考えてみれば、ここに描かれた暴力をひとつひとつに分解すれば、一冊ずつの本になる。子供のイジメだけでも十分一冊になるし。
「創作する者は、出し惜しみしてはいけない。一作に自分のすべてを込める。そうすれば、自分は空になることができ、また、次の作品を創ることができる」
 誰かがそのように言っていたのは、こういうことだったのかと、本作を読んで痛感した。
 悩みの果てに唐突に救われてしまうなど、甘いところもあるけれど(しかしそれがなければ本作は救われなかったと思う)、ものをつくる人ならぜひ読んでおくべき本だと思う。
 90年代に書かれた本なので、現代を席捲する、バーチャル世界から受ける暴力(ネットなど)は描かれていない。それが含まれればリメイクも可能なくらい、普遍性をもった作品だと思います。
ねじまき鳥クロニクル〈第3部〉鳥刺し男編 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: ねじまき鳥クロニクル〈第3部〉鳥刺し男編 (新潮文庫)より
410100143X
No.98
(5pt)

今までに味わったことのない読後感。大満足。

前から村上春樹という作家に興味は持っていたのですが、
今回始めてこの作品を読んでみて、最終的に、3巻読了後、
今まで味わったことのない、深い満足感を味わいました。
この小説の主人公は、自分の内面に深く深く、これ異常ないほどに入り込むことによって、
自分を取り巻くカオス(混沌)を解決しようと試み、全面解決とは行かなくても、
外に現れている現実、事象を変えることに成功する。
世の中には、こんな考え方、物事の捉えかた、因果関係の捉えかたをする人がいるんだ、
少なくとも虚構としてであっても、人の内面の世界と、外側の世界には、何らかの因果関係があって、
人の内面の世界はすべてつながっていて、内面が変わると、即座に外的環境も変わる、という何らかの法則を表現しているのかな?と感じました。ジェームズ・アレンの『原因と結果の法則』のように。
少なくともそういう見方ができる人、そういう考え方に慣れ親しんでいる人には、この作品は、
充分に楽しめる本であると思います。
僕はこの作品を読んで、この世の中も、まだまだ捨てたもんじゃないな、と思いました。
こういう小説を書ける人がいるだけで、この日本、この世界もまだまだ懐が深いな、と感じました。
そして、ところどころに出てくる、満州での兵役中の衝撃的な回想録が、真に迫ってきて、
現実味があり、引き込まれました。シベリア抑留についてや、満州での日本兵の中国人虐殺についてなど、
もっと知りたい、という気にさせられました。
全体の満足度としては、1,2巻目は60%で、3巻目読了後に120%に到達。
最後の最後に謎か解ける、というパターンですね。
ねじまき鳥クロニクル〈第3部〉―鳥刺し男編 Amazon書評・レビュー: ねじまき鳥クロニクル〈第3部〉―鳥刺し男編より
4103534052
No.97
(5pt)

今までに味わったことのない読後感。大満足。

前から村上春樹という作家に興味は持っていたのですが、
今回始めてこの作品を読んでみて、最終的に、3巻読了後、
今まで味わったことのない、深い満足感を味わいました。
この小説の主人公は、自分の内面に深く深く、これ異常ないほどに入り込むことによって、
自分を取り巻くカオス(混沌)を解決しようと試み、全面解決とは行かなくても、
外に現れている現実、事象を変えることに成功する。
世の中には、こんな考え方、物事の捉えかた、因果関係の捉えかたをする人がいるんだ、
少なくとも虚構としてであっても、人の内面の世界と、外側の世界には、何らかの因果関係があって、
人の内面の世界はすべてつながっていて、内面が変わると、即座に外的環境も変わる、という何らかの法則を表現しているのかな?と感じました。ジェームズ・アレンの『原因と結果の法則』のように。
少なくともそういう見方ができる人、そういう考え方に慣れ親しんでいる人には、この作品は、
充分に楽しめる本であると思います。
僕はこの作品を読んで、この世の中も、まだまだ捨てたもんじゃないな、と思いました。
こういう小説を書ける人がいるだけで、この日本、この世界もまだまだ懐が深いな、と感じました。
そして、ところどころに出てくる、満州での兵役中の衝撃的な回想録が、真に迫ってきて、
現実味があり、引き込まれました。シベリア抑留についてや、満州での日本兵の中国人虐殺についてなど、
もっと知りたい、という気にさせられました。
全体の満足度としては、1,2巻目は60%で、3巻目読了後に120%に到達。
最後の最後に謎か解ける、というパターンですね。
ねじまき鳥クロニクル〈第3部〉鳥刺し男編 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: ねじまき鳥クロニクル〈第3部〉鳥刺し男編 (新潮文庫)より
410100143X
No.96
(4pt)

ねじまき鳥を読んで

読んでいくと、物語のせかいへ、入り込みます。
表現の仕方が好きです。
ねじまき鳥クロニクル〈第3部〉―鳥刺し男編 Amazon書評・レビュー: ねじまき鳥クロニクル〈第3部〉―鳥刺し男編より
4103534052
No.95
(4pt)

ねじまき鳥を読んで

読んでいくと、物語のせかいへ、入り込みます。
表現の仕方が好きです。
ねじまき鳥クロニクル〈第3部〉鳥刺し男編 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: ねじまき鳥クロニクル〈第3部〉鳥刺し男編 (新潮文庫)より
410100143X
No.94
(5pt)

兄の歪んだ欲動に魅入られた妹とその夫の愛と孤独な闘いと救済の物語

この3部作に出会えたことで、現在or未来の夫婦が例え一握りでも、離婚という形を取らず、また形骸化した夫婦関係でなく、お互いを支え愛し合える夫婦でいられたなら、小説とは何と大きな力を持ち得るのでしょう。
ある種の人間が持ち得てしまう歪んだ欲動、それは本書の第2次大戦中のソ連の将校・皮剥ぎボリスの欲動であり、自らの妹(主人公の妻の姉)を少女期に死に追い込み、更にその妹(主人公の妻)をそのsurrealな力で性的な方向感覚を狂わせて心身を破壊する兄(ワタヤノボル)が持つ欲動。そしてその歪んだ欲動に魅入られ絶望的な状況に追い込まれる夫婦。
そんな中、弁護士事務所で便利屋として働いていた負け組足る夫(=主人公=オカダトオル)が、エリート一家にあって孤独感を抱えながら育った妻(クミコ)への果てなき愛、何が起こっても何を言われても信じて疑おうとしない自らへの妻の愛、そして自らの力、それらを信じ、底知れぬ遠い暗闇の世界から妻を救い出す物語。
私は本書を読み初めて自らの罪の本当の深さと意味を、そしてそれが取り返しのつかないことを悟りました。もっと早く本書に出会っていれば主人公が妻を救い得たように私のそれもまた違っていたのかも知れません。この救済の物語に出会い、一組でも多くの現在or未来の夫婦が救済されることを願ってやみません。それはまた村上さんの意思でもあるように思えるのです。
ねじまき鳥クロニクル〈第3部〉―鳥刺し男編 Amazon書評・レビュー: ねじまき鳥クロニクル〈第3部〉―鳥刺し男編より
4103534052
No.93
(5pt)

兄の歪んだ欲動に魅入られた妹とその夫の愛と孤独な闘いと救済の物語

この3部作に出会えたことで、現在or未来の夫婦が例え一握りでも、離婚という形を取らず、また形骸化した夫婦関係でなく、お互いを支え愛し合える夫婦でいられたなら、小説とは何と大きな力を持ち得るのでしょう。
ある種の人間が持ち得てしまう歪んだ欲動、それは本書の第2次大戦中のソ連の将校・皮剥ぎボリスの欲動であり、自らの妹(主人公の妻の姉)を少女期に死に追い込み、更にその妹(主人公の妻)をそのsurrealな力で性的な方向感覚を狂わせて心身を破壊する兄(ワタヤノボル)が持つ欲動。そしてその歪んだ欲動に魅入られ絶望的な状況に追い込まれる夫婦。
そんな中、弁護士事務所で便利屋として働いていた負け組足る夫(=主人公=オカダトオル)が、エリート一家にあって孤独感を抱えながら育った妻(クミコ)への果てなき愛、何が起こっても何を言われても信じて疑おうとしない自らへの妻の愛、そして自らの力、それらを信じ、底知れぬ遠い暗闇の世界から妻を救い出す物語。
私は本書を読み初めて自らの罪の本当の深さと意味を、そしてそれが取り返しのつかないことを悟りました。もっと早く本書に出会っていれば主人公が妻を救い得たように私のそれもまた違っていたのかも知れません。この救済の物語に出会い、一組でも多くの現在or未来の夫婦が救済されることを願ってやみません。それはまた村上さんの意思でもあるように思えるのです。
ねじまき鳥クロニクル〈第3部〉鳥刺し男編 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: ねじまき鳥クロニクル〈第3部〉鳥刺し男編 (新潮文庫)より
410100143X
No.92
(5pt)

現代日本文学の至宝

期待感のない小説だ。ノーベル賞をとっても驚きはしないからだ。また読みおえた人を不幸にする小説だ。これよりよいものにめぐりあうことは今後そうないと思えるからだ。それ以外けなしようがないほどの大傑作。これ一冊で村上春樹の偉大さが十分わかる。
奇妙な鳥の声に気づくと間もなく愛猫が姿を消す。主人公岡田トオルの平凡な日常は徐々に変貌し、ついに妻クミコまで謎の失踪をとげる。何かが狂ってしまったなら、もとに戻すしかない。ねじまき鳥の声が止まると、岡田トオルの静かな戦いが始まった。行く手を阻むは綿谷ノボルほかに象徴される悪。時空をこえ世界を支配する強大な敵だ。普通人、岡田トオルは、はたして勝てるか。だが魂の彷徨を続けるなか、彼は多くの人にめぐりあい、学び、力をつけていく。登場人物、エピソードはそれぞれが深い洞察に満ちたメタファーだ。複雑なこの世のすべてが記されているといっていい。さまざまに読みとけるだろうし、それ自体また楽しい。この本の魅力を語るだけで分厚い本が書けるだろうし、事実、出版されている。
一見シュールで難解だが、愛するものを奪還すべく悪と戦うシンプルさが核。古典的で普遍的なテーマを追求した清々しい物語だ。多くの読者をひきつけてやまないゆえんだろう。意味不明だがとにかくこの話が好きという人が多いのは、頭ではなく魂で読む優れた読者をそれだけとりこにしているあかしだ。
物語同様、簡潔な文章は、澄明で流麗。だから読みやすい。これからもより多くの人に愛されることを願う。
ねじまき鳥クロニクル〈第3部〉―鳥刺し男編 Amazon書評・レビュー: ねじまき鳥クロニクル〈第3部〉―鳥刺し男編より
4103534052
No.91
(5pt)

現代日本文学の至宝

期待感のない小説だ。ノーベル賞をとっても驚きはしないからだ。また読みおえた人を不幸にする小説だ。これよりよいものにめぐりあうことは今後そうないと思えるからだ。それ以外けなしようがないほどの大傑作。これ一冊で村上春樹の偉大さが十分わかる。
奇妙な鳥の声に気づくと間もなく愛猫が姿を消す。主人公岡田トオルの平凡な日常は徐々に変貌し、ついに妻クミコまで謎の失踪をとげる。何かが狂ってしまったなら、もとに戻すしかない。ねじまき鳥の声が止まると、岡田トオルの静かな戦いが始まった。行く手を阻むは綿谷ノボルほかに象徴される悪。時空をこえ世界を支配する強大な敵だ。普通人、岡田トオルは、はたして勝てるか。だが魂の彷徨を続けるなか、彼は多くの人にめぐりあい、学び、力をつけていく。登場人物、エピソードはそれぞれが深い洞察に満ちたメタファーだ。複雑なこの世のすべてが記されているといっていい。さまざまに読みとけるだろうし、それ自体また楽しい。この本の魅力を語るだけで分厚い本が書けるだろうし、事実、出版されている。
一見シュールで難解だが、愛するものを奪還すべく悪と戦うシンプルさが核。古典的で普遍的なテーマを追求した清々しい物語だ。多くの読者をひきつけてやまないゆえんだろう。意味不明だがとにかくこの話が好きという人が多いのは、頭ではなく魂で読む優れた読者をそれだけとりこにしているあかしだ。
物語同様、簡潔な文章は、澄明で流麗。だから読みやすい。これからもより多くの人に愛されることを願う。
ねじまき鳥クロニクル〈第3部〉鳥刺し男編 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: ねじまき鳥クロニクル〈第3部〉鳥刺し男編 (新潮文庫)より
410100143X
No.90
(4pt)

初村上春樹

とても壮大で複雑怪奇で取り留めのないような作品ですが実は色々なことが絡み合いリンクしているんだなと思いました。よく読んでいけばヒントが隠されていたりしますし。でもそのヒントも読み手によって違うし感じ方も違うんじゃないかと思います。でもそういう作品なんだと思いました。多くの謎を謎(一般的にみれば)のまま終わらせているのもそのためじゃないかと思いました。一回読んだくらいじゃまだほんの一部を触ったくらいなのかなとも思いました。日常はえてして非日常にすぐ飲み込まれるんだなってすごく感じましたしとりあえず登場人物が味のあるキャラばかりで作風も好きでした。
ねじまき鳥クロニクル〈第3部〉―鳥刺し男編 Amazon書評・レビュー: ねじまき鳥クロニクル〈第3部〉―鳥刺し男編より
4103534052
No.89
(4pt)

初村上春樹

とても壮大で複雑怪奇で取り留めのないような作品ですが実は色々なことが絡み合いリンクしているんだなと思いました。よく読んでいけばヒントが隠されていたりしますし。でもそのヒントも読み手によって違うし感じ方も違うんじゃないかと思います。でもそういう作品なんだと思いました。多くの謎を謎(一般的にみれば)のまま終わらせているのもそのためじゃないかと思いました。一回読んだくらいじゃまだほんの一部を触ったくらいなのかなとも思いました。日常はえてして非日常にすぐ飲み込まれるんだなってすごく感じましたしとりあえず登場人物が味のあるキャラばかりで作風も好きでした。
ねじまき鳥クロニクル〈第3部〉鳥刺し男編 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: ねじまき鳥クロニクル〈第3部〉鳥刺し男編 (新潮文庫)より
410100143X
No.88
(4pt)

再読してみて!

一年くらい前に読んだねじまき鳥クロニクルを再読しました。
 
三部構成で長い小説であるにもかかわらずスラスラと読んでしまえるのはやはり村上さんの力と言えるのではないでしょうか。
読み終えた感想といたしましては、二回目という事もあり一回目の「わけが全然わからない、けれど面白い!世界観が好き」というところから「なんとなく流れがつかめてきて、漠然と、うっすらと理解できそう。そして、やはり面白い、やっぱり好きな世界観だ!」という感じに変わりました。
たぶんきっと何回読みなおしても、本当に言いたいことや、これこれこう、だからこう!というような事ははっきりとワカラナイような気がします。
オシイマモル監督が昔TVでいっていた言葉の中に「わからない物はわからないで良い。それを解ってしまった時はもうそれを卒業する時だ!!」って言うような事をいっていましたが何だかそんな感じがします。解らないからもういいや!ってなるのではなく、解らないからもう一回読んでみよう!ってなるこのねじまき鳥クロニクルはやはりすごい作品であるのだと思います。
ちなみにかぶれやすい私はカティーサークのオンザロックを飲むようになり、ロッシーニのアルバムを買い、「どろぼうかささぎ」を聴き、クラッシックも良いなぁー、なんて思っている今日この頃です、
ねじまき鳥クロニクル〈第3部〉―鳥刺し男編 Amazon書評・レビュー: ねじまき鳥クロニクル〈第3部〉―鳥刺し男編より
4103534052
No.87
(4pt)

再読してみて!

一年くらい前に読んだねじまき鳥クロニクルを再読しました。
 
三部構成で長い小説であるにもかかわらずスラスラと読んでしまえるのはやはり村上さんの力と言えるのではないでしょうか。
読み終えた感想といたしましては、二回目という事もあり一回目の「わけが全然わからない、けれど面白い!世界観が好き」というところから「なんとなく流れがつかめてきて、漠然と、うっすらと理解できそう。そして、やはり面白い、やっぱり好きな世界観だ!」という感じに変わりました。
たぶんきっと何回読みなおしても、本当に言いたいことや、これこれこう、だからこう!というような事ははっきりとワカラナイような気がします。
オシイマモル監督が昔TVでいっていた言葉の中に「わからない物はわからないで良い。それを解ってしまった時はもうそれを卒業する時だ!!」って言うような事をいっていましたが何だかそんな感じがします。解らないからもういいや!ってなるのではなく、解らないからもう一回読んでみよう!ってなるこのねじまき鳥クロニクルはやはりすごい作品であるのだと思います。
ちなみにかぶれやすい私はカティーサークのオンザロックを飲むようになり、ロッシーニのアルバムを買い、「どろぼうかささぎ」を聴き、クラッシックも良いなぁー、なんて思っている今日この頃です、
ねじまき鳥クロニクル〈第3部〉鳥刺し男編 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: ねじまき鳥クロニクル〈第3部〉鳥刺し男編 (新潮文庫)より
410100143X
No.86
(4pt)

春樹の意図

読み終わった。
長かったけど、あっという間だった。
彼の作品にしては珍しく、拡散しまくるストーリーがある程度解明され、謎解きされ、収束に向かい、そして完結する(とはいっても、いわゆる普通の小説のようにストーリーが「完結」するわけではないが)。
とは言え、読売文学賞を受賞し、春樹の代表作ともいえるこの作品をより良く解釈するために、いくつかの評論を読んでみた。
その中でも僕の心を打った批評を書いたのは、やはり吉本隆明であった(『消費のなかの芸〜ベストセラーを読む』)。第2部のレビューに書いたが、この作品は1・2巻が同時に発売され、3巻はその1年後に発売された。つまりこの第3部は恐らく執筆当初は構想に入っていなかった物語であり、番外編に近い。
ではなぜ第3部を春樹は書いたのか?
吉本は言う。
「この第三巻目は全体的な印象で言えば、親切極まりない「解決篇」ということだとおもう。(中略)わたしにはこの第三巻は親切すぎて蛇足に近いとおもわれた。」
ではその理由は?
吉本は二つの点を指摘する。
@主格の変化
「本来(第1部・2部)では主人公「ねじまき鳥」が「僕」と言う一人称で物語が展開してきたのに、この第三巻に至って、章によって転々と主格が変わり、その都度、あれ、この文章は誰(何)が主体になっているのかと確かめなければならなくなる。そういわれなくても、主格の変転は、読む者に散漫な印象を強いる。その上作品が通俗化された印象も加わってくる。」
A文体のリズムの弛緩
「わたしは近年の村上春樹の半分の魅力は、文体のリズムがそれ自体で持っている詩的な語りの流露のこころよさにあるとおもってきた。だがこの第三巻は主格の転変がこのリズムを分断してしまっていることと相俟って、テンポが大幅に弛緩しているとおもえた。」
またさらに、吉本は、「物語としてここは展開があると感じたところが2箇所(@「僕」とナツメグの父の獣医とを重ね合わせる工夫をしているところ A第三部の終盤で、「僕」がいつも降りてゆく井戸の底からバットが消えている、という設定のところ)しかなく、そのせいで、この作品は、様々な挿話が複雑に工夫されて挿められているのに、単調な感じがして仕方がないという感想を禁じえない」と言う。
まさにその通り。
僕がこんな超超大作を、こんなにあっという間に読めたのは、そのせいだったのか。彼の文章が読みやすいからと言う単純な答えではなかった。
つまり総括すれば第3巻は必要だったのか?ということになる。春樹らしくない「収束性」をもった物語にする必要があったのか?と言うことだ。
だがきっと、春樹には何らかの意図があったのだろうし、何らかの使命感を持ってこの小説を「簡潔」させたのだろう。
ただ、「この作家は現役の作家の中では、頭一つ抜いたなと感じた。」と、@・2部を読み終えた吉本が言ったように、村上春樹はやはり、それでも、偉大な作家であると感じざるをえない3部作であった。
ねじまき鳥クロニクル〈第3部〉―鳥刺し男編 Amazon書評・レビュー: ねじまき鳥クロニクル〈第3部〉―鳥刺し男編より
4103534052
No.85
(4pt)

春樹の意図

読み終わった。
長かったけど、あっという間だった。
彼の作品にしては珍しく、拡散しまくるストーリーがある程度解明され、謎解きされ、収束に向かい、そして完結する(とはいっても、いわゆる普通の小説のようにストーリーが「完結」するわけではないが)。
とは言え、読売文学賞を受賞し、春樹の代表作ともいえるこの作品をより良く解釈するために、いくつかの評論を読んでみた。
その中でも僕の心を打った批評を書いたのは、やはり吉本隆明であった(『消費のなかの芸〜ベストセラーを読む』)。第2部のレビューに書いたが、この作品は1・2巻が同時に発売され、3巻はその1年後に発売された。つまりこの第3部は恐らく執筆当初は構想に入っていなかった物語であり、番外編に近い。
ではなぜ第3部を春樹は書いたのか?
吉本は言う。
「この第三巻目は全体的な印象で言えば、親切極まりない「解決篇」ということだとおもう。(中略)わたしにはこの第三巻は親切すぎて蛇足に近いとおもわれた。」
ではその理由は?
吉本は二つの点を指摘する。
@主格の変化
「本来(第1部・2部)では主人公「ねじまき鳥」が「僕」と言う一人称で物語が展開してきたのに、この第三巻に至って、章によって転々と主格が変わり、その都度、あれ、この文章は誰(何)が主体になっているのかと確かめなければならなくなる。そういわれなくても、主格の変転は、読む者に散漫な印象を強いる。その上作品が通俗化された印象も加わってくる。」
A文体のリズムの弛緩
「わたしは近年の村上春樹の半分の魅力は、文体のリズムがそれ自体で持っている詩的な語りの流露のこころよさにあるとおもってきた。だがこの第三巻は主格の転変がこのリズムを分断してしまっていることと相俟って、テンポが大幅に弛緩しているとおもえた。」
またさらに、吉本は、「物語としてここは展開があると感じたところが2箇所(@「僕」とナツメグの父の獣医とを重ね合わせる工夫をしているところ A第三部の終盤で、「僕」がいつも降りてゆく井戸の底からバットが消えている、という設定のところ)しかなく、そのせいで、この作品は、様々な挿話が複雑に工夫されて挿められているのに、単調な感じがして仕方がないという感想を禁じえない」と言う。
まさにその通り。
僕がこんな超超大作を、こんなにあっという間に読めたのは、そのせいだったのか。彼の文章が読みやすいからと言う単純な答えではなかった。
つまり総括すれば第3巻は必要だったのか?ということになる。春樹らしくない「収束性」をもった物語にする必要があったのか?と言うことだ。
だがきっと、春樹には何らかの意図があったのだろうし、何らかの使命感を持ってこの小説を「簡潔」させたのだろう。
ただ、「この作家は現役の作家の中では、頭一つ抜いたなと感じた。」と、@・2部を読み終えた吉本が言ったように、村上春樹はやはり、それでも、偉大な作家であると感じざるをえない3部作であった。
ねじまき鳥クロニクル〈第3部〉鳥刺し男編 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: ねじまき鳥クロニクル〈第3部〉鳥刺し男編 (新潮文庫)より
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