アフターダーク

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評判

アフターダークの評価:

3.48/5点 レビュー 468件。 C ランク

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平均点3.48pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全287件 81〜100 5/15ページ
No.207
(4pt)

初 レビュー です。

今回初めて村上春樹氏の作品を読みました。
冒頭の独特な情景描写からとても好印象で、そこから一気に引き込まれました。
登場人物の人間関係が、意外とシンプルに描かれていて、それでいてリアル。
カメラからの視点、リアルな時間の流れ、すべてが私にとって新鮮なものとして映し出されました。
これから、村上氏の他の作品を読むのが楽しみです。
アフターダーク Amazon書評・レビュー: アフターダークより
4062125366
No.206
(4pt)

アフターダーク

ノルウェーの森以外はこれが初めての村上さん作品。
実はあまり期待していなかったが、やっぱりさすがだなと思わずにいられなかった。
会話やストーリー運びに一味違う才能が感じられる。
アフターダーク (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: アフターダーク (講談社文庫)より
406275519X
No.205
(4pt)

村上春樹初体験

初めて村上春樹作品を読ませていただきましたが、とても面白かったです。
眠れずに夜中1時から読み始め、朝5時に読み終えましたが、物語の時間経過と
並行して読むことになったため、より印象深かったのかもしれません。
不可解な点もなく、自分の中ではしっくりとエンディングを迎えることが出来ました。
冒頭、前に一度だけ会ったことがある女の子にそんなにペラペラと喋るだろうかと
いう違和感が少しありましたが。。。
折角なら、ちょっと家に帰りたくないなぁと思った夜に渋谷のファミレスで一気に
読んで始発で帰るとかしたかったな。
アフターダーク Amazon書評・レビュー: アフターダークより
4062125366
No.204
(4pt)

進化村上春樹さん

比較的初期の作品
風の歌、ダンスダンスダンス、ノルウェイの森、ねじまき鳥
などの文体に慣れていたので
最初の一ページを読んだときに
あれっ?
って思いました。
僕の視点は一切出てこないのが一番の新鮮さでした。
不可解なほど「僕」の心理の深層に深く入る事は無くて
三人称が紡ぎ出す人間模様が
すっきりと描かれている印象を持ちました。
なおかつ一晩の出来事を一見ハッピーエンドの着地点まで描ききった作品で
今までの村上さんには無かったテイストがあります。
いろんな書評から判断するに
あえてこの様なテイストを目指しているとの事なので
ますます進化するであろう
今後の作品が楽しみです。
好みとしては
現時点で
「僕」視点の作品の方なので
☆は4つにしました。
アフターダーク Amazon書評・レビュー: アフターダークより
4062125366
No.203
(5pt)

卵と壁

この作品をあまり高く評価していない人たちがいらっしゃるようですが、村上さんのイスラエルにおける卵と壁のスピーチを聴いた(知った)あとに改めて読むとこの本の価値が見えてくるのではないでしょうか? そしてそれはこの作品の登場人物に現実味が感じられないという指摘への返答も兼ねているのではないでしょうか?
アフターダーク Amazon書評・レビュー: アフターダークより
4062125366
No.202
(4pt)

村上春樹と第三の新人

冒頭、アラン・ロブ=グリエの小説を思わせる、しつこいまでの情景描写から入っていく。その意味では、この小説の主人公は視点を共有する読者なのかもしれない。そして、ファミレスで出会う若い女性と男性を中心に、その姉、ホテルに置き去りにされた中国人売春婦とホテルの経営者、顔のない男などがからみあって、時間が進行する。
 村上にとって、大きなターニングポイントとなったのは、阪神大震災と地下鉄サリン事件だった。これまで、村上は個人の内部にある「やみくろ」を相手にしてきた。でも、実際には「やみくろ」は地下に存在し、本当にそこから出てきて人を陥れる。だとすれば、作家として村上は現実にコミットしていく必要性を感じることになる。その結果が、「アンダーグラウンド」とその続編であり、「神の子供たちはみな踊る」であり、「ねじまき鳥クロニクル」におけるノモンハン事件であった。
 その中でも、「アフターダーク」は「神の子供たちはみな踊る」をもう一歩進めたものといえる。地震が起きた時間、みんなは何をしていたのか、そのことがあの連作短編集を支えていたのだとすれば、「アフターダーク」は任意の深夜を切り取ったとき、それぞれの人生はどうなっているのか、ということになる。
 結論じみたことを言ってしまえば、本書の中には罠も用意されており、100%ハッピーエンドとはいかない。それでも、人が前に進む意思が少しでもあれば、何とかやっていける。闇はまたやってくるのだけれども。人は闇から出ることだってできるし、そうした強い存在でもあるし、同時にまた闇は何度もやってくるしぶとい存在でもある。その一つの断面を小説にして見せたということになる。
 それにしても、文庫化された同じ村上の「若い読者のための短編小説案内」(文春文庫)を読んでいて、村上が第三の新人と呼ばれていた作家たちの本を読みこんでいるということを読んで、なるほどなっていうのはあった。第三の新人といえば、遠藤周作、吉行淳之介、安岡章太郎、小島信夫といった、戦後すぐに登場してきた作家であり、当時は戦前の大家に比べて小ぶりな、個人の内面にポイントを置いた作家という評価だった(らしい)。だが、彼らはしぶとく生き残る。彼らが持つ内面の哀しみといったものは、確かに村上に共通するのかもしれない。何より、彼らの持つ世界が外から見る以上に深く広い世界だったということになる。でも村上は、そのことを理解しつつ、そこからもう一歩先に行きたい、そういう欲があったとも思う。そのことが、「アフターダーク」につながる一連の作品になっているのではないか、そう思う。
 それでもなお、あえて言えば、「アフターダーク」は長編小説というよりも、とても長い短編小説という気がしてならない。時間の流れがそうさせるのかもしれないのだけれど、それにしても。野球のピッチャーで言えば、今回の先発で、新しい変化球を試してみました、みたいな。そこそこ手応えを感じたので、次の先発では、もっと有効に使ってみたい、というところだ。
アフターダーク Amazon書評・レビュー: アフターダークより
4062125366
No.201
(4pt)

闇の中とはこういうもの

独特の世界観。
この、わけのわからない状況がなぜか
物語の世界へどっぷりとつかっていく入口。
想像力をかきたてられる情景描写。
深夜のファミレスで一人本を読む行為。
一度やってみたいものです。
彼の描く女性の飾らないところが好き。
どこか素直な所があります。
現実の世界であり、そうではない部分も垣間見える。
その微妙なバランスがなんとも心地いいと感じました。
真夜中って、こうであって欲しいような気がします。
アフターダーク Amazon書評・レビュー: アフターダークより
4062125366
No.200
(4pt)

読みごたえあり

 主人公はエリとマリ。対照的な二人の姉妹が二つの物語を紡ぎだしてゆく。
 主人公が「アルファヴィル」と言う映画に言及した部分からは、現代社会に対する警告や風刺が読み取れる。「アルファヴィル」の世界では、人は深い感情を持ってはいけないらしい。そこでは、おそらく人々は深く感動することも、大笑いすることも、泣くことも許されず、ただ淡々と毎日のルーティンワークをこなしていくのだろう。これは、現代社会にも当てはまるのではないだろうか。人々は、忙しさにかまけて、深い感情を持つことができなくなってしまっているとも考えられる。そういう意味で、「アルファヴィル」の記述は、非常に印象的である。
 エリが眠っているうちにテレビの中の世界に行ってしまう場面も心に残る。エリは美人で、雑誌のモデルなどもしていたという。それがある夜、テレビの向こう側の世界に行ってしまう。夜…誰にでもそれはやって来る。だが、時に暗く、深い落とし穴のようなものがそこには存在する。どんな品行方正で真面目な人間であろうと、そこに落ちてしまう可能性はある。それはたとえば刑務所であったり、犯罪者の世界、あるいはテレビの向こうの芸能界であるかもしれない。この作品を読む限りでは、著者はテレビに出たり、モデルをすることを良いイメージとしてとらえてはいないようだ。一度そこに深く足を踏み入れてしまうと、二度と戻ることはできない。その中で暗い人生を送るしかないのだろう。村上は、それをエリがテレビの向こう側に引き込まれてしまうと言う描写で表したかったのだと思われる。しかし、エリはまた元の世界に帰ってくることができた。それは、彼女がまだ芸能界(あるいは、向こう側の世界)にそんなに深く入り込んでいなかったからだと考えられる。難解な作品ではあるが、読みごたえもあると思う。
アフターダーク Amazon書評・レビュー: アフターダークより
4062125366
No.199
(4pt)

ゆっくり歩いてたくさん水を飲む

近年の村上作品の特徴である形而上学的な三人称の語りが、この作品では全体を通してとても色濃く用いられている。
内容としては、現代を生きる我々にとって、目を背ける事の出来ない問題が掲げられている。情報化社会の只中で、何を信じて生きていくのか。一夜を細かい時間で区切って、一冊で描ききるという手法は新しく、妙にリアルを感じて、それが逆に怖かった。
また、村上作品には、良くも悪くも、博識なキャラクターが、文学や哲学について語る場面が印象的だが、この作品ではそういった場面が皆無であり、そしてマリの読んでいる「分厚い本」のタイトルが最期まで明かされず、マリが「ファミレスでじっと本を読んでるのも、だんだん辛くなってきたみたい」と言うなど、今までに無い現実的な描写が印象的だった。
村上氏は某文芸誌で、この『アフターダーク』について、「出来るだけ簡単な文章で、出来るだけ複雑な話を書く」と言っていたことが強く印象的だったが、正にその通りの作品だと思う。もう少し評価されてもいい作品。一晩で読み通せる長さも現代的。
アフターダーク Amazon書評・レビュー: アフターダークより
4062125366
No.198
(5pt)

目にしているのは都市の姿だ。

一般的には評価が低いようだけれど、僕としては最高の評価を与えたい作品。
コンビニエンスストアの棚に置き去りにされた携帯電話は、実はペーストしてクリックしただけなのかもしれないような都市の匿名性/自動性そのものであり、それは容赦なく、僕らを襲うのだ。都市に生きる僕らは、その深淵から"逃げ切ることはできない"。"目にしているのは都市の姿だ。"
アフターダーク Amazon書評・レビュー: アフターダークより
4062125366
No.197
(4pt)

音楽を聴いていたのかしら

新聞に挙げられそうな事件なのに、淡々と取り巻く宇宙が書かれている。読者が共有してしまいそうな感情のバイオリズムは、痛みを感じない。それは、小説にドラマのどぎつさを表現するのではなくて、登場人物の視線や環境・空気を表現したことの心地よさなのだろう。だから、読み終わったあと、シンフォニーを聴いているように感じた。小説を読んで感情が高鳴らなくても、宇宙を理解できれば、感覚が深層に残り、大成功ではないだろうか。いたずらに好奇をそそる小説よりも小気味良い。
アフターダーク Amazon書評・レビュー: アフターダークより
4062125366
No.196
(4pt)

暗闇についての作品

作中に「僕」とか「私」が登場しない、
あくまでも客観的な、でも現実的でない作品。
真夜中の都会の暗闇と、
個人の精神の中の暗闇を、
あくまでも外側から描こうとしているように思える。
「次の暗闇が訪れるまでに、まだ時間はある」
という最後の一文が印象的だった。
人は暗闇と暗闇の間に生きているんだろうか。
暗闇があるから光がある、というのは本当だろうか。
アフターダーク Amazon書評・レビュー: アフターダークより
4062125366
No.195
(4pt)

希望と再生の物語だと思う、多分。

読み終わって、ロバート・アルトマン監督の映画「ショート・カッツ」を思い出した。
一見無関係に見える様々なエピソードが同時並行して展開されるが、
それぞれのエピソードに主人公役で登場する人物や物が、
他のエピソードでは脇役で登場するところにのみ関連性がある。
しかし、そこには一貫したストーリー性はない。
本作でも説明的な部分は殆ど無く、
カメラレンズを通して見える事実(?)のみを
淡々と映し出しているだけだ。
つまり、読む(観る)者に材料だけを提供することによって、
読む(観る)者自身に物語を紡ぎださせようという意図だ。
読む(観る)者が材料をどのように調理して、
結果的にどんな物語を紡ぎだそうが、
作者にとって全然問題ではない。
なぜなら、読む(観る)者自身によって紡ぎだされた物語こそ、
その人にとっての真実の物語であるということだ。
本作で、作者は読者を振り落としにかかったのではないか。
村上春樹についていく為には、何度でも読み続けなければならない。
アフターダーク Amazon書評・レビュー: アフターダークより
4062125366
No.194
(4pt)

二重性

都市には白川のように社会に順応してるフリをしながら、裏では犯罪まがいのことをするような別の仮面を持ってる二重生活者は沢山います。都市ってのは光と闇の空間を一瞬で行き来できる場所なんだと思うです。光の属性に所属してるが白川が勤務しているオフィスなわけで、どちらかといえば闇の属性に所属してるのはラブホテルなわけです。この対比が重要です。白川はその二つの世界を仕事の合間にいったりきたりしてる。白川自身に言及すれば、彼はグレーな存在であり、グレーということは光にも闇にも変化可能なわけです。バイクの男がいましたよね?彼は完全に裏社会の住人であり、属性は闇でシラカワのように曖昧な存在ではない。これは田舎的な構造では無理です。そういう意味では都市生活者への皮肉がこの話にはたっぷり潜んでいる。
個人的には実際、仕事を中断して便所にいくような軽々しいノリで売春して、再びオフィイスに戻って仕事をするような人がいそうで、現実味が帯びていてゾッとしました。
シラカワはシラカワ自身であり、僕自身であり、またアナタ自身でもあると思うんです。主語と述語は違えど、主語と述語を内包してる都市という枠は共有できるわけですからね。
アフターダーク Amazon書評・レビュー: アフターダークより
4062125366
No.193
(4pt)

コミュニケーション

コミュニケーションについての話。と思った。
自己っていう袋があったとして 
それがぎっしりつまった箱が社会だとして
とりわけぎっしりな箱が新宿だとして。
いろんな方向から他者の袋と繋がれたり
通じ合えたりどうしても通じ合えなかったり
突然袋が割れんばかりのコミットを受けたり
自然とコミットできたり閉じていたものがじわじわと広がってきたり
閉じたり
誰でもくるりと一回転すればいろいろな可能性を
鳥瞰できるはずなのに普通に時間を過ごしていると
なかなか視点を変えることはできない。
でもちょっとずつそれをずらしていける時も時々訪れる
そんな深夜〜夜明けの話 
アフターダーク Amazon書評・レビュー: アフターダークより
4062125366
No.192
(5pt)

端的に言えば、大きな挫折を一回や二回以上あじわったりして、世の中を知ってから読むとふ

近年は読書ブームだ。日本もそれなりに本を読むようになって久しい。
それはグローバル経済や資本主義社会による、競争や優劣や傾きのある風潮の中で個人が生き抜くために『考えること』を求めるようなった表れと言えるだろう。
とくれば、『この世界の謎』その本質について考えようとするのはこの現代人の感覚にとっては自然なことと言えるだろう。
純文学ブームが再燃する中、村上春樹はこのことについてずっと考え続けてきた作家であるということから、そうした新しい読者「突き詰めた思考」をしようとする現代人たちにとって春樹のその文学の姿勢については賛否両論キレイに(良い悪いの意味ではない)あることだろうと思う。
「春樹は絶望が足りない」「踏み込んでるくせに世界のことよりアイツは結局自分の人生が大事」「文体や内容がわかりやすぎて逆に資本主義や民主主義の風潮の悪性を伸ばす結果にもなっているのではないか」
確かにそれはもっともな『正論』だ。
だが春樹ほどここまで心の内面的なことや、抽象的な視覚的・聴覚的感覚(これが実は『世界の謎』にとってもっとも重要なことのひとつなのである)を万人に違和感なく、また自然的な(例の)不快感や苛立ちなく、しかもエンターテイメントとして読ませられる作家はいない。
片山恭一などの春樹チルドレン的な文体を思わせる作家は山ほどいるが、春樹の域には遠く達していないのを経験を重ねれば重ねるほどに気づくだろう。
もちろん足りない点もあるだろうがそこを勘違いしてうかつに春樹をボロクソに調子に乗って批判してはいけない。
春樹は保守的な部分を徹底したからこそ、現段階において、だれもが環境的になしえない『世界への働きかけ』ができ、またその知名度と影響力の端により、それによって我々もまた『世界の謎』や『人間を幸福にするためには』を考え、発言の許容が許される部分があるのである。
自分の正義や誠実さだけを突き詰める前に「保守的」「保身」をなめてはいけない、それは意外にその人たちだけの問題ではなくもっと深いのだ。(また、彼はちゃんと世論を考えてここにきておおきく転向してきているので『やり方』としては至極正しいとおもう)
『アフターダーク』は『世界の謎』を考えてある程度のレベルまで突き詰めきった現代を生きる人になら、その一見わけのわからない表現がなにをあらわしているかをなんとなくはある程度感じられるものだろう。
ある程度春樹の『ねじまき鳥』や『羊』などを読んでから読むのをおすすめしたい。
アフターダーク Amazon書評・レビュー: アフターダークより
4062125366
No.191
(5pt)

自分の場所がある

この話は日付けの変わるほんの少し前から夜が明け朝の活動が始まるまでの話だ。
本来、ほとんどの人が寝ている時間帯。
でも、この本の中にはほんの一角の数限られた人の人生が隙間なく書かれている。それは真昼に起こることと代わりのないように。
本来眠っている間の出来事だけれど、その間の出来事は、昼間のそれより鮮明で自分もそこにいるような実感があちこちにあった。
そして、最後の方に出てくるコンビニに置き去りにされた携帯電話から出てくる中国人の言葉が、妙に緊迫感があって、生きることに背中を押しているような感じでした。
とても面白い、充実した本でした。
アフターダーク Amazon書評・レビュー: アフターダークより
4062125366
No.190
(4pt)

人は、他人の記憶の中にこそ生きている

 普通、人間には“眠り”と“死”はあるが、その中間の“休眠”とでも言うべき状態は存在しない。この小説は“休眠(=長い「眠り」もしくは短い「死」)”という概念を導入することで、「死」と「生」について、より意識的に考えさせてくれる小説だ。自ら休眠状態に入った、あるいは入らざるをえなかった姉エリの思い出を語る、妹マリと姉の友人高橋の会話は、故人を偲ぶ通夜の席の会話を想い起こさせる。通夜の席は、そこに本人が居ないにもかかわらず(だからこそ)、本人の存在を強く感じさせる場だ。日常は、通夜の席ほど、その人のことを深く考えることはない。そして、そのことによって、この世における存在感の希薄を感じてしまう人も数多く存在しているのだ。姉エリの人生は、周りからは一見とてもうまくいっているように見えていたが果たしてどうだったのだろうか?人は、他人の記憶の中にこそ生きているのだとしたら、姉エリの人生は、うまくいっていないどころか、続けることさえ難しかったのだ。姉の休眠を目の当たりにして不眠状態となってしまった妹マリは必死で姉との過去の記憶を手繰り寄せようとする。
 この小説が単純に読めないのは、姉エリが休眠状態に入ってしまった原因をエリ自身だけには求められないこと、そして、休眠状態に入ってしまったのが今回は“たまたま”エリだったのであり、おはちが回ってくる可能性は誰にでもある、という点だ。小説は、午前0時からたった7時間の、どこにでもありそうな都会の夜の風景を描いている。でも、そこには人を呑み込んでしまう深い裂け目、暗黒の入り口、不可抗力の闇が存在していることを、著者は客観的に切り取って我々に提示してくれる。闇の存在は深く大きいが、小説が夜明けで終わっていることは救いだろう。
アフターダーク Amazon書評・レビュー: アフターダークより
4062125366
No.189
(5pt)

観念的な世界を美しい日本語と斬新な構成で見事に描写。

先ほど読み終わった。
作者のテーマ(私が勝手にそう思っている)というものが、一貫してこの作品でも貫かれている。それは自者と他者、内界と下界との行き来とその断絶である。テーマとは・・ある地点における「きっかけ」からいつしか取り返しのつかない距離まで離れてしまうことへの恐怖、とでも言うのだろうか。
ファンタスティックでありながらフワフワ感はなく、構成的にも技術的にも非常にしっかりしている。他のレビュワーさんも書いているが、特筆すべきは中立的な「視点」が物語の推進者のような役割として、文章中に組み込まれていることだ。この「視点」が主体的な動きをすることにより、見事な情景描写の効果があり、このような観念的な世界をよくここまで分かりやすく立体的に表現できるものだと感心した。
また、日本語の美しさは深く印象に残った。淡々とした情景描写にこそ、日本語の美しさの真価が発揮されるのだろうか。
アフターダーク Amazon書評・レビュー: アフターダークより
4062125366
No.188
(4pt)

相変わらずのおもしろさ

村上春樹さんの小説は、今のところはずれがありません。
本当にすばらしい作家さんです。ノーベル文学賞受賞してほしいくらいです。
本作は、村上作品の中でも奇異だとされています。
一人称「僕」が出てこないということは珍しいことですが、
本作も間違いなく誰にも真似のできない村上作品の味がします。
色々な登場人物が出てきますが、どの人も魅力的です。
私が本作で一番好きなキャラクターは、高橋です。
彼は、頭のよい大学生で、バンドもやっていて、人並み以上の演奏ができて、その上話題が豊富で自分の言葉で会話をすることができる人で、とてもいいやつなんです。
そして、顔には傷があって、耳がちぎれています。
外見は、ともかくとして、彼のような人生に憧れます。
彼との出会いが、本書からの大きな収穫でした。
アフターダーク Amazon書評・レビュー: アフターダークより
4062125366