アフターダーク

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評判

アフターダークの評価:

3.48/5点 レビュー 468件。 C ランク

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平均点3.48pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全287件 61〜80 4/15ページ
No.227
(4pt)

暗闇の中の小さな光明

村上春樹は(いわゆる)小説を書く気は端っから無いのでしょう。哲学、心理学、社会学、生理学、に関して、彼の考えていることを我々に提示する手段として “小説”というカテゴリーを使うことにしたのでしょう。ですから、彼の作品には“明確な入口” 、“明確な出口” はないのです。なにせ、そこにあるのは、人を楽しませようとして紡いだ物語ではなく、彼の意見、あるいは彼の心、そのものだからです。
音楽家が最初にメロディーを作り、しかる後に自分の内面から湧出してくる詩(うた)を当てはめると、何かしっくりこない、いずい(居辛い)感じになり、ただ、それが不思議な味わいにもなります・・・・・彼の作品の魅力のひとつは、これに類した感じのような気がします。

この作品は、(原因は不明だが)姉との間に大きな確執を生んでしまった主人公(妹)達二人が 別々の空間に入り込んでしまい(実話:「レナードの朝」、に少し類似かも?)、それぞれが “心の復活への入口” に到達するまでの心の変遷の時間経過を、主人公を取り巻く人々との、ちょっとした物語に乗せて提示している。

ただ、彼が本当に言いたいのは ―― 自分達は、今いる三次元の空間がすべてであると、つい誤解してしまいがちであるが、宇宙の始まり、すなわち“完璧な無”からビッグ・バン(or God?)により、できた空間が三次元で完結している根拠は何もなく、むしろ “多次元” と考えるほうが自然で、その次元と、我々の今いる三次元空間とは薄皮一枚もない仕切りでつながっているかもしれないのです、―― という彼一流の教示かもしれません・・・・・・。

ところで、この作品中に出てくる「ある愛の詩」の記述は、彼がわざと記したのかもしれませんが、ハッピーエンドではなく、主人公の女性ジェニーは病気で亡くなってしまう美しい恋物語です・・・“愛とは決して後悔しないこと”・・・という美しい台詞があります・・・・・。
アフターダーク (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: アフターダーク (講談社文庫)より
406275519X
No.226
(5pt)

怖いが大好きな作品

いま「1Q84」を読んでいる途中ですが、
長いので、一旦箸休め的にこちらを読んでみました。
2004年ということなので10年前に書かれた作品ですね。

各センテンスのはじめに、
時計のイラストで時刻の進みが示されます。
深夜12時少し前に始まり、朝の7時前までで終わります。
少しづつ、時間の進行と共に様々なことが起こります。

真夜中の都会(多分、渋谷か)の眠らない(眠れない)人々の
繰り広げる奇妙なストーリーです。
主人公の若い姉妹は、やがて心を回復していくようです。

個人的にはITプログラマーの白川がその後、
どうなったのか気になりました。
深夜労働と家族とのすれ違いの果てに、
心を麻痺させて、闇社会とのトラブルの果てに
彼をどこに運んでいくのか。。。

TV画面の中の男が見つめているような気がしました。
アフターダーク (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: アフターダーク (講談社文庫)より
406275519X
No.225
(5pt)

森の鍛冶屋さんみたいに

こちらとあちらを隔てる境界は薄っぺらい紙切れ一枚のように頼りないもの。あるいは境界なんてものはないのかもしれない。あちら側の存在である(ように見える)中国人娼婦の少女に対してマリが強いシンパシーを感じたように。

「逃げ切れない」 物語の終盤で繰り返される言葉。白川に向けてだけでなく、私たちすべてに対する闇の世界からの警告のように響く。
私たちは「逃げ切れない」 闇は影法師のように私たちの足元に常に付きまとって離れない。でも簡単に飲み込まれるわけにはいかない。飲み込まれないための確実な方策などたぶんないだろう。
私たちにできることは、マリとコオロギの会話に出てくるように、ただ「森の鍛冶屋さんみたいに、こつこつと」 日々を営むことなのかもしれない。孤独であっても、誰にも認められなくても。
アフターダーク (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: アフターダーク (講談社文庫)より
406275519X
No.224
(4pt)

静謐な物語

村上春樹は近年、神のようになってしまい、そしてもしかしたら批評というものもしにくくなっているのかも知れないと思ったりもするのだが、なに、面白いか面白くないで判断すればいいのである。たかが物語であるのだから。
 この作品は2004年の出版であるが、記憶する限りそう評価されたわけではないと思う。そして(物語の内容の割には)静謐な印象の残る語り口で、読み終わってシンとした気持ちが残った。
 主人公は、浅井マリとエリの姉妹。エリは物語の間中眠っていて目覚めない。そしてそれに絡む、マリとエリの知人の男、高橋。高橋のバイト先のラブホテル従業員のカオル、コムギ、コオロギ。ホテルで問題を起こした客の白川。白川が簒奪した中国人少女、またそれを管理する中国人の男。
 また眠るエリ、またこの物語を見つめる視点、それは我々読者?それとも神の眼?その視点の立場で物語が語られているから、静謐な感じがするのかも知れない。なにもかもはるか遠方にある光景という印象があるのである。こういう物語を書くムラカミは、私は好きであると宣言しておこう。神になった作家としてではなく。
アフターダーク Amazon書評・レビュー: アフターダークより
4062125366
No.223
(5pt)

村上春樹で一番好き!

まあ全部見てないだけど(笑)大体見たけど後味悪いね。あとサラサラ読めないよね。ネタとか難しい所もあるし。最後のシーン最高!映画化ってされた?
アフターダーク (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: アフターダーク (講談社文庫)より
406275519X
No.222
(5pt)

都会の情景とメタファー

この小説を半分くらい読んだところで、僕はカーティス・フラーの『ファイヴスポット・アフターダーク』を聴いてみた。かすれた感じの独特のトロンボーンのリズムではじまるこの名曲をあらためて素晴らしいと思う。それは、どことなく殺伐とした孤独な都会の情景を想起させる。本著『アフターダーク』のイメージにぴったりだ。

ストーリーは同一時間軸が設定され、いくつかの場面が同時進行する形式となっている。深夜のファミレスで熱心に本を読んでいる一人の女性マリ、マリの姉浅井エリと同級生だったトロンボーン奏者のバンドマン大学生高橋との出会い、一人眠り続けているマリの姉エリ、ラヴホテル「アルファヴィル」でおきた中国人娼婦のトラブル、そのホテルの支配人カオルや娼婦を殴打した白川の日常等々、大都会のイメージと重なるようにそのつど場面に応じて数々の音楽が挿入されている。物語は深夜の時間の流れとともにそれぞれの場面の全貌を統括的にみつめることが許された純粋な視点“私たち”によって語られ示唆されているようにも感じられる。

マリとエリ姉妹の間に存在する闇、大都会に生きているそれぞれの人々が抱えている闇、いや大都会そのもののメタファーとしての在り方が実は主題となっているのかもしれない。だが、村上春樹がこの小説で何を表現したかったのかは誰にも分からないと思う。

最終章では同じベッドに眠り続ける美しい姉エリと中国留学を目前に控えた妹マリをみつめる純粋視点の私たちはある“予兆”を感じる。“マリは長い闇の時刻をくぐり抜け、そこで出会った夜の人々と多くの言葉を交わし、今ようやく自分の場所に戻ってきた。” し、何かに反応したように微かに動いたエリの小さな唇に“意識の微かな間隙を抜けて、何かがこちら側にしるしを送ろうとしている。”として、それが時間をかけて膨らんでいることを告げてもいる。

本著『アフターダーク』は、個々の人々が抱えている闇の部分を大都会のメタファーとクロスさせながら音楽とともに時間を刻んでいくように重層的に描かれている。ここでは同一時間軸の中で唯一統括的に語りを許された純粋視点(私たち)の設定がおもしろい。この作品を単に自己を見失った困難(闇)からの脱出を予兆させる文学と云ってしまえばそれまでだが、僕にはどこか重層的な問題を孕んでいるようにも思われる。

最後にもう一度、カーティス・フラーの『ファイヴスポット・アフターダーク』を聴いてこの本を閉じることにしよう。
アフターダーク (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: アフターダーク (講談社文庫)より
406275519X
No.221
(4pt)

真夜中の大都会の情景。

ジャズの『ファイブスポット・アフターダーク』からタイトルがとられているようです。
村上春樹さんの小説の中では、珍しいタイプ、異質な感じのする作品に該当するでしょう。
他の作家でしたらそれ程でもないと思うのですが、冒頭の書き出しがこれまでとかなり距離のある文体で、妙にスリルがありました。
実験的な面が感じられる小説と言えます。
始まりが23時55分。お終いが6時57分で、時刻が章の見出しに使われ、一夜の出来事が時間経過とともに描かれてゆきます。
無論、村上ワールドで。
時間の経過と物語の進行を一致させた映画ゲ、ーリー・クーパー出演の『ハイ・ヌーン』をふと連想してしまいました。
舞台設定はまるっきりちがっていますが・・・。
読後感としては、ポジティブな印象を持っています。
素直に受け止めました。
大都会の真夜中の情景が面白いですね。
アフターダーク (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: アフターダーク (講談社文庫)より
406275519X
No.220
(5pt)

過渡期

今までの春樹には、「僕」という視点に我々がインボルブすることで物語に乗ることができた。それには、若干、功罪があったように思える。 社会やイデオロギのあれこれから、ディタッチで内面的かつ幻想的な世界に密閉されるところが、功にも罪にもなりえていた。 たんに、そんな僕の視点で、個人的な苦悩と闘っていればよかったものの、現実的な社会的敵に対せなければならないというとき、春樹はどうしてもその理由から文体の改造に取り掛からねばならなかった。それは、ディタッチからコミットという春樹の言葉となり、内面的な殻を破り、春樹なりのリアリズムを獲得し、足掻こうという過渡期なのであった。 もともと、青春三部作〜羊〜世界の終わり〜ノルウェイという春樹の破竹の全盛期があり、そこには内面的で春樹の真骨頂があった。そのラインは未だに人気が高い。 だが、職業作家として、さらに悪化する現代社会にも対応して、春樹は肉体改造に取り掛からねばならかかった。 そして、新たな局面には、必ず洗礼がある。まさに、このレビューが物語るように、ズタズタの通過儀礼が春樹には必要だったようである。 春樹のコミットの時期の到来で、アンダーグラウンドではオウム、地震からは一連の短編、ねじまき鳥では戦争〜カフカ〜最新作では宗教と春樹は、精彩を欠くようになる。 普段なれないクールで個人的な人間が、なにを思ったかボランティア活動に熱心になり空回る様子にやや似てはいないか。 アナイスニンというかつて作家がいたが、同じく春樹の尊敬するカポーティが内面のオブセッションから冷血、つまり春樹もカポーティを意識していたであろう、アンダーグラウンドについても言えるが、アナイスニンは、それを痛々しいという。それはとても正しい。 カポーティと春樹のような観念に走りすぎず内面のオブセッションの洗礼された作品が、春樹の最後であった。
アフターダーク Amazon書評・レビュー: アフターダークより
4062125366
No.219
(5pt)

すごく身近にある非現実な世界

日本の普通の街を舞台にしてるのに全くの異世界の話のような雰囲気がある それが一番の魅力 現実から離れたい日に夜更かしをしたくなる
アフターダーク Amazon書評・レビュー: アフターダークより
4062125366
No.218
(5pt)

ぞくぞくした。

途中まで読んだが、ぞくぞくする内容の本だ。おもしろそうだから、読み進めていこうと思います。
アフターダーク Amazon書評・レビュー: アフターダークより
4062125366
No.217
(4pt)

まだハマらない

村上さんは一人称の人だと思っていた。それが今回は三人称で、私達を巻き込もうとした。が、まだハマらない。新しい試みとは、こんなに大変なことか。だからグレートギャッツビーとか、最近古典の部類に入りつつあるアメリカ文学を訳してみたりするのだろうか? 村上さんはアメリカ文学的だが、それはダンスダンスダンスに書かれているような翻訳の売文でもやっていたのだろうか? 文章を書く、が仕事にもなりつつある私にとって、小林秀雄が述べた売文の感覚、村上さんが述べた使い捨ての感覚、よく理解できる反面、直接本にしてくださいと熱烈に求められる場合もあるので、これはじかに読者と会話する機会の少なさが原因なのではないかという気もする。 作家は主に内向的で、あまり人と接しないので、巻き込もうとして独り善がりになりがちな気がする。世界が狭い。もっと一般人と会話すれば、もっと解りやすい感覚や文字を使いこなせるようになるのではないか? しかし、またここに矛盾があるのだが、いくら解りやすく解りやすくと買いても、言語能力のない人間にはどうしても届かない。『生』という字、ひとつとっても、奥行の広い言葉だ。だから、生を使った『人生』とか『生活』とか『生命』とかの単語のもつ力強さとか豊かさが、どれだけ伝わっているのか苦しむときがある。 作家は単語一つのチョイスに物凄く気を遣う。それにたいして読者はどれだけ、その言葉のチョイスに感激したり畏怖したりできるのだろう? 作家と読者の隔たりは、永遠に埋まることのない隔たりのように深いのかもしれない
アフターダーク Amazon書評・レビュー: アフターダークより
4062125366
No.216
(4pt)

マックのスクリーンセーバーをモチーフにした感じ?

アフターダーク という、マッキントッシュのスクリーンセーバーがあるんですが
その世界をモチーフにした感じの小説でした
アフターダーク (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: アフターダーク (講談社文庫)より
406275519X
No.215
(4pt)

夜中にファミレスに行く人にはおすすめ

深夜から明け方にかけ、マリというキャラクターを軸に、物語は展開していきます。
マリは文科系でS気のある少女で、ものすごく魅力的な人物でした。
また、日常的な会話がごく自然盛り込まれており、あまり一つの話は展開させないので話はくどくはなかったです。
タコの説明は何言ってるのかさっぱりでしたが、どれも尺伸ばしという風には感じませんでした。
展開は私の予想を綺麗にかわしすぎていて、後半の展開としては少し不消化でした。
マリの行動と気持ちが対称的で、悲壮感が私にはあまり伝わってこなかったです。
物語の展開の仕方、舞台は成田良悟さんの『デュラララ』の構成に似ていた感じがしました。
アフターダーク (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: アフターダーク (講談社文庫)より
406275519X
No.214
(5pt)

好きです

村上春樹さんの作品を全て読もうとしています。
これで、25作品目です。

私は、とても気に入りました。

”ある、ちゅっとだけ不思議な一晩を切り取りました。大事件のある前後の日々については想像して下さい”と言われているように感じました。私を疲れさせたり、深く悩ませたりしないまま、村上春樹さんの不思議な世界を楽しませて下さったと感じました。

大作を読んでいて、”くどい””深すぎる”と感じる事がありました。この作品には、良い意味で、そのような”しつこさ”を感じませんでした。その意味で、”疲れた時に帰って来たくなる”という雰囲気を感じました。私にとって、イージーリスニングの音楽のような作品でした。

同時に、この作品の後や、前には深く大きな事件が起きた、起きそう、という感じも持ちました。その意味で、”何んの面白みも無い日常”とは思えませんでした。

一つ、他の方では書けない、とてもユニークな作品を生み出して下さったと思います。
アフターダーク (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: アフターダーク (講談社文庫)より
406275519X
No.213
(4pt)

パンドラの箱を無限に持つ男。村上春樹は今日も村上春樹だった

作品を発表すれば賛否の嵐。文学は本来時代を超えて批判される事に価値があるとすれば、
村上春樹は現役作家の中でそれに耐えうる一人であることは間違いないと思います。

本作は空中から都会の一面を切り取って眺める視点という語り手が今までの作品と異なり新鮮ではあります。
ですが彼独特のメタファーは健在で、福田和也氏曰く「誰も救われないが、希望はある」という変わらないテーマを
流れるように、闇夜の静けさを伴って語ってくれています。

以前の作品に比べてマイルドになってきている感はありますが、常にパンドラの箱を開け今日に希望を問いかける、
村上春樹健在を示してくれる一冊です。



アフターダーク Amazon書評・レビュー: アフターダークより
4062125366
No.212
(4pt)

あまり村上春樹らしくない

私が「アフターダーク」を読んでまず感じたことは“あまり村上春樹らしくないな”ということ。なんとなく読了後には村上龍の作品のような後味が残った。妻に夜食を尋ねられて「中華料理」と返す男の返答にはいつもの村上春樹のジョークが感じられた。村上春樹らしくはないがおもしろい作品だったので星は4つにしました。
アフターダーク (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: アフターダーク (講談社文庫)より
406275519X
No.211
(4pt)

心地よい浮遊感

起承転結がはっきりと感じ取れる内容でもなければ趣旨もはっきりとせず曖昧なんだと思います。第3者の視点から客観的に話が進んでゆくんですが、それぞれの瞬間をリアルタイムで覗いているようななんともいえない感じがたまらない作品です。とても心地よいテンポで、これといって面白みがあるわけでもないんですが、夢の中を泳いでいるような神秘的な空間にいるような心地よさを感じさせられます。
アフターダーク (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: アフターダーク (講談社文庫)より
406275519X
No.210
(4pt)

回る劇場のような、複数視点で、驚いた。

最初はとっつきにくいのだ、視点が節ごとに代わったりするから。
ダンダンなれてくるとそれも楽しめるようになる。
文章が、展開が、面白いからでしょう。
最終的には、不可解な部分も大いに残りますが
それはそれとして、この世の中を反映しているような気がして
そのまんま飲み込むことにします。
心理や、会話の細かさの所為で、とても登場人物達が身近に
感じられて、言葉も会話も、耳元で囁かれてるよう。
それぞれの連続するシーンが映像として見えてきます。
主人公の女の子の性質、性格が今ひとつ読めない。
その姉の気持ちは全く分からないままだ。
しかし、印象にも残る部類の小説です。
結構、レストランやコンビニの舞台が楽しめます。
アフターダーク Amazon書評・レビュー: アフターダークより
4062125366
No.209
(4pt)

熟成‥

街は夜も眠らない、と知ったのはいつ頃だろう‥
この作品を読んでふと思った。
村上春樹の円熟した筆致が、都会の夜のダークな部分を
静かに呼吸するように伝えている。空を飛ぶ鳥の目を通して。
実体をあとに残し、質量をもたない観念的な視点となって、
鏡やTV画面を通り抜け、登場人物を、あちら側とこちら側の世界に
自在に行き来させながら、サラサラと小説は進んでいきます。
副音声的な描写が、読み手の感情移入をあえてかわすよう施されています。
宇宙船の内部を見ているような錯覚にとらわれる不思議な作品。
不可解さといくつかの暗示の中で、作中に出てくる映画『ある愛の詩』を
「ハッピーエンド」としていることが、春樹さん独特の伏線なのだろか?
数ある村上春樹作品の中でも、個人的にはとても落ち着いて読めた作品。
作家としての熟成を感じます。
アフターダーク Amazon書評・レビュー: アフターダークより
4062125366
No.208
(5pt)

こちら側とあちら側

 これは「こちら側」と「あちら側」をはっきりと打ち出した村上春樹の金字塔的作品であるといってよい。村上春樹に「こちら側」と「あちら側」を書かせるきっかけとなったのが、1995年3月のあのオウム・サリン事件であり、「アンダーグラウンド」としてインタビュー作品となって結実した。
 被害者たる「こちら側」と加害者たる「あちら側」のオウムとして。
 自ら「あちら側」に行ってしまった姉エリと、これを悩む「こちら側」の妹マリが体験する一夜の夢ドラマ! 夜明けまでの数時間にくりひろぱれるあちら世界とこちら世界のせめぎ合い。 
 村上の初期作品は「翻訳調」として嫌われ芥川賞を逸したといわれているが、本作は短いセンテンスの繰り返しで、これこそまさしく翻訳調子! 
 単純極まりない文章回しで、読み手に快感を与える。
 海辺のカフカとか1Q84の世界を漂流するわれわれ読者からすれば、このアフターダークの世界はまだまだ単純な世界でる。理解しやすい世界である。
アフターダーク Amazon書評・レビュー: アフターダークより
4062125366