ノルウェイの森
評判
ノルウェイの森の評価:
3.82/5点 レビュー 818件。 C ランク
Amazonレビュー一覧
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全1,323件 881〜900 45/67ページ
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ノルウェイの森の評価:
3.82/5点 レビュー 818件。 C ランク
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2010年の現在から23年も前のことだ。
日本はその頃、足下がふらふらとした不安定な、いつ割れるとも知れない
巨大なる風船だということにも気がつかないまま、
戦後空前のバブル景気に酔い、歌い、踊り狂っていた。
日本人が大量消費という資本主義的な贅沢を覚え始めて間もない頃であり、
性や人間性は好景気の溢れるような富という膜によって、逆説的に資本主義の浸食から逃れ、
かろうじて尊重されてしかるものだった。
溢れる物質と日本を包むオプティミズムは、喪失を、ファンタジーの中に存在するだけの、
ロマンチシズムに占領されたペシミズムへと追いやっていた。
翻って2010年現在。
バブルの炸裂から20年が経過しようというのに、
まだ日本は深い傷跡から立ち直れずもがき続けている。
グローバリズム経済の終焉に追い討ちをかけられた、
この空前の不景気という猛吹雪の中、守られなければならないはずの
性や人間性は、何からも保護されることなく、
援助交際や風俗、アダルトビデオ、日雇い派遣のように、
ほんのはした金で取引される、ありふれ、凍てついた、下手をしたら
誰も買い手のつかない、単なるつまらない消費財と成り果てた。
すべての光を吸収する漆黒の暗闇のようなベールで包み隠された未来は、
日本人の精神を極限まで疲弊さしめ、
決して油の切れることのないドリルが、酷薄なる地面に、轟音をたてながら、
見栄えの悪い、しかしながらとにかく巨大な穴を無遠慮に空け続けるかのように、
心の奥底に喪失という深淵なる空洞を堀り進み続けている。
この作品は、セックスが日常生活に氾濫し、グローバリズムが人間性を摩耗し尽くし、
喪失が国民病となった現在の日本の予言の書だ。
だからこそ、1987年の当時は画期的にその存在価値を燦爛とした暗黒の太陽のように輝かすことができた。
「溢れるような量のセックスと精神病と喪失。なんだこの異様な世界は?」
2010年の現在、そこに描かれる世界はほとんどそのまま、我々が細々と暮らす日常であり、
1987年時点での暗黒の太陽の輝きは、まるでその輝きを受け身的に反射するだけの、
三日月の微弱ではかない光となってしまった。
「溢れるような量のセックスと精神病と喪失。
なんだ、そこらに転がっている、ありふれた、珍しくもない、ただの日常ではないか。」
この作品は、だから、読み手の世代(読み手が過ごした時代)に依って、賛否両論、評価が分かれるのだろう。
やれやれ、村上春樹が警鐘を鳴らし続けた、来るべき災難はすべて、
どうやらとっくの昔に実体をもったリアルになってしまっていたようだ。
この先の僕らはどうしたらいいのか、その答えはもしかしたらこの本の中に隠されているのかもしれない。