ノルウェイの森

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ノルウェイの森の評価:

3.82/5点 レビュー 818件。 C ランク

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平均点3.82pt

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全1,323件 801〜820 41/67ページ
No.523
(5pt)

村上春樹という作家

評価が1か5が多くを占めるのが興味深いです。評価が低い人は、文学とはみたいな堅苦しさに囚われている気がします。ビートルズやビーチボーイズがお洒落な言葉か、セックスの描写は必要なのか?読み手のコンプレックスに感じます。ビートルズやビーチボーイズはお洒落な人じゃなくても聴きます。パスタくらい家で作って食べます。誰かの事を笑います。そして村上春樹が過去に書いているように「人はほっといても人と寝ます」それらはただの日常です。生活です。そして、「死もその一部」なのです。ただの人間です。
ノルウェイの森〈上〉 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: ノルウェイの森〈上〉 (講談社文庫)より
4061848925
No.522
(5pt)

忘れられない作品になりました。

ずっとベストセラーを続けていたので、気になり読みました。じわじわと私の心に滲み込んでくる不思議な感覚が忘れられません。この感覚は、他の村上作品でも感じられる独特な「感触」とでもいうか・・・小説を読まなくなった多忙な現役世代におすすめします。
ノルウェイの森〈上〉 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: ノルウェイの森〈上〉 (講談社文庫)より
4061848925
No.521
(4pt)

親しくはなれそうにないが、どこか魅力的な登場人物たち

この小説が大流行したのは学生の時だ。読もうかどうしようか迷ったが、友人が「エッチなシーンばかり多くて気持ち悪い小説だ」と言ったので読むのをやめた。ベストセラーへの反発もあった。それから、20年近くを経て、今初めて読んだ。読んでよかったと思った。とはいえ学生時代によんでいなくてよかった、あのころなら、なんてふしだらな人たちばかりの小説だと呆れていただろう。登場人物たちの行動は、あまり納得できるものではないし、私から見て、理解に苦しむ行動を繰り返している。正直言って、親しく付き合いたいような人間は出てこない。あまりお近づきになりたくないと思う人の方が多い。だが、それぞれの人物の感性、ものの見方、人生への向き合い方のようなものは、たとえ突飛ではあっても一貫性があり、よって、描かれている人物像はすべて、強烈な輪郭を持っている。後半を読み終えた後で書いているので、前半のみの感想をあえて書くのは難しいが、「直子」の感性は一生かかっても理解できないだろうと思った。そして、「緑」のたくましさに魅かれた。同級生に「緑」がいても、友達になれるとは思わないが、いろいろな大変さのなかで自分を貫き、家族との不和を抱えながらも地に足をつけて生きている。それから脇役ではあるが、地図を愛する「突撃隊」くんに共感を覚えた。
ノルウェイの森〈上〉 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: ノルウェイの森〈上〉 (講談社文庫)より
4061848925
No.520
(5pt)

緑はフランス革命のレジスタンスのように煙草を吸う

村上春樹という作家はまるで大人の為の絵本作家のようだ。どの作品も叙情的で、人が年を重ねる毎に得る当り前の感受性を表現している。とりわけ、この「ノルウェイの森」の上巻は、片山恭一『世界の中心で、愛をさけぶ』に抜かれるまで、日本小説単行本の発行部数トップであった。圧倒的な喪失を秘めたこの作品は手にしているだけで自分が失くす喪失を埋めてくれる、だから人はこぞってこの作品を手にした。僕が初めてこの作品を読んだは十代の頃、それ以来、二十代、三十代になった今読み返しても喪失の物語は筆者に主人公同様の喪失感を感化される、恋人と離れ、恋人を亡くす事、村上春樹自身もこの作品を友人の死を知らされた飛行機の中で執筆を始めた。本人が後の執筆物の中で「結果として書かれるべくして書かれた小説」と書いている通り、この作品の持つ圧倒的な喪失感は万人に通じる価値観として今の時代にも通じるものである。 僕は自分のぶんを食べてしまうとおなかがいっぱいになった。緑はそれほどの量を食べなかった。料理を作ってるとね、作ってるだけでもうおなかいっぱいになっちゃうのよ、と緑は言った。食事が終ると彼女は食器をかたづけ、テーブルの上を拭き、どこかからかマルボロの箱を持ってきて一本くわえ、マッチで火をつけた。そして水仙をいけたグラスを手にとってしばらく眺めた。「このままの方がいいみたいね」と緑は言った。「花瓶に移さなくていいみたい。こういう風にしてると、今ちょっとそこの水辺で水仙をつんできてとりあえずグラスにさしてあるっていう感じがするもの」「大塚駅の前の水辺でつんできたんだ」と僕は言った。緑はくすくす笑った。「あなたって本当に変わってるわね。冗談なんか言わないって顔して冗談言うんだもの」緑は頬杖をついて煙草を半分吸い、灰皿にきゅっとこすりつけるようにして消した。けむりが目に入ったらしく指で目をこすっていた。「女の子はもう少し上品に煙草を消すもんだよ」と僕は言った。「それじゃ木樵女みたいだ。無理に消そうと思わないでね、ゆっくりまわりの方から消していくんだ。そうすればそんなにくしゃくしゃにならないですむ。それじゃちょっとひどすぎる。それからどんなことがあっても鼻から煙を出しちゃいけない。男と二人で食事しているときに三カ月一枚のブラジャーでとおしたなんていう話もあまりしないね、普通の女の子は」「私、木樵女なのよ」と緑は鼻のわきをかきながら言った。「どうしてもシックになれないの。ときどき冗談でやるけど身につかないの。他に言いたいことある?」「マルボロは女の子の吸う煙草じゃないね」「いいのよ、べつに。どうせ何吸ったって同じくらいまずいんだもの」と彼女は言った。そして手の中でマルボロの赤いハード・パッケージをくるくるとまわした。「先月吸いはじめたばかりなの。本当はとくに吸いたいわけでもないんだけど、ちょっと吸ってみようかなと思ってね、ふと」「どうしてそう思ったの?」緑はテーブルの上に置いた両手をぴたりとあわせてしばらく考えていた。「どうしてもよ。ワタナベ君は吸わないの?」「六月にやめたんだ」「どうしてやめたの?」「面倒くさかったからだよ。夜中に煙草がきれたときの辛さとか。そういうのがさ。だからやめたんだ。何かにそんな風に縛られるのって好きじゃないんだよ」「あなたってわりに物事をきちんと考える性格なのね、きっと」「まあそうかもしれないな」と僕は言った。「たぶんそのせいで人にあまり好かれないだろうね。昔からそうだな」「それはね、あなたが人に好かれなくたってかまわないと思っているように見えるからよ。だからある種の人は頭にくるんじゃないかしら」」と彼女は頬杖をつきながらもそもそした声で言った。「でも私あなたと話してるの好きよ。しゃべり方だってすごく変ってるし。「何かにそんな風に縛られるのって好きじゃないんだよ」 そこで2010年ついに映像化されることになった「ノルウェイの森」映画化までの経緯は相当な苦労があったが、誰しもが、この作品の登場人物を演じる俳優のイメージが違うと思う、しかし先日、TBS系列で放送された「情熱大陸」で緑役を演じる、モデルの水原希子の500日を追っていたが、小林緑という、作中、僕、直子、キズキの関係性とは別にワタナベに寄り添う緑の活発で気まぐれな性格を、演技経験のない水原希子は見事に具体化していると感じた。ワタナベと緑のやり取りで好きな本文引用部。緑はまるで1789年に起きたフランス革命でレジスタンス達が吸っていた「ゴロワーズ」のようにマルボロを吸う。僕が映画化で期待することは緑の煙草の吸い方だ、僕が監督なら「17歳のカルテ」のウィノナ・ライダーのように煙草を吸わせる。モデルというフィルターを通し、緑を遊ばせた、水原希子の起用は映画を観る前から的を得ていると感じた。映画化に合わせ本作を読む人は、筆者のようにフェチズム的な観点から原作と映画の違いを観る事を薦める。
ノルウェイの森〈上〉 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: ノルウェイの森〈上〉 (講談社文庫)より
4061848925
No.519
(5pt)

20年経っても瑞々しい。

この小説は1987年に刊行されたと記されていますので、既に20年以上の風雪に耐えてきたわけですが、依然としてヒヤリとするような瑞々しさを保持しています。村上氏の作品について、文体のことが良く指摘されます。伝統的な日本文学とはいささか異なる翻訳調で、フィッツジェラルドやサリンジャーなどアメリカ文学を彷彿させます。この文体によるパッケージが鮮度を保っている重要な要素ではないかと思っています。ベタな表現ですが、冒頭の書き出しによって、読み始めるとビートルズの「ノルウェイの森」が聞こえてきます。本を開いている間、頭の中で鳴ってしまいます。村上氏は必ずしもこのタイトルが気に入ったものではないそうですが、これほど印象を決定付けているタイトルも珍しいのではないかと感じています。資本経済社会の規格の中に押し込められた若者達の青春像という捉え方をしています。他人にも自分にも距離を感じ、自分がしていることさえリアルに感じられない感覚。自己を客観的に観察し、すべての行動に理由付けをしてしまう自由な世界に生きる不自由さ。村上氏の文学が描くのは、現代に生きている人々のある種共通の感性ではないか、と思い始めています。
ノルウェイの森〈上〉 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: ノルウェイの森〈上〉 (講談社文庫)より
4061848925
No.518
(5pt)

生きることは死ぬこと

死んだ人は、生きている人の中で生きていて、生きている人の生き方を動かす力があるようで無いようで、じゃあ、生きている人は自分としてどこで生きているんだろう?、と「何のために生きているんだろう?」と考えさせられる読後感です。ワタナベ君の20歳前後の日常の生活が淡々と進んでいって、終りが無いように終わってしまう話なのに、自分の気持ちの中にドンドン入り込んでくる不思議な感じがしました。別の感想としては、登場人物は全て、ちょっと普通じゃない人ばかりというが、世間ずれしているというか、少なくとも私の周りに大勢いるギラギラした人達とは別世界にいる人たちとの印象でした。普通世の中には、永沢君のように考える人がごく一般的なのになあ(頭が良いということは除いて)と、強く思いましたが、もしかしたら私のいる世界が違うのかなとも思ってしまいました。それから、笑えるところが沢山あったのが、とても意外でした。突撃隊のラジオ体操についてのコメントだとか、緑の「生理ナプキン燃やしている」発言などで、読みながら声を出して笑ってしまいました。みなさん、村上春樹って笑えるんです。。。この状況で何で性描写のシーンが出てこなければいけないのかなど、「意味わからん」というところも多いのですが、小説としては満点ですね。最後に、一番印象に残ったところは、緑が言っていた「苺のショートケーキ」に関する言葉です。ワタナベ君は「君みたいな考え方をする女の子に会ったのは初めてだな」って言いましたが、私は、女性って、そういうところがあるよなあと、ひたすら感心してしまったのでした。緑が何と言ったか気になる人は、是非この本を読んでみて下さい。
ノルウェイの森〈上〉 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: ノルウェイの森〈上〉 (講談社文庫)より
4061848925
No.517
(4pt)

「ノルウェイの森」

今年の冬に映画化されるということで、手にとってみました。村上春樹の作品は不思議な世界観があり、読者の中でも好きか嫌いかがはっきりと分かれることが多いと思います。この作品は他の作品に比べ、読みやすいように感じました。特に驚きのある話の展開というわけでもないのですが、主人公やその周りの登場人物の心情やその変化が共感出来ない部分はあっても不思議と魅了されて読み終えるまで止まる事がありませんでした。上巻を読んだあとには、下巻をすぐに読みたくなるくらいでした。
ノルウェイの森〈上〉 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: ノルウェイの森〈上〉 (講談社文庫)より
4061848925
No.516
(5pt)

好き嫌いの激しい作品ですが・・・

「100パーセントの恋愛小説です」っていうキャッチコピーとクリスマスのような装丁に魅かれ手に取ったのは20年以上前のこと。 その時頭を悩ませていた、恋愛の解決のヒントになればと思い手にとりました。 初めて読んだときは全く理解できませんでした。主人公の行動や考え方も 特にすぐ寝ちゃうとことか・・・ あれから、折々にこの本を手に取り アラフォーにして少しだけ主人公の気持ちが経験と実感として感じるようになりました。それが幸せなことなのかどうか大いに疑問だけど・・・ これからも、時々読み直す作品だと思います。 過去を生きる人も、今を生きる人も そして未来を生きる人にも この作品は何かをもたらしてくれると思います。 皆さんにおすすめいたします。
ノルウェイの森〈上〉 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: ノルウェイの森〈上〉 (講談社文庫)より
4061848925
No.515
(4pt)

生まれて初めて村上春樹を読みましたが、数行読んだだけで電気が流れました。

私はビジネス書は1000冊以上読んだのだが、こと小説は読まない。正確に言えば読まない人間だった。私にとって、文字を読むことは苦痛に近く、もっぱら自分のスキルを上げるという効果を得るためにだけに読むものだった。だから、歴史ものとか、小説とかは全く読まない。そういう人間だった。サラリーマン生活を辞め、最近起業した私がふと、ノーベル賞受賞なるか?の話題で村上春樹氏の名前が出るたびに、気になっていた「ノルウェイの森」。1Q84の前に読んでおきたくて手に取った。初版が出たのは1987年というから、すでに23年が経過する。当時は「今週のランキング」で良くノルウェイの森が上位で紹介されてたのを覚えている。さて、本文を読んでみて数行で、虜になった。体中に電気が走るような感覚がありました。ちょうど私の年齢の37歳の主人公から始まる点、飛行機が好きでB747と言われるだけで具体的にジャンボジェットがイメージできるという自分の指向性がそこにあるのは町がいないのだが、それにしても、描写が美しい。声に出してみると、その語感もいい。そうか、これが小説か。村上春樹氏だから、こんなに美しい表現なのか。この本が良いと評価する人には初心者が多いとある方のレビューに書いてあったが、そうでもよい。初心者の私には、数行読んだだけで感動させるものがあります。最後まで読んで、下巻まで読んで、また感想を追記しようと思います。
ノルウェイの森〈上〉 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: ノルウェイの森〈上〉 (講談社文庫)より
4061848925
No.514
(5pt)

積極的に生きることを見出している作品

人生に傷ついたとき、人生に迷ったとき手にとって見るとより良い本でしょう。まだ世の中の成り立ちが今以上にわからなかった10代の時にはじめて読んで、その時にうまく解釈できなかった部分のディティールはよく覚えていませんでした。そして、あの頃は鮮烈に焼き付けたものが今にはそれほど響かなかったり、たいしたことじゃないじゃんと思ってみたり。再び33歳になって手に取りましたが、はじめて読んだ後の人生の危機の時に思い返してみたら心を強くできたかもなと思いました。今となってはですが。様々な批評がこの本に対してはありますが、自分にとっては、はじめて読んだ若いころの思い出が蘇ってくる、古い流行り歌みたいな存在でしょうか。どうしようもなく翳りのある設定ですが、最後にそこから積極的に生きることを見出している作品と自分では解釈しています。
ノルウェイの森〈上〉 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: ノルウェイの森〈上〉 (講談社文庫)より
4061848925
No.513
(5pt)

やはり凄い作品

今更ながら、この作品を読んでみた。村上春樹氏の作品を全て読んだわけではないが、この作品は村上氏の最高傑作に挙げてもおかしくないほど完成された作品であった。作品を通して、大きな事件が起きるわけでもなく、悪人が出るわけでもないのだが、飽きずに最後まで読むことができた。風景や心情の描写はとても細かく美しく、ひとつひとつのシーンを映像として頭に思い浮かべることができた。
ノルウェイの森〈上〉 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: ノルウェイの森〈上〉 (講談社文庫)より
4061848925
No.512
(5pt)

登場人物に病名をつけてみた

今回、この作品が映画化されるということでなんとなく手にとってみました。読み始めから「僕」の堂々巡りのような考えが延々、正直めんどくさかった。そして最後のレイコさんとのセックスシーンがあることでこの作品の後味が悪くなっている気がした。とはいえ、やはり登場人物の精神病や神経症系の細かい描写あたりは良く書かれてあると思った。 そして、登場人物たちの発言や行動から推測すると、直子とレイコは統合失調症、突撃隊は強迫性障害、「僕」は直子と死別したあと離人症になっていたと考えます。
ノルウェイの森〈上〉 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: ノルウェイの森〈上〉 (講談社文庫)より
4061848925
No.511
(5pt)

映画化されたので・・・

映画化されたのでそれをきっかけに手にとりました。17歳という多感な時期に一番の友達キズキが遺書もなく死んだそこから主人公ワタナベを取り巻く世界のバランスが崩れてしまった他人の人生に深入りをしなかったら自分も平常心を保っていられただろうに・・・でも、他人と一番近くに感じることができるのは高校から大学のある一時かもしれない。この本は37歳のワタナベくんの回想から始まっているだから少なくともワタナベくんは自ら命を絶つことなくこの世界に生きているんだと・・・・本を読み終えた今ほっとしている。
ノルウェイの森〈上〉 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: ノルウェイの森〈上〉 (講談社文庫)より
4061848925
No.510
(5pt)

捉えられないものに捕えられる

この小説を初めて読んだのは約10年前、まだ10代の頃でした。当時は特に何かを感じるでも無く、私にとって多くの村上作品がそうである様に、結局何が言いたいのか分からない、という言葉で簡単に片付けられる事が出来る存在でした。しかし今回久しぶりに手に取ったこの本は、それまで私が思っていたのとは全く別の物でした。私の知っている一般的な小説とは、物事のありとあらゆる物事や描写によって、如何に読者にそれを伝えられるかと言う、その本文こそが全てであるのに対し、村上春樹という作家のそれは、物事や描写はただの手段に過ぎず、もっと奥底に秘められている物が主体の様に感じられます。作者の中に確固たる意思があり、しかしそれが現れるはずの本文にこそその正体を現さない為、作中の出来事も描写であっても、良く分からない、と言う現象が起こるのではないでしょか。しかし凄いのは本質が分からないにもかかわらず感じる、その圧倒的な感覚が本の中だけに留まらずに現実の世界にまで後を追って来て漂ってしまうという点です。今回それまでの評価と全く別の物になったのは、他の作品では感じた事の無かったその様な感覚に捕えられてしまった事にあります。そしてその正体の明かされていないその物こそが、村上春樹の作品の最大の魅力なのではないでしょうか。様々な評価や憶測が飛び交っていますが、その本当の意味を知るのは作者本人が明かさない以上大変に難しい事の様に思います。
ノルウェイの森〈上〉 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: ノルウェイの森〈上〉 (講談社文庫)より
4061848925
No.509
(5pt)

人間が抱える欠落と人生との関係

この小説にはさまざまな人格上の欠落を抱えた人たちが多く出てくる。彼らの多くはそのことを自覚しながら生きていて、そのうちの何人かは人生の途上で自らの命を断つという道を選んだ。途中、「生も死の一部である」という語り手の言葉が示される。この言葉から、自死というものを「道徳的に悪いことである」という図式の中に容易に回収させないようにしようという作者の意思を読み取った。「自死を肯定することはできないが、自ら死を選ぶ人生は存在する。そしてその存在を否定することはできない」という作者の肉声を聞いたように思ったのだ。読み終えた後も、「自ら死を選ばなかった人々」が、欠落を抱えつつも互いにひしめき合い、危なっかしくも人生を全うしていく人間模様が、心の深いところに刻まれたように思った。下世話な言い方になるけれど、人間の存在そのものにたいする愛しさがこみ上げてきたように思った。
ノルウェイの森〈上〉 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: ノルウェイの森〈上〉 (講談社文庫)より
4061848925
No.508
(5pt)

特別な時期に読むべき特別な小説

今からもう、10年以上前、大学生の時に読みました。そして、折にふれて、何年かに1度読み返しています。村上春樹の他の小説も大好きでよく読みますが、この本だけは本当に特別です。若い時に読んで本当に良かったと思いますし、読み返すと新たな発見とともにその時の感情がよみがえってきます。そして、小説と同じように、過ぎ去った時間を思い、過ぎ去った時間はもう永遠に取り戻すことができないことを実感します。いろんな作家の作品を読んでいくと、その人がその時にしか書けない作品というのがあることがわかります。そして、多くの作家は、大体初期の頃、そのようなその人にとって最高の作品を残し、後は何作書いてもその作品を超えることができないということが多い気がします(才能を出しきったというか、才能が枯渇したというか……)。村上春樹はそのようなことのない稀有な作家(それは村上春樹の生き方自体にも表れていると思います)ですが、それでも、この「ノルウェイの森」は、村上春樹にとって、そのような作品なのではないかと思っています。
ノルウェイの森〈上〉 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: ノルウェイの森〈上〉 (講談社文庫)より
4061848925
No.507
(4pt)

ノルウェイの森

等身大の人物たちがそれぞれの人生のなかで問題を抱え、悩み苦しみ、喜び、幸せを抱こうとして生きていく。問題は人生そのものである。人の数だけ生き方がある。死に行く者。残された者は生きている限り生きていかなくてはならないのだ。この本を読んだ人たちも自身の人生を考え生きて行くのだろう。村上春樹の文章には美しさの予感が漂っている。
ノルウェイの森〈上〉 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: ノルウェイの森〈上〉 (講談社文庫)より
4061848925
No.506
(5pt)

夏になると読みたくなる本

この小説との出会いは、ファッション雑誌に載っていた「モテたいなら読め!!」という半分冗談交じりの特集に組まれていたことでした。それまでほとんど本など読んでこなかった私です。当時大学生だった私は、その有り余る時間ですぐに2週読んだことを覚えています。それから夏になると必ず読む小説になりました。小説の中で印象に残るような背景として使われているのは人が生活するには不便ともいえる程の山奥の冬の景色です。それなのになぜか夏に読みたくなるのは、文中の「春は人がコートを脱ぎ捨て、何を始めるのにも適した時期だ」とあるのが、私にとっては夏が恋をするにはあまりにも適した時期だと感じているからなのかもしれませんね。この本に出会ってからはこれまで出会った友達や彼女になんでもっとああしてやれなかったとかこうしてやれなかったのとか思うようになりました。たとえ相手が私のことを求めていたとしても、私は自ら膜を作り、殻に閉じこもり、彼らを本質的には受け入れてはいなかったからです。でもこの本に出会えたことで人との接し方も少しは変わったと思います。昔から親に「本を読め」と散々言われそれでもほとんど読まなかった私ですが、今となってはもっと本を読んでよけば良かったと思います。親は具体的に何かを求めてそう言っていたのかは分かりませんが、少なくとも私はこの本から何かを学びました。親が読んで欲しかった本はこういった種類の本ではなかったのかもしれませんが、この本にもっと早く出会えたら人生をもっと別の歩き方をしてきたかもしれません。そこまで私の心は揺さぶられたのです。「根拠のない行動」や「おしゃれぶった横文字は」はあまり私も好きではないですが、それでもこの流れるような読者を引き込むような文章にはそう簡単に出会えるとも思えませんし、そこにある村上春樹の世界観は何か人をひきつける魅力があると思います。単純にこの本に出会えたことはとても素晴らしいことだと思っています。
ノルウェイの森〈上〉 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: ノルウェイの森〈上〉 (講談社文庫)より
4061848925
No.505
(5pt)

僕は今どこにいるのだ?

「死は生の対極としてではなく、その一部として存在している。」「死は僕という存在の中に本来的に含まれているのだし、その事実はどれだけ努力しても忘れ去ることのできるものではないのだ。僕はそんな空気の塊を身の内に感じながら18歳の春を送っていた。でもそれと同時に深刻になるまいとも努力していた。深刻になることは必ずしも真実に近づくことと同義ではないと僕は薄々感じとっていたからだ。しかしどう考えてみたところで死は深刻な事実だった。僕はそんな生き繰りしい背反性の中で、限りのない堂々巡りを続けていた。それは今にして思えば確かに奇妙な日々だった。生のまっただ中で、何もかもが死を中心にして回転していたのだ。」「僕のやるべきことはひとつしかなかった。あらゆる物事を深刻に考えすぎないようにすること、あらゆる物事と自分との間にしかるべき距離を置くこと-それだけだった。」「だから読むのさ。他人と同じものを読んでいれば他人と同じ考え方しかできなくなる。そんなものは田舎者、俗物の世界だ。まともな人間はそんな恥ずかしいことはしない。なあ、知ってるか、ワタナベ?この量で少しでもまともなのは、俺とお前だけだぞ。あとはみんな紙屑みたいなもんだ。」「それを説明するのは難しいな。ほら、ドストエフスキーが賭博について書いたものがあったろう?あれと同じだよ。つまりさ、可能性が周りに満ちているときに、それをやり過ごして通り過ぎるというのは大変に難しいことなんだ。彼女たちは何かを求めていて、俺はその何かを与えることができるんだ。それは本当に簡単なことなんだよ。そんなのあっという間に落とせるし、向こうだってそれを待っているのさ。それが可能性というものだよ。可能性が目の前に転がっていて、それをみすみすやり過ごせるか?自分に能力があって、その能力を発揮できる場があって、お前は黙って通り過ぎるかい?」「そうだよ。ゲームみたいなもんさ。俺には権力欲とか金銭欲とか言うものはほとんどない。本当だよ。俺は下らん身勝手な男かもしれないけれど、そういうものはびっくりするくらいないんだ。いわば、無私無欲の人間なんだよ。ただ好奇心があるだけなんだ。そして広いタフな世界で自分の力を試してみたいんだ。」「人生にはそんなもの必要ないんだ。必要なのは理想ではなく、行動規範だ。」「まず、第一に相手を助けたいと思うこと。そして自分も誰かに助けてもらわなくてはならないのだと思うこと。第二に正直になること。嘘を突いたり、ものごとを取り繕ったり、都合の悪いことをごまかしたりしないこと。それだけでいいのよ。」「今更出ていったって、どうしていいかなんて分かんないわよ。」「でも新しい世界が広がるかもしれませんよ。試してみる価値はあるでしょう。」「一番大事なことはね、焦らないことよ。物事が手に負えないくらい入り組んで絡み合っていても絶望的な気持ちになったり、短気を起こして無理に引っ張ったりしちゃだめなのよ。時間をかけてやるつもりで、一つ一つゆっくりとほぐしていかなきゃいけないのよ。時間がかかるかもしれないし、時間をかけても完全には治らないかもしれないわよ。待つのは辛いわよ。」「たぶん私たち、世の中に借りを返さなくちゃならなかったからよ。成長の辛さのようなものをね。私たちは無人島で育った裸の子どのたちのようなものだったのよ。でもそんなこといつまでも続かないわ。私たちはどんどん大きくなっていくし、社会の中に出ていかなくちゃならないし。」
ノルウェイの森〈上〉 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: ノルウェイの森〈上〉 (講談社文庫)より
4061848925
No.504
(5pt)

悪くない

まずいつも思うことだが、小説やエッセイ等にこの類の評価は不必要に思う。参考書や実用書でもあるまいし、評論家気取りの評価者達の言葉にはうんざりしてしまう。平積みされたり、本棚に収められているものを手に取った時からその本と対峙し、読む。それだけでいいはず。こんな所に書いてある評価を読んで、本に対峙するのはやめて欲しい。
ノルウェイの森〈上〉 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: ノルウェイの森〈上〉 (講談社文庫)より
4061848925