世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド

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評判

世界の終りとハードボイルド・ワンダーランドの評価:

4.24/5点 レビュー 267件。 B ランク

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平均点4.24pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全238件 121〜140 7/12ページ
No.118
(5pt)

静と動

●1回目
高い壁に囲まれ、外界から虐げられた街で織りなされる静寂な幻想世界、“世界の終り”。
意識の核にある思考回路を組み込まれ、回路に隠された秘密を巡って活躍する波瀾万丈の冒険活劇の“ハードボイルド・ワンダーランド”。
「生」という行為にさしたる意味はなく、「死」という行為には何かしらの意味が存在すると思われます。“世界の終り”を受け入れる時、人は何を思うのでしょうか…。
「絶望があり幻滅があり哀しみがあればこそ、そこに喜びが生まれるんだ。絶望のない至福なんてものはどこにもない。」
------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------●2回目
「君は自己を見失ってはいない。ただ記憶が巧妙に隠されているだけだ。だから君は混乱することになるんだ。しかし君は決して間違っちゃいない。たとえ記憶が失われても、心はそのあるがままの方向に進んでいくものなんだ。心というものはそれ自体が行動原理を持っている。それがすなわち自己さ。自分の力を信じるんだ。そうしないと君は外部の力にひっぱられてわけのわからない場所につれていかれることになる」
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈下〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈下〉 (新潮文庫)より
4101001359
No.117
(5pt)

静と動

●1回目
高い壁に囲まれ、外界から虐げられた街で織りなされる静寂な幻想世界、“世界の終り”。 意識の核にある思考回路を組み込まれ、回路に隠された秘密を巡って活躍する波瀾万丈の冒険活劇の“ハードボイルド・ワンダーランド”。
この[静]と[動]の物語が同時並行的に展開されています。
「長いあいだ暗闇の中にいると、暗闇というものが本来あるべき正常な状態であって、光の方が不自然な異物のように感じられてくるものなのだ。」
------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------●2回目
「進化というものはそういうものです。進化は常につらく、そしてさびしい。楽しい進化というものはありえんです」
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫)より
4101001340
No.116
(5pt)

村上本の最高傑作

20代の頃に村上氏の他作品と共に何度か読み
村上氏独特の比喩表現に感心しました
それが村上本の価値そのものであると思っていましたが
長らく押入れで眠っていたこの本を
50代になった今
読み返してみたところ
不思議なことに
私のこころの中に巣くっていた
老いや死に対する恐怖感が失せたような気がしました
人により様々な評価があるでしょうが
文句のつけようのない傑作だと思います
一通り読んだ後に
「世界の終り」だけを読み
その後に
「ハードボイルド・ワンダーランド」だけを読んでみたり
もしくはその順序を変えてみたり
とにかく何度読んでも新しい感慨を覚えます
それはこの本が私にとって
自分を映しだす鏡のような役目を担っているからなのかもしれません
それ故年齢を重ねるにつれ異なる感慨を覚えることになるのでしょう
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫)より
4101001340
No.115
(5pt)

泣きました…大好きです★

私は個人的にこの計算士の彼が大好きです☆こんな人が実際にいたら絶対ホレちゃいます。物知りで何でもこなしてステキ。そして内容…。言葉でうまく表現できないけど、私を支えるたくさんのことに感謝しなきゃいけないと思わせました。所々で心打たれた。泣いた。他のレビューで何度も読みたいと書かれてる方がいらっしゃいますが、私は逆に怖くて読み返せないです。なにせどっぷり物語に浸かりすぎて、しばらく夢から覚めることができなくなるから…。
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫)より
4101001340
No.114
(5pt)

村上春樹にしか書けない冒険物語

とにかくものすごいパラレルワールド。
まず、「ハードボイルド・ワンダーランド」。
首都東京の地下では「やみくろ」が跋扈し、計算士と記号士がお互いにしのぎをけずる。
計算士である主人公は、地下道の奥に住む博士から秘密の依頼を受けて徐々にトラブルに巻き込まれていく。
そしてもうひとつのストーリー「世界の終わり」。
高い壁で周囲を覆われている、とある街。
そこには争いも、悲しみも、欲望さえも存在しない静かで完璧に完結した街だった。
主人公は両目に「夢読み」としての刻印を入れられ、図書館で毎夜一角獣の頭骨から淡々と古い夢を読むのが仕事だった。
このまったく繋がりがないかのような二つのストーリーが交互に展開していく。
「ハードボイルド・ワンダーランド」で、博士から一角獣の頭骨をお土産にもらった主人公は、その頭骨を調べた時から図書館に勤める女の子と親しくなる。
「世界の終わり」で、図書館で一角獣の頭骨から夢を読む主人公は、そこで世話をしてくれる「心がない」女の子に好意を抱く。
一角獣。
図書館。
奇妙な接点を見せながら進行していく二つのストーリーは、終盤に驚くような展開をみせる。
「ハードボイルド・ワンダーランド」で、主人公が行なうシャフリング。
これは、頭の中で行なう暗号化だ。
シャフリングとは、記号士の脳の奥深くに暗号化に必要な手術を行なうことによって、記号士本人にも気づくことが出来ないうちに暗号化を行なうこと。
主人公はシャフリングの手術を受けると同時に、ひそかに主人公の意識の核を人為的に映像化したもうひとつの「意識の核」を脳内に組み込まれていた。
「世界の終わり」では、最初に「影」と身体を切り離された主人公は、自らの「影」から街の地図を描いて届けるように依頼される。
門番の警戒を潜り抜けて「影」に地図を届けた主人公は、街から抜け出す方法を「影」から知らされる。
こういう「とてつもない」独特の物語を書くことが出来るのは、やっぱり村上春樹しかいないのだ。
登場人物が困難な状況に陥っても、誰一人狼狽しない。
これだけの冒険物語を、心静かに読ませることが出来るのは彼しかいない。
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫)より
4101001340
No.113
(5pt)

村上春樹にしか書けない冒険物語

とにかくものすごいパラレルワールド。
まず、「ハードボイルド・ワンダーランド」。
首都東京の地下では「やみくろ」が跋扈し、計算士と記号士がお互いにしのぎをけずる。
計算士である主人公は、地下道の奥に住む博士から秘密の依頼を受けて徐々にトラブルに巻き込まれていく。
そしてもうひとつのストーリー「世界の終わり」。
高い壁で周囲を覆われている、とある街。
そこには争いも、悲しみも、欲望さえも存在しない静かで完璧に完結した街だった。
主人公は両目に「夢読み」としての刻印を入れられ、図書館で毎夜一角獣の頭骨から淡々と古い夢を読むのが仕事だった。
このまったく繋がりがないかのような二つのストーリーが交互に展開していく。
「ハードボイルド・ワンダーランド」で、博士から一角獣の頭骨をお土産にもらった主人公は、その頭骨を調べた時から図書館に勤める女の子と親しくなる。
「世界の終わり」で、図書館で一角獣の頭骨から夢を読む主人公は、そこで世話をしてくれる「心がない」女の子に好意を抱く。
一角獣。
図書館。
奇妙な接点を見せながら進行していく二つのストーリーは、終盤に驚くような展開をみせる。
「ハードボイルド・ワンダーランド」で、主人公が行なうシャフリング。
これは、頭の中で行なう暗号化だ。
シャフリングとは、記号士の脳の奥深くに暗号化に必要な手術を行なうことによって、記号士本人にも気づくことが出来ないうちに暗号化を行なうこと。
主人公はシャフリングの手術を受けると同時に、ひそかに主人公の意識の核を人為的に映像化したもうひとつの「意識の核」を脳内に組み込まれていた。
「世界の終わり」では、最初に「影」と身体を切り離された主人公は、自らの「影」から街の地図を描いて届けるように依頼される。
門番の警戒を潜り抜けて「影」に地図を届けた主人公は、街から抜け出す方法を「影」から知らされる。
こういう「とてつもない」独特の物語を書くことが出来るのは、やっぱり村上春樹しかいないのだ。
登場人物が困難な状況に陥っても、誰一人狼狽しない。
これだけの冒険物語を、心静かに読ませることが出来るのは彼しかいない。
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈下〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈下〉 (新潮文庫)より
4101001359
No.112
(4pt)

吹き飛ばされたアイデンティティー

最後の最後まで、
登場人物の名前はだれ一人として明かされることはない。
博士が計算士である『私』に告げた「『世界の終わり』で取り戻されるはずの『失われたもの』」とは、
『私』自身のアイデンティティー、
じぶんが自分として存在するための意味や価値だったのでは。
自分が生きる価値をどこの世界に求めるのか、
なにが自分にとっての現実なのか。
限りなく非現実的な世界を描き出していながら、
頭の中に浮かんでくるイメージはどこまでもリアル。
脳が痺れた。
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈下〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈下〉 (新潮文庫)より
4101001359
No.111
(5pt)

「可能性の世界」について

 僕は春樹作品の中では、初期の感傷的な作品群やポップな短編・エッセイ群よりも、特に90年代半ばから連発されてきた、「世界」の闇に関する暗く重い小説の方を支持する立場だ。ファンの間では春樹の最高傑作に挙げる声も多い本作は、2009年春号「モンキー・ビジネス」のインタビューで作家本人が語っているように、後者のダーク作品の系譜に位置する作品である。
 一見捉えどころの無いストーリーの中に、言葉で表現不可能な「感情」をイメージとして埋め込んで伝えていくことに意識的なこの作家が、自意識と「世界」および無意識の狭間、情報化社会、都市(と日本)の暗黒、等などの暗いモチーフを「世界」をめぐる物語として語ったのが本作品である。膨大なイメージ群を緻密に構成したこの長編は、作家の確かな技量を示すものだと言えるだろう。個人的には、下巻後半の光・音のイメージ、「二人」の主人公のラストの描き方に感心した。この二つのラストに、読者は厳しさと希望のどちらも読むことができるだろう。(そして、「生きる」ということは、終盤で一人の主人公が語るとおり、常にその二つの可能性の塊なのだ。)
 
 P.オースターの初期三部作と並べても遜色のない作品だと思う。
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫)より
4101001340
No.110
(4pt)

読ませる

ぎっちりと文字の詰まった膨大なページ数。
長々と続く比喩。
どこか抽象的なストーリー……。
最新作の1Q84よりは一般小説に近いかなー、と思いますが、やはり作者の芸風が色濃く出ています。
ファンタジーとリアル両刀の世界観は面白く、くどい文体もリズムに乗れればむしろ軽快。
一般小説とは一味違った魅力があることは確かです。
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫)より
4101001340
No.109
(5pt)

どんどん読める!

メカニカルでアップテンポな物語と、寓話的な物語がエンディングに向けてリンクし始める様が脳を刺激します。ストーリーに引きずり込まれ、集中して読んでしまいますが、一度では作家の真意は掴めないのでは?掴めない僕は、何度読めばその真の世界観を共有できるのでしょうか。
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈下〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈下〉 (新潮文庫)より
4101001359
No.108
(4pt)

春樹嫌いでも

世界に引きずり込まれて夢中で読んだし、壮大で面白かった。
ファンタジーの傑作と思う。
村上春樹はあまり好きではないけどこの本は好き
(64/100点)
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫)より
4101001340
No.107
(4pt)

全体的に緩やか。

上巻と同じペースで緩やかにストーリーは進み、緩やかにトーンは下がる。
細部の描写は比喩も含めて上質ではないが、かと言って飽きる程でもない。
徐々に終熄というか、収束に向かい、最終的にハッピー過ぎずアンハッピー過ぎない終幕。
レビュアー自身、下手に結論を急いだ物語の終わりが好きでないので、この終わりは好きな部類。
全体的にのっぺりとしていて、前半・後半とも感想としては変わらない。
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈下〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈下〉 (新潮文庫)より
4101001359
No.106
(4pt)

低俗風。

上巻を読んだだけの時点でのレビュー。
ストーリーの展開の仕方やストーリー自体は、まぁ巧いと思う。
なので、読み易いと言えば読み易い。
けれども、嫌な点が主に2つ。
1つは、巧くもない比喩が冗長過ぎるまでに織り込められている点。
結局、そういった「無駄」な部分を省いたら、中身は単純で薄い気がする。
それでもストーリーはしっかりしているので、そのストーリーに対する評価は「巧い」なのだが。
比喩の所為で興醒めする。
もう1つは、何彼に就けてセックスの話題を織り交ぜたがっている点。
それがハードボイルドだと勘違いでもしているのだろうか。
性欲に愚直な主人公と、身持ちの脆い(脆そうな)周辺女性のやり取りに、うんざり。
どう言い訳しても、かなり低俗に見える。
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫)より
4101001340
No.105
(5pt)

最高傑作(異論は認める

そう言わざるを得ない作品です。数多くの村上作品を読んできましたが、これを越えるものは恐らくないと思います。村上春樹アレルギーじゃない人は絶対読むべき作品個人的なは世界の終りの世界観が大好きです。
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫)より
4101001340
No.104
(5pt)

幻想的な現実感

村上作品はノルウェイの森以来2作目。
ハイテンポで現実的なハードボイルドワンダーランドと
ローテンポで幻想的な世界の終わり
その相反する二つの世界が繋がり重なり合う。
「私」が使うことが出来るシャフリングという能力に隠された謎。そのキーである「世界の終わり」という言葉。突如手にする事になる一角獣の頭骨。計算士と記号士。やみくろという謎の種族。システムとファクトリー。太った女とリファレンス係の胃拡張の女。そして博士。
「僕」が訪れた「世界の終わり」という街。心を持たないが故に穏やかな永遠の日々を暮らし続ける人々。「僕」の記憶の大半を持つ引き剥がされた「僕」の影。街に住む一角獣。古い夢と呼ばれる一角獣たちの頭角。夢読みである「僕」の手伝いをする図書館の女の子のなくしてしまったはずの心。「僕」の影の脱走計画。
全ての謎が優しく、それでいて複雑に絡み合い二つの世界は除々に重なってゆく。
本当にいい作品に出会えた。
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈下〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈下〉 (新潮文庫)より
4101001359
No.103
(5pt)

何時の時代もBobDylanはいい

 1985年(昭和60年)にオリジナルが出た本書は、平成20年を過ぎた今も面白く読むことがきる。
パラレル・ワールドを描く本書は、「カフカ」の先駆けのようなものだけに興味深いが、それにしても、当時は"Positive Fourth Street" "Watching the River Flow" "Menphis Blues Again" そして「激しい雨」が一本に収まったテープがあったんだなあ。
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈下〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈下〉 (新潮文庫)より
4101001359
No.102
(4pt)

すごい作品 一回みただけではわからない

一回見ただけでは何がなんだか・・・しょうじき筋がつかめません
はっきりって構成はでたらめな感じがします。ハルキムラカミの仕事はだいたいにおいてそうですが、一部例外を除けば、最初に大きなだいたいの地図を描くのでなく、地図の細部から描きだして、木の枝、植物の根のようにそれらを広げていきます。この手法では物語に落としどころをつけるのが非常に困難でしょう。しかしハルキムラカミはそれができる人です。だから物語として成立します。凡人はまねしないほうがいいです。痛い目にあいます。
この話ははっきりいいましてカオスです。そうです、ちょうど、私たちが夜に見る夢のようです。めちゃくちゃです。
まだ一回しか読んでないのでこんな感想ですみません。
次読むのは5年後ぐらいになりそうです。
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫)より
4101001340
No.101
(5pt)

リアルな物語

暗闇は空間を均一化する
明るいところでは自分を中心とした距離もありあそことこことに差があるが、暗闇はそれをすべて奪い去る、つまり、あそこもここも区別が無くなるということだ。
 「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」という作品は2つの世界が交互に現れる。ハードボイルド・ワンダーランドでは時間が加速したり減速したりひっきりなしに事件が起きて「私」はひと息つくこともできない。それに対し世界の終わりではゆったりとした時間が流れる、そして「僕」は光を失い「影」と別れる。生命の繰り返しがつづき人は記憶を失う。つまり、世界が「終わる」とは時間・空間の均質化なのである。世界自体は続くのではあるがそれは、「終わる」ということに等しいのだろう。
 ところで、私たちは今科学が発達したいわゆる文明社会というものに生きているが、このような均質化が身近なところに潜んではいないだろうか?タレントがはしゃぐだけのテレビ番組、いつ動作しても同じ結果しか出ないコンピューター。ハードボイルド・ワンダーランドで技術の発達が世界の終わりの危機をもたらしたように現代の科学技術も世界を終わらせうるものではないのだろうか?
 
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫)より
4101001340
No.100
(5pt)

「閉塞感 を伴った 開放感」 若しくは「アンダーグラウンドの12年前の村上の夢」

 反論もいくらでもあろうが 僕は本作が 現時点での村上の長編小説での最高傑作だと思う。その意味では本書を書きあげてから20年以上 村上は本書を超える作品を出せていないということだ。
 まず第一に圧倒的な物語がある。近未来的な「現在」を舞台とした筋と、「世界の終り」の国で語られる物語を同時並行して進めていく腕力が素晴らしい。その二つの世界を巧みに文体を変えながら リアリティーを持たせて書いていくことは紛れもなく今までの日本にもなかったような「豪腕」である。
 そうして その二つの物語が 最後に交差する瞬間は 一種の謎解き以上の美しさがあり それまで 手探りで読まされてきた読者に 「大きな閉塞感を伴った解放感」を与える。
 「大きな閉塞感を伴った開放感」とは 幾分トリッキーな表現かもしれない。但し この作品の底に流れる「閉塞感」が 本作の第二の持ち味だ。
 村上は その早い段階から「閉塞感」をテーマにした作品を書いてきたと思う。初めは 洒落た都会小説の底に「閉塞感」を忍び込ませて隠し味とする向きが強かったが 本作に来て 村上は 正面から「閉塞感」を書いたと僕は思う。「世界の終り」はまさしく「閉塞された」世界であり そこで どう僕は生きるのか というテーマを正面から掲げたのが本作であるからだ。
 本作の最後は 明るさを持っている。それが本作の読後感のすがすがしさにもなっている。但し 時代は そうはならなかったのかもしれない。
 この12年後 村上は「アンダーグラウンド」を書かなくてはならなくなった。
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫)より
4101001340
No.99
(4pt)

村上春樹の妄想力に感嘆した海外幻想SFの訳本のような作品

灰羽連盟のグリの国のモデルといわれる「世界の終わり」に興味を持ち、読みました。回りくどい比喩や、妙にさめたキザな主人公、ジャズやロック、映画、小説の固有名詞を多用し、知識をひけらかすよう言い回しは鼻につくとはいえ、日本が舞台とは思えないような妄想力にとんだ物語に、知らず知らずのうちに引き込まれました。もし自分の死があと24時間しかないとしたら、この主人公のようにきざに死んでいけたらと思います。
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫)より
4101001340