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正雪記
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【この小説が収録されている参考書籍】
正雪記の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.91pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全22件 1~20 1/2ページ
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由比正雪の出身が我が郷土清水であることから前々から関心があったのですが慶安の変の顛末を知っているだけに正雪ものは読みあぐねていたところ周五郎作品を知り楽しめるのではと手にしました。正雪の修業時代から顛末までを枝葉の話から積み上げ関ヶ原の合戦後の西側諸国大名の改易・取り潰しによって扶持がもらえず浪人となった侍たちへの弾圧による悲惨な扱いを実体験し、義によって天下泰平と万民安堵のために奔走していく流れが見事に描かれています。本作を読み終えて政権維持の為に革新勢力を闇雲に弾圧する江戸時代前期の老中松平信綱は幕末の大老井伊直弼、軍学者由比正雪を吉田松陰に置き換えれば親藩を含む諸大名までに遺恨を残し幕府崩壊の発端となった安政の大獄を連想します。 | ||||
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由井正雪を取り扱った大長篇小説の第1巻であるが、そのもったいぶった語り口となかなか話が前に進まないジャッグル構成には終始いらいらさせられる。 幕府に対して浪人を束ねて決起するはずの「慶安の変」の遥か手前で「天草の乱」に左袒したような、しないような所までが描かれているが、はなはだ切れ味が鈍く、やはり山本選手は短編に限るようであるなあ。 | ||||
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幕府という巨大な権力に対峙した主人公を支え続けた人々の生き様に共感しながら、一気に読破した。周五郎長編作品の中でも一番心に残った逸品である。 | ||||
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山本周五郎の長編小説の中で一番好きかもしれない。「樅の木は残った」は野生児の一面を持つ原田甲斐の人物造形は素晴らしかったが、あれが伊達家を救うベストの方法だったのか、どうしても疑問が残る。 作品に一貫して流れるのは、権力への静かな怒り。周五郎の作品でもこれほど”反権力”の旗幟を鮮明にしたのも珍しいだろう。終盤の開拓団との抗争はちょっと「カムイ伝」のようだ。(文庫版の解説によれば大逆事件がヒントになっているとのこと。なるほど)対置されるのは、希望を打ち砕かれても誇り高く生きようとする人々の生きざま。凛とした清々しい佇まいの”はん”は周五郎にしか書けないヒロインの典型だ。 もう一つ、僕が気に入ったのは、主人公与四郎の人物像。当時巷に溢れていた浪人救済に一生を捧げようとするのだが(だから、幕府転覆を企む革命家ではない)、元々野心家であった彼にとってはそれさえも名を上げるための選択肢の一つに過ぎなかったのではないかという疑問が拭い切れない。このいかがわしさがあるからこそ”由井正雪”という人物のイメージと通底しあうわけなのだが、一方で「それでいいじゃないか」と肯定する作者の声も聞こえてくる。「ちょっとでも人の役に立てばそれで満足じゃないか。天職、天命なんてものはないんだよ」、と。 他の時代劇作家なら「フン、偽物め!」と斬って捨てそうな山師的な人間を主人公に据えている所に周五郎の作家としての人間としての懐の広さを感じた。自分のやっていることに自信が持てなくなった時に紐解く一冊だ。 | ||||
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保管状態の悪い商品だったようです、非常に残念でした。 | ||||
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面白かったです。 | ||||
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面白かったです。 | ||||
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上下巻合わせてのレビューです。 日本史はマニアというほどではないが、江戸時代の反乱には少し興味がある。 特に由井正雪は、横山光輝が二度も漫画に起用しているので、前から心惹かれていた。 歴史小説として読んでみたかったので、ちょうどよかった。とはいうものの、正雪という人物には記録がほとんど無いらしい。本書も歴史小説というよりは伝奇時代小説である。 上巻は染屋職人のせがれ小太郎が、出世を夢見て江戸にやってくるところから始まる。 徳川幕府によってたくさんの大名が潰され、巷には浪人が溢れかえっていた。 彼らの困窮ぶりは悲惨の極地であった。小太郎は浪人救済のために生涯を捧げることになる。 島原の乱では浪人たちを指揮して手柄を立てようと試みるが、松平信綱の陰謀に潰され、命からがら脱出する。 下巻では正雪と名を変え、軍学師匠として大勢の門弟に慕われる。 埋蔵金を探し当てたり、様々なタイプの美女や美少女が周囲を彩ったり、大衆時代劇の王道展開が続く。 それなりに面白いけど、心に響くものがない。 本書の正雪は、反乱の首謀者ではないのだ。決起しようとする若者を止めるばかりで、行動しない。 終盤に紀伊家にある提言をするのだが、またもや潰される。 徳川の浪人政策は、放置というより積極的な絶滅を狙っているようだ。 武器と武力を持つ集団は将軍家だけで良いと考えたのだろう。 それならば浪人が反乱を企てるのも当然だと思うが。歯がゆいなあ。 書かれた時代と掲載誌が「労働文化」であることを考慮すると、権力者に対する抵抗と挫折を描きたかったのだろう。主役が正雪ではハッピーエンドになるわけもないが、大衆エンタメとしては暗すぎてカタルシスに乏しい。 | ||||
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由井正雪の存在を独特の見地から描写している点、感銘を受けました。 | ||||
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いつもどおり、とてもきれいで使用感もなく、気持ち良い読めそうです。 これからもよろしくお願い申し上げます。 | ||||
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いつもどおり、とてもきれいで使用感もなく、気持ち良い読めそうです。 これからもよろしくお願い申し上げます。 | ||||
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全三部からなり、『労働文化』に連載。第一部は1953年1月から54年1月、第二部は同11月から55年12月、第三部は56年8月から57年8月。由比正雪一代記だが、事績が分からないのでほぼフィクションである。小太郎といった少年時代から、江戸へ出て与四郎となり、島原の乱に参加して浪人たちと知り合う。いわゆる由比正雪になるのは最後のぎりぎりで、ほぼ蜂起計画といったものはない。ただ浪人たちの苦悩と、その浪人を弾圧する松平伊豆守への怒りが、女たちをからめながら淡々と描かれるのだが、これが面白く、最後の忍耐する正雪の姿には涙さえ流れた。 | ||||
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山本周五郎の新たな視点の正雪記、歴史に埋もれた慶安の変を独自の視点で描いております。 正雪のイメージが変わりました。 今までは新興宗教の教祖のようなイメージでしたが?そうではなかったのでは?と考えるようになりました。 そして、もう一つのテーマがあると感じました。 歴史は、その時代の為政者により作られる。 知恵伊豆(松平伊豆守信綱)の考え方と正雪の考え方、どちらも理がありますが、結局、知恵伊豆の思いにより」歴史は作られていった。 ということです。 一読の価値有り | ||||
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全三部構成で、染物職人の小倅小太郎(正雪)の生い立ちから転地修行の旅の果に島原の乱に参加、艱難の末 一命を取り止め江戸で軍学道場を開いて門弟凡そ三千余を集める。時は幕政三代家光の頃、徳川政権の安寧を 策した外様大名取り潰しと、大阪夏の陣以降増え続けた不定浪人の取り締まりなど武断的方策を実施した老中「 知恵伊豆」と評判の松平信綱の治世であった。松平信綱は「樅ノ木は残った」においても、伊達藩六十余万石改易 を目論む幕府の影の立役者として酒井雅楽頭の回想に現れる切れ者である。 幕府揺籃期で島原の乱を契機にキリシタンが日本を乗っ取ると言った風評が悪疫のように江戸界隈に伝染する。 外様反幕勢力や不定浪人に加えキリシタン門徒までもが一同呼応しては幕府の権威も形無しであった。 正雪は浪人救済を眼目に置いた政策進言のため松平信綱との伝を求めて江戸内に堂々と居を構えその機会を伺 っていた。しかし正雪の高名が江戸市中に広がるにつれ、幕府は正雪へ疑心の目を向けた。 かれらの道場に内偵を仕向け情報を知るに及んで、表看板とは裏腹な危険思想の持ち主であるとしたのである。 さて物語は巧妙に展開し、正雪を脇から支える小松や石川はんと言った女性たちの存在感も見逃せない。 まさに伝奇性に富むこと受合いで、山本周五郎氏の跳躍力に秀でた、よく撓う文体は絢爛である。 | ||||
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街中の本屋さんではもう売っていない正雪記をすぐ手に入れることができました。 | ||||
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由比正雪や丸橋忠弥という人物たちが実在したのは、事実らしい。 しかし、その実像はまったく記録されていない。 逆に、そこには創造の余地があるわけで、それが山本周五郎の執筆意欲を駆り立てたのだろう。 以下は、私的な話であるが、自分は十代のときに本書を何度も読み、大きな影響を受けた気がする。 文学的影響ではない。エンターテイメント的な影響、だろう。 つまり、面白かったのだ。 その後、司馬遼太郎の方に嗜好が変わっていったが、山本周五郎はいまでも自分にとってはだいじな小説家のひとりだ。 このたび、電子書籍版が出たので、約30年ぶりに本書を購入した。 細部まで覚えているので、すぐには再読しないが、いつかまた眼を通そうと思う。 | ||||
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だらだらしているだけで、読むのに本当に苦労する。 面白くない。 | ||||
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時代小説で歴史を学ぶのはナンセンスなのだが、歴史上の人物に抱く勝手なイメージは 時代小説や時代劇から影響を受けることが多い。 ぼくにとって、由井正雪とは江戸時代の世間を騒がせた大悪党なのだった。 というのは、時代劇では悪役として描かれるし、子供の頃に読んだ歴史こぼれ話では、江戸時代では、御上の威光というモノはすごく、犯罪人ですら「御用」と声がかかれば、「申し訳ごぜえませんでした」と素直に縛についたのだと書いてあった。 鼠小僧と由井正雪だけが、「御用」の声にも耳を傾けず、刃を傾けたとか。 由井正雪とは、とんでもない悪人なんだとイメージしていたら。 何のことはない。不平を募らせる浪人のリーダーだったのではないか。明治初期の西郷隆盛と同じだし、うまくいけば、革命家として名をはせたわけだ。革命は失敗に終わったけど。 という事を教えてくれたのが、この正雪記。何せ 由井正雪の乱は描かれていないのだ。 他の作家の書いた由井正雪だと、もっと野心家だったのだが、こっちでは えらく立派な人だ。 | ||||
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山本周五郎の眼差しはいつも変わらない。その弱者への勁くて優しい眼差しがこの小説では江戸初期の浮浪化した浪人たちへ向けられ、彼らを救うために腐心する由井正雪と磐石な幕府の基礎を築くため不逞浪人たちを駆逐しようとする「知恵伊豆」松平信綱との対決という構図になっている。しかし、別の面では、江戸へ出て軍学者の石川主税助の下で修行に励んでいた久米与四郎が由井正雪になっていく一種のビルドゥングスロマンとも読める。しかしそれでは、起承転結の承の部分つまりさなぎが脱皮して蝶に生まれ変わる過程の描写が十分でないように思うのは評者の勝手な思い入れであろうか?それはともかく、正雪の生涯の恋人ともいえる石川はんの「底知れぬ知恵と勇気」そして正雪の、「徒労感」に打ち勝つ行動力など、周五郎ワールドから一歩を踏み出した展開、そして浪人救済のための蝦夷地入植などのちの田沼意次の政策を先取りし、埋蔵金や島原の乱など全体に伝奇的要素もふんだんに取り入れた仕掛けの楽しい作品に仕上がっている。蛇足ながら名作「さぶ」もお忘れなく。 | ||||
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家光下の世に突如勃発した島原の乱。異教徒による叛乱であるとして、徳川政権は知恵伊豆松平信綱を彼の地に送り込み徹底的に弾圧する。しかし、島原の乱は実際のところ農民叛乱なのであり、「パックス・トクガワーナ」の陰に、改易などで食い詰めた武士階級の浪人化の問題がトグロを巻いていたのだ。名人・周五郎はそうした「歴史観」のもとに筆を進めており、非常に説得力がある。 本書はいまこそ読まれるべき傑作ではないか! 由比正雪の武士目線が中心であるため、農民の視点は少ないが、巻末近くの「武士の農法」とも言うべきエピソードにおけるその独善性も指摘しており、決して農民の境遇や目線を等閑視しているのではない。 いま、本書に何を読むか。ごたごた言うのはやめるが、現在、由比正雪はどこにもいない。 | ||||
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