子盗り
評判
子盗りの評価:
3.50/5点 レビュー 10件。 C ランク
Amazonレビュー一覧
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全5件 1〜5 1/1ページ
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子盗りの評価:
3.50/5点 レビュー 10件。 C ランク
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あらすじを軽く目を通した段階で、さしたる期待をしていなかったのだけれど、さすがダブル受賞作である。心理サスペンスとして、とても良くできた作品なのだ。こういう作品は、文章の上手さがあってこそ、面白さが際立つのだなと実感した次第。
京都の旧家に嫁いだ美津子は、なかなか子宝に恵まれない。夫 陽介の献身的な協力や、不妊治療も成果が出ずにいた。10余年子をなせない状況から、親戚筋からは養子をもらえという声があがり始めている。榊原家を絶やすなと。その声に後押しされるように、姑のクニ代は苛立ちをあらわにし、美津子に冷たい目を向けるのだった ・・・
美津子とその周辺のささくれ立ってくるような心情が、じりじりするように伝わってくる。精神を崩壊するまでに追い詰められる美津子。美津子は、妊娠を偽り、産科から新生児を盗むことを決意する。なすすべもなく陽介は美津子に従うしかない。
ここまで読むと新生児の強奪事件を扱っているだけなのだが、本作品は違う。
看護婦 辻村潤子の登場から、本作品が、女性たちの妄念のものがたりであることがわかるのだ。潤子は、新生児を盗もうとした美津子らを見咎めるのだが、自身の不幸な結婚生活を思い起こし、二人に子を授けようとする。脅かされ自宅でヤミの中絶手術を続けていた潤子が、目をつけたのは、妊娠後期に入った自堕落な女性 関口ひとみ。潤子は、中絶を希望していたひとみの子をとりあげ、美津子夫妻へ引渡してしまう。
子をなし、穏やかな生活を始める美津子たち。ところが、ひとみは突然母性に目覚め、美津子夫婦に執拗につきまとうようになるのだった ・・・
美津子、潤子、ひとみ それぞれの母性が、怨念のようにうずまき、痛々しくも悲しいものがたりを形成していく。女性作者だからこその心理描写なんだろう。男の私からすると、怖気をふるってしまうぐらいに鬼気迫るものがある。縦糸横糸をがっちり絡めて、キャラクターに厚みを出しているところがいい。
ストーリーは、ひとみ、そしてその共謀者の死から事件性を帯びてくる。殺人事件を扱ったミステリとしても意外な犯人の登場で面白くはあるのだが、謎解きよりも、やはりすぐれた心理サスペンスとして評価したい。