インシテミル
評判
インシテミルの評価:
3.55/5点 レビュー 211件。 A ランク
Amazonレビュー一覧
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全246件 81〜100 5/13ページ
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インシテミルの評価:
3.55/5点 レビュー 211件。 A ランク
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映画を見て、まだ本書を読むかどうか迷っている人にできるアドバイスは一つ。「タイトル以外は違います」。
米澤作品の特徴は、ミステリの謎解きのストーリーの他に、もう一本人間のストーリーを絡めるところだと思う。それが太くて深刻なストーリーであることもあれば、さらっとしたもののこともある。ただ、謎解きに絡みついているそれは、謎のネタが割れても作品を再読しようという気にさせる重要な要素になっている。スパイスではなく、構成要素だ。
インシテミル、にはそれがない。
主人公は眼前で進行中の謎に対して推理を働かせるが、それは彼の人生観や、あるいは眼の前の人物の人生観と深く関わっていない。単に彼の趣味や、その場に集められた人物達の状況に関わることでしかない。ある意味で、人間味を徹底的に削り取った描写になっている。
ごく初期に主人公が見つけたメモから、主催者がミステリマニアであることがわかる。ここは米澤らしいと言えば米澤らしい、エンターテイメントなのか自己満足なのか微妙に判断をしかねる外連味にあふれていて、そうなると読者としては主人公の視点を追いながら、「こいつ、気づいているのかな」と気にしつつ、その辺にばらまかれているであろういろいろな「描写」にちらちらと視線を送らざるを得ない。そうしないと、「だって書いてあったでしょ」と大団円で米澤に言われることになる。
映画の駄目な印象が強かったせいか、読んでいる間中、登場人物達と映画を結びつけようとして集中できなかったのが残念。これは作者のせいではない。主人公が突然探偵に変化するところを批判する向きもあるが、叙述トリックってそんなものなので仕方ない。欠点として指摘すべき点があるとしたら、叙述トリックにこだわるあまり、冒頭の主人公が頭悪すぎる記述になったことだろう。
お嬢様キャラに対する批判があるようだが、わたしは楽しめた。彼女はBGMとしてよく機能している。品よくしつけられ、物腰もあくまで丁寧で、場違いなほど美しく、世間ずれしていないお嬢様。その女性が、氷のように冷たい心臓をゆっくりと見せていく様子は、お嬢様礼賛の強い米澤らしい記述だった。「儚い羊たちの祝宴」収録の作品を思い出させる。
彼女は最後に「興業」という言葉を使っており、これによってこのサークルを作った連中の意図ははっきりわかる。それで十分である。興業を行うのは組織であり、悪の組織の陰謀を暴き、戦うのは警察の仕事である。探偵の仕事ではない。