オリンピックの身代金

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評判

オリンピックの身代金の評価:

4.15/5点 レビュー 176件。 A ランク

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平均点4.15pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全208件 61〜80 4/11ページ
No.148
(5pt)

シーズン2が読みたい。

私一番のお気に入りです。 タイトルがやや不器用ですが、奥田さんらしいです。 2020年のオリンピックは、54年ぶりの東京での開催です。 そこで、「オリンピックの身代金」シーズン2を期待したいです。
オリンピックの身代金 Amazon書評・レビュー: オリンピックの身代金より
4048738992
No.147
(5pt)

ノスタルジーな気分に浸りながら。

昭和39年、戦後の日本が世界にデビューする時の葛藤を描いています。
東京オリンピックを成功させることを全国民が望み、世界中に日本の力をアピールしようとしている時です。
この昭和時代当時の情景と、そして国民の行動や考え方を臨場感たっぷりに再現しています。
格差社会をテーマにして、理不尽な思いをぶつけ、身を挺して抵抗する姿があります。
そこには、追うものと追われるものの、手に汗握る展開があります。
警察にも格差があり、現場たたきあげと机上インテリとの違いを描いています。
当時の学生運動について実行型ではなく、求めるものを探していたのではとの見解を述べています。
底で這いつくばって、どろどろになって生き抜いている姿がよく映し出されています。
急速な高度経済成長期の中で、地域格差、経済格差、教育格差といった格差社会との表裏一体の関係。
当時は感情の起伏の激しかった頃とも言えると思います。
それに対して現在はどうなのかという問いかけが感じられます。
上巻は事象の始まりであり、下巻はページをめくるスピードが上がってきます。
巧妙に立場と時間軸を操りながら、場面を切り返していき、決して読者を飽きさせない攻防が実におもしろい作品です。
オリンピックの身代金(下) (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: オリンピックの身代金(下) (講談社文庫)より
4062779676
No.146
(5pt)

ノスタルジーな気分に浸りながら。

昭和39年、戦後の日本が世界にデビューする時の葛藤を描いています。
東京オリンピックを成功させることを全国民が望み、世界中に日本の力をアピールしようとしている時です。
この昭和時代当時の情景と、そして国民の行動や考え方を臨場感たっぷりに再現しています。
格差社会をテーマにして、理不尽な思いをぶつけ、身を挺して抵抗する姿があります。
そこには、追うものと追われるものの、手に汗握る展開があります。
警察にも格差があり、現場たたきあげと机上インテリとの違いを描いています。
当時の学生運動について実行型ではなく、求めるものを探していたのではとの見解を述べています。
底で這いつくばって、どろどろになって生き抜いている姿がよく映し出されています。
急速な高度経済成長期の中で、地域格差、経済格差、教育格差といった格差社会との表裏一体の関係。
当時は感情の起伏の激しかった頃とも言えると思います。
それに対して現在はどうなのかという問いかけが感じられます。
上巻は事象の始まりであり、下巻はページをめくるスピードが上がってきます。
巧妙に立場と時間軸を操りながら、場面を切り返していき、決して読者を飽きさせない攻防が実におもしろい作品です。
オリンピックの身代金(下) (角川文庫) Amazon書評・レビュー: オリンピックの身代金(下) (角川文庫)より
4043860056
No.145
(5pt)

リアリティがあります

昭和39年7月中旬、秋田県仙北郡熊沢村(架空)出身の東大経済学部院生の島崎国男は、オリンピックの工事へ出稼ぎに来ている異父兄が亡くなったとの知らせを受け、火葬に立ち会い、骨壷を持って郷里に帰ります。兄の仕送りに頼っていた実家はとても貧しく、島崎は義務感のようなものもあって、兄の代わりに工事現場で働き始めます。島崎は、厳しい労働の実体験から、貧しい底辺の者の犠牲の上に成り立っているところの、国と東京が示そうとする世界に対する世間体に対して憤りを感じるようになります。
島崎の他に、行動を共にするスリの村田、学部の同級生で民放テレビ局員の須賀、警視庁刑事の落合、島崎が良く行く古本屋の娘良子等々、物語の長さに見合った数の人物が登場します。昭和39年を生きる彼らの生活と興味の対象がリアリティ豊かに描かれていて、現実とテレビで見た記憶が呼び戻されるためか、とても視覚的な印象があります。ヤクザとの話し合いのシーン、過激派セクトメンバーとの話し合いのシーンは、やや作り物臭を感じて残念に思いましたが、全体としては、このところ読んだ中で突出していると思いました。
物語には、章の日付を前後させることによる、若干のミステリタッチがありますが、終盤に驚かされるというようなものではなく、それを第一に期待する方には向いていません。
焼け跡から立ち上がってオリンピックを開催することに対し多かれ少なかれ日本人が皆抱く自負を否定するでもなく、しかしそこにある社会の底辺で貧困にあえぐ人々や地方を踏み台にしている現実に憤り、けれども徒党を組んで革命を叫ぶというのでもない、個人的で孤独な抑えられない怒りが、それに相応しく静かに描かれています。とても読み応えのある、面白い物語だと思いました。
オリンピックの身代金(上) (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: オリンピックの身代金(上) (講談社文庫)より
4062779668
No.144
(5pt)

リアリティがあります

昭和39年7月中旬、秋田県仙北郡熊沢村(架空)出身の東大経済学部院生の島崎国男は、オリンピックの工事へ出稼ぎに来ている異父兄が亡くなったとの知らせを受け、火葬に立ち会い、骨壷を持って郷里に帰ります。兄の仕送りに頼っていた実家はとても貧しく、島崎は義務感のようなものもあって、兄の代わりに工事現場で働き始めます。島崎は、厳しい労働の実体験から、貧しい底辺の者の犠牲の上に成り立っているところの、国と東京が示そうとする世界に対する世間体に対して憤りを感じるようになります。
島崎の他に、行動を共にするスリの村田、学部の同級生で民放テレビ局員の須賀、警視庁刑事の落合、島崎が良く行く古本屋の娘良子等々、物語の長さに見合った数の人物が登場します。昭和39年を生きる彼らの生活と興味の対象がリアリティ豊かに描かれていて、現実とテレビで見た記憶が呼び戻されるためか、とても視覚的な印象があります。ヤクザとの話し合いのシーン、過激派セクトメンバーとの話し合いのシーンは、やや作り物臭を感じて残念に思いましたが、全体としては、このところ読んだ中で突出していると思いました。
物語には、章の日付を前後させることによる、若干のミステリタッチがありますが、終盤に驚かされるというようなものではなく、それを第一に期待する方には向いていません。
焼け跡から立ち上がってオリンピックを開催することに対し多かれ少なかれ日本人が皆抱く自負を否定するでもなく、しかしそこにある社会の底辺で貧困にあえぐ人々や地方を踏み台にしている現実に憤り、けれども徒党を組んで革命を叫ぶというのでもない、個人的で孤独な抑えられない怒りが、それに相応しく静かに描かれています。とても読み応えのある、面白い物語だと思いました。
オリンピックの身代金(上) (角川文庫) Amazon書評・レビュー: オリンピックの身代金(上) (角川文庫)より
4043860048
No.143
(4pt)

2020はどうなるか

上下まとめての感想です。
非常に後味が悪かった。でもこれは東京一極集中がさらに進んで、またオリンピックが近い今こそ知っておくべきことだと思う。
地方在住の私はもちろん主人公に感情移入して「なんとか逃げ切ってくれ」と思ったが、楽しみにしている一般の人々が戦後の復興の象徴として期待する、楽しみにする気持ちもわかる。
今度の大会もいろいろ問題山積で、でもこのときの労働のきつさよりは機械の発達などでここまで建設の人たちが苦しまないで済むように、と祈らずにいられない。
オリンピックの身代金(上) (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: オリンピックの身代金(上) (講談社文庫)より
4062779668
No.142
(4pt)

2020はどうなるか

上下まとめての感想です。
非常に後味が悪かった。でもこれは東京一極集中がさらに進んで、またオリンピックが近い今こそ知っておくべきことだと思う。
地方在住の私はもちろん主人公に感情移入して「なんとか逃げ切ってくれ」と思ったが、楽しみにしている一般の人々が戦後の復興の象徴として期待する、楽しみにする気持ちもわかる。
今度の大会もいろいろ問題山積で、でもこのときの労働のきつさよりは機械の発達などでここまで建設の人たちが苦しまないで済むように、と祈らずにいられない。
オリンピックの身代金(上) (角川文庫) Amazon書評・レビュー: オリンピックの身代金(上) (角川文庫)より
4043860048
No.141
(5pt)

ノスタルジーな気分に浸りながら。

昭和39年、戦後の日本が世界にデビューする時の葛藤を描いています。
東京オリンピックを成功させることを全国民が望み、世界中に日本の力をアピールしようとしている時です。
この昭和時代当時の情景と、そして国民の行動や考え方を臨場感たっぷりに再現しています。
格差社会をテーマにして、理不尽な思いをぶつけ、身を挺して抵抗する姿があります。
そこには、追うものと追われるものの、手に汗握る展開があります。
警察にも格差があり、現場たたきあげと机上インテリとの違いを描いています。
当時の学生運動について実行型ではなく、求めるものを探していたのではとの見解を述べています。
底で這いつくばって、どろどろになって生き抜いている姿がよく映し出されています。
急速な高度経済成長期の中で、地域格差、経済格差、教育格差といった格差社会との表裏一体の関係。
当時は感情の起伏の激しかった頃とも言えると思います。
それに対して現在はどうなのかという問いかけが感じられます。
上巻は事象の始まりであり、下巻はページをめくるスピードが上がってきます。
巧妙に立場と時間軸を操りながら、場面を切り返していき、決して読者を飽きさせない攻防が実におもしろい作品です。
オリンピックの身代金(下) (角川文庫) Amazon書評・レビュー: オリンピックの身代金(下) (角川文庫)より
4043860056
No.140
(5pt)

ノスタルジーな気分に浸りながら。

昭和39年、戦後の日本が世界にデビューする時の葛藤を描いています。
東京オリンピックを成功させることを全国民が望み、世界中に日本の力をアピールしようとしている時です。
この昭和時代当時の情景と、そして国民の行動や考え方を臨場感たっぷりに再現しています。
格差社会をテーマにして、理不尽な思いをぶつけ、身を挺して抵抗する姿があります。
そこには、追うものと追われるものの、手に汗握る展開があります。
警察にも格差があり、現場たたきあげと机上インテリとの違いを描いています。
当時の学生運動について実行型ではなく、求めるものを探していたのではとの見解を述べています。
底で這いつくばって、どろどろになって生き抜いている姿がよく映し出されています。
急速な高度経済成長期の中で、地域格差、経済格差、教育格差といった格差社会との表裏一体の関係。
当時は感情の起伏の激しかった頃とも言えると思います。
それに対して現在はどうなのかという問いかけが感じられます。
上巻は事象の始まりであり、下巻はページをめくるスピードが上がってきます。
巧妙に立場と時間軸を操りながら、場面を切り返していき、決して読者を飽きさせない攻防が実におもしろい作品です。
オリンピックの身代金(下) (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: オリンピックの身代金(下) (講談社文庫)より
4062779676
No.139
(5pt)

奥田作品の中でも3本の指に入ります

今まではサウスバウンドが一番と思っていましたが、それを上回るくらい好きです。

奥田英朗ファンなのに、不覚にもドラマの方を先に見てしまいました。
その後小説を読んだら、今まで何とも思っていなかった松山ケンイチさんが大好きになりました。

私は20代で時代は違いますが、地方から東京の大学に出してもらったので、共感するところが多くて心に刺さりました。
オリンピックの身代金 Amazon書評・レビュー: オリンピックの身代金より
4048738992
No.138
(5pt)

島崎は警察によって闇夜に葬られた

爆弾摩と化した島崎は綿密な計画を練り、警察の包囲網を次から次へとすり抜けていく。
同郷のスリ師村田と懇意になり仲間として行動していく。
オリンピック開会当日まで身代金受け渡しを伸ばしクライマックスへ。
彼をここまで追い込んだのは日本の経済格差かそれとも虐げられる出稼ぎ労働者の復讐か。事件は警察の手により闇に葬られてしまった。
その後島崎の生死は不明だが彼の取った行動は意味があったのかを考えさせられる。
一般文学通算1038作品目の感想。2015/06/05 08:50
オリンピックの身代金(下) (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: オリンピックの身代金(下) (講談社文庫)より
4062779676
No.137
(5pt)

島崎は警察によって闇夜に葬られた

爆弾摩と化した島崎は綿密な計画を練り、警察の包囲網を次から次へとすり抜けていく。
同郷のスリ師村田と懇意になり仲間として行動していく。
オリンピック開会当日まで身代金受け渡しを伸ばしクライマックスへ。
彼をここまで追い込んだのは日本の経済格差かそれとも虐げられる出稼ぎ労働者の復讐か。事件は警察の手により闇に葬られてしまった。
その後島崎の生死は不明だが彼の取った行動は意味があったのかを考えさせられる。
一般文学通算1038作品目の感想。2015/06/05 08:50
オリンピックの身代金(下) (角川文庫) Amazon書評・レビュー: オリンピックの身代金(下) (角川文庫)より
4043860056
No.136
(5pt)

オリンピックの陰に隠れた日雇い労働者の苦悩の果て

「東京オリンピックを中止せよ」と身代金要求の爆弾事件をテーマにした作品。
人々は東京オリンピックに期待を寄せ戦後復興に酔いしれている中、オリンピック施設の建設現場では過酷な労働を強いられている東北を中心とする出稼ぎ労働者の心身をむしばんでいた。
そんな中腹違いの長兄で出稼ぎ労働者が死亡し弟の島崎国男は火葬した兄の遺骨を実家に届ける。
東大院生の島崎は兄の苦労を体験するため日雇い労働に従事していく中で田舎出身の労働者の過酷さに矛盾を感じ始めオリンピックを中止させる計画を練り始める。
昭和30年代後半の実情が如実に描かれ高度成長に隠れた日雇い労働者たちの生活と苦悩を余すことなく表現している点は素晴らしい。
一般文学通算1038作品目の感想。2015/06/03 18:00
オリンピックの身代金(上) (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: オリンピックの身代金(上) (講談社文庫)より
4062779668
No.135
(5pt)

オリンピックの陰に隠れた日雇い労働者の苦悩の果て

「東京オリンピックを中止せよ」と身代金要求の爆弾事件をテーマにした作品。
人々は東京オリンピックに期待を寄せ戦後復興に酔いしれている中、オリンピック施設の建設現場では過酷な労働を強いられている東北を中心とする出稼ぎ労働者の心身をむしばんでいた。
そんな中腹違いの長兄で出稼ぎ労働者が死亡し弟の島崎国男は火葬した兄の遺骨を実家に届ける。
東大院生の島崎は兄の苦労を体験するため日雇い労働に従事していく中で田舎出身の労働者の過酷さに矛盾を感じ始めオリンピックを中止させる計画を練り始める。
昭和30年代後半の実情が如実に描かれ高度成長に隠れた日雇い労働者たちの生活と苦悩を余すことなく表現している点は素晴らしい。
一般文学通算1038作品目の感想。2015/06/03 18:00
オリンピックの身代金(上) (角川文庫) Amazon書評・レビュー: オリンピックの身代金(上) (角川文庫)より
4043860048
No.134
(4pt)

オリンピックの 生贄?

読み応えありすぎる!
新幹線 こだまに 乗って車中で読まなければ たぶん 挫折してたと思います。
半分まで読んだ時 国男の応援してる自分に気づきました。最後 あとは捕まるしかない、、、と 思うと 残念でたまりませんでした。あっけなく逮捕されたのには 拍子抜けしました。
数年後に また 東京五輪を控えている今、テロとか 情報操作とか 本当に 大丈夫なのか? 本当に この時期に 東京五輪やっていいのか? と 個人的に 勝手に心配することになりました。
オリンピックの身代金 Amazon書評・レビュー: オリンピックの身代金より
4048738992
No.133
(4pt)

苦々しいハッピエンド

強い印象を与えた上巻のラストから一転,下巻に入るとまた落ち着いたというのか,
これまでと同様に,少し進めては時間を戻し,それまでの側面や裏面を見せる展開や,
地方や労働者軽視の社会への憤りなどは,さすがに焦れったさを感じることがあります.

それでも,細かい場面転換の連続は,『本番』が近づくに連れて緊張と興奮を覚え,
成功はないと思いながらも,犯人役の青年への期待,結末に想像が膨らんでいきます.
このほか,相棒の男性との信頼関係や,その男が彼の中に見た『希望』には胸が打たれ,
男や同郷の仲間たちと同じく,彼にどこまで肩入れできるかで評価も分かれてきそうです.

また,事件は終わるも,青年の『その後』にはまるで触れずに幕切れとなる様子は,
彼など初めから存在しなかったようで,そこには彼が立ち向かった社会が重なるよう.
さらに,社会と自分たちの明るい未来を信じて疑わない,最後の若者たちのやり取りは,
確かにハッピエンドなのかもしれませんが,何ともやり切れない苦々しい思いが残ります.
オリンピックの身代金(下) (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: オリンピックの身代金(下) (講談社文庫)より
4062779676
No.132
(4pt)

苦々しいハッピエンド

強い印象を与えた上巻のラストから一転,下巻に入るとまた落ち着いたというのか,
これまでと同様に,少し進めては時間を戻し,それまでの側面や裏面を見せる展開や,
地方や労働者軽視の社会への憤りなどは,さすがに焦れったさを感じることがあります.

それでも,細かい場面転換の連続は,『本番』が近づくに連れて緊張と興奮を覚え,
成功はないと思いながらも,犯人役の青年への期待,結末に想像が膨らんでいきます.
このほか,相棒の男性との信頼関係や,その男が彼の中に見た『希望』には胸が打たれ,
男や同郷の仲間たちと同じく,彼にどこまで肩入れできるかで評価も分かれてきそうです.

また,事件は終わるも,青年の『その後』にはまるで触れずに幕切れとなる様子は,
彼など初めから存在しなかったようで,そこには彼が立ち向かった社会が重なるよう.
さらに,社会と自分たちの明るい未来を信じて疑わない,最後の若者たちのやり取りは,
確かにハッピエンドなのかもしれませんが,何ともやり切れない苦々しい思いが残ります.
オリンピックの身代金(下) (角川文庫) Amazon書評・レビュー: オリンピックの身代金(下) (角川文庫)より
4043860056
No.131
(5pt)

高度経済成長期の光と影

昭和39年,オリンピック開催に沸く東京を中心に,それを複数の視点から描くことで,
高度経済成長期を突き進む日本の発展の光と影が,うまく描かれている印象を受けます.

また,その賑わいの中,東京との違いはもちろん,何気ない仕草にいたる部分まで,
活気から取り残された地方や,搾取される側との『格差』には何とも言えない気分に.

時間を前後させて描かれるこれらは,長い作品のため,いささかくどさもありますが,
事件を起こす青年の中で,少しずつ積もり,自身の変化に戸惑い,吹っ切れていく姿は,
世の移り変わりや人々,現代との比較,そして彼の変化を追い掛けるようで興味深いです.

そして最後の章,文庫版は上下巻分冊のため,全体としては中盤あたりになりますが,
冒頭の場面を逆の視点から映す様子は,最後でありながら,始まったと言わんばかりで,
軽い興奮を覚えるとともに,下巻への期待が一気に膨らむ見事な区切りだったと思います.
オリンピックの身代金(上) (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: オリンピックの身代金(上) (講談社文庫)より
4062779668
No.130
(5pt)

高度経済成長期の光と影

昭和39年,オリンピック開催に沸く東京を中心に,それを複数の視点から描くことで,
高度経済成長期を突き進む日本の発展の光と影が,うまく描かれている印象を受けます.

また,その賑わいの中,東京との違いはもちろん,何気ない仕草にいたる部分まで,
活気から取り残された地方や,搾取される側との『格差』には何とも言えない気分に.

時間を前後させて描かれるこれらは,長い作品のため,いささかくどさもありますが,
事件を起こす青年の中で,少しずつ積もり,自身の変化に戸惑い,吹っ切れていく姿は,
世の移り変わりや人々,現代との比較,そして彼の変化を追い掛けるようで興味深いです.

そして最後の章,文庫版は上下巻分冊のため,全体としては中盤あたりになりますが,
冒頭の場面を逆の視点から映す様子は,最後でありながら,始まったと言わんばかりで,
軽い興奮を覚えるとともに,下巻への期待が一気に膨らむ見事な区切りだったと思います.
オリンピックの身代金(上) (角川文庫) Amazon書評・レビュー: オリンピックの身代金(上) (角川文庫)より
4043860048
No.129
(4pt)

あの時代への愛着または郷愁

1964年(昭和39年)の夏。扇風機が回るクーラーのない職場。都電が縦横に路線を広げる街で、暑ければ大人も子供もやたらとラムネを飲む。警視庁の刑事らはその都電で現場に向かう。新婚旅行は東京駅から熱海方面行きの電車に乗り込み、ホームでは同じ引き出物を持った見送りの同僚らが新郎を胴上げして送り出す。東海道新幹線の開通は開会式の直前。立ち上がったばかりの民放テレビの記者たちは、新聞には負けられないと意気込んでいる。街中ではポマードを使っているやつが結構多いーー。

 前回の東京五輪開催前の社会風物、高度成長期の人々の模様を背景に、1人の学生が人夫に身をやつし、やがてとてつもない行動にのめり込んでいく。物語自体は今の目からみると、心なし不自然というか作った気配がわずかに残る、と言えなくもない(とくに左翼思想絡みのところ)。しかし活気に満ちた「昭和」の情景を再現していく手際は鮮やかで、よく出来たサスペンスに仕上がっているように思う。

 レビューの中には「裏Always」との評もあった。そんな、明るく前向きなだけではない、混沌としたあの時代に対する愛着、郷愁が作者の執筆動機なのかもしれない(といっても1964年当時、作者はまだ5歳だったようだが)。時間軸をずらして場面を前後させながらストーリーを進めていく手法にも感心した。
オリンピックの身代金 Amazon書評・レビュー: オリンピックの身代金より
4048738992