香君

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香君の評価:

4.71/5点 レビュー 69件。 A ランク

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平均点4.71pt

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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全64件 61〜64 4/4ページ
No.4
(5pt)

ファンタジーに逃げない。もはやSFだ。

前作「鹿の王」ではファンタジー小説でありながらも医療小説大賞を受賞するほど、人体や病について現実世界に則した形で生き生きと描写されていた。そう、この作者は「まあ、ファンタジーだから」と逃げないのだ。

とことん調べる。正確にわかりやすく書く。その上、専門家に助言まで請う。徹底している。
「これとこれだけ架空の設定、あとは全て現実世界に準ずる!」
このような小説は通常、SFと呼ばれる。

そのためだろうか、上橋さんは社会風刺小説は書かないのだが、あまりにリアルであるため痛烈な問題提起の小説としても読める。

現実でも僅か数種類の穀物で、78億以上の人々の胃袋を支えているし、除草剤と化学肥料と石油がなければもはや現代農業は成り立たない。米国のトウモロコシ生産などは、水質汚染と水量の減少に悩まされながら、政府の補助金によって成り立っていると聞く。

種苗の多くも僅か数社に独占されており、多くの農家は種苗といっしょに化学肥料や除草剤とセットで買うのが現状である。

また人類史的にも穀物栽培の発展により人類は本当に幸せになったか? という疑問が小説内で散見される。大規模は穀物栽培が始まると、国ができ、徴税が始まり、同時に奴隷制ができ、戦争も始まる。

多くの人が狩猟採取時代より体格が悪く、栄養失調であったのに、子供ばかりが生まれ人口が一気に増加した。これらは、全て大規模な穀物栽培をした結果、起こった事だ。「サピエンス全史」では穀物栽培は詐欺だったと述べられるほど、人類にとっては凶事だったのだ。このあたりの話は「反穀物の人類史」が詳しい。

さて当然、物語も面白いのだが、物語の裏側に上記のような穀物栽培の暗い部分が蕩々と流れているように感じるのだ。生物同士が微妙な関係性によって成り立っていることも巧みに描写されており嘆息するばかりだ。

農業や生物、穀物栽培と人類史について興味のある方は特に「ファンタジーなんか」と毛嫌いせず、是非読んでいただきたい。
読めば分る。
このファンタジーは、「本物」です。
香君 上 西から来た少女 Amazon書評・レビュー: 香君 上 西から来た少女より
416391515X
No.3
(5pt)

重いテーマを軽やかに描く

オアレ稲という病害虫を寄せ付けず,収量も極めて多い「夢の作物」によって発展したウマール帝国に危機が訪れます。オアレ稲に深刻な害虫が発生したのです。飢饉や属国の離反のおそれに直面した帝国は,どのように対応しようとするのか・・・といった感じで話が展開していきます。これ以上内容には触れませんが,肩肘張らない,軽やかな筆致で描かれていながら,描かれる内容は,農業政策のあり方とか,危機に際しての国の意思決定のあり方などといった重いテーマに関わっており,色々と考えさせられます。
香りを通じて植物の声を聞くことができるという主人公のアイシャは,非常に魅力的。守り人シリーズのバルサ,獣の奏者のエリン,鹿の王のユナに続いて新しいヒロインが現れたと感じました。
香君 上 西から来た少女 Amazon書評・レビュー: 香君 上 西から来た少女より
416391515X
No.2
(5pt)

上橋ワールド全開

帝国、その属国、帝国建国神話、辺境の民、異能の力、奇跡の稲、人口増加、疫病とその謎。
それらが複雑に絡み合い、
やがて一つの壮大な物語に昇華されていく。

読み始めると、
すぐに上橋ワールドに引き込まれ、
読み終わるまで抜け出せない。

上橋先生の作品はどれも素晴らしいが、
本作も大傑作。
ファンタジー好きには必読の書だ。

なお、上橋先生ファンの方には、
上下巻セットで購入することをすすめる。
上橋先生ファンの方が期待する
良質なハイファンタジーが本作品でも展開されている。
香君 上 西から来た少女 Amazon書評・レビュー: 香君 上 西から来た少女より
416391515X
No.1
(5pt)

面白かった!

上橋菜穂子先生は自然、政治、神話を織り交ぜたお話が多いですが、どれも緻密に練り上げられていて、ぱっと目に浮かぶようです。

今回の話では匂い様々なことがわかるアイシャという女の子が主人公で、その少女を通して”香り”で見る世界、というのがとても新鮮で斬新でした。
”オアレ稲”という植物が軸になっており、試行錯誤しながら稲の問題を解決していく、という流れと、周囲の巻き込み方、主人公の考え方は『獣の奏者エリン』のようで、それも読んでいる方々は少し既視感を覚えるかもしれません。
ですが、多少の既視感はあれど、物語のストーリーやキーになるものが違うので、楽しめると思います。
香君 上 西から来た少女 Amazon書評・レビュー: 香君 上 西から来た少女より
416391515X