TOKYO REDUX 下山迷宮
評判
TOKYO REDUX 下山迷宮の評価:
4.20/5点 レビュー 10件。 D ランク
Amazonレビュー一覧
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
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全8件 1〜8 1/1ページ
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翻訳物は実は少々苦手なのだが、本書に限っては訳者・黒原さんの文章がこなれていて、翻訳文独特の変なテイストが全くない。なので本来は読みやすいはずなのだが、会話に鉤括弧を使わないなど、元々の小説がかなり実験的な表現を用いているため、読みにくいことこの上なし。
それでも頑張って読む。お話は三部構成。第一部で描かれる事件の発端と経過は、日本でこそよく知られた事実なのだが、外国人の作家(但し日本在住)がよくここまで細部を調べ上げたものだと感心する。これでもう、読むのがやめられなくなる。
第二部は、戦後史を少しでも齧った人なら「アレ?」と思う。ここは下山事件というより、GHQのキャノン機関による作家誘拐事件、つまり鹿地(亘)事件を扱っているのでは、と気付くだろう。訳者による巻末の解説でもそう記されているので納得。事件自体は先述の松本清張著『日本の黒い霧』にも確か載っていたはず。
第三部は・・・。もうちょっとわかりやすい謎解き描写であっても良かったかなと思う。本書はミステリーというより、小説としての完成度をとても重視している印象。色々と表現上の実験をしているが、それが果たして成功しているかどうかは読者によって異なるだろう。
本書で最も驚いたことは、訳者である黒原さんの博学ぶり。東大法学部卒? どうりで。巻末の解説は必読。感心することしきり。