深い河
評判
深い河の評価:
4.32/5点 レビュー 166件。 A ランク
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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全168件 41〜60 3/9ページ
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深い河の評価:
4.32/5点 レビュー 166件。 A ランク
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それぞれの心に重荷を抱えてインド旅行に参加した人々の物語が、曼荼羅のように響き合い、河の流れのように悠揚と進行する。
美津子はそこで、墓場で人々の痛苦と悲しみを背負い萎びた乳房から人間に乳を与えるチャーナンダー女神像や、かつて自分が捨てた大津が、神父になったにも関わらずヒンズー教徒のアーシュラムに住み行き倒れた人々を背負ってガンジス川に運ぶ姿に出会う。
そして美津子はガンジス川に全身を浸し、
「でもわたくしは、人間の河のあることを知ったわ」とつぶやく。
いつしか彼女は、
「信じられるのは、それぞれの人が、それぞれの辛さを背負って、この深い河で祈っている光景です。その人たちを包んで、河が流れていることです」と、祈りのような言葉を捧げていた。
虚無、孤独、罪、悲しみ、病苦それぞれの重荷を抱えてガンジス川で祈る人々の「人間の河」。
その時美津子は、眼前のガンジス川の流れの彼方に、世界のさまざまな所、さまざまな状況で、それぞれの辛さを背負って、無数の人々が祈り続けている光景・・・目に見えない大きな「人間の河」が、この世界にあること・・・それを発見したのではないだろうか。
キリスト教や仏教やヒンズー教の違いを越えて、人生の悲しみや痛苦の中で祈りを捧げる世界中の人々の、目に見えない大きな河。
「そのなかに、わたくしもまじっています」と、美津子は言う。
そして、
「(信じられるのは)、その人たちを包んで、河が流れていることです」
時間と空間を越えて、人々を包んで流れて続けている、「深い河」。
それは、
「何か大きな永遠のものかもしれなかった」
やがてガンジス川は、磯辺、沼田、木口にもそれぞれの形で、人生の深い出会いをもたらす。
終盤では旅行客達、インドの人々、大津の人生が絡み合い、大きく展開し、激流となって結末に流れ込む。
遠藤周作が晩年に渾身の力を込めて指し示し、自分の後に生きる人々に託そうとした思いがひしひしと伝わってくる名作である。
(蛇足を言えば、ヒンズー教の女神像はこの作品に出てくる悲痛な女神像ばかりではない。現代のヒンズー教徒の家々に飾られている女神の画像は色彩鮮やかで美しく、ヒンズー教のお祭りは朗らかで楽しい。ヒンズー教は現代も、人々の生活に根ざして親しまれ、生きているのだ。
「玉ねぎ(永遠なるもの)がヨーロッパの基督教だけでなくヒンズー教のなかにも、仏教のなかにも、生きておられると思うからです」という大津の言葉に深く共感する。)