ナツメグの味
評判
ナツメグの味の評価:
4.50/5点 レビュー 2件。 - ランク
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全4件 1〜4 1/1ページ
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エスカイヤとかニューヨーカー誌などに掲載したら似合いそうな、洒落た軽いホラー。正常と思われた人間が少しずつ異常性を露わにしていくという趣向で、この場合、殺人鬼であることがわかるのだが、カクテルにナツメグを入れるか入れないかが境目という妙な展開がいい。それほど怖いわけではないが、この後がどうなるのか想像するとやはり怖いという終わらせ方になっている。
「猛禽」「だから、ビールジーなんていないんだ」。
ホラー風味のシンプルでわかりやすい小咄。飼っている鸚鵡が産んだ大きな卵。それからかえった黒い怪鳥が夫婦を破滅させる「猛禽」が良い出来だ。
庭での一人遊びが大好きな幼い少年がそこで出会い、その実在を言い張る「ビールジーさん」。それが空想ではなく、しかも人喰いの妖怪だったことがオチでわかる「だから・・・」も洒落ている。
「宵待草」。
ホラー風味の恋愛悲劇で、詩的でとても良い作品。ニューヨークの大型百貨店には、実はたくさんの人が密かに住みつき暮らしている、閉店後にパーティを開いたり自作劇を上演したりしながら・・・ というイメージが素晴らしい。ミルハウザーもそうだったが、アメリカの作家は大型百貨店の存在になぜか創作欲を刺激されるらしい。
「遅すぎた来訪」。
一人の男の、自分の部屋に美しい女性がいる、しかし、見ることができないという感覚が濃密に描かれる。これも良い出来と思う。オチは、ジーン・リース「懐かしい我が家」と同様のもの。
「魔王とジョージとロージー」。
女性嫌悪を評価されて魔王にスカウトされ、宇宙の果てに新設された地獄の女性専用施設のトップ監督官におさまったジョージ。絶対的な権力を笠に着て楽しい日々を過ごしたが、間違って送られてきた美しいロージーに出会い、その処置を巡って魔王と対立するハメに・・・ ユーモアと皮肉が効いた、面白い作り話。
どの作品もいわゆる「奇妙な味」の系譜で巧くできているが、しかし、展開の切れがいまひとつで、オチの衝撃度が弱い。思うに人間性の捉え方が浅いのではないか。だから、プロットの作りもディテール描写も巧いのに、最後の展開に切れが出ず、読後に余韻が残らない。そんな印象を持った。