夜行
評判
夜行の評価:
3.82/5点 レビュー 153件。 C ランク
Amazonレビュー一覧
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全154件 21〜40 2/8ページ
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夜行の評価:
3.82/5点 レビュー 153件。 C ランク
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どちらかというと前者の方が人気があり、後者はオチがはっきりしないという理由でやや評価が低いような気がします。が、一見ユーモラスで明るく見える話でも、どこかに闇が潜んでいるような妖しさがあり、森見さんの持ち味はむしろそのほの暗さだと感じます。今まで一番好きなのは「きつねのはなし」だったのですが、この「夜行」も1、2を争うくらい好きになりました。
森見さんはインタビューで「夜は異界と近づく時間帯という印象なので想像力を刺激されるのでしょう。型どおりの日常が揺らぐ一瞬が夜には潜んでいて、不意に隙間から奇妙なものが顔を覗かせてくる気がするんです。それは宴会や祭りも同じ。本作のしめくくりは火祭ですが、それも「何が起きてもおかしくない」舞台にふさわしいと思っていたからかもしれません。」と述べていらっしゃいます。そういう雰囲気がとてもよく出た作品です。
鞍馬の火祭を見に行った仲間内でひとりの女性が失踪します。その後1人の呼びかけで10年ぶりに仲間が集まってまた火祭を見に行くことに。
貴船の旅館で温泉に入り、鍋をつつきながら話していると、みんながある画廊で岸田道生という人の銅板画を見ていたことがわかります。
それぞれのメンバーはその銅板画がからんだ旅の思い出を順に語り始めます。
最初の「尾道」で、その得体の知れない不気味さに息をのみました。登場人物たちの頭がおかしくなったのか?それとも何か悪夢のような異世界の話なのか?そして「奥飛騨」「津軽」「天竜峡」と語り継がれ、話は元の「鞍馬」の夜に戻ります。
自分には「津軽」が一番強烈な印象を残しました。夜行列車がトンネルを抜けて日本海側へ出たとたん、川端康成が「雪国」で”夜の底が白く見えた”と書いたような雪景色が一面に広がります。そこにあった燃えさかる一軒家と横で手招きしていた女性の影・・。
そして青森も雪に覆われ、津軽鉄道のストーブ列車に乗って到着した小さな町の奇妙な家で、同行者の1人が失踪します。厳寒の町の深々とした静けさが不気味な味を残す一編です。
夜の世界を描いた銅板画のシリーズ「夜行」と、朝を描いた「曙光」が最後に反転する不思議さ。結局起こったのはどういうことだったのか?まるで神隠しのような一連の不思議な出来事。
合間合間に西行法師の句「 春風の花を散らすと見る夢は さめても胸のさわぐなりけり」が出てきます。そして登場人物たちは「世界はつねに夜なんだよ」と何度もつぶやきます。読んでいて自分が一番ぴったりくると思ったのは、江戸川乱歩の「うつし世はゆめ、夜の夢こそまこと」という言葉でした。
怪奇幻想味に満ちた秀作でした。「きつねのはなし」が好きな人におすすめです。