アトミック・ボックス

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評判

アトミック・ボックスの評価:

4.14/5点 レビュー 21件。 A ランク

Amazon書評・レビュー点数毎のグラフです

平均点4.14pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全28件 21〜28 2/2ページ
No.8
(4pt)

面白かった

新聞で途中まで読んでいたので気になっていて、
受け取って一気読みした。高かったが、面白かった。
アトミック・ボックス Amazon書評・レビュー: アトミック・ボックスより
4620108014
No.7
(4pt)

やや深読みかもしれませんが…

まず、何より読みやすいです。『静かな大地』もかなり読みやすかったですが、それ以上と言えます。
「原発」と「核」という、一見、“正”と“負”の側面を持った二十世紀物理学の“成果”が極めて近接していると同時に、現代に生きる私たちにいかに大きな影響を与えているか認識させてくれます。
それと、大学で理系に進んだ著者(ただし、中退)だけに、こういった作品では避けて通れない科学的・技術的な面に関する描写も比較的分かりやすいです(といって私に完全に理解できるわけではないですが)。
また、ヒロインの逃避行を助ける人との絆、様々な工夫は、現代社会の人間関係の在り方や“便利さ”への皮肉にも思えます。

178ページに「カロンの艀」(本文には“はしけ”とルビがあります)が出ていますが、著者の父である福永武彦氏の『死の島』を思い出しました。『死の島』では、広島の原爆で被爆した女性が出てきますが、本書でも被爆が大きなキーになっていることを考え合わせると、エンターテインメント色が強い作品とはいえ、ヒロインと父親の関係に、著者と著者の父親の関係が微妙に影響を与えているような気がしてなりません。
アトミック・ボックス Amazon書評・レビュー: アトミック・ボックスより
4620108014
No.6
(5pt)

若者こそ読んでほしい

この本が出版される以前に、読破した者です。 
毎日毎日こんなに待ち焦がれた新聞連載小説は初でした。 そして、読破後に単行本を購入したのも初体験です。
核は人間の手に負えるものではありません。原発の恐怖を体験してなお学習のない人々を心より憂えます↓ 過去
から学べぬ人々が、現在進行形からも学べないということに深く哀しみを覚えます。 私はもう日本がどう闇に向か
おうと構わない世代ですが、次世代 次々世代を憂慮しつつ、あなたたちに大きな責任があることを自覚して欲しい
と願う者です。 池澤さんの思いが伝わる素晴らしい本でした。
アトミック・ボックス (角川文庫) Amazon書評・レビュー: アトミック・ボックス (角川文庫)より
4041037158
No.5
(5pt)

若者こそ読んでほしい

この本が出版される以前に、読破した者です。 
毎日毎日こんなに待ち焦がれた新聞連載小説は初でした。 そして、読破後に単行本を購入したのも初体験です。
核は人間の手に負えるものではありません。原発の恐怖を体験してなお学習のない人々を心より憂えます↓ 過去
から学べぬ人々が、現在進行形からも学べないということに深く哀しみを覚えます。 私はもう日本がどう闇に向か
おうと構わない世代ですが、次世代 次々世代を憂慮しつつ、あなたたちに大きな責任があることを自覚して欲しい
と願う者です。 池澤さんの思いが伝わる素晴らしい本でした。
アトミック・ボックス Amazon書評・レビュー: アトミック・ボックスより
4620108014
No.4
(5pt)

倫理と舟の作家、池澤夏樹

池澤夏樹さんは、倫理と舟の作家だなあ、と思いました。この小説を読んで。別の作品も思い出して。これは、前作の「双頭の船」と並んで、ポスト3・11文学だなあ、とも。前作が岩手・宮城編なら、これは、福島編とも思えます。両者に共通するのは、ここからあそこに渡る舟。

 ページを追わないではいられない、どんどん読ませる物語展開。そこに埋め込められる思想、メッセージ。両者が両立、相互補完、いや一体化。

 27歳の女性社会学者、美汐(みしお)。父が死んだ。長年、漁師をしていた。けれども、それ以前の仕事は? 権力が秘密にしたがる仕事? なぜ、それを止めた? 辞めた? 父は娘に何を、何故、伝えようとした? 父は過去のある罪ゆえに自罰のための自死の手伝いを娘に頼むが、娘は? 謎が二重三重に解かれていく。

 娘は追われる。行かなければならないところがある。けれども、駅も空港も高速道路も、監視カメラだらけ。携帯も電源を入れれば、たちまち居場所が知られてしまう。そこで、美汐はどうやって、目的を達成しようとするのか。

 跳んだり、走ったり、国家を維持したりすることが危うくなってきた今日この頃。ぼくたちは、潜り、泳ぎ、島に生きる。

 技術者は製品の行方などは考えずに、目の前の課題をこなしていけばよいのか。「工学は時として罪を犯す」(p.339)。けれども、父の師匠である漁師は言う、「頭じゃない、身体だ」(p.347)。海での毎日の体験は、工学とは違う種類の知性が人間にはあることを教えてくれる。

 父の同僚は言う。原爆は使われる時以外は眠っているが、原発はつねに超臨界状態を維持している。その原発が事故を起こし、父は自分の「罪」をあらためて思い起こされ、また、癌にかかり、ある決断をする。

 国家のいや政治家の、論理いや理屈と、個人の論理いや倫理の対決。負けるのは、勝つのは、どちら。

 物語の父と娘は、池澤さんと娘さんにも重なるのだろうか。池澤さんは娘に何を託すのだろうか。

 一気に読めるが、現在のテーマが幾重にも折り重なり、掘り下げられている。
アトミック・ボックス (角川文庫) Amazon書評・レビュー: アトミック・ボックス (角川文庫)より
4041037158
No.3
(5pt)

倫理と舟の作家、池澤夏樹

池澤夏樹さんは、倫理と舟の作家だなあ、と思いました。この小説を読んで。別の作品も思い出して。これは、前作の「双頭の船」と並んで、ポスト3・11文学だなあ、とも。前作が岩手・宮城編なら、これは、福島編とも思えます。両者に共通するのは、ここからあそこに渡る舟。

 ページを追わないではいられない、どんどん読ませる物語展開。そこに埋め込められる思想、メッセージ。両者が両立、相互補完、いや一体化。

 27歳の女性社会学者、美汐(みしお)。父が死んだ。長年、漁師をしていた。けれども、それ以前の仕事は? 権力が秘密にしたがる仕事? なぜ、それを止めた? 辞めた? 父は娘に何を、何故、伝えようとした? 父は過去のある罪ゆえに自罰のための自死の手伝いを娘に頼むが、娘は? 謎が二重三重に解かれていく。

 娘は追われる。行かなければならないところがある。けれども、駅も空港も高速道路も、監視カメラだらけ。携帯も電源を入れれば、たちまち居場所が知られてしまう。そこで、美汐はどうやって、目的を達成しようとするのか。

 跳んだり、走ったり、国家を維持したりすることが危うくなってきた今日この頃。ぼくたちは、潜り、泳ぎ、島に生きる。

 技術者は製品の行方などは考えずに、目の前の課題をこなしていけばよいのか。「工学は時として罪を犯す」(p.339)。けれども、父の師匠である漁師は言う、「頭じゃない、身体だ」(p.347)。海での毎日の体験は、工学とは違う種類の知性が人間にはあることを教えてくれる。

 父の同僚は言う。原爆は使われる時以外は眠っているが、原発はつねに超臨界状態を維持している。その原発が事故を起こし、父は自分の「罪」をあらためて思い起こされ、また、癌にかかり、ある決断をする。

 国家のいや政治家の、論理いや理屈と、個人の論理いや倫理の対決。負けるのは、勝つのは、どちら。

 物語の父と娘は、池澤さんと娘さんにも重なるのだろうか。池澤さんは娘に何を託すのだろうか。

 一気に読めるが、現在のテーマが幾重にも折り重なり、掘り下げられている。
アトミック・ボックス Amazon書評・レビュー: アトミック・ボックスより
4620108014
No.2
(5pt)

最高の原発啓蒙書

癌で無くなった父には秘密があり、秘密を託された娘は、指名手配を受けながらも、友人たちの協力により、秘密に迫っていく。そこには日本による原爆開発の関与が。社会学者である主人公は自身の倫理観からその問題に立ち向かって行く。

根底に流れるのは、「楽しい終末」で示された人間の開発し、保持し続ける制御技術に対する疑念であり、それは東日本大震災での体験をもとに強固なものに消化され、強い物語となった。原爆の仕組みについても、池澤さんらしく真摯に説明している。

社会に問題を提起するという意味合いにおいて、この物語がとても有効に機能している。その辺りを嫌味なくまとめてるあたりは流石と思う。

原爆は抑止力であり、原発はエネルギー保証において非常に重要であることは理解できる。そこは間違いなく池澤さんも理解してると思う。

しかしながら、作家としてまたは世を憂う詩人として、そこに問題提起していこうという姿勢が重要で、私はひどく共感を覚える。小泉元首相や山本太郎だけじゃない、こういう作家にこそ注目が集まるべきと考える。

池澤さんはようやっとこれを書いてくれた。それだけで今の僕は充分に満足。
アトミック・ボックス (角川文庫) Amazon書評・レビュー: アトミック・ボックス (角川文庫)より
4041037158
No.1
(5pt)

最高の原発啓蒙書

癌で無くなった父には秘密があり、秘密を託された娘は、指名手配を受けながらも、友人たちの協力により、秘密に迫っていく。そこには日本による原爆開発の関与が。社会学者である主人公は自身の倫理観からその問題に立ち向かって行く。

根底に流れるのは、「楽しい終末」で示された人間の開発し、保持し続ける制御技術に対する疑念であり、それは東日本大震災での体験をもとに強固なものに消化され、強い物語となった。原爆の仕組みについても、池澤さんらしく真摯に説明している。

社会に問題を提起するという意味合いにおいて、この物語がとても有効に機能している。その辺りを嫌味なくまとめてるあたりは流石と思う。

原爆は抑止力であり、原発はエネルギー保証において非常に重要であることは理解できる。そこは間違いなく池澤さんも理解してると思う。

しかしながら、作家としてまたは世を憂う詩人として、そこに問題提起していこうという姿勢が重要で、私はひどく共感を覚える。小泉元首相や山本太郎だけじゃない、こういう作家にこそ注目が集まるべきと考える。

池澤さんはようやっとこれを書いてくれた。それだけで今の僕は充分に満足。
アトミック・ボックス Amazon書評・レビュー: アトミック・ボックスより
4620108014