日の名残り

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評判

日の名残りの評価:

4.45/5点 レビュー 402件。 A ランク

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平均点4.45pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全911件 141〜160 8/46ページ
No.771
(5pt)

信頼できない語り手

丁寧な語り口
見え隠れする自尊心
大きなことを成し遂げようとチャレンジするひとの脇にいて補佐をすることで自分も成し遂げたかのような錯覚
自己正当化、都合良く美しく改変された記憶

ある女性への思慕、そのものはおそらくは真実
踏み込めなかったことに対する後悔の正当化

いままで長く本を読むことをしてきましたが、
一人称で語る主人公には信頼を置いてきました。
本当のことを語る、本当でなければ本当ではないと認識している、オネストであることが前提です。
この本で信頼できない語り手という定義を初めて知りました。

一方で、はなから悪党だったり錯綜したする主人公の語りは疑うことを前提として読んでいる。
そんな偏見と思い込みをもつ自分を自覚し、そう言った意味でも衝撃を受けています。

スティーブンスはこの旅で自己の矛盾と向き合うことになります。
途中の呆れるほどのしつこい自己正当化も薄らいでいきます。

過去を振り返っていても仕方がない、前を向くのだという見知らぬ老人のアドバイスをこの後の人生で彼はどうしていくのか。
その余韻に浸っていこうと思います。

素晴らしい作品です。
日の名残り (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: 日の名残り (ハヤカワepi文庫)より
4151200037
No.770
(5pt)

価格が安い!

古いですが問題ありませんでした。とても素晴らしい小説でした。
日の名残り (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: 日の名残り (ハヤカワepi文庫)より
4151200037
No.769
(5pt)

価格が安い!

古いですが問題ありませんでした。とても素晴らしい小説でした。
日の名残り (中公文庫) Amazon書評・レビュー: 日の名残り (中公文庫)より
4122020638
No.768
(5pt)

価格が安い!

古いですが問題ありませんでした。とても素晴らしい小説でした。
日の名残り Amazon書評・レビュー: 日の名残りより
4120019470
No.767
(5pt)

自らの分をわきまえながら最善を尽くす控えめな人生は、それだけで価値あるものではないか

〇 魅力ある小説。その魅力は、古風な文体、主人公の思考(理想のバトラーとは何か)、垣間見えるイギリス領主の生活、イギリスの田舎の風景描写が生み出すものである。

〇 正直だが狭量でもある主人公の語る思想は著者の思想でもあろう。バトラーの仕事にすべてを捧げ、dignityを理想のバトラーが備えるべき資質であると考え、理想像に近づくべく精進する姿は、バトラー道を突き詰める求道者の姿である。そして、彼は理想を持ちつつ分を弁えている。自分のような者でも、人類の善のために貢献できる仕事をしたい。そのために力ある立派な主人を見つけ、その主人に誠心誠意仕えたることが一番だと考える。

〇 その主人が死に臨んで「果たして英国の外交政策に関する自分の判断は正しかったのだろうか」と述懐したとき、主人にはかかる判断の余地があるが、主人が正しいと(盲目的にあるいは白地的に)信じて尽くした自分にはかかる判断をする自由も能力もないことを知って不安を感じる。しかし、彼はまた明日から、自分の主人を信じて尽くすしかないのだ。人はそんなものではないだろうか。それでよいのではないだろうか。きわめて良心的な生涯だったのではないだろうか。
日の名残り (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: 日の名残り (ハヤカワepi文庫)より
4151200037
No.766
(5pt)

自らの分をわきまえながら最善を尽くす控えめな人生は、それだけで価値あるものではないか

〇 魅力ある小説。その魅力は、古風な文体、主人公の思考(理想のバトラーとは何か)、垣間見えるイギリス領主の生活、イギリスの田舎の風景描写が生み出すものである。

〇 正直だが狭量でもある主人公の語る思想は著者の思想でもあろう。バトラーの仕事にすべてを捧げ、dignityを理想のバトラーが備えるべき資質であると考え、理想像に近づくべく精進する姿は、バトラー道を突き詰める求道者の姿である。そして、彼は理想を持ちつつ分を弁えている。自分のような者でも、人類の善のために貢献できる仕事をしたい。そのために力ある立派な主人を見つけ、その主人に誠心誠意仕えたることが一番だと考える。

〇 その主人が死に臨んで「果たして英国の外交政策に関する自分の判断は正しかったのだろうか」と述懐したとき、主人にはかかる判断の余地があるが、主人が正しいと(盲目的にあるいは白地的に)信じて尽くした自分にはかかる判断をする自由も能力もないことを知って不安を感じる。しかし、彼はまた明日から、自分の主人を信じて尽くすしかないのだ。人はそんなものではないだろうか。それでよいのではないだろうか。きわめて良心的な生涯だったのではないだろうか。
日の名残り (中公文庫) Amazon書評・レビュー: 日の名残り (中公文庫)より
4122020638
No.765
(5pt)

自らの分をわきまえながら最善を尽くす控えめな人生は、それだけで価値あるものではないか

〇 魅力ある小説。その魅力は、古風な文体、主人公の思考(理想のバトラーとは何か)、垣間見えるイギリス領主の生活、イギリスの田舎の風景描写が生み出すものである。

〇 正直だが狭量でもある主人公の語る思想は著者の思想でもあろう。バトラーの仕事にすべてを捧げ、dignityを理想のバトラーが備えるべき資質であると考え、理想像に近づくべく精進する姿は、バトラー道を突き詰める求道者の姿である。そして、彼は理想を持ちつつ分を弁えている。自分のような者でも、人類の善のために貢献できる仕事をしたい。そのために力ある立派な主人を見つけ、その主人に誠心誠意仕えたることが一番だと考える。

〇 その主人が死に臨んで「果たして英国の外交政策に関する自分の判断は正しかったのだろうか」と述懐したとき、主人にはかかる判断の余地があるが、主人が正しいと(盲目的にあるいは白地的に)信じて尽くした自分にはかかる判断をする自由も能力もないことを知って不安を感じる。しかし、彼はまた明日から、自分の主人を信じて尽くすしかないのだ。人はそんなものではないだろうか。それでよいのではないだろうか。きわめて良心的な生涯だったのではないだろうか。
日の名残り Amazon書評・レビュー: 日の名残りより
4120019470
No.764
(5pt)

数年に一度は読み返したくなる小説など、めったに出会えるものではない

本書はいろいろな読み方ができる優れた小説だ。ハーヴァードビジネススクールでは、本書を推薦図書に入れている。主人公は執事として頂点を極めながら、それゆえに私生活では多くのものを犠牲にしていく。「プロの職業人として生涯をまっとうするとはどういうことなのか。正解はないから自分で考えろ。」そういう趣旨なのだ。

わたしはあえて政治小説としての一面を評価したい。日本人は源氏物語の伝統があるためか、人間の心情をつづった話を好み、政治小説を嫌う傾向がある。しかし著者は明らかに西洋人として教育を受けていて、他の日本の作家にはない素質を持っている。本書に政治的メッセージを忍び込ませることに成功しているように思われる。

主人公が仕えたダーリントン卿は、英国の伝統的教育を受けた高潔な紳士である。彼は親交のあったドイツの貴族が、第一次大戦後、破産して自殺したことに心を痛め、ドイツとの協力関係を築くことに尽力する。彼の善意に疑う余地はない。しかし「地獄への道は善意で舗装されている」という言葉通り、彼のやろうとしたことは売国的行為として否定され、社会的に抹殺される。主人公は自らの政治的意見を言うことはなく、ひたすら主人を信じて仕えようとする。まるで主君に忠義を尽くす武士を思わせる。

わたしはどうしても現代の政治情勢と重ね合わせてしまう。中国海軍はコロナの混乱を絶好のチャンスと捉え、尖閣諸島に侵入して日本の漁船を追い回し、どうやら沖縄本島をターゲットにしている様子。中国人は一度目標を決めたら、何十年でもチャンスが来るまでじっと待つことができる民族である。「日中友好」を信じて孔子学院の設置に尽力し、留学生を援助してきた教育者たちのことを思うと、彼らの善意から出た行為が仇とならず、豊かな実を結ぶことを祈りたい。
日の名残り (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: 日の名残り (ハヤカワepi文庫)より
4151200037
No.763
(5pt)

数年に一度は読み返したくなる小説など、めったに出会えるものではない

本書はいろいろな読み方ができる優れた小説だ。ハーヴァードビジネススクールでは、本書を推薦図書に入れている。主人公は執事として頂点を極めながら、それゆえに私生活では多くのものを犠牲にしていく。「プロの職業人として生涯をまっとうするとはどういうことなのか。正解はないから自分で考えろ。」そういう趣旨なのだ。

わたしはあえて政治小説としての一面を評価したい。日本人は源氏物語の伝統があるためか、人間の心情をつづった話を好み、政治小説を嫌う傾向がある。しかし著者は明らかに西洋人として教育を受けていて、他の日本の作家にはない素質を持っている。本書に政治的メッセージを忍び込ませることに成功しているように思われる。

主人公が仕えたダーリントン卿は、英国の伝統的教育を受けた高潔な紳士である。彼は親交のあったドイツの貴族が、第一次大戦後、破産して自殺したことに心を痛め、ドイツとの協力関係を築くことに尽力する。彼の善意に疑う余地はない。しかし「地獄への道は善意で舗装されている」という言葉通り、彼のやろうとしたことは売国的行為として否定され、社会的に抹殺される。主人公は自らの政治的意見を言うことはなく、ひたすら主人を信じて仕えようとする。まるで主君に忠義を尽くす武士を思わせる。

わたしはどうしても現代の政治情勢と重ね合わせてしまう。中国海軍はコロナの混乱を絶好のチャンスと捉え、尖閣諸島に侵入して日本の漁船を追い回し、どうやら沖縄本島をターゲットにしている様子。中国人は一度目標を決めたら、何十年でもチャンスが来るまでじっと待つことができる民族である。「日中友好」を信じて孔子学院の設置に尽力し、留学生を援助してきた教育者たちのことを思うと、彼らの善意から出た行為が仇とならず、豊かな実を結ぶことを祈りたい。
日の名残り (中公文庫) Amazon書評・レビュー: 日の名残り (中公文庫)より
4122020638
No.762
(5pt)

数年に一度は読み返したくなる小説など、めったに出会えるものではない

本書はいろいろな読み方ができる優れた小説だ。ハーヴァードビジネススクールでは、本書を推薦図書に入れている。主人公は執事として頂点を極めながら、それゆえに私生活では多くのものを犠牲にしていく。「プロの職業人として生涯をまっとうするとはどういうことなのか。正解はないから自分で考えろ。」そういう趣旨なのだ。

わたしはあえて政治小説としての一面を評価したい。日本人は源氏物語の伝統があるためか、人間の心情をつづった話を好み、政治小説を嫌う傾向がある。しかし著者は明らかに西洋人として教育を受けていて、他の日本の作家にはない素質を持っている。本書に政治的メッセージを忍び込ませることに成功しているように思われる。

主人公が仕えたダーリントン卿は、英国の伝統的教育を受けた高潔な紳士である。彼は親交のあったドイツの貴族が、第一次大戦後、破産して自殺したことに心を痛め、ドイツとの協力関係を築くことに尽力する。彼の善意に疑う余地はない。しかし「地獄への道は善意で舗装されている」という言葉通り、彼のやろうとしたことは売国的行為として否定され、社会的に抹殺される。主人公は自らの政治的意見を言うことはなく、ひたすら主人を信じて仕えようとする。まるで主君に忠義を尽くす武士を思わせる。

わたしはどうしても現代の政治情勢と重ね合わせてしまう。中国海軍はコロナの混乱を絶好のチャンスと捉え、尖閣諸島に侵入して日本の漁船を追い回し、どうやら沖縄本島をターゲットにしている様子。中国人は一度目標を決めたら、何十年でもチャンスが来るまでじっと待つことができる民族である。「日中友好」を信じて孔子学院の設置に尽力し、留学生を援助してきた教育者たちのことを思うと、彼らの善意から出た行為が仇とならず、豊かな実を結ぶことを祈りたい。
日の名残り Amazon書評・レビュー: 日の名残りより
4120019470
No.761
(5pt)

これが正しくすべてだと思ったことは永遠によいというものではなかった

なんとも主人公のスティーブンスの古くさい格式張った、それでいてプライドの高いめんどくさい男っぷりがすごくて一体なんの物語なのかと思った。
 ナチスに加担したと断ぜられた前の主人のダーリントン卿から、アメリカ人の今の主人へと館ごと仕える先が変わったスティーブンス。英国の執事としての矜持を胸に毎日の仕事をこなしている。そしてそこに絡むかつて屋敷にいたミス・ケントンからの手紙・・・。屋敷の運営のためにと彼女に会いに行くスティーブンスの数日間と過去が彼の視点でいったりきたりしながら見て行く。
 彼の視点なのだ。 彼がどう思っているかだけが綴られているので、一方的な彼の勘違いの可能性も、読者は予想しながら読むのだ。そこが面白い。結局人間の認識なんて、確かなものなんてないんだという前提で進む。
 一つは、彼の前の主人がどんなに善人であったかわからないが、結果ナチスに加担したとされたという事実。そして執事としてそれを誇りに思うべきなのに人にダーリントン卿に仕えたことを一瞬隠してしまうスティーブンス。「君の意見はどうなんだい」という問いかけに、仕事をすべてとしてそれ以外の答えを出すことをしなかった自分を認識し出す。
 小説はすごく良かった。そして映画も見ることに。
日の名残り (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: 日の名残り (ハヤカワepi文庫)より
4151200037
No.760
(5pt)

これが正しくすべてだと思ったことは永遠によいというものではなかった

なんとも主人公のスティーブンスの古くさい格式張った、それでいてプライドの高いめんどくさい男っぷりがすごくて一体なんの物語なのかと思った。
 ナチスに加担したと断ぜられた前の主人のダーリントン卿から、アメリカ人の今の主人へと館ごと仕える先が変わったスティーブンス。英国の執事としての矜持を胸に毎日の仕事をこなしている。そしてそこに絡むかつて屋敷にいたミス・ケントンからの手紙・・・。屋敷の運営のためにと彼女に会いに行くスティーブンスの数日間と過去が彼の視点でいったりきたりしながら見て行く。
 彼の視点なのだ。 彼がどう思っているかだけが綴られているので、一方的な彼の勘違いの可能性も、読者は予想しながら読むのだ。そこが面白い。結局人間の認識なんて、確かなものなんてないんだという前提で進む。
 一つは、彼の前の主人がどんなに善人であったかわからないが、結果ナチスに加担したとされたという事実。そして執事としてそれを誇りに思うべきなのに人にダーリントン卿に仕えたことを一瞬隠してしまうスティーブンス。「君の意見はどうなんだい」という問いかけに、仕事をすべてとしてそれ以外の答えを出すことをしなかった自分を認識し出す。
 小説はすごく良かった。そして映画も見ることに。
日の名残り (中公文庫) Amazon書評・レビュー: 日の名残り (中公文庫)より
4122020638
No.759
(5pt)

これが正しくすべてだと思ったことは永遠によいというものではなかった

なんとも主人公のスティーブンスの古くさい格式張った、それでいてプライドの高いめんどくさい男っぷりがすごくて一体なんの物語なのかと思った。
 ナチスに加担したと断ぜられた前の主人のダーリントン卿から、アメリカ人の今の主人へと館ごと仕える先が変わったスティーブンス。英国の執事としての矜持を胸に毎日の仕事をこなしている。そしてそこに絡むかつて屋敷にいたミス・ケントンからの手紙・・・。屋敷の運営のためにと彼女に会いに行くスティーブンスの数日間と過去が彼の視点でいったりきたりしながら見て行く。
 彼の視点なのだ。 彼がどう思っているかだけが綴られているので、一方的な彼の勘違いの可能性も、読者は予想しながら読むのだ。そこが面白い。結局人間の認識なんて、確かなものなんてないんだという前提で進む。
 一つは、彼の前の主人がどんなに善人であったかわからないが、結果ナチスに加担したとされたという事実。そして執事としてそれを誇りに思うべきなのに人にダーリントン卿に仕えたことを一瞬隠してしまうスティーブンス。「君の意見はどうなんだい」という問いかけに、仕事をすべてとしてそれ以外の答えを出すことをしなかった自分を認識し出す。
 小説はすごく良かった。そして映画も見ることに。
日の名残り Amazon書評・レビュー: 日の名残りより
4120019470
No.758
(5pt)

これから読む方への二つのアドバイス

ノーベル賞作家カズオイシグロの代表作。大変著名な作品であるので、内容に関しては触れないが、これから読む方にアドバイスを二つ。その1、テキストは是非、ノーベル賞記念版で読むこと。村上春樹の解説が絶品で、英語圏の現代の古典の新訳および解説を書いてきた、当代いちの日本人作家の解説は一聴に値する。その2、映画を見て感動した方も、是非本作を読むべき。映画と異なる感動があります。これぞ、小説を読む醍醐味かと。
以下、蛇足ながら個人的感慨を。評者は65才で主人公の執事と同年代である。人生の黄昏時に、越し方行く末を考えると、主人公の哀感が大変よく分かる。個人的な事では、大切な人との関係でもう少しましなやり方が有ったのではとおもう。時代との関わりでは、我が国の絶頂期と斜陽期の二つを経験し、斜陽期に傍観者として過ごした事に不甲斐なさを恥じる。そんな評者には、お互いに好意を寄せながら結ばれる事の無かった女性に語る、主人公の優しい言葉が胸に染みる。「いまさら時計を後戻りさせる事はできません(中略)私どもは、みな、いま手にあるものに満足し、感謝せねばなりますまい」残る人生を誇りを持って生きたいと思わせてくれる。
日の名残り (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: 日の名残り (ハヤカワepi文庫)より
4151200037
No.757
(5pt)

これから読む方への二つのアドバイス

ノーベル賞作家カズオイシグロの代表作。大変著名な作品であるので、内容に関しては触れないが、これから読む方にアドバイスを二つ。その1、テキストは是非、ノーベル賞記念版で読むこと。村上春樹の解説が絶品で、英語圏の現代の古典の新訳および解説を書いてきた、当代いちの日本人作家の解説は一聴に値する。その2、映画を見て感動した方も、是非本作を読むべき。映画と異なる感動があります。これぞ、小説を読む醍醐味かと。
以下、蛇足ながら個人的感慨を。評者は65才で主人公の執事と同年代である。人生の黄昏時に、越し方行く末を考えると、主人公の哀感が大変よく分かる。個人的な事では、大切な人との関係でもう少しましなやり方が有ったのではとおもう。時代との関わりでは、我が国の絶頂期と斜陽期の二つを経験し、斜陽期に傍観者として過ごした事に不甲斐なさを恥じる。そんな評者には、お互いに好意を寄せながら結ばれる事の無かった女性に語る、主人公の優しい言葉が胸に染みる。「いまさら時計を後戻りさせる事はできません(中略)私どもは、みな、いま手にあるものに満足し、感謝せねばなりますまい」残る人生を誇りを持って生きたいと思わせてくれる。
日の名残り (中公文庫) Amazon書評・レビュー: 日の名残り (中公文庫)より
4122020638
No.756
(5pt)

これから読む方への二つのアドバイス

ノーベル賞作家カズオイシグロの代表作。大変著名な作品であるので、内容に関しては触れないが、これから読む方にアドバイスを二つ。その1、テキストは是非、ノーベル賞記念版で読むこと。村上春樹の解説が絶品で、英語圏の現代の古典の新訳および解説を書いてきた、当代いちの日本人作家の解説は一聴に値する。その2、映画を見て感動した方も、是非本作を読むべき。映画と異なる感動があります。これぞ、小説を読む醍醐味かと。
以下、蛇足ながら個人的感慨を。評者は65才で主人公の執事と同年代である。人生の黄昏時に、越し方行く末を考えると、主人公の哀感が大変よく分かる。個人的な事では、大切な人との関係でもう少しましなやり方が有ったのではとおもう。時代との関わりでは、我が国の絶頂期と斜陽期の二つを経験し、斜陽期に傍観者として過ごした事に不甲斐なさを恥じる。そんな評者には、お互いに好意を寄せながら結ばれる事の無かった女性に語る、主人公の優しい言葉が胸に染みる。「いまさら時計を後戻りさせる事はできません(中略)私どもは、みな、いま手にあるものに満足し、感謝せねばなりますまい」残る人生を誇りを持って生きたいと思わせてくれる。
日の名残り Amazon書評・レビュー: 日の名残りより
4120019470
No.755
(5pt)

引き込まれる素晴らしい小説

大英帝国の残滓を引きずる1950年代のイギリスが舞台。
主人公は、栄華を誇った前主君の過去を回顧する。

多くの方が書くとおり、本書は歴史に残る名作だと思うものの、私はこの主人公が嫌いだ。

主人公は、重要な局面では、決して主体的に考えないし、行動もしない。

自分というものを持たないまま、主君であるダーリントン卿の判断を妄信し、考えないまま老境に至ってしまった。

自分の意見を持たないだけでなく、人間としても鈍感である。
たとえば、自分に好意を持っていた女中頭に対する応対も、機械のように冷たいものであった。
内心では主君の意思決定が間違っていることや、女中頭の心情や諸事情を薄々把握してはいるものの、結局は何も言わず行動もせず、単に従うだけである。

なんと情けないというか、ロボットみたいなつまらない奴だなと読んでいて思った。

主人公は全てを見て見ぬふりをした挙句、最終的には何も残らず、後悔することになる。
ここから未来を考え創っていこうとするも、もう60歳を超えた主人公に残された時間はどう見ても少ない。

これはまさに悲劇そのものだ。

個人的には、主人公のことは、反面教師とすべきだと思う。

とはいえ私はこの小説に思いきり引き込まれた。

執事としてのプロフェッショナリズムや、貴族階級がもっていた良い意味での騎士道精神、そこに対する主人公の崇拝と疑念や葛藤をはじめとする、言葉では言い表せない素晴らしい内容がふんだんに含まれている。
このあたりは私も上手く言葉では伝えられないが。とにかく良い作品なのだ。豊饒の海を読んだときの感覚に似てるかもしれない。

また、名家の没落という点でも感じるところがあった。
私の祖母は大地主の家に生まれ、20代まではまさに本書のような家で育ったものの、第2次大戦後の農地改革や新円切り替え等で資産をほぼ全て没収され、戦後は没落していった。
当時のアルバムなどはまだ残っている。私も祖母や親族からは、戦前の栄光をよく聞く機会があった。
本書の舞台は日本ではないが、繁栄した名家が没落していく点では、私の家とも重なり、とても引き込まれるものがあった。

長々と書いたが、本書はとても良い本であることは間違いない。読んで本当に良かったと思う。
日の名残り (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: 日の名残り (ハヤカワepi文庫)より
4151200037
No.754
(5pt)

引き込まれる素晴らしい小説

大英帝国の残滓を引きずる1950年代のイギリスが舞台。
主人公は、栄華を誇った前主君の過去を回顧する。

多くの方が書くとおり、本書は歴史に残る名作だと思うものの、私はこの主人公が嫌いだ。

主人公は、重要な局面では、決して主体的に考えないし、行動もしない。

自分というものを持たないまま、主君であるダーリントン卿の判断を妄信し、考えないまま老境に至ってしまった。

自分の意見を持たないだけでなく、人間としても鈍感である。
たとえば、自分に好意を持っていた女中頭に対する応対も、機械のように冷たいものであった。
内心では主君の意思決定が間違っていることや、女中頭の心情や諸事情を薄々把握してはいるものの、結局は何も言わず行動もせず、単に従うだけである。

なんと情けないというか、ロボットみたいなつまらない奴だなと読んでいて思った。

主人公は全てを見て見ぬふりをした挙句、最終的には何も残らず、後悔することになる。
ここから未来を考え創っていこうとするも、もう60歳を超えた主人公に残された時間はどう見ても少ない。

これはまさに悲劇そのものだ。

個人的には、主人公のことは、反面教師とすべきだと思う。

とはいえ私はこの小説に思いきり引き込まれた。

執事としてのプロフェッショナリズムや、貴族階級がもっていた良い意味での騎士道精神、そこに対する主人公の崇拝と疑念や葛藤をはじめとする、言葉では言い表せない素晴らしい内容がふんだんに含まれている。
このあたりは私も上手く言葉では伝えられないが。とにかく良い作品なのだ。豊饒の海を読んだときの感覚に似てるかもしれない。

また、名家の没落という点でも感じるところがあった。
私の祖母は大地主の家に生まれ、20代まではまさに本書のような家で育ったものの、第2次大戦後の農地改革や新円切り替え等で資産をほぼ全て没収され、戦後は没落していった。
当時のアルバムなどはまだ残っている。私も祖母や親族からは、戦前の栄光をよく聞く機会があった。
本書の舞台は日本ではないが、繁栄した名家が没落していく点では、私の家とも重なり、とても引き込まれるものがあった。

長々と書いたが、本書はとても良い本であることは間違いない。読んで本当に良かったと思う。
日の名残り (中公文庫) Amazon書評・レビュー: 日の名残り (中公文庫)より
4122020638
No.753
(5pt)

引き込まれる素晴らしい小説

大英帝国の残滓を引きずる1950年代のイギリスが舞台。
主人公は、栄華を誇った前主君の過去を回顧する。

多くの方が書くとおり、本書は歴史に残る名作だと思うものの、私はこの主人公が嫌いだ。

主人公は、重要な局面では、決して主体的に考えないし、行動もしない。

自分というものを持たないまま、主君であるダーリントン卿の判断を妄信し、考えないまま老境に至ってしまった。

自分の意見を持たないだけでなく、人間としても鈍感である。
たとえば、自分に好意を持っていた女中頭に対する応対も、機械のように冷たいものであった。
内心では主君の意思決定が間違っていることや、女中頭の心情や諸事情を薄々把握してはいるものの、結局は何も言わず行動もせず、単に従うだけである。

なんと情けないというか、ロボットみたいなつまらない奴だなと読んでいて思った。

主人公は全てを見て見ぬふりをした挙句、最終的には何も残らず、後悔することになる。
ここから未来を考え創っていこうとするも、もう60歳を超えた主人公に残された時間はどう見ても少ない。

これはまさに悲劇そのものだ。

個人的には、主人公のことは、反面教師とすべきだと思う。

とはいえ私はこの小説に思いきり引き込まれた。

執事としてのプロフェッショナリズムや、貴族階級がもっていた良い意味での騎士道精神、そこに対する主人公の崇拝と疑念や葛藤をはじめとする、言葉では言い表せない素晴らしい内容がふんだんに含まれている。
このあたりは私も上手く言葉では伝えられないが。とにかく良い作品なのだ。豊饒の海を読んだときの感覚に似てるかもしれない。

また、名家の没落という点でも感じるところがあった。
私の祖母は大地主の家に生まれ、20代まではまさに本書のような家で育ったものの、第2次大戦後の農地改革や新円切り替え等で資産をほぼ全て没収され、戦後は没落していった。
当時のアルバムなどはまだ残っている。私も祖母や親族からは、戦前の栄光をよく聞く機会があった。
本書の舞台は日本ではないが、繁栄した名家が没落していく点では、私の家とも重なり、とても引き込まれるものがあった。

長々と書いたが、本書はとても良い本であることは間違いない。読んで本当に良かったと思う。
日の名残り Amazon書評・レビュー: 日の名残りより
4120019470
No.752
(5pt)

男のプライドと哀愁に共感

「偉大な執事」とは・・・。「品格」とは・・・。
主人公はイギリスの風景をバックに車で小旅行しながら、昔を回想する。
息子と父の関係、男と女の思いが、静かな口調で丁寧に描かれている。
素晴らしい作品。映画も是非見たい。
日の名残り (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: 日の名残り (ハヤカワepi文庫)より
4151200037