日の名残り

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評判

日の名残りの評価:

4.45/5点 レビュー 402件。 A ランク

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平均点4.45pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全911件 1〜20 1/46ページ
No.911
(5pt)

イングランドの風景と過去の回想が入り混じるブッカー賞受賞作らしい傑作でした

やや難解で、2回読みました。深い、重い、考えさせられる作品でした。実は、7年前に購入し、100ページほど読みかけ、中断していました。66歳になった今、キャリア(人生の轍=わだち)を振り返る内容は心に響きました。物語の進捗もゆっくりで、会社員時代は、そのスピード感に付いていけなかったのでしょうね…。
第一次世界大戦後から第二次世界大戦に至る時代の、イギリスの貴族階級の屋敷が主な舞台で、主人公が仕えた雇い主は架空の人ながらも、イギリスのチェンバレン兄弟を模した設定のようです。ドイツの駐英大使リンペンドロップ(ナチスの外交官で、戦後のニュールンベルグ裁判で死刑)は実名で出てきます。
誠実で善良な雇い主に、私心を捨て、尽くし続けた人生が、雇い主がナチス協力者の烙印を押されることになり、重く心にのしかかります。この葛藤は読みごたえがありました。
また、屋敷での女中頭である女性との、淡いロマンス(主人公側からは、あまり見えてこなかったのが残念でした)も、大人の恋を感じました。
主人公が結局、他の女性と結婚したのかは描かれていませんでしたね。
1週間近く、新しい雇い主から借りた高級車で、美しい風景のイングランドをドライブしつつ、自分の人生を振り返るスタイルは、ブッカー賞受賞作ぽいなあと感じました。
イングランドの風景、貴族の屋敷の様子を思い浮かべるのに、映画の方も見てみようかと思います。しばらく、カズオ・イシグロさんにはまりそうです。
日の名残り (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: 日の名残り (ハヤカワepi文庫)より
4151200037
No.910
(5pt)

イングランドの風景と過去の回想が入り混じるブッカー賞受賞作らしい傑作でした

やや難解で、2回読みました。深い、重い、考えさせられる作品でした。実は、7年前に購入し、100ページほど読みかけ、中断していました。66歳になった今、キャリア(人生の轍=わだち)を振り返る内容は心に響きました。物語の進捗もゆっくりで、会社員時代は、そのスピード感に付いていけなかったのでしょうね…。
第一次世界大戦後から第二次世界大戦に至る時代の、イギリスの貴族階級の屋敷が主な舞台で、主人公が仕えた雇い主は架空の人ながらも、イギリスのチェンバレン兄弟を模した設定のようです。ドイツの駐英大使リンペンドロップ(ナチスの外交官で、戦後のニュールンベルグ裁判で死刑)は実名で出てきます。
誠実で善良な雇い主に、私心を捨て、尽くし続けた人生が、雇い主がナチス協力者の烙印を押されることになり、重く心にのしかかります。この葛藤は読みごたえがありました。
また、屋敷での女中頭である女性との、淡いロマンス(主人公側からは、あまり見えてこなかったのが残念でした)も、大人の恋を感じました。
主人公が結局、他の女性と結婚したのかは描かれていませんでしたね。
1週間近く、新しい雇い主から借りた高級車で、美しい風景のイングランドをドライブしつつ、自分の人生を振り返るスタイルは、ブッカー賞受賞作ぽいなあと感じました。
イングランドの風景、貴族の屋敷の様子を思い浮かべるのに、映画の方も見てみようかと思います。しばらく、カズオ・イシグロさんにはまりそうです。
日の名残り (中公文庫) Amazon書評・レビュー: 日の名残り (中公文庫)より
4122020638
No.909
(5pt)

イングランドの風景と過去の回想が入り混じるブッカー賞受賞作らしい傑作でした

やや難解で、2回読みました。深い、重い、考えさせられる作品でした。実は、7年前に購入し、100ページほど読みかけ、中断していました。66歳になった今、キャリア(人生の轍=わだち)を振り返る内容は心に響きました。物語の進捗もゆっくりで、会社員時代は、そのスピード感に付いていけなかったのでしょうね…。
第一次世界大戦後から第二次世界大戦に至る時代の、イギリスの貴族階級の屋敷が主な舞台で、主人公が仕えた雇い主は架空の人ながらも、イギリスのチェンバレン兄弟を模した設定のようです。ドイツの駐英大使リンペンドロップ(ナチスの外交官で、戦後のニュールンベルグ裁判で死刑)は実名で出てきます。
誠実で善良な雇い主に、私心を捨て、尽くし続けた人生が、雇い主がナチス協力者の烙印を押されることになり、重く心にのしかかります。この葛藤は読みごたえがありました。
また、屋敷での女中頭である女性との、淡いロマンス(主人公側からは、あまり見えてこなかったのが残念でした)も、大人の恋を感じました。
主人公が結局、他の女性と結婚したのかは描かれていませんでしたね。
1週間近く、新しい雇い主から借りた高級車で、美しい風景のイングランドをドライブしつつ、自分の人生を振り返るスタイルは、ブッカー賞受賞作ぽいなあと感じました。
イングランドの風景、貴族の屋敷の様子を思い浮かべるのに、映画の方も見てみようかと思います。しばらく、カズオ・イシグロさんにはまりそうです。
日の名残り Amazon書評・レビュー: 日の名残りより
4120019470
No.908
(5pt)

kindleで読み直し

最後の一言一句まで、中身のある、多くの意味を持たせた作品で大変満足した。
どんな名作と言われる作品であっても、起承転まではたっぷりと楽しむことができても、結末まで満足感を得られる作品にはこれまで出逢うことがなかったが、多様なテーマ、視点、主人公の極めて生真面目な性質によるユーモラスとさえ感じる思考、言動で存分に楽しませてもらうことはもとより、その点(結の体感)に大変感銘を受けた。作者だけでなく、翻訳者土屋氏の技量の成せる技なのだろう。
日の名残り (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: 日の名残り (ハヤカワepi文庫)より
4151200037
No.907
(5pt)

kindleで読み直し

最後の一言一句まで、中身のある、多くの意味を持たせた作品で大変満足した。
どんな名作と言われる作品であっても、起承転まではたっぷりと楽しむことができても、結末まで満足感を得られる作品にはこれまで出逢うことがなかったが、多様なテーマ、視点、主人公の極めて生真面目な性質によるユーモラスとさえ感じる思考、言動で存分に楽しませてもらうことはもとより、その点(結の体感)に大変感銘を受けた。作者だけでなく、翻訳者土屋氏の技量の成せる技なのだろう。
日の名残り (中公文庫) Amazon書評・レビュー: 日の名残り (中公文庫)より
4122020638
No.906
(5pt)

kindleで読み直し

最後の一言一句まで、中身のある、多くの意味を持たせた作品で大変満足した。
どんな名作と言われる作品であっても、起承転まではたっぷりと楽しむことができても、結末まで満足感を得られる作品にはこれまで出逢うことがなかったが、多様なテーマ、視点、主人公の極めて生真面目な性質によるユーモラスとさえ感じる思考、言動で存分に楽しませてもらうことはもとより、その点(結の体感)に大変感銘を受けた。作者だけでなく、翻訳者土屋氏の技量の成せる技なのだろう。
日の名残り Amazon書評・レビュー: 日の名残りより
4120019470
No.905
(5pt)

配送、状態、全て問題ありませんでした。

状態良でした
日の名残り Amazon書評・レビュー: 日の名残りより
4120019470
No.904
(5pt)

配送、状態、全て問題ありませんでした。

状態良でした
日の名残り (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: 日の名残り (ハヤカワepi文庫)より
4151200037
No.903
(5pt)

配送、状態、全て問題ありませんでした。

状態良でした
日の名残り (中公文庫) Amazon書評・レビュー: 日の名残り (中公文庫)より
4122020638
No.902
(4pt)

淡々としています。

ノーベル賞作家の小説だなと思いました。知的で無駄のない文章。原文は読んでいませんが恐らく翻訳も原文に忠実だったのでしょう。志賀直哉を思い出させます。個人的な好みで言えば私はそういう文章や小説はあまり好きではありません。簡素にすぎて、そそられないのです。

私は最初映画を観ました。「羊たちの沈黙」でハンニバル・レクターを演じたアンソニー・ホプキンスが主役の執事を演じていて、ワクワクしながら見ていましたが、何となくいつも予想を裏切られ、拍子抜けをして、最後に今度こそ彼が自分の思いを告白するのかと固唾をのんで見守っていたら、そういうこともなく…なんだか消化不良のまま終わってしまった感じです。

ひたすら淡々と物語が進み、その間時の移り変わり、歴史的な出来事やいくばくかの物語が織り込まれていくものの、私にとってはいまいち盛り上がりに欠けるなという思いを引きずったまま、気が付いたら終わっていたという感じ。でも、こういうのを名作というのかもしれません。確かに日の名残りのような印象が残りました。
日の名残り (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: 日の名残り (ハヤカワepi文庫)より
4151200037
No.901
(4pt)

淡々としています。

ノーベル賞作家の小説だなと思いました。知的で無駄のない文章。原文は読んでいませんが恐らく翻訳も原文に忠実だったのでしょう。志賀直哉を思い出させます。個人的な好みで言えば私はそういう文章や小説はあまり好きではありません。簡素にすぎて、そそられないのです。

私は最初映画を観ました。「羊たちの沈黙」でハンニバル・レクターを演じたアンソニー・ホプキンスが主役の執事を演じていて、ワクワクしながら見ていましたが、何となくいつも予想を裏切られ、拍子抜けをして、最後に今度こそ彼が自分の思いを告白するのかと固唾をのんで見守っていたら、そういうこともなく…なんだか消化不良のまま終わってしまった感じです。

ひたすら淡々と物語が進み、その間時の移り変わり、歴史的な出来事やいくばくかの物語が織り込まれていくものの、私にとってはいまいち盛り上がりに欠けるなという思いを引きずったまま、気が付いたら終わっていたという感じ。でも、こういうのを名作というのかもしれません。確かに日の名残りのような印象が残りました。
日の名残り (中公文庫) Amazon書評・レビュー: 日の名残り (中公文庫)より
4122020638
No.900
(4pt)

淡々としています。

ノーベル賞作家の小説だなと思いました。知的で無駄のない文章。原文は読んでいませんが恐らく翻訳も原文に忠実だったのでしょう。志賀直哉を思い出させます。個人的な好みで言えば私はそういう文章や小説はあまり好きではありません。簡素にすぎて、そそられないのです。

私は最初映画を観ました。「羊たちの沈黙」でハンニバル・レクターを演じたアンソニー・ホプキンスが主役の執事を演じていて、ワクワクしながら見ていましたが、何となくいつも予想を裏切られ、拍子抜けをして、最後に今度こそ彼が自分の思いを告白するのかと固唾をのんで見守っていたら、そういうこともなく…なんだか消化不良のまま終わってしまった感じです。

ひたすら淡々と物語が進み、その間時の移り変わり、歴史的な出来事やいくばくかの物語が織り込まれていくものの、私にとってはいまいち盛り上がりに欠けるなという思いを引きずったまま、気が付いたら終わっていたという感じ。でも、こういうのを名作というのかもしれません。確かに日の名残りのような印象が残りました。
日の名残り Amazon書評・レビュー: 日の名残りより
4120019470
No.899
(5pt)

ハーバード・ビジネススクールでは、本書を推薦図書に指定している

本書はいろいろな読み方ができる優れた小説だ。ハーバード・ビジネススクールでは本書を推薦図書に入れている。主人公は執事として頂点を極めながら、それゆえに私生活では多くのものを犠牲にしていく。「プロの職業人として生涯をまっとうするとはどういうことなのか。正解はないから自分で考えろ。」そういう趣旨なのだ。

わたしはあえて政治小説としての一面を評価したい。日本人は源氏物語の伝統があるためか、人間の素直な心情をつづった話を好み、政治小説を嫌う傾向がある。しかし著者は明らかに西洋人として教育を受けていて、他の日本の作家にはない素質を持っている。本書に政治的メッセージを密かに忍び込ませることに成功しているように思われる。

主人公が仕えたダーリントン卿は、英国の伝統的教育を受けた高潔な紳士である。彼は親交のあったドイツの貴族が、第一次大戦後、破産して自殺したことに心を痛め、ドイツとの協力関係を築くことに尽力する。彼の善意に疑う余地はない。しかし「地獄への道は善意で舗装されている」という言葉のとおり、彼のやろうとしたことは売国的行為として非難を浴び、社会的に抹殺される。主人公は自らの政治的意見を言うことはなく、ひたすら主人を信じて仕えようとする。まるで主君に忠義を尽くす武士を思わせる。

わたしはどうしても現代の国際情勢と重ね合わせてしまう。中国はコロナやウクライナ戦争による世界情勢の混乱を絶好のチャンスと捉え、尖閣諸島に侵入して、どうやら沖縄をターゲットにしている様子。中国人は一度目標を決めたら、何十年でもチャンスが来るまでじっと待つことができる民族である。「日中友好」を信じて孔子学院の設置に尽力し、留学生を援助してきた日本の教育者たちの善意に疑う余地はあるまい。彼らのやってきたことが仇とならず、豊かな実を結ぶことを祈りたい。
日の名残り (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: 日の名残り (ハヤカワepi文庫)より
4151200037
No.898
(5pt)

ハーバード・ビジネススクールでは、本書を推薦図書に指定している

本書はいろいろな読み方ができる優れた小説だ。ハーバード・ビジネススクールでは本書を推薦図書に入れている。主人公は執事として頂点を極めながら、それゆえに私生活では多くのものを犠牲にしていく。「プロの職業人として生涯をまっとうするとはどういうことなのか。正解はないから自分で考えろ。」そういう趣旨なのだ。

わたしはあえて政治小説としての一面を評価したい。日本人は源氏物語の伝統があるためか、人間の素直な心情をつづった話を好み、政治小説を嫌う傾向がある。しかし著者は明らかに西洋人として教育を受けていて、他の日本の作家にはない素質を持っている。本書に政治的メッセージを密かに忍び込ませることに成功しているように思われる。

主人公が仕えたダーリントン卿は、英国の伝統的教育を受けた高潔な紳士である。彼は親交のあったドイツの貴族が、第一次大戦後、破産して自殺したことに心を痛め、ドイツとの協力関係を築くことに尽力する。彼の善意に疑う余地はない。しかし「地獄への道は善意で舗装されている」という言葉のとおり、彼のやろうとしたことは売国的行為として非難を浴び、社会的に抹殺される。主人公は自らの政治的意見を言うことはなく、ひたすら主人を信じて仕えようとする。まるで主君に忠義を尽くす武士を思わせる。

わたしはどうしても現代の国際情勢と重ね合わせてしまう。中国はコロナやウクライナ戦争による世界情勢の混乱を絶好のチャンスと捉え、尖閣諸島に侵入して、どうやら沖縄をターゲットにしている様子。中国人は一度目標を決めたら、何十年でもチャンスが来るまでじっと待つことができる民族である。「日中友好」を信じて孔子学院の設置に尽力し、留学生を援助してきた日本の教育者たちの善意に疑う余地はあるまい。彼らのやってきたことが仇とならず、豊かな実を結ぶことを祈りたい。
日の名残り (中公文庫) Amazon書評・レビュー: 日の名残り (中公文庫)より
4122020638
No.897
(5pt)

ハーバード・ビジネススクールでは、本書を推薦図書に指定している

本書はいろいろな読み方ができる優れた小説だ。ハーバード・ビジネススクールでは本書を推薦図書に入れている。主人公は執事として頂点を極めながら、それゆえに私生活では多くのものを犠牲にしていく。「プロの職業人として生涯をまっとうするとはどういうことなのか。正解はないから自分で考えろ。」そういう趣旨なのだ。

わたしはあえて政治小説としての一面を評価したい。日本人は源氏物語の伝統があるためか、人間の素直な心情をつづった話を好み、政治小説を嫌う傾向がある。しかし著者は明らかに西洋人として教育を受けていて、他の日本の作家にはない素質を持っている。本書に政治的メッセージを密かに忍び込ませることに成功しているように思われる。

主人公が仕えたダーリントン卿は、英国の伝統的教育を受けた高潔な紳士である。彼は親交のあったドイツの貴族が、第一次大戦後、破産して自殺したことに心を痛め、ドイツとの協力関係を築くことに尽力する。彼の善意に疑う余地はない。しかし「地獄への道は善意で舗装されている」という言葉のとおり、彼のやろうとしたことは売国的行為として非難を浴び、社会的に抹殺される。主人公は自らの政治的意見を言うことはなく、ひたすら主人を信じて仕えようとする。まるで主君に忠義を尽くす武士を思わせる。

わたしはどうしても現代の国際情勢と重ね合わせてしまう。中国はコロナやウクライナ戦争による世界情勢の混乱を絶好のチャンスと捉え、尖閣諸島に侵入して、どうやら沖縄をターゲットにしている様子。中国人は一度目標を決めたら、何十年でもチャンスが来るまでじっと待つことができる民族である。「日中友好」を信じて孔子学院の設置に尽力し、留学生を援助してきた日本の教育者たちの善意に疑う余地はあるまい。彼らのやってきたことが仇とならず、豊かな実を結ぶことを祈りたい。
日の名残り Amazon書評・レビュー: 日の名残りより
4120019470
No.896
(4pt)

英文学から英語文学へ

今日、地球上で英語で書く作家は多い。大英帝国の遺産である。カズオ・イシグロ氏の本書は、言わば大英帝国の『斜陽』であって、イシグロ氏は英語文学圏の太宰治なのであろう。執事{バトラー}を通して語られる大英帝国の斜陽はいみじくも『日の名残り』と題される。因みに、執事{バトラー}とは白人奴隷のトップとして貴族邸の家政を統括する立場にあった。『風と共に去りぬ』の主人公はレッド・バトラー、あの映画にあった教会は、鐘を打ち鳴らす少年黒人奴隷の妙技からしてロシア正教の教会だったと思う。
日の名残り (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: 日の名残り (ハヤカワepi文庫)より
4151200037
No.895
(4pt)

英文学から英語文学へ

今日、地球上で英語で書く作家は多い。大英帝国の遺産である。カズオ・イシグロ氏の本書は、言わば大英帝国の『斜陽』であって、イシグロ氏は英語文学圏の太宰治なのであろう。執事{バトラー}を通して語られる大英帝国の斜陽はいみじくも『日の名残り』と題される。因みに、執事{バトラー}とは白人奴隷のトップとして貴族邸の家政を統括する立場にあった。『風と共に去りぬ』の主人公はレッド・バトラー、あの映画にあった教会は、鐘を打ち鳴らす少年黒人奴隷の妙技からしてロシア正教の教会だったと思う。
日の名残り (中公文庫) Amazon書評・レビュー: 日の名残り (中公文庫)より
4122020638
No.894
(4pt)

英文学から英語文学へ

今日、地球上で英語で書く作家は多い。大英帝国の遺産である。カズオ・イシグロ氏の本書は、言わば大英帝国の『斜陽』であって、イシグロ氏は英語文学圏の太宰治なのであろう。執事{バトラー}を通して語られる大英帝国の斜陽はいみじくも『日の名残り』と題される。因みに、執事{バトラー}とは白人奴隷のトップとして貴族邸の家政を統括する立場にあった。『風と共に去りぬ』の主人公はレッド・バトラー、あの映画にあった教会は、鐘を打ち鳴らす少年黒人奴隷の妙技からしてロシア正教の教会だったと思う。
日の名残り Amazon書評・レビュー: 日の名残りより
4120019470
No.893
(5pt)

文学がこんなに面白くてよいのか

純文学と大衆文学という分け方が日本にはあるが(海外にも高尚なものとエンターテインメントみたいな分け方があると思うが)そんなのは無意味だということをカズオ・イシグロを読むと思う。それぐらいこの人の小説は面白い。日本の退屈な純文学に慣れていると、こんなに文学が面白いわけがない、おかしい、と妙に落ち着かない気分にさえなる。

本作はイギリスで最も権威のあるブッカー賞を受賞した、カズオ・イシグロ(1989年当時、弱冠35歳)の代表作である。1993年にはジェームズ・アイヴォリー監督で映画化され、わたしはそれで知った。それまでE.M.フォースター原作の映画を撮っていたアイヴォリーが、日本人の小説を? と頭の中がクエスチョンマークになったことを覚えている。

あれから30年、初めて原作を読んでみた。とにかく面白かった。しかるのちに映画も再見したので、比較めいたことを書いてみると、ひたすら「陰」のムードをまとった映画に対して、小説には不思議と「陽」のムードがある。最初これは訳者・土屋政雄氏のなせる業かと思ったが、いやいや本作は根源的に「陽」のムードをはらんでいる、とラストまで読んで確信した。

映画『日の名残り』も嫌いじゃないが、原作本来のムードに近いのはドラマ『ダウントン・アビー』的な世界観ではないかと思う。アンソニー・ホプキンス演じるスティーブンスはただただ陰気で気味が悪いけれど、それよりダウントン~のジム・カーター演じる執事のほうがスティーブンスに近い気がする。それに、やたら辛気臭い映画の音楽より、ダウントン~の音楽のほうがしっくりきそうである。

先にもちらりと触れたが、土屋政雄氏の訳がとても素晴らしい。カズオ・イシグロは、またとない日本語のパートナーを得たと思う。その土屋氏によるあとがきがせっかくよい文章なのに、さらに丸谷才一の解説(いきなりネタバレ全開で内容がダイジェストされている)が付いているのは蛇足である。
日の名残り (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: 日の名残り (ハヤカワepi文庫)より
4151200037
No.892
(5pt)

文学がこんなに面白くてよいのか

純文学と大衆文学という分け方が日本にはあるが(海外にも高尚なものとエンターテインメントみたいな分け方があると思うが)そんなのは無意味だということをカズオ・イシグロを読むと思う。それぐらいこの人の小説は面白い。日本の退屈な純文学に慣れていると、こんなに文学が面白いわけがない、おかしい、と妙に落ち着かない気分にさえなる。

本作はイギリスで最も権威のあるブッカー賞を受賞した、カズオ・イシグロ(1989年当時、弱冠35歳)の代表作である。1993年にはジェームズ・アイヴォリー監督で映画化され、わたしはそれで知った。それまでE.M.フォースター原作の映画を撮っていたアイヴォリーが、日本人の小説を? と頭の中がクエスチョンマークになったことを覚えている。

あれから30年、初めて原作を読んでみた。とにかく面白かった。しかるのちに映画も再見したので、比較めいたことを書いてみると、ひたすら「陰」のムードをまとった映画に対して、小説には不思議と「陽」のムードがある。最初これは訳者・土屋政雄氏のなせる業かと思ったが、いやいや本作は根源的に「陽」のムードをはらんでいる、とラストまで読んで確信した。

映画『日の名残り』も嫌いじゃないが、原作本来のムードに近いのはドラマ『ダウントン・アビー』的な世界観ではないかと思う。アンソニー・ホプキンス演じるスティーブンスはただただ陰気で気味が悪いけれど、それよりダウントン~のジム・カーター演じる執事のほうがスティーブンスに近い気がする。それに、やたら辛気臭い映画の音楽より、ダウントン~の音楽のほうがしっくりきそうである。

先にもちらりと触れたが、土屋政雄氏の訳がとても素晴らしい。カズオ・イシグロは、またとない日本語のパートナーを得たと思う。その土屋氏によるあとがきがせっかくよい文章なのに、さらに丸谷才一の解説(いきなりネタバレ全開で内容がダイジェストされている)が付いているのは蛇足である。
日の名残り (中公文庫) Amazon書評・レビュー: 日の名残り (中公文庫)より
4122020638