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十楽の夢
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十楽の夢の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.25pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全10件 1~10 1/1ページ
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主人公の弥三郎は転宗してしまう。 しかし、その動機が弱くて、どうも説得力に欠けるように思われる。 商取引の描写がとても多いので、近代的な合理主義の人のようにみえるし、 父が道場主で自然と門徒になったというから、信心の深さを感じさせない。 それに寺の裏側などは知っていて当然のはずだから、いまさら隠されていた 教えを知ったところで絶望するだろうか。 信心を守るために全てを犠牲にしたのに、その信心が揺らぐというテーマは もっと熱烈過激な信仰の実践者でないと表現しきれないように思う。 逆に言えば、本編の主人公の戦う理由は、信心を守ることではなく、生活を 守るためだったと思うほうが自然かもしれない。 全体的にとても丁寧に描かれていて面白いにもかかわらず、転宗という重い テーマをあっさりと軽く扱ってしまったように思えて残念に感じた。 | ||||
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34ページ、米1斗は、90文で、米1石は、900文、9万円程の様です。49ページ、900文で仕入れて、1貫270文、1270文で、300石売れば、111000文、111貫、1110万円の儲けです。百姓は、4反の田から、せいぜい、6から8石しか取れないから、1石、1貫、10万円で売れたとしても、年収は、60から80万円であり、大工は、1日80文として、1年に150日働いたとしても、12000文、12貫、120万円の様である。商人は、米の売買を、1年に何度も、行うので、利益は膨大である。織田弾正のじょう家は、祖父さんの代から、ここに狙い目を付けて、大きく成ったようです。婚礼の夜、門徒衆が、長嶋城を、占拠す。いよいよ、安土往還記に書いてある、信長の長嶋虐殺が、始まるところです。今度は、門徒衆の側から見てみます。ここに出て来る人々は、最後は、全員殺されると、予想しています。168ページ、兵一人1日分米6合で、織田、浅井朝倉合わせて、5万人として、6合×50000人は、300,000合、30,000升、3,000斗、300石、900俵、毎日必要である。10日で、3,000石、1か月では、300石×29日、約9,000石から10,000石必要になる。202ページに、火縄銃、1挺、30貫、300万円とある。こちらを、信じる。6匁弾は、22gである。10,12匁弾がある。100匁もある。 | ||||
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信長本人が出陣して負け戦は意外に少なく、かつ2回も負けたのは長島一揆だけ。味方の犠牲者の数もほかとはけた違いです。そんな訳で長島一揆の資料を探しておりますがこれが本当に少なくて困ってます。祐筆のいる大名同志のいくさでないからか、文献が信長公記以外ほとんどない状態です。十楽の夢はそんな私の願いをかなえてくれる作品です。しかし、不満もある。 ① 信長と長島の遺恨は美濃の斎藤龍興が伊勢長島に逃れてきたのが発端であり、出だしの平和なムードは違和感がある。 ② 石山本願寺顕如門主の激を受けて十万の門徒が蜂起したという盛り上がりが感じられない。長島門徒がえらい少ない様に感じる。 ③ やはり資料が少ないためか、戦闘・戦術の実感がわかりずらい。信長が大軍で攻めてきて、水路確保できず撤退⇒この部分が簡略すぎないだろうか。しかも撤退戦で同じパターンで2回痛い目にあう信長がバカみたいで、「なんで撤退するのだろう」で片づけてよいのだろうか。最後の一揆制圧もだまし討ちで降伏した門徒衆を鉄砲打ちにし、窮鼠猫を噛むのパターンで反撃を受け信長身内に多くの犠牲が出ている、この時の位置関係が私の長年の疑問なんですが(本陣のすぐそばを通る骨と皮の門徒衆を撃ったのか?)これもわからんままです。資料がないのでしゃあないとは思いますが。 ④最大の不満は、私が浄土真宗門徒だから思うのですが、浄土真宗門徒が一向宗を自称することはありえないと思う。多宗派が一向宗と呼ぶのはかまわんが、門徒が一向宗を自称するなら破門じゃと蓮如さまもおっしゃっておられます。 方言のも桑名のあたりは名古屋弁かと思ってましたが大阪弁なのですね。文句ばかり言ってるみたいですが上記①~④を込みにしても十楽の夢は読みだしたらとまらんのです、面白いです。これは声を大にして言いたいです。 | ||||
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これまで岩井三四二がとりあげた人物が勢揃いして、伊勢長島を巡って戦う。 オールスター総出演である。 それに加えて、一向宗内部の組織構造、教義内容が詳しく取り上げられ、他の小説では単なる狂信者として扱われがちな一向宗について突っ込んだ考察がある。 商人が主人公であることは、戦国モノとしては異例であるが、当時の船の構造や東国の事情がわかる。 信長の楽市楽座についても、辛辣な考察がある。 楽市楽座といいながら、商人から、年中、税を徴収していたのは歴史的事実なのだ。 商人たちの自治権を奪うための方便でしかなかったのだ。 | ||||
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伊勢長島の一向一揆という格別のヒーローがいるわけでもない舞台を主題にしてこれだけの長編をものした作者の力量は大へんなものである。 その上、楽市楽座を行った、中世の破壊者、新時代の扉を開いた織田信長という高校レベルの私の認識も本書を読んで覆された。 楽市楽座はあくまで信長の政策上の思惑、自分の敵にまで行ったわけではなかったのだ。 一揆側の視点から権力者、信長をはじめ、門徒を指揮する本願寺の内実まで踏み込んで描き、さらに当時の海上交易の詳細にも及んで時代情況がリアルに再現されている。 | ||||
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岩井三四二の著作は好んで読むが、その中でも傑作中の傑作。 歴史小説として重要な時代考証・地域踏査・風俗調査をしっかりとこなし、 かつて例を見ないほど多重的で新味に富んだ作品に仕上がっている。 その擁するところは、歴史・海戦・ビジネス・サスペンス・郷土・宗教と多岐に渡り、しかもまったく手抜きがない。 特に、宗教の面ではよくまあここまではっきり書けたものだと思うくらいで、 日本と中東で昨今の話題のとある二つの宗教を強く思い起こさせる。 小説の主題としては埒外かもしれないが、激烈なサバイバルが表現されているだけに、 私にとって「信仰とは何なのか」を改めて考えさせられるきっかけとなった。 登場人物も非常に魅力的だ。 主人公の弥三郎・ゆき・いと・長吉・空明・徳左衛門・日根野弘就ら、悪玉の津田掃部助・下間光空ら。 その他端役もそれぞれ個性が光っているが、とにかく(日根野以外の)彼らの俗念はすさまじく、 「なるほどこれが戦国か」と思わせられ、翻って現代と比べてみてしまう。 特に昨今上昇株の「信長」に対する捉え方は非常に現実的で、 歴史小説の読者はともすれば自分が信長秀吉家康になって気が大きくなりがちだが、 よくよく考えてみれば現実はこの小説の弥三郎以下の存在だよなあと気づくと、 なるほど「十楽の夢」の信長の描写は適切だ、と腑に落ちる。 感想は、「とにかく怖い」の一言をまず伝えたい。 平和に商売を営んでいた豊かな村々に何やら不穏な空気が漂い、 みるみるうちに殺伐とし、財産も、土地も、人も、そして信仰も、 滅茶苦茶に破壊されてゆく過程が、克明に描写されている。 もちろん、主人公たちが大敵へ果敢に立ち向かう章節などは、非常に爽快だ。 この感想は、作者が地の文並びに結末でテーマを語らない以上、人それぞれ異なるかもしれない。 しかし、おのづと感じるところはあるはずだ。 なぜ直木賞を受賞できなかったのか分からない。 テーマと主人公が地味だからか。それとも痛烈な宗教批判があるからか。 | ||||
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戦国時代末期、織田信長と戦った伊勢長島の一向一揆を題材とした小説である。信長の殲滅戦の典型として知られるエピソードを「信長に侵略される」側から活写している。 主人公は一揆のリーダーである。一向宗の熱心な門徒でもある。戦闘力も指揮能力も高いが、戦国時代では脇役であろう「普通の人々」にすぎない。つまりは大名の都合で蹂躙され搾取される存在だ。 信長配下の武将や本願寺の権力者も登場するが、彼らもまた時代や上司に翻弄される小人の群れである。歴史の教科書に出てくるようなエピソードは彼らが作っていくのではなく、むしろ上から降りかかるものとして登場する。 淡々とした筆致で描かれ、ともすれば心理描写は薄すぎるきらいもある。登場人物の生死が不明なものも多く、行間を読むことを要求されるかもしれない。 しかしながら、この本を読めば「戦国時代」を日常から等身大の目線で体感できるし、終盤の主人公の演説にはぐっとくるものがある。『信長の野望』などの歴史シミュレーションを好んでプレイする人にお勧めしたい一冊である。 | ||||
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一向一揆がテーマの小説です。 当時の教育水 準、生活状況、商慣習を考慮すると誰も当時の 常識を疑わなかったのではないかと思いました。 織田信長が一向一揆を徹底的に弾圧したから 日本のテロや過激な集団を根絶させたという説 は一理あるとは感じますが・・・。 最後の戦闘シーンは避けられなかったのか な〜!? | ||||
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欲にまみれる坊主、長島の地、そこで暮らす人々、戦国の世を生き抜こうとする民衆の悲哀が描かれている。 現代とはまったく違う当時の宗教観を通して、現在の宗教観や人生とはを考えさせられる。 | ||||
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欲にまみれる坊主、長島の地、そこで暮らす人々、戦国の世を生き抜こうとする民衆の悲哀が描かれている。 現代とはまったく違う当時の宗教観を通して、現在の宗教観や人生とはを考えさせられる。 | ||||
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