桜花忍法帖 バジリスク新章

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桜花忍法帖 バジリスク新章の評価:

1.95/5点 レビュー 19件。 E ランク

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平均点1.95pt

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全22件 21〜22 2/2ページ
No.2
(4pt)

名作の続編という重荷をどうやって背負うのか

独立した「桜花忍法帖」という作品として、とても楽しめました。個性的なキャラクター盛りだくさんで良かったです。
「甲賀忍法帖」は大好きな作品ですが、読んだのが10年ほど前のことで、また「バジリスク」は未読のため、続編として違和感は感じませんでした。しかし、物語の繋げ方について、特にとあるキャラクターたちに思い入れある人は、複雑な感情をもつかもしれません。
過去の名作の続編を別の作家が書くことのリスクが高いのは、そこには真剣に作品を愛するファンがいて、作品はある種の聖域だからです。続編の作者は、他者の聖域に踏みいる勇気を必要とされます。「甲賀忍法帖」は燦然と輝く名作なので(読んでないけどたぶん「バジリスク」も)、多くの熱烈なファンが鋭い目でこの作品を注視していることでしょう。
まずはその危険だらけのダンジョンに大胆に踏みいった作者の蛮勇をふまえ、上巻はとても楽しめたという感想を述べるに留め、「桜花忍法帖」の最終的な評価は下巻を読んでからにしようと思います

最後に、私は山田正紀の作品のファンですが、氏は四十何年にも及ぶ「甲賀忍法帖」の大ファンで、尊敬する作家に小松左京などと並び山田風太郎をあげていたように記憶しています。

まずは、少なくとも聖域に立ち入る資格はあると言えるのではないでしょうか?
桜花忍法帖 バジリスク新章 (上) (講談社タイガ) Amazon書評・レビュー: 桜花忍法帖 バジリスク新章 (上) (講談社タイガ)より
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No.1
(1pt)

続編に求められるものが、何もない。

甲賀忍法帖(の、漫画版、バジリスク)の続編を唄っていながら、続編としては問題点が多すぎる作品です。
続編であるからには、当然「この話はあの話からどうつながっているのだろう」「あのあと、あの世界はどうなったのだろう」等、
原作(前作)との「つながり」を期待して読むものだと思いますが(だからこそ”続”編なのですから)、
この作品は実質的に、甲賀忍法帖とは無関係、この作者が自分の好きなように書いた別作品です。

もちろん「続編」を名乗る以上、キータームなどは一応組み込んで最低限の体裁は整えてこそいますが、
それら「原作とのつながり」の扱いは極めて雑、希薄で、根本的には無くても話が成り立ちます。
総じていえば、この作者自体のファンだ、という場合を除き、お勧めできません。

以下、具体的には。

・作風が違う(無論、作者が違うから当たり前、という話ではない)
・世界観が甲賀忍法帖を踏襲していない
・原作の話が実質的に関係ない(無くても本編が普通に成立する)
・登場人物の「箔付け」のために原作キャラを利用し、そのために原作の一部展開まで無理やり「なかったこと」にしている
 更に、それらは本当に「この作品のキャラの箔付け」のために行われただけで、原作キャラは事実上「使い捨て」られている

細かく上げれば他にもありますが、大きなところでこの四例に絞ってもう少し解説すると

・作風が違う

 先にも書きましたが「作者が違うから当たり前」というレベルの話ではありません。
 作家には、一人で複数の作風をもつ方も数多くいて、山田風太郎はその一人です。
 甲賀忍法帖とそれ以外の忍法帖は「忍法帖」という名を共に冠してはいても、「伝奇バトル」とくくれば同列に見えても、その実、作風が全く異なります。
 それは例えれば前者が「恋愛もの」、後者が「エログロナンセンスバトルもの」とでもいうべき、ほぼジャンルの差に相当する違いです。
 この作品は、はっきりと後者。「甲賀忍法帖以外の忍法帖」の作風で書かれています。

 もっとも、これ単体であれば「大胆なアレンジ」と解釈することもできたのですが
 他の要素も考え合わせると、作者の「甲賀忍法帖に対する無理解、不勉強」の結果としか考えられないのが残念なところ。

・世界観が異なる
  甲賀忍法帖の忍者たちは、漫画~アニメ版の天膳にややオカルトっぽい描写があるものの、
  基本的には「生物的能力を超人化させただけ」の存在です。
  しかし今作は平気で超能力やらなにやらを登場させ、次元がどうの、時間操作がどうの、召喚術がどうのなどと言い出します。 
  続編を銘打つわりに、土台たる世界観からしてまったく踏襲する気がありません。
  もっとも後述するように「原作を踏襲する気が全くない」は、この作品の全要素に通じて言えることです。

・原作の話が本筋に対して必要ない
  時系列的に、原作の後の時代の話と言う事になっていますが、原作の展開が今作の展開になにか影響を与えているか?といえば、
  別に何の影響も与えていません。
  
  というのも、今作の話は本当に「原作の話とはなんらリンクしない別問題」の話だからです。
  世間話レベルの「なくても別に良さそうな話」で原作エピソードが語られはしますが、それはつまり「削っても問題ない」ことに他ならず。

・箔付けのために原作の展開・キャラを踏み台にする

 細部までは語りませんが、今作の主人公たちに箔付けをするために、原作の展開を大きく改変しています。
 しかし、それは「原作に対する別アンサー」といったような前向きなものではなく、今作の主人公たち、引いては自分の作品に
 「甲賀忍法帖の続編」という”お墨付き”を与えるためのものでしかなく、実質、原作を「今作のために悪改変して使い捨てている」状態です。
 あまりに雑。原作の展開を改変したことが、ではなく、その扱いが。

 この部分を肯定できる方は、失礼ながら”本当に”甲賀忍法帖のファンなのでしょうか?

といった次第。
甲賀忍法帖の続編を書いて、というオーダーで書かれたとは到底信じられないくらい、あまりに原作をないがしろにしています。
本質的には、甲賀忍法帖とはまったく無関係、好き勝手に書いた作者のオリジナル忍法帖に、甲賀忍法帖の関連用語をのせて「続編です」と名乗っているに過ぎない印象があります。

最初にも書きましたが、この作者のファンの方なら「この作者の作品」として肯定も出来るのでしょう。
しかし、甲賀忍法帖「のみ」のファンから見て肯定できる要素は、残念ながらこの作品のどこにも見当たりません。
桜花忍法帖 バジリスク新章 (上) (講談社タイガ) Amazon書評・レビュー: 桜花忍法帖 バジリスク新章 (上) (講談社タイガ)より
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