文学部唯野教授

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文学部唯野教授の評価:

4.35/5点 レビュー 60件。 A ランク

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平均点4.35pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全104件 21〜40 2/6ページ
No.84
(5pt)

面白い

抱腹絶倒とは正にこのことである。小生も文学部出身なので、中に出て来る講義は馴染みのあるもので懐かしかった。総復習をした感がある。個人的には、全く個人的には主人公とヒロイン榎本奈美子のロマンスをもう少し交えて欲しかった。
文学部唯野教授 (岩波現代文庫―文芸) Amazon書評・レビュー: 文学部唯野教授 (岩波現代文庫―文芸)より
4006020015
No.83
(5pt)

面白い

抱腹絶倒とは正にこのことである。小生も文学部出身なので、中に出て来る講義は馴染みのあるもので懐かしかった。総復習をした感がある。個人的には、全く個人的には主人公とヒロイン榎本奈美子のロマンスをもう少し交えて欲しかった。
文学部唯野教授 Amazon書評・レビュー: 文学部唯野教授より
4000020153
No.82
(5pt)

中毒性あり!

いやはや、これは面白い。 
大学のなかで行われる政治的な駆け引き。ドタバタ劇。  
手塚治虫の漫画を文字にしたようなユーモア。  
 
そしてなにより唯野教授による文学理論の講義・・。印象批評からポスト構造主義まで、テンポよく駆け抜けていきます。こんな講義あったらほんとに聞いてみたい。 
筒井氏自身の視点もかなり反映されているなあと思う。 
 
というか、こんな小説のスタイルがそもそも可能なのか! 
非常に有名にも関わらず今まで読んでこなかった。筒井氏から学べることはとことん吸収するぞ、と、これを読んで誓うのでした。
文学部唯野教授 (岩波現代文庫―文芸) Amazon書評・レビュー: 文学部唯野教授 (岩波現代文庫―文芸)より
4006020015
No.81
(5pt)

中毒性あり!

いやはや、これは面白い。 
大学のなかで行われる政治的な駆け引き。ドタバタ劇。  
手塚治虫の漫画を文字にしたようなユーモア。  
 
そしてなにより唯野教授による文学理論の講義・・。印象批評からポスト構造主義まで、テンポよく駆け抜けていきます。こんな講義あったらほんとに聞いてみたい。 
筒井氏自身の視点もかなり反映されているなあと思う。 
 
というか、こんな小説のスタイルがそもそも可能なのか! 
非常に有名にも関わらず今まで読んでこなかった。筒井氏から学べることはとことん吸収するぞ、と、これを読んで誓うのでした。
文学部唯野教授 Amazon書評・レビュー: 文学部唯野教授より
4000020153
No.80
(4pt)

大学と大学教授の風刺小説 事務(局)長という権力者

本書が単行本で出版された直後以来、ほぼ30年ぶりの再読。当時話題になった文学批評の講義
よりも、今となっては大学や大学教授に対する風刺のほうが面白く感じる。文学批評の講義は、
イーグルトンの『文学とは何か』を読めば事足りるが、以下に引用するような大学の風刺、特
に事務(局)長の説明は的を射ていると驚く人も多いのではないだろうか。よくもここまでご
存知で、と感心してしまった。それが次の一節。

事務長というのは大学では蔭の学部長と言われている存在であり、教授会に提出する資料をほ
とんど自分で作り、学内の重要な会議にはたいてい出席する。裏の権力機構を持っているから
発言力があり、叙勲の申請などをやってもらわねばならぬ関係上、学長以下学内も誰もがこの
事務長にだけは頭があがらない。特にこの成田はなが年教務主任をやり、一方ではちょいとば
かり研究もしてきたため、裏権力を利用してちゃっかりと教授にまでなってしまっていた。事
務長が教授になる例は他大学でも多い。(60~61頁)

事務長は、事務局長、教務課長等の別の名称で呼ばれているかもしれないが、みな同じように
権力を振り回し、学長をはじめ学部長、教授たちに対して威張ったり怒鳴ったりしている。そ
の理由が本書の再読により氷解した。この30年、大学が変わっていないことを痛感。本書の風
刺が古くなるには、まだ時間がかかるかもしれない。

補足。なお、本書は当時の大学教授・文芸批評家への風刺にもなっている。蛇足かもしれないが
若い読者のために書いておく。
・慎本教授(40頁) → 栗本慎一郎、・股辺直己(122頁) → 渡辺直己
・東部教授(136頁)→ 西部邁 ・このほかに浅田彰、柄谷行人が風刺の対象になっている。
文学部唯野教授 (岩波現代文庫―文芸) Amazon書評・レビュー: 文学部唯野教授 (岩波現代文庫―文芸)より
4006020015
No.79
(4pt)

大学と大学教授の風刺小説 事務(局)長という権力者

本書が単行本で出版された直後以来、ほぼ30年ぶりの再読。当時話題になった文学批評の講義
よりも、今となっては大学や大学教授に対する風刺のほうが面白く感じる。文学批評の講義は、
イーグルトンの『文学とは何か』を読めば事足りるが、以下に引用するような大学の風刺、特
に事務(局)長の説明は的を射ていると驚く人も多いのではないだろうか。よくもここまでご
存知で、と感心してしまった。それが次の一節。

事務長というのは大学では蔭の学部長と言われている存在であり、教授会に提出する資料をほ
とんど自分で作り、学内の重要な会議にはたいてい出席する。裏の権力機構を持っているから
発言力があり、叙勲の申請などをやってもらわねばならぬ関係上、学長以下学内も誰もがこの
事務長にだけは頭があがらない。特にこの成田はなが年教務主任をやり、一方ではちょいとば
かり研究もしてきたため、裏権力を利用してちゃっかりと教授にまでなってしまっていた。事
務長が教授になる例は他大学でも多い。(60~61頁)

事務長は、事務局長、教務課長等の別の名称で呼ばれているかもしれないが、みな同じように
権力を振り回し、学長をはじめ学部長、教授たちに対して威張ったり怒鳴ったりしている。そ
の理由が本書の再読により氷解した。この30年、大学が変わっていないことを痛感。本書の風
刺が古くなるには、まだ時間がかかるかもしれない。

補足。なお、本書は当時の大学教授・文芸批評家への風刺にもなっている。蛇足かもしれないが
若い読者のために書いておく。
・慎本教授(40頁) → 栗本慎一郎、・股辺直己(122頁) → 渡辺直己
・東部教授(136頁)→ 西部邁 ・このほかに浅田彰、柄谷行人が風刺の対象になっている。
文学部唯野教授 Amazon書評・レビュー: 文学部唯野教授より
4000020153
No.78
(5pt)

文学部の人事状況と文学批評理論史

文学部での顛末は、ネタバレになるので避けるが、文学批評部分を飛ばして読んでも楽しめる。

この本を手に取ったのはかなり昔のことだが、執筆当時の文学部の状況をコミカルに描いている。
本書のあとがきにも名前を出して謝辞が出来ないということも書いており、これはジョークと半分、リアルが半分といったところだろう。

この作品は『大いなる助走』などの作品に出てくる、いわゆる「饒舌体」の流れにあると言えるだろう。つまり、登場人物がセリフはもちろん心象風景を話しドタバタ劇を演じると言った形式を指すと言えばよいのだろうか?

とりあえず、この本はそういった表現方法で話が進み、文学部を取り巻く環境をコミカルに描くパートと、学生に文学批評理論を教えるパートに分かれる。文学批評理論の部分はテリー・イーグルトン著『文学とは何か』と、執筆前後あたりに著者はハイデガーの現象学を入院中に読み、それを下敷きにしたという。
その内容を唯野教授は作中で講義をするが、十分な内容で面白い。

確か、印象批評に始まり、ニュークリティシズム、厳密には区切れないとしてノースロープ・フライの『批評の解剖』、フッサールやハイデガーの現象学、レビ・ストロース、ロラン・バルト、ミッシェル・フーコーをはじめとする構造主義、ポスト構造主義と展開して行く。

唯野教授のサブテキストの『一杯の掛けそば』分析や、唯野教授とは関係が無いが、俵万智の『サラダ記念日』のヤクザバージョン、ピアーズ著『悪魔の辞典』の筒井版などコメディー、ブラックユーモアも書けるが、一方、七瀬シリーズのようなシリアスなストーリーも書ける稀代の作家の一人ではないだろうか?
文学部唯野教授 (岩波現代文庫―文芸) Amazon書評・レビュー: 文学部唯野教授 (岩波現代文庫―文芸)より
4006020015
No.77
(5pt)

文学部の人事状況と文学批評理論史

文学部での顛末は、ネタバレになるので避けるが、文学批評部分を飛ばして読んでも楽しめる。

この本を手に取ったのはかなり昔のことだが、執筆当時の文学部の状況をコミカルに描いている。
本書のあとがきにも名前を出して謝辞が出来ないということも書いており、これはジョークと半分、リアルが半分といったところだろう。

この作品は『大いなる助走』などの作品に出てくる、いわゆる「饒舌体」の流れにあると言えるだろう。つまり、登場人物がセリフはもちろん心象風景を話しドタバタ劇を演じると言った形式を指すと言えばよいのだろうか?

とりあえず、この本はそういった表現方法で話が進み、文学部を取り巻く環境をコミカルに描くパートと、学生に文学批評理論を教えるパートに分かれる。文学批評理論の部分はテリー・イーグルトン著『文学とは何か』と、執筆前後あたりに著者はハイデガーの現象学を入院中に読み、それを下敷きにしたという。
その内容を唯野教授は作中で講義をするが、十分な内容で面白い。

確か、印象批評に始まり、ニュークリティシズム、厳密には区切れないとしてノースロープ・フライの『批評の解剖』、フッサールやハイデガーの現象学、レビ・ストロース、ロラン・バルト、ミッシェル・フーコーをはじめとする構造主義、ポスト構造主義と展開して行く。

唯野教授のサブテキストの『一杯の掛けそば』分析や、唯野教授とは関係が無いが、俵万智の『サラダ記念日』のヤクザバージョン、ピアーズ著『悪魔の辞典』の筒井版などコメディー、ブラックユーモアも書けるが、一方、七瀬シリーズのようなシリアスなストーリーも書ける稀代の作家の一人ではないだろうか?
文学部唯野教授 Amazon書評・レビュー: 文学部唯野教授より
4000020153
No.76
(4pt)

人文系の声が大きかった時代か

基本はメモ。1990年刊行で50万部のベストセラーだという。今では考えられない。「文学部不要論」のようなものが出て、反論が出て、という状況ではあるが、まあそういう議論を載せる新聞自体が力を失ってきているように思うし、小説家なり文学者なりの言葉というのが説得力を持たなくなっているというか、そんな印象。
まあ、印象批評というか伝記批評しかない世界が正しいとは思わないが。
文学部唯野教授 (岩波現代文庫―文芸) Amazon書評・レビュー: 文学部唯野教授 (岩波現代文庫―文芸)より
4006020015
No.75
(4pt)

人文系の声が大きかった時代か

基本はメモ。1990年刊行で50万部のベストセラーだという。今では考えられない。「文学部不要論」のようなものが出て、反論が出て、という状況ではあるが、まあそういう議論を載せる新聞自体が力を失ってきているように思うし、小説家なり文学者なりの言葉というのが説得力を持たなくなっているというか、そんな印象。
まあ、印象批評というか伝記批評しかない世界が正しいとは思わないが。
文学部唯野教授 Amazon書評・レビュー: 文学部唯野教授より
4000020153
No.74
(5pt)

饒舌人間

講義の部分は最後ちょっと眠くなりましたが、饒舌人間唯野教授のドタバタ劇は堪能しました。大学は学問をする所、という幻想がガラガラと崩れ落ちました。
文学部唯野教授 (岩波現代文庫―文芸) Amazon書評・レビュー: 文学部唯野教授 (岩波現代文庫―文芸)より
4006020015
No.73
(5pt)

饒舌人間

講義の部分は最後ちょっと眠くなりましたが、饒舌人間唯野教授のドタバタ劇は堪能しました。大学は学問をする所、という幻想がガラガラと崩れ落ちました。
文学部唯野教授 Amazon書評・レビュー: 文学部唯野教授より
4000020153
No.72
(5pt)

大学教授達の俗物性と文学批評理論の高尚さのギャップが凄まじく、絶賛するのみ

浅学非才な私如きのレビューだから、最低の印象批評にすらなっていないと思う。素人の読書感想文と思ってもらえば良い。カリカチュアされた大学教授達の俗物性と、至極分かり易く書かれているが文学批評理論の高尚さのギャップが凄まじく、20世紀に書かれたとは思えぬほど今読んでも破壊力がある。やはり筒井康隆は天才と言うよりないだろう。恐らく筒井康隆自身が受けた批評が如何に論理性の欠如したものであるか辛辣に批判しているものと思われ、ほとんど実名に近い形でやり込めている箇所も見られるが、当人が読んでもグウの音も出ないのではあるまいか。こんな狂人に近い天才作家はアンタッチャブルであり、実際筒井康隆はそういう扱いを受けて来ているように思う。
 いやホントに自分でこんな感想文を書いててレベルの低さが恥ずかしくなって来る。この本を書いた筒井康隆は凄い。ただただ絶賛しておこう。
文学部唯野教授 (岩波現代文庫―文芸) Amazon書評・レビュー: 文学部唯野教授 (岩波現代文庫―文芸)より
4006020015
No.71
(5pt)

大学教授達の俗物性と文学批評理論の高尚さのギャップが凄まじく、絶賛するのみ

浅学非才な私如きのレビューだから、最低の印象批評にすらなっていないと思う。素人の読書感想文と思ってもらえば良い。カリカチュアされた大学教授達の俗物性と、至極分かり易く書かれているが文学批評理論の高尚さのギャップが凄まじく、20世紀に書かれたとは思えぬほど今読んでも破壊力がある。やはり筒井康隆は天才と言うよりないだろう。恐らく筒井康隆自身が受けた批評が如何に論理性の欠如したものであるか辛辣に批判しているものと思われ、ほとんど実名に近い形でやり込めている箇所も見られるが、当人が読んでもグウの音も出ないのではあるまいか。こんな狂人に近い天才作家はアンタッチャブルであり、実際筒井康隆はそういう扱いを受けて来ているように思う。
 いやホントに自分でこんな感想文を書いててレベルの低さが恥ずかしくなって来る。この本を書いた筒井康隆は凄い。ただただ絶賛しておこう。
文学部唯野教授 Amazon書評・レビュー: 文学部唯野教授より
4000020153
No.70
(5pt)

27年も前に書かれた小説とは思えないほど生々しく、痛快な物語

早治大学文学部の唯野教授は今日も今日とて文学批評史の講義で忙しい。そんな教授は、朋友・牧口助教授が、フランスに公費留学しているはずなのに、いつのまにやら東京に舞い戻っていて自宅に隠れていることを知ってしまう。大学にばれたら大ごとだと唯野教授は必死にこの事実を隠そうとするのだが、唯野教授自身、実は小説を執筆していることを大学に内緒にしている。その小説が芥兀賞の候補になってしまったからさぁ大変。受賞などしようものなら、他教員たちのやっかみの対象になること必至だ…。

-----------------------------
 学内での危うい立場をなんとか取り繕うと東奔西走する唯野教授のドタバタ劇を一方の柱に、そして教授が講義する文学批評理論の変遷史(印象批評→新批評→ロシア・フォルマリズム→現象学→解釈学→受容理論→記号論→構造主義→ポスト構造主義)がもう一方の柱となった痛快無比、抱腹絶倒の小説です。

 学内に展開する笑劇は、教員間の妬み嫉み、足の引っ張り合い、現ナマの応酬など、生々しくもそら恐ろしい展開を見せます。執筆当時(1990年)はまだなかったインターネットのハイパーリンク風の脚注が付されていて、「雑務助手」だの「専任助手」だの「学部長選挙」だのといった学内用語が次々と解説されていきます。その内容たるや、大学教員のキャリアがその研究能力ではなく学内の政治力学によって大いに左右されるという赤裸々かつ身もふたもない事実の連続です。かなりの部分、現実に起きている学内ポリティクスの数々を下敷きにしているようで、それを思うと笑いも凍り付きます。
 唯野教授自身、清廉潔白な御仁ではありませんが、彼がキャンパス内の人づきあいに右往左往する姿は滑稽を通り越して哀れな感じがします。

 一方、唯野教授の講義内容は(おそらく)かなり本格的で、私はそのすべてを十分に咀嚼消化できたとは到底言えません。言語学の知識が多少はあるので、記号論から構造主義に至るあたりはかろうじて理解できたとは思うものの、フッサール現象学からハイデガー解釈学へ至る道のりは私には大変な急勾配で、読み進めるのは青息吐息。でも仮にこうした文学批評の手練手管を自家薬籠中の物にできたとして、そんな風に文学を読み進めて楽しいのかな、という疑問が渦巻くばかりです。
 こんなこと書くと、「自分が面白かった、面白くなかっただけの印象批評に執着している」(40頁)と揶揄されてしまうかもしれませんが。
 ただ少なくともこれだけは言えます。私は『文学部唯野教授』を大いに楽しんだ、と。
---------------------------------
◆廣野 由美子『』(中公新書)
:唯野教授が講義する文学批評理論を『』にあてはめて見ていく大変知的興奮に満ちた書です。ロシア・フォルマリズムの「異化」やポスト構造主義の「脱構築」、また「受容理論」はこの書では「読者反応批評」の名で紹介されています。
文学部唯野教授 (岩波現代文庫―文芸) Amazon書評・レビュー: 文学部唯野教授 (岩波現代文庫―文芸)より
4006020015
No.69
(5pt)

27年も前に書かれた小説とは思えないほど生々しく、痛快な物語

早治大学文学部の唯野教授は今日も今日とて文学批評史の講義で忙しい。そんな教授は、朋友・牧口助教授が、フランスに公費留学しているはずなのに、いつのまにやら東京に舞い戻っていて自宅に隠れていることを知ってしまう。大学にばれたら大ごとだと唯野教授は必死にこの事実を隠そうとするのだが、唯野教授自身、実は小説を執筆していることを大学に内緒にしている。その小説が芥兀賞の候補になってしまったからさぁ大変。受賞などしようものなら、他教員たちのやっかみの対象になること必至だ…。

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 学内での危うい立場をなんとか取り繕うと東奔西走する唯野教授のドタバタ劇を一方の柱に、そして教授が講義する文学批評理論の変遷史(印象批評→新批評→ロシア・フォルマリズム→現象学→解釈学→受容理論→記号論→構造主義→ポスト構造主義)がもう一方の柱となった痛快無比、抱腹絶倒の小説です。

 学内に展開する笑劇は、教員間の妬み嫉み、足の引っ張り合い、現ナマの応酬など、生々しくもそら恐ろしい展開を見せます。執筆当時(1990年)はまだなかったインターネットのハイパーリンク風の脚注が付されていて、「雑務助手」だの「専任助手」だの「学部長選挙」だのといった学内用語が次々と解説されていきます。その内容たるや、大学教員のキャリアがその研究能力ではなく学内の政治力学によって大いに左右されるという赤裸々かつ身もふたもない事実の連続です。かなりの部分、現実に起きている学内ポリティクスの数々を下敷きにしているようで、それを思うと笑いも凍り付きます。
 唯野教授自身、清廉潔白な御仁ではありませんが、彼がキャンパス内の人づきあいに右往左往する姿は滑稽を通り越して哀れな感じがします。

 一方、唯野教授の講義内容は(おそらく)かなり本格的で、私はそのすべてを十分に咀嚼消化できたとは到底言えません。言語学の知識が多少はあるので、記号論から構造主義に至るあたりはかろうじて理解できたとは思うものの、フッサール現象学からハイデガー解釈学へ至る道のりは私には大変な急勾配で、読み進めるのは青息吐息。でも仮にこうした文学批評の手練手管を自家薬籠中の物にできたとして、そんな風に文学を読み進めて楽しいのかな、という疑問が渦巻くばかりです。
 こんなこと書くと、「自分が面白かった、面白くなかっただけの印象批評に執着している」(40頁)と揶揄されてしまうかもしれませんが。
 ただ少なくともこれだけは言えます。私は『文学部唯野教授』を大いに楽しんだ、と。
---------------------------------
◆廣野 由美子『』(中公新書)
:唯野教授が講義する文学批評理論を『』にあてはめて見ていく大変知的興奮に満ちた書です。ロシア・フォルマリズムの「異化」やポスト構造主義の「脱構築」、また「受容理論」はこの書では「読者反応批評」の名で紹介されています。
文学部唯野教授 Amazon書評・レビュー: 文学部唯野教授より
4000020153
No.68
(5pt)

大学と文学、そして哲学をめぐる冒険

この本は主人公である唯野教授の日常と、唯野教授による批評理論入門講義で成り立っています。この本は大学教授の世界の驚くべき舞台裏を描く小説であると共に、批評理論のわかりやすい入門書でもあります。
この小説で描かれる大学の裏事情は、とにかく汚いものです。そして唯野教授の同僚や知人たちも、鼻持ちならない人物ばかりです。小説の展開を盛り上げるために誇張して描かれていると思われるところは多々ありますが、こうした出来事や人物は日本各地の大学に実在しているのだろうなと思いました。
唯野教授にとっては地獄のような日常とは対照的に、唯野教授が作中で行う文学講義はとてもわかりやすくて爽快です。唯野教授の講義内容は以下の通りです。

第一講…印象批評
第二講…新批評
第三講…ロシア・フォルマリズム
第四講…現象学
第五講…解釈学
第六講…受容理論
第七講…記号論
第八講…構造主義
第九講…ポスト構造主義

ご覧の通り、文学入門としてのみならず哲学入門としても参考になる内容でした。特に構造主義の説明がわかりやすかったです。
文学部唯野教授 (岩波現代文庫―文芸) Amazon書評・レビュー: 文学部唯野教授 (岩波現代文庫―文芸)より
4006020015
No.67
(5pt)

大学と文学、そして哲学をめぐる冒険

この本は主人公である唯野教授の日常と、唯野教授による批評理論入門講義で成り立っています。この本は大学教授の世界の驚くべき舞台裏を描く小説であると共に、批評理論のわかりやすい入門書でもあります。
この小説で描かれる大学の裏事情は、とにかく汚いものです。そして唯野教授の同僚や知人たちも、鼻持ちならない人物ばかりです。小説の展開を盛り上げるために誇張して描かれていると思われるところは多々ありますが、こうした出来事や人物は日本各地の大学に実在しているのだろうなと思いました。
唯野教授にとっては地獄のような日常とは対照的に、唯野教授が作中で行う文学講義はとてもわかりやすくて爽快です。唯野教授の講義内容は以下の通りです。

第一講…印象批評
第二講…新批評
第三講…ロシア・フォルマリズム
第四講…現象学
第五講…解釈学
第六講…受容理論
第七講…記号論
第八講…構造主義
第九講…ポスト構造主義

ご覧の通り、文学入門としてのみならず哲学入門としても参考になる内容でした。特に構造主義の説明がわかりやすかったです。
文学部唯野教授 Amazon書評・レビュー: 文学部唯野教授より
4000020153
No.66
(5pt)

物語で現代文学を講義してくれるメタフィクション

小説としても、現代文学講義としても
とても面白かったです。

現代文学を俯瞰的に、コンパクトに講義してくれているので
記号論、構造主義、ポスト構造主義など
知りたいけど、とっつきにくかった文学論に興味が持てました。

もちろん、個々の解説は紙面の関係だったりで
十分な説明ではないですが、ノリが軽い主人公の大学教授が
本書で語ってくれるくらいの親しみやすさのほうが、
堅苦しくなくて、頭に入ってきます。

この手の手法でベストセラーになったメタ小説としては
哲学講義をしてくれる「ソフィーの世界」などがありました。

物語としての面白さと、分かりやすいコンパクトな講義という
2つを両立させる必要があるため、著者の力量が求められます。

若手だと、読者の信用を得にくいし
ベテランの作家だと、今度は評論家から反発されるし
どちらにせよ作家にとってはこの手の作品はリスク覚悟で
執筆されたのかと思われます。

物語部分と講義部分がちゃんと分かれているのも
良かったです。

文春文庫から「文学部唯野教授のサブ・テキスト」が出てるので
そちらも読んでみようと思います。
文学部唯野教授 (岩波現代文庫―文芸) Amazon書評・レビュー: 文学部唯野教授 (岩波現代文庫―文芸)より
4006020015
No.65
(5pt)

物語で現代文学を講義してくれるメタフィクション

小説としても、現代文学講義としても
とても面白かったです。

現代文学を俯瞰的に、コンパクトに講義してくれているので
記号論、構造主義、ポスト構造主義など
知りたいけど、とっつきにくかった文学論に興味が持てました。

もちろん、個々の解説は紙面の関係だったりで
十分な説明ではないですが、ノリが軽い主人公の大学教授が
本書で語ってくれるくらいの親しみやすさのほうが、
堅苦しくなくて、頭に入ってきます。

この手の手法でベストセラーになったメタ小説としては
哲学講義をしてくれる「ソフィーの世界」などがありました。

物語としての面白さと、分かりやすいコンパクトな講義という
2つを両立させる必要があるため、著者の力量が求められます。

若手だと、読者の信用を得にくいし
ベテランの作家だと、今度は評論家から反発されるし
どちらにせよ作家にとってはこの手の作品はリスク覚悟で
執筆されたのかと思われます。

物語部分と講義部分がちゃんと分かれているのも
良かったです。

文春文庫から「文学部唯野教授のサブ・テキスト」が出てるので
そちらも読んでみようと思います。
文学部唯野教授 Amazon書評・レビュー: 文学部唯野教授より
4000020153