歌うクジラ
評判
歌うクジラの評価:
3.60/5点 レビュー 72件。 E ランク
Amazonレビュー一覧
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全144件 101〜120 6/8ページ
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村上龍氏個人がじっくりと発酵させ腐敗させた末に
産み落とされた世界、そんな気がした。
歴史や国家、民族といったものを無意味無価値
にして混沌とさせた上に成立したSF(?)
という分類なのかはオールドファンの私にはよくわからない。
本作では、少子高齢化・移民による混沌化と、かの遺伝子
にまつわる要因により日本自体は今の概念では消滅している。
村上氏のアナーキーさが劣化しそれが安易に垂れ流されている感すらある。
半島を出よあたりから目立つ、徹底的な軍事軽視(ミリオタという意味でなく
国家のパワーとしての軍事力への無理解。それは一貫して
「システム」や「世間」への憎悪と破壊を描いてきた氏にとって
もはや越えられない壁になっているのかもしれない。)は、
自国はともかく、それ以外の外国との関わりを描写する際には致命的ですらあるように思う。
作品と現実、その乖離は年を追うごとにひどくなるばかりだ。
(冷戦時代が一番マシだったのは偶然ではあるまい。
「情報」がより特権的な時代だったし、それなりに安定した世界観でみなが生きていた)
愛と幻想のファシズム
五分後の世界、希望の国のエクソダス、
半島を出よといった「破壊系」の系譜なのかもしれないが
個人的には、みなそれぞれに共感できるエネルギーやプライドの描写
があった(だからその成立過程に難があっても
圧倒的なドライブ感の前には気にならなかったものだ)。
本作ではその逆だった。
そこからなんらかのメッセージを読み取るのはもはや苦行でしかなかった。
本作はむしろ「システム構築系」の作品かもしれない。
(個人的な解釈としては)
驚くべき閉塞感に満ちた世界の、元気を奪われる物語。
思い浮かんだのはそんなコピーだった。
いよいよ村上龍氏に対する受容体(レセプター)が減少して
きたのかもしれない。