幻影の書

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評判

幻影の書の評価:

4.43/5点 レビュー 35件。 B ランク

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平均点4.43pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全72件 41〜60 3/4ページ
No.32
(5pt)

孤独を描くのがいつも上手い

柴田さんの訳を一語一語かみしめるように読んでいきました。
どんどんのめりこみ、あっという間にラストへ。
すばらしい装幀とタイトルがこの本をあまりにも的確にあらわしています。
読後、知らないうちに涙が……。
複数のカップルが幾重にも交差しあい、まるで万華鏡のように鮮やかにも哀しく展開していきます。
精緻をきわめたストーリー・テリング。ヘクターという人物の彫像のような見事な立体感。
幻影の書 Amazon書評・レビュー: 幻影の書より
4105217127
No.31
(5pt)

孤独を描くのがいつも上手い

柴田さんの訳を一語一語かみしめるように読んでいきました。
どんどんのめりこみ、あっという間にラストへ。
すばらしい装幀とタイトルがこの本をあまりにも的確にあらわしています。
読後、知らないうちに涙が……。
複数のカップルが幾重にも交差しあい、まるで万華鏡のように鮮やかにも哀しく展開していきます。
精緻をきわめたストーリー・テリング。ヘクターという人物の彫像のような見事な立体感。
幻影の書 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 幻影の書 (新潮文庫)より
4102451145
No.30
(3pt)

いちオースターファンとして

現在アラサーにさしかかり、中学時代からオースター作品を読んできました。その間彼の作品は何回も読み返し、その度に自分の年令に応じてまた作品の違う面を見たり感じたり、、。自分はオースターから本を読み込むことの楽しさを知ったといっても過言ではありません。

でもこの作品は、またいつか読みたいと思うかなあと、、。なんだか軽い印象を受けました。正直。

訳が悪いのかな。柴田さんめっちゃくちゃ忙しいだろうし。ピンチョンの新訳や改訳も伸び伸びだし。

でも読みやすいことはこの上なしだし、途中何回もハッとさせられるストーリー展開もあり十分楽しめたんですがね。
幻影の書 Amazon書評・レビュー: 幻影の書より
4105217127
No.29
(3pt)

いちオースターファンとして

現在アラサーにさしかかり、中学時代からオースター作品を読んできました。その間彼の作品は何回も読み返し、その度に自分の年令に応じてまた作品の違う面を見たり感じたり、、。自分はオースターから本を読み込むことの楽しさを知ったといっても過言ではありません。

でもこの作品は、またいつか読みたいと思うかなあと、、。なんだか軽い印象を受けました。正直。

訳が悪いのかな。柴田さんめっちゃくちゃ忙しいだろうし。ピンチョンの新訳や改訳も伸び伸びだし。

でも読みやすいことはこの上なしだし、途中何回もハッとさせられるストーリー展開もあり十分楽しめたんですがね。
幻影の書 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 幻影の書 (新潮文庫)より
4102451145
No.28
(4pt)

引き込まれる面白さ。

久しぶりのポール・オースターの新作ということで、読んでみた。文章が端的で、引き込まれる勢いを感じる。悲しくても、面白くても表情に出さない文章が、悲しませ、笑わせる。最高傑作との評価もある作品で、前半から、意味もつかせぬ面白さでぐいぐいと読者を引き込んでいくのは流石だった。
ただ、その芸術性やオチをつけようとしすぎた感じがあって、ものすごく面白かったけれど、最後の感動がもう一つだった。絶望から救ってくれた消息不明のヘクターに出会うところまでは完全と思うのだが、その後の、ヘクターに関わるすべての人々の悲劇は、もし、僕が主人公だったら、立ち直りかけた自分が再度地獄の底へ引き落とされて、絶望に打ちひしがれるのではないか?という疑問が残るのだ。またしても最愛の人を失ったという絶望に。
その点だけが心残りで、評価を4にした理由である。たしかに、今までの作品の中でも、最高に面白い部類に属するが、まだ、もう一歩高みへ上り詰めて欲しい作家である。
読み終えることがもったいなく思える、時間を忘れる本である。。
幻影の書 Amazon書評・レビュー: 幻影の書より
4105217127
No.27
(4pt)

引き込まれる面白さ。

久しぶりのポール・オースターの新作ということで、読んでみた。文章が端的で、引き込まれる勢いを感じる。悲しくても、面白くても表情に出さない文章が、悲しませ、笑わせる。最高傑作との評価もある作品で、前半から、意味もつかせぬ面白さでぐいぐいと読者を引き込んでいくのは流石だった。
ただ、その芸術性やオチをつけようとしすぎた感じがあって、ものすごく面白かったけれど、最後の感動がもう一つだった。絶望から救ってくれた消息不明のヘクターに出会うところまでは完全と思うのだが、その後の、ヘクターに関わるすべての人々の悲劇は、もし、僕が主人公だったら、立ち直りかけた自分が再度地獄の底へ引き落とされて、絶望に打ちひしがれるのではないか?という疑問が残るのだ。またしても最愛の人を失ったという絶望に。
その点だけが心残りで、評価を4にした理由である。たしかに、今までの作品の中でも、最高に面白い部類に属するが、まだ、もう一歩高みへ上り詰めて欲しい作家である。
読み終えることがもったいなく思える、時間を忘れる本である。。
幻影の書 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 幻影の書 (新潮文庫)より
4102451145
No.26
(5pt)

オースターの作品の中でも一番かな

久しぶりにオースターの新刊が出たので、早速読んでみた。この本の評判は聞いていたんだけど、翻訳されるまで結構時間がかかっていたので、楽しみにしていた。
評判どおり、今までのオースターの作品の中でも一番、面白かった。面白かったという表現では、足りないな、感動するぐらい美しい小説だった。
あまりにも、感動したので、読み終えたくなくなり、速読派の自分なのに、何日もかけてゆっくり読んでしまった。
無声映画時代の俳優とそれを題材にした本を書いた大学教授の二人の人生をうまく交錯させて、人生の喪失感を無類のストーリーテリングで読ませる。
ラストも胸が詰まった。
いい小説だった。
『マーティン・フロストの内なる生』っていう映画は見てみたい。
幻影の書 Amazon書評・レビュー: 幻影の書より
4105217127
No.25
(5pt)

オースターの作品の中でも一番かな

久しぶりにオースターの新刊が出たので、早速読んでみた。この本の評判は聞いていたんだけど、翻訳されるまで結構時間がかかっていたので、楽しみにしていた。
評判どおり、今までのオースターの作品の中でも一番、面白かった。面白かったという表現では、足りないな、感動するぐらい美しい小説だった。
あまりにも、感動したので、読み終えたくなくなり、速読派の自分なのに、何日もかけてゆっくり読んでしまった。
無声映画時代の俳優とそれを題材にした本を書いた大学教授の二人の人生をうまく交錯させて、人生の喪失感を無類のストーリーテリングで読ませる。
ラストも胸が詰まった。
いい小説だった。
『マーティン・フロストの内なる生』っていう映画は見てみたい。
幻影の書 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 幻影の書 (新潮文庫)より
4102451145
No.24
(5pt)

言葉というものが成しうる映像描写の極致

非常に端正な文体で綴られる物語は、極めて魅力的だ。また、人物造形の素晴らしさも、相変わらずである。しかし何よりも本作品での魅力は、その映像的、視覚的描写力に尽きるだろう。物語の前半、知られざる名優(?)たるヘクター・マンの出演作品を追い求める「私」が観た数篇の無声映画、そのひとつひとつのリアリズムは如何だ。細部に至るまで極めて緻密に描ききる筆力、そしてそれを完全に映像として描写している著者の壮絶なまでの幻視・・・まさに圧倒的というよりない。
 そしてそれは、物語の後半で更なる深みへと突き進む。若きヘクター・マンが浮沈の末に辿り着いた地で、密かに創られた幻の映画・・・文字を読みながらにして、我々は映像を観ることになる。
 オースターの最高傑作? 過去の作品との比較に意味はない。過去の作品には過去の作品の素晴らしさがある。そしてこの作品にはこの作品の素晴らしさが。それでいいではないか。
幻影の書 Amazon書評・レビュー: 幻影の書より
4105217127
No.23
(5pt)

言葉というものが成しうる映像描写の極致

非常に端正な文体で綴られる物語は、極めて魅力的だ。また、人物造形の素晴らしさも、相変わらずである。しかし何よりも本作品での魅力は、その映像的、視覚的描写力に尽きるだろう。物語の前半、知られざる名優(?)たるヘクター・マンの出演作品を追い求める「私」が観た数篇の無声映画、そのひとつひとつのリアリズムは如何だ。細部に至るまで極めて緻密に描ききる筆力、そしてそれを完全に映像として描写している著者の壮絶なまでの幻視・・・まさに圧倒的というよりない。
 そしてそれは、物語の後半で更なる深みへと突き進む。若きヘクター・マンが浮沈の末に辿り着いた地で、密かに創られた幻の映画・・・文字を読みながらにして、我々は映像を観ることになる。
 オースターの最高傑作? 過去の作品との比較に意味はない。過去の作品には過去の作品の素晴らしさがある。そしてこの作品にはこの作品の素晴らしさが。それでいいではないか。
幻影の書 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 幻影の書 (新潮文庫)より
4102451145
No.22
(4pt)

ポール・オースターの代表作

幻影の書は、複数の人生模様が交錯する作品。主人公のデビッドが、母子を飛行機事故で亡くした心の痛手を再生するのに、1920年代のサイレント映画に人生模様を絡めて行く様が見える。特に、最後の個人体験は、どこか寂漠としたモノクロームの風景を現出させる。ポール・オースター作品は、今回が、初体験だが、読み手を引き込む名訳のため、最後まで一気に読めた。お薦め。以上
幻影の書 Amazon書評・レビュー: 幻影の書より
4105217127
No.21
(4pt)

ポール・オースターの代表作

幻影の書は、複数の人生模様が交錯する作品。主人公のデビッドが、母子を飛行機事故で亡くした心の痛手を再生するのに、1920年代のサイレント映画に人生模様を絡めて行く様が見える。特に、最後の個人体験は、どこか寂漠としたモノクロームの風景を現出させる。ポール・オースター作品は、今回が、初体験だが、読み手を引き込む名訳のため、最後まで一気に読めた。お薦め。以上
幻影の書 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 幻影の書 (新潮文庫)より
4102451145
No.20
(3pt)

傑作ではあるけれど・・・

十数年前、たまたま古本屋で「幽霊たち」にであって以来、著者の本はほとんど読んできました。ですが、素人意見なのかもしれませんが、やっぱり私にとって著者の本の中で一番は「幽霊たち」です。シンプル、かつ濃密な「意味」の詰まった言葉の数々、文章でしか表現できない世界観。。。「幻影の書」、確かに面白いのですが、最後の最後のどんでん返しも(私にとっては)衝撃でしたが(「偶然の音楽」のようにならなくて良かった・・・最後に一縷の希望)、著者の本で私が期待してしまうのはやっぱり「幽霊たち」のような小説なんですよね。そういうのは、もう書いてくれないのかなぁ。。。
幻影の書 Amazon書評・レビュー: 幻影の書より
4105217127
No.19
(3pt)

傑作ではあるけれど・・・

十数年前、たまたま古本屋で「幽霊たち」にであって以来、著者の本はほとんど読んできました。ですが、素人意見なのかもしれませんが、やっぱり私にとって著者の本の中で一番は「幽霊たち」です。シンプル、かつ濃密な「意味」の詰まった言葉の数々、文章でしか表現できない世界観。。。「幻影の書」、確かに面白いのですが、最後の最後のどんでん返しも(私にとっては)衝撃でしたが(「偶然の音楽」のようにならなくて良かった・・・最後に一縷の希望)、著者の本で私が期待してしまうのはやっぱり「幽霊たち」のような小説なんですよね。そういうのは、もう書いてくれないのかなぁ。。。
幻影の書 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 幻影の書 (新潮文庫)より
4102451145
No.18
(4pt)

ブルックリンの四つ角でプカリ浮かんだジタンの煙

この人の本は「偶然の音楽」以来2冊目になる。前作も良かったが、こちらのほうが一段と読み応えがあった。

何といっても映画「スモーク」の原作者・脚本家だけに、ストーリー自体が抜群に面白い。映画的だ。

愛する妻子の突然の事故死からはじまって、無声映画の最後の巨匠との思いもかけない邂逅、そこで明かされる巨匠の生涯の秘密、そして主人公の前に現れた運命の女性アルマとのたった8日間の凝縮された愛、そしてなおも巨匠の最後の作品と死をめぐって最後まで残された黒い疑惑、シャトーブリアンの膨大な回想録からの気の利いた引用、(「人間はひとつの生を生きるのではない。多くの、端から端まで置かれた生を生きるのであり、それこそが人間の悲惨なのだ」)、本編に挿入されて実際に映画化された「マーチン・フロストの内なる生」のシナリオの素晴らしさ等々、これは第1級の娯楽読物であり、優れた人生の書でもある。

とりわけ喜劇俳優や若い女性、ポルノ女優、小人、大学教授などのインテリゲンチャなどそれぞれの人物像の水際立った造形とディテールの精密な押さえ方は見事なもので、この1947年ニューアーク生まれの若い作家の才能は底知れない、というべきだろう。

ニューヨークの街角のドラッグストアを舞台にハーヴェー・カイテルとウイリアム・ハートが主演したウエイン・ワン監督の「スモーク」もいかにも都会的で洒落た映画だった。ラストでゆっくりと立ち上る煙草のけむりのはかなくも美しかったこと。確か共同プロデューサーには独文の堀越君が参加していたっけ。ああいうユーモアとエスプリがきらりと光る映画を目にしなくなってひさしい。さびしいことだ。

♪ブルックリンのドラッグストアの四つ角でプカリ浮かんだジタンの煙よ 茫洋
幻影の書 Amazon書評・レビュー: 幻影の書より
4105217127
No.17
(4pt)

ブルックリンの四つ角でプカリ浮かんだジタンの煙

この人の本は「偶然の音楽」以来2冊目になる。前作も良かったが、こちらのほうが一段と読み応えがあった。

何といっても映画「スモーク」の原作者・脚本家だけに、ストーリー自体が抜群に面白い。映画的だ。

愛する妻子の突然の事故死からはじまって、無声映画の最後の巨匠との思いもかけない邂逅、そこで明かされる巨匠の生涯の秘密、そして主人公の前に現れた運命の女性アルマとのたった8日間の凝縮された愛、そしてなおも巨匠の最後の作品と死をめぐって最後まで残された黒い疑惑、シャトーブリアンの膨大な回想録からの気の利いた引用、(「人間はひとつの生を生きるのではない。多くの、端から端まで置かれた生を生きるのであり、それこそが人間の悲惨なのだ」)、本編に挿入されて実際に映画化された「マーチン・フロストの内なる生」のシナリオの素晴らしさ等々、これは第1級の娯楽読物であり、優れた人生の書でもある。

とりわけ喜劇俳優や若い女性、ポルノ女優、小人、大学教授などのインテリゲンチャなどそれぞれの人物像の水際立った造形とディテールの精密な押さえ方は見事なもので、この1947年ニューアーク生まれの若い作家の才能は底知れない、というべきだろう。

ニューヨークの街角のドラッグストアを舞台にハーヴェー・カイテルとウイリアム・ハートが主演したウエイン・ワン監督の「スモーク」もいかにも都会的で洒落た映画だった。ラストでゆっくりと立ち上る煙草のけむりのはかなくも美しかったこと。確か共同プロデューサーには独文の堀越君が参加していたっけ。ああいうユーモアとエスプリがきらりと光る映画を目にしなくなってひさしい。さびしいことだ。

♪ブルックリンのドラッグストアの四つ角でプカリ浮かんだジタンの煙よ 茫洋
幻影の書 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 幻影の書 (新潮文庫)より
4102451145
No.16
(5pt)

大胆なストーリー展開と、緻密な文体

圧巻。
いったんページをめくりはじめたらもう止まらない。
読んでいる間じゅう、一文字たりとも読みのがしたくない気持ちと、早くページをめくって先を知りたい思いがせめぎあう。
本読みにとって至福のとき。

いちばんの魅力は、もちろんストーリーのおもしろさ。
人生のなかばで、すべてではないが自分の大部分を失った男が、ある無声映画俳優に魅せられたことから、物語が動きだす。
男の執筆する本がある出会いをもたらし、男は自覚しないまま、人生をその手にとり戻す旅をつづけることになる。
最初の一行から最後の一行まで、一分の隙も感じさせない構成。
伏せられていたカードが次々とひっくり返るようなラストシーンにもため息が出る。

大胆なストーリー展開を支えているのが、細部の精緻な描写。
その積み重ねがあるから、肝心な場面で、違和感なく感情移入することができる。
ときどきすべりこむ非現実的な領域が、またはっとするほど生々しいのだ。生と死の境、自分と他者の境界があいまいになる瞬間。
「小説中映画」とでも呼びたいような、無声映画の映像と物語を文章で追いかけてゆくシーンも読みごたえがある。

さらに柴田元幸の訳文がほんとうにすばらしい!
読者が作品世界に没頭することをじゃましないどころか、背中を押して積極的に助けてくれる。
ぎりぎりのラインで自分に妥協をゆるさず、最後の最後まで推敲をかさねて、この文体が完成したのだろうなあと思う。翻訳はやっぱり職人芸だ。
幻影の書 Amazon書評・レビュー: 幻影の書より
4105217127
No.15
(5pt)

大胆なストーリー展開と、緻密な文体

圧巻。
いったんページをめくりはじめたらもう止まらない。
読んでいる間じゅう、一文字たりとも読みのがしたくない気持ちと、早くページをめくって先を知りたい思いがせめぎあう。
本読みにとって至福のとき。

いちばんの魅力は、もちろんストーリーのおもしろさ。
人生のなかばで、すべてではないが自分の大部分を失った男が、ある無声映画俳優に魅せられたことから、物語が動きだす。
男の執筆する本がある出会いをもたらし、男は自覚しないまま、人生をその手にとり戻す旅をつづけることになる。
最初の一行から最後の一行まで、一分の隙も感じさせない構成。
伏せられていたカードが次々とひっくり返るようなラストシーンにもため息が出る。

大胆なストーリー展開を支えているのが、細部の精緻な描写。
その積み重ねがあるから、肝心な場面で、違和感なく感情移入することができる。
ときどきすべりこむ非現実的な領域が、またはっとするほど生々しいのだ。生と死の境、自分と他者の境界があいまいになる瞬間。
「小説中映画」とでも呼びたいような、無声映画の映像と物語を文章で追いかけてゆくシーンも読みごたえがある。

さらに柴田元幸の訳文がほんとうにすばらしい!
読者が作品世界に没頭することをじゃましないどころか、背中を押して積極的に助けてくれる。
ぎりぎりのラインで自分に妥協をゆるさず、最後の最後まで推敲をかさねて、この文体が完成したのだろうなあと思う。翻訳はやっぱり職人芸だ。
幻影の書 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 幻影の書 (新潮文庫)より
4102451145
No.14
(5pt)

幽閉と探求の物語

心に傷を負った登場人物が己の魂と向き合い、開放へと向かう小説。登場人物が意気消沈しているところでは、登場人物の心と向き合っているような体験をすることができた。各地を転々と移動したり、私設撮影所に行くところでは、スピードと開放を味わえた。
 ファンの期待を裏切らない、これぞオースターの世界という作品。
幻影の書 Amazon書評・レビュー: 幻影の書より
4105217127
No.13
(5pt)

幽閉と探求の物語

心に傷を負った登場人物が己の魂と向き合い、開放へと向かう小説。登場人物が意気消沈しているところでは、登場人物の心と向き合っているような体験をすることができた。各地を転々と移動したり、私設撮影所に行くところでは、スピードと開放を味わえた。
 ファンの期待を裏切らない、これぞオースターの世界という作品。
幻影の書 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 幻影の書 (新潮文庫)より
4102451145