リヴァイアサン

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評判

リヴァイアサンの評価:

3.96/5点 レビュー 23件。 B ランク

Amazon書評・レビュー点数毎のグラフです

平均点3.96pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全48件 21〜40 2/3ページ
No.28
(3pt)

なぜここまで広がりすぎたのだろうか・・・・。

本作の評価はイッパツマンさんのレビューで的確に捉えられていると思う。従ってその繰り返しになってしまうと思うのだが、拙文を記してみる。〜本作は文庫巻末の訳者・柴田元幸氏の文章にあるようポール・オースターの作品の中では「誰の物語」と整理できないところに特色がある。なるほど、個々のエピソードや心理描写はさすがに巧く、それぞれが一個の中編や短編として成立してしまうレベルにある。しかし作劇の基本に立ち戻ってみると、冒頭からある政治性を帯びた謎の事件ではじまり、そこを中心とするのであれば、個々のエピソードと心理劇はサックスがなぜあのような行為を起こすに至ったのかを、間接的にあぶり出すものとして機能していなくてはならないはずだ。しかし、前述したように--いくつかの例外はあれ--サックスの事件とはほぼ関わりないかたちでそれぞれのエピソードが完結してしまっている。特に前半部分のピーターを中心としたエピソードは余りに長く、僕としては冗漫に感じた。
単純に言ってしまうと、作品全体が個々のエピソードで完結しすぎ、--イッパツマンさんの表現をお借りするしかないのだが--一つの作品としてテーマが絞り込めていないのだ。〜著者はおそらく青年期から中年期にいたる群像劇を作りたかったのだと思う。そうであれば、もっと長い作品としてサックスのエピソードをワンオブゼムと設計することによって、本作より大きな物語に仕上げるべきだったのではないか。本作の作劇スタイルに沿っていえば、残念ながらやはり、焦点が絞りこめていない、としか言いようがないのだ。
リヴァイアサン Amazon書評・レビュー: リヴァイアサンより
4105217054
No.27
(3pt)

なぜここまで広がりすぎたのだろうか・・・・。

本作の評価はイッパツマンさんのレビューで的確に捉えられていると思う。従ってその繰り返しになってしまうと思うのだが、拙文を記してみる。〜本作は文庫巻末の訳者・柴田元幸氏の文章にあるようポール・オースターの作品の中では「誰の物語」と整理できないところに特色がある。なるほど、個々のエピソードや心理描写はさすがに巧く、それぞれが一個の中編や短編として成立してしまうレベルにある。しかし作劇の基本に立ち戻ってみると、冒頭からある政治性を帯びた謎の事件ではじまり、そこを中心とするのであれば、個々のエピソードと心理劇はサックスがなぜあのような行為を起こすに至ったのかを、間接的にあぶり出すものとして機能していなくてはならないはずだ。しかし、前述したように--いくつかの例外はあれ--サックスの事件とはほぼ関わりないかたちでそれぞれのエピソードが完結してしまっている。特に前半部分のピーターを中心としたエピソードは余りに長く、僕としては冗漫に感じた。
単純に言ってしまうと、作品全体が個々のエピソードで完結しすぎ、--イッパツマンさんの表現をお借りするしかないのだが--一つの作品としてテーマが絞り込めていないのだ。〜著者はおそらく青年期から中年期にいたる群像劇を作りたかったのだと思う。そうであれば、もっと長い作品としてサックスのエピソードをワンオブゼムと設計することによって、本作より大きな物語に仕上げるべきだったのではないか。本作の作劇スタイルに沿っていえば、残念ながらやはり、焦点が絞りこめていない、としか言いようがないのだ。
リヴァイアサン (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: リヴァイアサン (新潮文庫)より
4102451072
No.26
(3pt)

散漫:オースターにしては焦点が絞りきれてない作品

オースターによるアメリカ論的小説としては、邦訳されているものでは「ムーン・パレス」が挙げられるが、「自由の女神」を破壊して回る男を描いたこの小説が「リヴァイアサン」と名付けられている以上、僕はそのような内容を本作にも期待した。そして、僕の今回の星付が渋目である理由は、この「自由の女神」の破壊者がそうするようになった理由、動機が(多分わざと)明瞭に書かれていないからだ。

 勿論、人間心理なんて相当いい加減で不条理なものであり、本来、僕はミステリー小説にありがちな非常に一義的で明確な動機というものが出てくるとシラけてしまうタイプの読者である。それなんだけど、「自由の女神」が破壊されるという政治性を帯びた事件のインパクトで冒頭から引っ張っていこうという構成の小説なんだから、「事故のケガがきっかけで常軌を逃した男が起こす事件」というオチはなんか弱くないだろうか。また、このオチが早々に明かされた後に彼の周囲の人間達の心理劇が延々続くことも、構成上散漫ではあっても、このオチの弱さをフォローしきれていないと思うのだ。オースターにしては珍しく、焦点が絞りきれていない小説なように思うんですよね。

 ただ、現代美術家のピピロッティ・リストをモデルにした登場人物が出てきて、後に本作品をリスト自身がパロディ化する作品を作るなど、面白いエピソードもあるにはあるので、総合点で星は3つ点けました。
リヴァイアサン Amazon書評・レビュー: リヴァイアサンより
4105217054
No.25
(3pt)

散漫:オースターにしては焦点が絞りきれてない作品

オースターによるアメリカ論的小説としては、邦訳されているものでは「ムーン・パレス」が挙げられるが、「自由の女神」を破壊して回る男を描いたこの小説が「リヴァイアサン」と名付けられている以上、僕はそのような内容を本作にも期待した。そして、僕の今回の星付が渋目である理由は、この「自由の女神」の破壊者がそうするようになった理由、動機が(多分わざと)明瞭に書かれていないからだ。

 勿論、人間心理なんて相当いい加減で不条理なものであり、本来、僕はミステリー小説にありがちな非常に一義的で明確な動機というものが出てくるとシラけてしまうタイプの読者である。それなんだけど、「自由の女神」が破壊されるという政治性を帯びた事件のインパクトで冒頭から引っ張っていこうという構成の小説なんだから、「事故のケガがきっかけで常軌を逃した男が起こす事件」というオチはなんか弱くないだろうか。また、このオチが早々に明かされた後に彼の周囲の人間達の心理劇が延々続くことも、構成上散漫ではあっても、このオチの弱さをフォローしきれていないと思うのだ。オースターにしては珍しく、焦点が絞りきれていない小説なように思うんですよね。

 ただ、現代美術家のピピロッティ・リストをモデルにした登場人物が出てきて、後に本作品をリスト自身がパロディ化する作品を作るなど、面白いエピソードもあるにはあるので、総合点で星は3つ点けました。
リヴァイアサン (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: リヴァイアサン (新潮文庫)より
4102451072
No.24
(5pt)

食わず嫌いだったかも

これも古い本だが、いまさらながら、いい小説だ。なぜ、今まで、ポール・オースターを読むのを敬遠していたのか。こんなに、自分にしっくりくる小説家もいないなぁ。

食わず嫌いだったのかもしれない。まだまだ読むべき小説家はいそうだ。

そんなオースターの作品でも、この作品はかなり自分好み。主人公というよりは、その友人が自分には親しみがわく。作中で彼の書いた小説、「新コロッサス」って読んでみたい小説だ。
リヴァイアサン Amazon書評・レビュー: リヴァイアサンより
4105217054
No.23
(5pt)

食わず嫌いだったかも

これも古い本だが、いまさらながら、いい小説だ。なぜ、今まで、ポール・オースターを読むのを敬遠していたのか。こんなに、自分にしっくりくる小説家もいないなぁ。

食わず嫌いだったのかもしれない。まだまだ読むべき小説家はいそうだ。

そんなオースターの作品でも、この作品はかなり自分好み。主人公というよりは、その友人が自分には親しみがわく。作中で彼の書いた小説、「新コロッサス」って読んでみたい小説だ。
リヴァイアサン (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: リヴァイアサン (新潮文庫)より
4102451072
No.22
(5pt)

最高傑作ではない、、、彼がまだ生きているから

というくらい、いままでで一番、重く、なおかつ、夜どおし読んでしまうほど、おもしろい。

わけのわからない結果と原因を提示され、「なんでやねん!」とつっこみつつも、好奇心で読みつづけ、「なるほど。そいうわけか」と思った矢先、次にまた「なんでやねん!」とつっこんでは、「なるほど。そいうわけか」と…というのが連続し、どんどん物語に引き寄せられる。そして、その全体の構成がこれと同じ。

ポールオースターってだいたいいつもこんなんやけど、偶然の音楽とかムーンパレスって尻切れトンボって感じがしたのに、これには、完結した感があって、心にいつまでも「リバイアサン」の塊を持てるような気がする。本ってのは、読ませる力(オースターにはどの作品にもある)も大切やけど、残るというのが一番大事な気がする。
リヴァイアサン Amazon書評・レビュー: リヴァイアサンより
4105217054
No.21
(5pt)

最高傑作ではない、、、彼がまだ生きているから

というくらい、いままでで一番、重く、なおかつ、夜どおし読んでしまうほど、おもしろい。

わけのわからない結果と原因を提示され、「なんでやねん!」とつっこみつつも、好奇心で読みつづけ、「なるほど。そいうわけか」と思った矢先、次にまた「なんでやねん!」とつっこんでは、「なるほど。そいうわけか」と…というのが連続し、どんどん物語に引き寄せられる。そして、その全体の構成がこれと同じ。

ポールオースターってだいたいいつもこんなんやけど、偶然の音楽とかムーンパレスって尻切れトンボって感じがしたのに、これには、完結した感があって、心にいつまでも「リバイアサン」の塊を持てるような気がする。本ってのは、読ませる力(オースターにはどの作品にもある)も大切やけど、残るというのが一番大事な気がする。
リヴァイアサン (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: リヴァイアサン (新潮文庫)より
4102451072
No.20
(4pt)

奇妙な

奇妙なおかしさがあり、しかし物悲しさもありの長編小説。

謎だらけで展開していきます。

ささいなことで人生は変わるんだ、と妙に納得させられてしまいました。

それはオースターの力なんでしょうか。

ずしんと重く響く作品です。
リヴァイアサン Amazon書評・レビュー: リヴァイアサンより
4105217054
No.19
(4pt)

奇妙な

奇妙なおかしさがあり、しかし物悲しさもありの長編小説。

謎だらけで展開していきます。

ささいなことで人生は変わるんだ、と妙に納得させられてしまいました。

それはオースターの力なんでしょうか。

ずしんと重く響く作品です。
リヴァイアサン (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: リヴァイアサン (新潮文庫)より
4102451072
No.18
(5pt)

登場人物の心の描写が素晴らしい

ここでの評価や他のblog等で評判がよかったので読みました。

ポールオースターの作品を初めて読んだのですが、

とても良くできた作品だと思います。

久しぶりに人に紹介できる作品にめぐり合えて本当によかったです。
リヴァイアサン Amazon書評・レビュー: リヴァイアサンより
4105217054
No.17
(5pt)

登場人物の心の描写が素晴らしい

ここでの評価や他のblog等で評判がよかったので読みました。

ポールオースターの作品を初めて読んだのですが、

とても良くできた作品だと思います。

久しぶりに人に紹介できる作品にめぐり合えて本当によかったです。
リヴァイアサン (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: リヴァイアサン (新潮文庫)より
4102451072
No.16
(1pt)

著者も認めるまとまりの無さ

大仰なタイトルや冒頭で「私」の友人が事故で爆死したことと、その後の記述には必然性も脈絡もない。そもそも登場人物が十分に書き分けられていない。主人公や友人は「作家」らしいが、創作の苦しみなどなく、放蕩に身をもち崩している。登場する何人かの女性も個性的なようでやはり書き分けられていない。どうしてこんな小説がまかり通るのかというと、米国の文化そのものがローコンテクスト、つまり「ことば」に込められる意味が平板で奥行きがないためだ。それ故著者はこれでもか、これでもかというように日常的な出来事を書き連ねていかねばならなくなる。その単調さを拭うためにところどころに不倫や殺人事件を配しているが、これも何の必然性もなく進行する。全体は大きく3つくらいの部分に分けられ、別々に書いたものを無理やりつないだとも見える。どこをとっても面白くもないこの小説を何とか読みやすくしようとした訳者の努力には敬意を表する。「訳者あとがき」には訳者の苦悩のあとが窺われる。時間を持て余している人、文学を口にはするが実は感性の無い人、ことばを大事にしない人にはうってつけである。多分映画化すると脚本家の手が入ってなかなかの作品にはなるだろう。ただし、原作とはかなり違ったものになることは止むを得ない。
リヴァイアサン Amazon書評・レビュー: リヴァイアサンより
4105217054
No.15
(1pt)

著者も認めるまとまりの無さ

大仰なタイトルや冒頭で「私」の友人が事故で爆死したことと、その後の記述には必然性も脈絡もない。そもそも登場人物が十分に書き分けられていない。主人公や友人は「作家」らしいが、創作の苦しみなどなく、放蕩に身をもち崩している。登場する何人かの女性も個性的なようでやはり書き分けられていない。どうしてこんな小説がまかり通るのかというと、米国の文化そのものがローコンテクスト、つまり「ことば」に込められる意味が平板で奥行きがないためだ。それ故著者はこれでもか、これでもかというように日常的な出来事を書き連ねていかねばならなくなる。その単調さを拭うためにところどころに不倫や殺人事件を配しているが、これも何の必然性もなく進行する。全体は大きく3つくらいの部分に分けられ、別々に書いたものを無理やりつないだとも見える。どこをとっても面白くもないこの小説を何とか読みやすくしようとした訳者の努力には敬意を表する。「訳者あとがき」には訳者の苦悩のあとが窺われる。時間を持て余している人、文学を口にはするが実は感性の無い人、ことばを大事にしない人にはうってつけである。多分映画化すると脚本家の手が入ってなかなかの作品にはなるだろう。ただし、原作とはかなり違ったものになることは止むを得ない。
リヴァイアサン (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: リヴァイアサン (新潮文庫)より
4102451072
No.14
(5pt)

事件が起こる探偵小説

ニューヨーク3部作を評して、犯人のいない探偵小説、事件の起こらない探偵小説とよく目にしますが、リヴァイアサンはまさに事件の起こる探偵小説です。

もちろん、共和党政治に対する市井からの批判という側面も、分割された自伝(複数の主人公たちによる分割)という側面も、恋愛小説という側面もあり、一言では規定できないというのは、オースターのいつもの通りです。小説の使命は「現実はいつも君が考えているよりも複雑だ」ということを認識させることだ、と看破したのは、クンデラですが、オースターの小説はいつもその意味で優れています。

「鍵のかかった部屋」を読み終えたとき、「着地点をすべて用意しなくても気持ちがいい、というスタイルがあるのだな」と思ったのですが、リヴァイアサンは絶妙の着地点で、失礼、泣けてしまいました。

わたしにとってオースター作品ベストワンです。
リヴァイアサン Amazon書評・レビュー: リヴァイアサンより
4105217054
No.13
(5pt)

事件が起こる探偵小説

ニューヨーク3部作を評して、犯人のいない探偵小説、事件の起こらない探偵小説とよく目にしますが、リヴァイアサンはまさに事件の起こる探偵小説です。

もちろん、共和党政治に対する市井からの批判という側面も、分割された自伝(複数の主人公たちによる分割)という側面も、恋愛小説という側面もあり、一言では規定できないというのは、オースターのいつもの通りです。小説の使命は「現実はいつも君が考えているよりも複雑だ」ということを認識させることだ、と看破したのは、クンデラですが、オースターの小説はいつもその意味で優れています。

「鍵のかかった部屋」を読み終えたとき、「着地点をすべて用意しなくても気持ちがいい、というスタイルがあるのだな」と思ったのですが、リヴァイアサンは絶妙の着地点で、失礼、泣けてしまいました。

わたしにとってオースター作品ベストワンです。
リヴァイアサン (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: リヴァイアサン (新潮文庫)より
4102451072
No.12
(5pt)

オースターが斬る80年代のアメリカ

ニューヨーク3部作では見せることがなかった作者の社会性を前面に出した作品である。最近のインタヴューなどからも明らかなように、オースターは共和党による政治をかなり悲観的に捉えている。しかし、アメリカが根底に抱えているデモクラシーという理念は決して悪いものではないのだ、ということを彼はこの本ではっきり説いている。いくらアメリカが悪い方向へ進もうとも、現状を打開できる手段はデモクラシーによるしかないのだと彼は主張している。ブッシュ政権が力を握っている今でこそ、この本は読まれるべきなのかもしれない。
リヴァイアサン Amazon書評・レビュー: リヴァイアサンより
4105217054
No.11
(5pt)

オースターが斬る80年代のアメリカ

ニューヨーク3部作では見せることがなかった作者の社会性を前面に出した作品である。最近のインタヴューなどからも明らかなように、オースターは共和党による政治をかなり悲観的に捉えている。しかし、アメリカが根底に抱えているデモクラシーという理念は決して悪いものではないのだ、ということを彼はこの本ではっきり説いている。いくらアメリカが悪い方向へ進もうとも、現状を打開できる手段はデモクラシーによるしかないのだと彼は主張している。ブッシュ政権が力を握っている今でこそ、この本は読まれるべきなのかもしれない。
リヴァイアサン (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: リヴァイアサン (新潮文庫)より
4102451072
No.10
(5pt)

心理描写の天才

『偶然の音楽』に続く、ポール・オースターの長編小説。 今回の『リヴァイアサン』では、実際に時が流れるのは6日前から「いま」に至るまでのたった6日間(語り手ピーターが、この話を書きはじめてから書き終わるまでに費やした時間だ)。だが、話の舞台はこの6日間にあるのではなく、6日前の友人サックスの爆死が起きるにいたるまでにある(この爆死がピーターをして話を書く気にさせた)。なぜサックスが爆死をしたのか、その回想と告白をピーターがえんえんと書くわけだ。 重要な登場人物は全部で10人くらい出てくる。テレビガイドでよく見る相関関係図を見ているようだった。ただこの小説の場合、引かれるラインの数がとても多い。語り手ピーターと爆死したサックスのラインを中心にして、人物から人物へと「親友」「片思い」「セックスフレンド」などいろんな種類の矢印が放たれる。 これはプロだから当たり前なのかもしれないけれど、それだけの相関関係(それと起きたエピソードの時制関係)を著者自身が頭の中で整理して、かつ読者に自然に植え付けるその離れ業は見事だ。各人物の奥底にある心理を、10人以上にわたって細緻に描写するのだから、まったくこの著者の人間に対する洞察力とはすごいものがある。 ある偶然によって話の展開が進むことはこれまでのオースターの作品によくあった。今回も後半のある重要な場面で、まったくの偶然がサックスの死に至る遠因をつくるシーンがある。ただ、偶然が物語を支配するトーンはやや薄くなった気がする。それはそれで、偶然にあまりにも頼り過ぎるのもどうかと思うので、よかったと思う。「自由の女神」がこの物語の象徴としてたびたび使われる。アメリカ人にとっては、心に響く何かがあるのかもしれない。日本人である自分にとっては、そうした象徴性から感じられるものは少なかった。
リヴァイアサン Amazon書評・レビュー: リヴァイアサンより
4105217054
No.9
(5pt)

心理描写の天才

『偶然の音楽』に続く、ポール・オースターの長編小説。 今回の『リヴァイアサン』では、実際に時が流れるのは6日前から「いま」に至るまでのたった6日間(語り手ピーターが、この話を書きはじめてから書き終わるまでに費やした時間だ)。だが、話の舞台はこの6日間にあるのではなく、6日前の友人サックスの爆死が起きるにいたるまでにある(この爆死がピーターをして話を書く気にさせた)。なぜサックスが爆死をしたのか、その回想と告白をピーターがえんえんと書くわけだ。 重要な登場人物は全部で10人くらい出てくる。テレビガイドでよく見る相関関係図を見ているようだった。ただこの小説の場合、引かれるラインの数がとても多い。語り手ピーターと爆死したサックスのラインを中心にして、人物から人物へと「親友」「片思い」「セックスフレンド」などいろんな種類の矢印が放たれる。 これはプロだから当たり前なのかもしれないけれど、それだけの相関関係(それと起きたエピソードの時制関係)を著者自身が頭の中で整理して、かつ読者に自然に植え付けるその離れ業は見事だ。各人物の奥底にある心理を、10人以上にわたって細緻に描写するのだから、まったくこの著者の人間に対する洞察力とはすごいものがある。 ある偶然によって話の展開が進むことはこれまでのオースターの作品によくあった。今回も後半のある重要な場面で、まったくの偶然がサックスの死に至る遠因をつくるシーンがある。ただ、偶然が物語を支配するトーンはやや薄くなった気がする。それはそれで、偶然にあまりにも頼り過ぎるのもどうかと思うので、よかったと思う。「自由の女神」がこの物語の象徴としてたびたび使われる。アメリカ人にとっては、心に響く何かがあるのかもしれない。日本人である自分にとっては、そうした象徴性から感じられるものは少なかった。
リヴァイアサン (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: リヴァイアサン (新潮文庫)より
4102451072