灰色の犬

【この小説が収録されている参考書籍】

【この小説が載っている参考書籍】

評判

灰色の犬の評価:

4.28/5点 レビュー 36件。 C ランク

Amazon書評・レビュー点数毎のグラフです

平均点4.28pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全63件 61〜63 4/4ページ
No.3
(5pt)

福沢徹三の(ここまでの)最高傑作

福沢徹三の作品は、かなり目を通している。ひたすら後味の悪い怪談ものと、とても爽やかな(爽やか過ぎる!)後味の手に汗握るヤクザ青春ものとを並行して発表して来た。この分裂気味のレパートリーは、北九州出身で専門学校で教えるという福沢の個人史によっているのであろう。日々見ている輝くような若者たちは、やがてどんよりとした冴えない中年になるか、輝きを失うまいと無理をしてヤクザになるか。そんな現実しか見えて来ないのである。だが、そこまで想像をめぐらせる読者もいないだろうから、福沢はかなりわかりにくいエンタメ作家という位置づけだったと思う。書いている内容が、分裂気味だったのだ。
最近の福沢は、このわかりにくさを克服しようとしてきた。『Iターン』だったか(違ったらごめん)、通常であれば怪談もの主人公になるであろうさえない中年男の日常に、ヤクザを登場させて、コメディに仕立てにしている。また『東京難民』では、ヤクザが登場しない青春ものを目指して、ネットカフェ難民になるさえない大学生を主人公にしてみたが、こちらは若者の貧困問題に関するルポを読んでいるような具合だった。暗中模索だったのである。
すると、この「灰色の犬」は、暗中模索の末に何かを「掴んだ」ということになるのだろうか。とにかく面白い。刑事もヤクザも冴えないのだが、九州のローカルカラーを強くしているおかげでリアル、しかもコミカルな味付けがしてあって、すぐに好きになれる。刑事の息子のさえなさは最初は類型的なのだが、その類型的なボンクラがストーリーを二転三転させるのだから、福沢ファンとしてはこたえられない。登場人物が多過ぎるのが難点といえば難点だが、それでもわかりやすく書いてあるので、苦にはならない。これ自体傑作と思うし、長年の分裂を克服した福沢のここからの活躍が、いよいよ期待できる、そんな一冊である。
灰色の犬 Amazon書評・レビュー: 灰色の犬より
4334928978
No.2
(5pt)

面白いです。

ホラー以外で作者の本を読むのは初めてです。 (といってもホラーもそんなに読んでるわけじゃないけど) アウトローものとしてたいへん楽しめましたが、かなり悲惨な奥田英朗の人間群像ものとも共通するような味があります。 各キャラクターも皆良い味を出しており、最後に「ええっっ!!」というようなシーンが待ち構えていますが、 全体的なスリリングさにも事欠きません。 500ページとかなり厚めですが、最後まで全く退屈することなく読めました。 警察内部の葛藤も鋭く描かれており、警察小説好きにもアピールすると思います。
灰色の犬 (光文社文庫) Amazon書評・レビュー: 灰色の犬 (光文社文庫)より
4334769926
No.1
(5pt)

福沢徹三の(ここまでの)最高傑作

福沢徹三の作品は、かなり目を通している。ひたすら後味の悪い怪談ものと、とても爽やかな(爽やか過ぎる!)後味の手に汗握るヤクザ青春ものとを並行して発表して来た。この分裂気味のレパートリーは、北九州出身で専門学校で教えるという福沢の個人史によっているのであろう。日々見ている輝くような若者たちは、やがてどんよりとした冴えない中年になるか、輝きを失うまいと無理をしてヤクザになるか。そんな現実しか見えて来ないのである。だが、そこまで想像をめぐらせる読者もいないだろうから、福沢はかなりわかりにくいエンタメ作家という位置づけだったと思う。書いている内容が、分裂気味だったのだ。
最近の福沢は、このわかりにくさを克服しようとしてきた。『Iターン』だったか(違ったらごめん)、通常であれば怪談もの主人公になるであろうさえない中年男の日常に、ヤクザを登場させて、コメディに仕立てにしている。また『東京難民』では、ヤクザが登場しない青春ものを目指して、ネットカフェ難民になるさえない大学生を主人公にしてみたが、こちらは若者の貧困問題に関するルポを読んでいるような具合だった。暗中模索だったのである。
すると、この「灰色の犬」は、暗中模索の末に何かを「掴んだ」ということになるのだろうか。とにかく面白い。刑事もヤクザも冴えないのだが、九州のローカルカラーを強くしているおかげでリアル、しかもコミカルな味付けがしてあって、すぐに好きになれる。刑事の息子のさえなさは最初は類型的なのだが、その類型的なボンクラがストーリーを二転三転させるのだから、福沢ファンとしてはこたえられない。登場人物が多過ぎるのが難点といえば難点だが、それでもわかりやすく書いてあるので、苦にはならない。これ自体傑作と思うし、長年の分裂を克服した福沢のここからの活躍が、いよいよ期待できる、そんな一冊である。
灰色の犬 (光文社文庫) Amazon書評・レビュー: 灰色の犬 (光文社文庫)より
4334769926