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殿さまの日
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殿さまの日の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.64pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全11件 1~11 1/1ページ
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星新一氏といえば、「時期や場所が明確な時事ネタは取り扱わない」のがモットーだと知られていますが、江戸時代の有名な事件につきましては、その範疇ではないらしくて、本作品集では、星氏が、実際には、世俗的な情報(ここでは、日本の史実や過去の武家社会、民間の風習など)についても、いかに、正しく、詳しい事を把握なさっていたかを、認識させてもらえます。 地方の殿様のただ平凡なだけの一日の様子を写実した表題作「殿さまの日」をはじめ、ねずみ小僧の半生を怪盗ドラマ風に綴った「ねずみ小僧次郎吉」、生類憐れみの令の発令で、苦労するどころか、ボロ儲けしていた連中の暗躍を描いた「元禄お犬さわぎ」、「忠臣蔵」の後日談を吉良側の人物の目線で追った「ああ吉良家の忠臣」など、ちょっと変化球の時代小説が、連なっています。「島からの三人」なんて、テレビの連続ドラマの原作にだって使えそうな、痛快な世直し物語です。 他の作品も、隠密を恐れる側(地方の藩の執政者たち)を主人公にしていたり、勘定奉行や下級の藩医、書物方同心などの特殊な役職にスポットを当てていたり、かたき討ちの制度や民衆の間に浸透した易や縁起の実態を細かく紹介しているなど、通常の時代小説とは切り口の違ったストーリーが楽しめます。 もう一つ、特徴的な部分といたしましては、一見、江戸時代の武士社会の物語のようで、そこで展開される騒動や事件の数々は、現在の会社や組織で起きた犯罪やトラブルにも、そのまま通じる部分がある点でして、この辺、時代小説の形式をとりながらも、星氏お得意のウイットで、それとなく、今の世の中のことも皮肉っていたのかもしれません。現代の日本の赤字国債政策と、江戸時代の各地の藩の財政のやりくりの仕方が、そっくりな事にも気付かせてもらえて、この赤字財政システムって、そもそもが日本のお家芸だったのだと、あらためて頷かされました。 | ||||
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淡々と殿様の一日を語るだけで面白くない | ||||
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落語で「かたきの首」を聞いて随分になるが二度と聞くことがなく落語の素人名人になった人も知らないという。やっと見つけて読んだら基本は同じだが随分変わっている。落語のほうが面白いのでまた聞く機会を待っている。 | ||||
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エヌ氏や未来が出てこない話を書いているとは知りませんでした。この社会の過去や個人に愛おしさとどうしようもなさ、心の自由を感じる衝撃的な作品でした。 | ||||
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星新一さんの本は、「ボッコちゃん」から始まり、「ノックの音が」「声の網」「人民は弱し官吏は強し」など、いろいろ読んでいるつもりでした。 最近にKindle アンリミテッドに、星新一作品が並ぶようになり、ちょっと読んでみようかと選んだのがこの作品でした。 ショートショートかと思っていましたが、実際に読んでみると、けっこう長めの小説でした。「殿さまの日」を含めて、いずれの小説も、日本人の事なかれ主義を揶揄したような内容で、なかなかおもしろく、また奥の深い小説です。 今の日本人がやっていること、日本企業がやっていることも、ほぼすべてが、この小説で表現されているような、事なかれ主義なんだろうなぁと、感じます。 | ||||
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表題作「殿さまの日」。 江戸時代における地方藩主の生活と、厳しい社会制度のなか組織を治める者の悲哀や諦念とが、きわめて端的な描写で淡々と描かれる。 これといって盛り上がりのないただそれだけの話なのに、とても切なく胸に迫ります。 急逝した父の事業を若くして継ぎ、否応なく後処理に追われて挫折を味わった、著者自身の実体験を反映しているためかもしれません。また、祖父が藩士の家柄だったこととも無関係ではないでしょう。 その他の話も、主役の多くは藩士たち。 一見恵まれているようでいて、体制に翻弄され悩みのつきない彼らに対する、著者の並々ならぬ興味や共感が伝わります。 江戸時代のディテールも読みどころで、著者のエッセイによると考証に苦労した一方、理科系ならではの探究心を刺激され、現代とは異なる価値観にセンス・オブ・ワンダーを感じ楽しんでもいたようです。 いつものSFショートショートとはだいぶ毛色がちがい、子供が読むには退屈かもしれません。 しかし、いつもの平易な文体のまま、こんなにもリアリティがあり心に響く時代物を書けたのかと、星新一を再発見できる傑作です。 | ||||
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何も無い日常の日々の中にある大変さ それを描いたこの作品は傑作だと思います | ||||
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舞台は全て江戸時代ですが、いつもの星新一節です。 結末にあっと驚くようなどんでん返しの作品はあまりありませんが、まるで落語を聞いているような人情味ある悲喜こもごもの作品が揃っており、星作品集の中でもお気に入りの一冊です。 | ||||
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本作は星新一氏の短編集としては珍しい 時代小説のみを収録したものとなっております。 時代小説という形になっていながら、現代劇のような作りとなっているのが特徴です。 その中でも私のお気に入りは 「殿さまの日」 藩主の日常を淡々と描きながら、人生を語る一編となっているのが 素晴らしいです。 「江戸から来た男」 真の恐怖は人間の心の中にあることを コミカルな形で描いております。 「薬草の栽培法」 「ああ吉良家の忠臣」 この2編は、多くの人に知られている「忠臣蔵」を 独自の視点で捉えた傑作です!!! 「紙の城」 主人公の悪行をコミカルタッチで描きながら 現代にも通じる人間社会の社会の弱さ・滑稽さを 示しております。 | ||||
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江戸時代の平和な日々は、事件が少ない。 だからこそ、捕り物みたなものや、 実際とはかけ離れた水戸黄門なんかが出来たんでしょう。 幕末や戦国時代の歴史小説は数多くあれど、 のんべんだらりんと過ぎる殿様の日常なんて、事件ないものね。でも、そこに、裏の意味を読み取り 本音と建前を、わかっていながら、ダメになるとわかっていながらも、そのまま、ほったらかして おくような現実がある。著者の観察力に、脱帽。 | ||||
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星新一に魅了され次から次へと文庫を買いあさった方は多いはず。 どれが一番の物語かなんて、ナンセンス(古いか!)であり、決めたくもないでしょう。 だけどこの「殿様の日」は著者の心象風景が最も反映された物語になっているんじゃないかと思うんです。かつての星製薬をわずかな期間ながらも受け継いだ著者が、つかの間経験した一国一城の主だけが直面する、持てる権力とそれに伴う不自由さ、侘しさ。江戸の時代の地方城主に語らせた治世の日々を淡々と書き綴ったストーリーに、星自身が投影されているように感じたのですが。高度成長期の時代にあって、斜に構えたSF作家などという的外れな論評も受けた著者の、素直で狂おしい告白が聞こえてくるようです。 | ||||
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