色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年
評判
色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年の評価:
3.41/5点 レビュー 1,022件。 B ランク
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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
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色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年の評価:
3.41/5点 レビュー 1,022件。 B ランク
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とても読みやすく、一気に読めました。
集合無意識の世界と通じるやりとりがリアルに描かれていて、そこが個人的にツボでした。
苦く傷ついた思い出を胸の奥底に沈めて蓋をして、何もなかったことにして人生を歩んでいるつくるに「記憶は消せても、歴史は変わらない」と自分の過去に向き合うチャンスをくれる沙羅。
その沙羅が旅行代理店の企画担当というのもぴったりです。
巡礼の旅はここから始まるのですから。
相変わらず、誠実でクレバー、理屈っぽくマイペースな主人公という設定はお決まりですが、積極性を持って自己変容を遂げていく要素は今までの作品の中ではあまりなかったように思うので、そのプロセスも新鮮でした。
また、自分のことを「僕」ではなく「おれ」と呼んでいるのも珍しいですし、鉄道オタクなところも面白いキャラクター設定です。
いつもの「やれやれ」をつくるではなく、沙羅ちゃんのほうから言われちゃうところも笑いました。
途中から、「ノルウエイの森」が懐かしく思えてきました。どことなく似ています。
学生時代の大切な友人を失うという設定が一致。
北欧の深い森や川、規則的で孤独な東京の生活、学生寮などシンボルチックなアイテムが共通すること。
どことなく登場人物が重なること。
ユニークで包容力のあるクロ(エリ)レイコさんのように思え、ユズ(シロ)の悲壮感はそのまま直子に。しっかりした沙羅さんは緑が大人の女性に成長したらこんな感じだったんじゃないかな、などと勝手に想像しながら読みました。
おまけに、ラストはどちらも電話のシーンで、この二人の恋路はいかに?というところで終わっています。
これは意図されたものなのでしょうか。
「ノルウエイの森」以外の作品からの繋がりも、随所に見られます。なんというか、ディズニーランドで隠れミッキーを探しているような感じ。
ファンにとっては、そういう勝手な解釈や想像を楽しめるのも魅力ですね。
読み進めながら、過去にご縁があって今では会えなくなった人々や失った情景を思い出して懐かしさとせつなさでいっぱいになりました。
でも「ねぇ、つくる、あの子は本当にいろんなところに生き続けているのよ。」と言ったエリ。そして、つくるが伝えたかった言葉「過去には戻れなくても、すべてが時の流れに消えてしまったわけじゃない。」
それを聞けて、私も救われました。
お話の中では集合無意識が闇のダークな部分として描かれていますが、同じ世界に光も存在し、そちらと繋がることもできるんだと、そう締めくくられていると私は解釈しました。
読み終わって、何かに突き動かされているような気がしています。
私も変容しなさい、と言われているのかもしれません。