色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年

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評判

色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年の評価:

3.41/5点 レビュー 1,022件。 B ランク

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平均点3.41pt

Amazonレビュー一覧

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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全562件 541〜560 28/29ページ
No.22
(5pt)

好きな種類の本

☆ネタバレ含みます。ご注意ください☆
とても読みやすく、一気に読めました。
集合無意識の世界と通じるやりとりがリアルに描かれていて、そこが個人的にツボでした。
苦く傷ついた思い出を胸の奥底に沈めて蓋をして、何もなかったことにして人生を歩んでいるつくるに「記憶は消せても、歴史は変わらない」と自分の過去に向き合うチャンスをくれる沙羅。
その沙羅が旅行代理店の企画担当というのもぴったりです。
巡礼の旅はここから始まるのですから。
相変わらず、誠実でクレバー、理屈っぽくマイペースな主人公という設定はお決まりですが、積極性を持って自己変容を遂げていく要素は今までの作品の中ではあまりなかったように思うので、そのプロセスも新鮮でした。
また、自分のことを「僕」ではなく「おれ」と呼んでいるのも珍しいですし、鉄道オタクなところも面白いキャラクター設定です。
いつもの「やれやれ」をつくるではなく、沙羅ちゃんのほうから言われちゃうところも笑いました。

途中から、「ノルウエイの森」が懐かしく思えてきました。どことなく似ています。
学生時代の大切な友人を失うという設定が一致。
北欧の深い森や川、規則的で孤独な東京の生活、学生寮などシンボルチックなアイテムが共通すること。
どことなく登場人物が重なること。
ユニークで包容力のあるクロ(エリ)レイコさんのように思え、ユズ(シロ)の悲壮感はそのまま直子に。しっかりした沙羅さんは緑が大人の女性に成長したらこんな感じだったんじゃないかな、などと勝手に想像しながら読みました。
おまけに、ラストはどちらも電話のシーンで、この二人の恋路はいかに?というところで終わっています。
これは意図されたものなのでしょうか。
「ノルウエイの森」以外の作品からの繋がりも、随所に見られます。なんというか、ディズニーランドで隠れミッキーを探しているような感じ。
ファンにとっては、そういう勝手な解釈や想像を楽しめるのも魅力ですね。

読み進めながら、過去にご縁があって今では会えなくなった人々や失った情景を思い出して懐かしさとせつなさでいっぱいになりました。
でも「ねぇ、つくる、あの子は本当にいろんなところに生き続けているのよ。」と言ったエリ。そして、つくるが伝えたかった言葉「過去には戻れなくても、すべてが時の流れに消えてしまったわけじゃない。」
それを聞けて、私も救われました。

お話の中では集合無意識が闇のダークな部分として描かれていますが、同じ世界に光も存在し、そちらと繋がることもできるんだと、そう締めくくられていると私は解釈しました。
読み終わって、何かに突き動かされているような気がしています。
私も変容しなさい、と言われているのかもしれません。
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4163821104
No.21
(5pt)

イニシエーションの物語で何が悪い?

少年時代から青年、大人に至る過程で誰もが経験するモラトリアムとアイデンティティの葛藤の物語。
テーマとしては村上さんの小説によく登場しますが、今回は今回で改めて面白く読めました。

いつまでも高校生の話、という話ともいえますが、村上さんの「物語」にとっての永遠のテーマなのかもしれません。

そこにしか物語がないのか、と言われれば、そうではないかもしれませんが、自分んははこの村上さんの小説にいつも気付かされます。
ナイーブすぎる37才のつくる君、そうでもないかなと思います。
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No.20
(4pt)

実感させてくれます。世の中には実に沢山の人が生活しており、その「沢山の人」は代替不能

氏の作品は全て読んでいるファンですが、できるだけ冷静にレビューを書こうと思います。いくらかネタバレを含みます。

読後感は「国境の南、太陽の西」に似ています。つまり、切ない終わり方であり、明快な解決は与えられないんだけど、主人公がひとつの哀しみを通り過ぎて、それでも尚も生きつづけているという体温みたいなものが、確実に伝わってきたということです。

構成や展開に奇想天外な要素はないし、度肝を抜くような仕掛けはなく、氏の系譜のなかでは寧ろ異端の、静やかなリアリズム作品ということができるかもしれません。ただ、そのように構成なり題材なり手法なりが静やかであるからといって、読み手の心が「静やか」なままであるとは限りません。主人公の切なさに感応してしまった、自分の物語のように感じてしまったという点では、少なくとも私にとって、この作品は近年のベストです。

思想やメッセージ(時には結論さえも)が、かなり直接的に語られ、思わせぶりな部分が少なく、恐らくは文学作品を読まない層に向けて書かれている点は、好き嫌いが分かれると思います。こんなのは(高尚な)文学じゃないと切り捨ててしまうかも人もいるだろうし、励ましをストレートに受け取って涙を流す人もいるに違いありません。個人的には「人はまず駅を作らなくてはならない(駅にならなくてはならない)」という比喩が、とても素敵だと思いました。つまり、相手がどう出るにせよ、環境がどうであるにせよ、迎え入れるだけの準備は(まず自分から)始めなければというメッセージです。

それにしても「世の中には実に沢山の人が生活している」ということと、「その沢山の人は代替不能の個人から成っている」ということを、かくもリアルに実感させてくれる小説というのは、本当に尊いと思います。新宿駅の描写など、特にそう感じさえましたし、主人公や幼なじみが大人への階段を辿っていく様、慈善と偽善の間を揺れつつ過去に惹かれながらも、否応なく歩みを進んでいく様子は、誰の人生にも多かれ少なかれ重なってくるのではないかと思います。

減点要素もあります。主人公が、もしかしたら自分は気付かぬうちに、別の自分の手によって何かを殺したり損なっているかもしれないと考察する場面です。これは「海辺のカフカ」でも扱われた命題で、その焼き直しであると思われますし、むしろ「カフカ」よりも踏み込みが浅いです。いくつか「この手の考察は、過去の作品の主人公もしてたけど、彼ら(彼女ら)のほうが熟考してたんじゃないかな」と思わせる点がありました。

それでもなお、私が評価を4とするのは、氏が直接的に、真っ直ぐに、主人公を励まそう、それによって読み手を元気づけようとしているように感じたからです。難解なもの、入り組んだもの、複雑怪奇なものを書こうと思えば書ける作者が、あえてストレートにものを書くと、かくも温かな世界が広がるのかという感動がありました。少なくとも私は、主人公と「巡礼」をして良かったと思っています。
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No.19
(5pt)

村上春樹らしい作風健在

村上春樹もつくづく不運だと思う。読んでもいない批判論者にレビューを書き込まれて。まあ文学界では異端児だし、メディアに勝手に持ち上げられ目立つしで敵も多い。

これまで大抵の村上春樹の作品を読んできましたが、読むのが苦痛だった1Q84とは一転、本作は非常に読みやすく、村上春樹らしさを取り戻したのではないか。一方、登場人物に関する描写は少なく、かつキャラクターの魅力も薄く感じる。読了後の満足度も他の作品と比べても多いとは言えない。他の方が指摘するような違和感や、これまでのような現実世界と少し離れた世界との織りなす物語も少ない。

しかし一度読めば、お馬鹿な酷評レビュアーがいかに“読まずして必死に書き込んでいるか”が分かります。どこの関係者なのか、いくらもらってるのか甚だ疑問です。
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No.18
(4pt)

春樹は無条件購入

僕は村上春樹に期待しすぎているのかもしれない...
ノルウェイや世界の終わりのような感動はもう得られないのか
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No.17
(4pt)

なんとなく、夏目漱石の「こころ」を現代に翻案したような

読みやすかったです。

なんとなく、昔読んだ夏目漱石の「こころ」に似ているような感じがしました。(あくまでも個人的印象です。)

舞台が現代なので、登場人物やその人間関係は、より現代的状況を反映したものになっていますが。

Facebookなどが出てくる割に、つくるの設計技師としての日常やその背景には、現代の鉄道(駅舎)設計のリアリティやディテールが希薄で、それが共感を薄くしましたが、これが春樹的世界なのかもしれません。
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No.16
(5pt)

“1Q84の続編”、そして“村上春樹による村上春樹論”

『1Q84』で回答が提示されなかった“天吾の母親はなぜ死んだのか?”という謎。そして、天吾にとっての“母親はどこに行ったのか?”(実は絞殺されていたのだが)という謎の回答を、村上さんは、この物語の力を使って導き出した。

この小説を読み終えたあと、僕はまずそう思った。

村上さん自身が『1Q84』執筆後、それらの謎を解決させて読者に伝えなければ、と頭の片隅で思っていたのだろう。
だって、シロとの性交シーン(ふかえりとのシーンと同じだ)や『トークン』(これはリトル・ピープルと同義だ)という、
あんなわかりやすい場面や例えを、村上さんが意味もなく持ち出すはずがないから。

なので、「それは突飛な意見だ」と言う方もおられるかもしれないが、
僕はこの小説を『1Q84』の続編だと思っている。

そしてそれと同時に、
この小説は、村上春樹による村上春樹論だとも思っている。

というのは、まだ巧く言葉にできないけれど、この小説を読んでいるとき、
なぜか僕は、村上作品のキャラクターたちの顔や声が鮮明に蘇ってきたからだ。

たぶん、これは僕だけじゃない。
きっと、同じことを思った村上春樹ファンでは多いはずだ。

『羊をめぐる冒険』で羊にとりつかれて自殺をした鼠。
『ねじまき鳥クロニクル』で奥さんを取り戻そうとしている岡田亨。
『海辺のカフカ』で起きたら血だらけになっていたカフカくん。
『1Q84』で自分の名前をひどく気にしている青豆。

この小説のページをめくるたびに、みんなが次々に脳裏を横切り、次々に言葉を発していった。

発せられた彼らの声は方向や高さを合わせ、徐々にしかし確実に
この物語が導き出そうとする回答へと集約していった。

だから、僕はこの小説を読んでいるあいだ、すごく懐かしい気持ちになった。

なんていったって、鼠やカフカ君にまた逢えるのは、
たとえそれが頭の中であれ、ファンにとって、とてもとても嬉しいことだから。

そんな風にして村上作品の過去の登場人物に出会うしかけ(のようなもの)を
村上さんが創り出したのなら、この作品には、村上春樹による村上春樹論的な要素が含まれているかもしれない。
そしてそれは、村上作品の総まとめということもいえるのかもしれない。つまり、僕はそう思ったわけだ。

で、だからこそというべきか、
僕は、この小説を読んでいるときも、読み終わったときも、懐かしいと思うと同時にひどく哀しい気持ちになった。

もう村上さんは多くの作品を世に残すことができないんじゃないか。
もしかすると死期が近づいてるのでは。
そんな風に訝ってしまった。もちろん勝手な想像だけど。

ともかく、村上さんは、マイルズ・デイビスとは違った人生終盤の歩み方をしている。
ドストエフスキーとも違う。

次の作品は、おそらく短篇集になると思うけど、
楽しみに待っていよう。
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No.15
(5pt)

ノルウェイの森とくらべて読むといい

団塊の世代=学園闘争時代を生きた
若者の喪失感と恋愛を描いた
『ノルウェイの森』

『色彩を持たない〜』は
団塊ジュニア世代の『ノルウェイの森』だといえるだろう

『ノルウェイ〜』の表紙は緑と赤
これをクリスマスカラーと評するひとが大半だが、これは革命=赤、癒しの森=緑であるように思える
主人公は赤と緑の中で揉まれながら
喪失と再生を経験するわけだが

『色彩を持たない〜』は『ノルウェイ〜』とは反対に、主人公は無色透明存在
団塊ジュニアゆえ、赤=革命を知らないし
自分が無個性=透明であると知りながらも
個性ある=色を持った仲間たちに囲まれていれば、十分幸福を享受出来る幸福な時代に生まれた
主人公の父親は
団塊の世代で社会的成功を収め、経済的に恵まれている
主人公はその庇護下で育ち、容姿もよく、頭もよい。個性豊かな友人に囲まれ
何不自由ない青春時代を過ごす
そんな主人公にも
やがて喪失が訪れる

喪失とはどんな時代であっても
若者の普遍的なテーマであるように思える
色彩を持たない世代であっても
それは不可避な問題なのだろう

かつて革命によって多くを失ったと団塊の世代とは違い、団塊ジュニア世代は
《はじめから失われている喪失感》
に立ち向かわなくてはならない
主人公はある事件から喪失感を味わうのだが、
作中で主人公と友人が語るように
それは事件のあるなしに関係なく
不可避であるように思える

主人公は一見、ふつうの社会生活をおくっているように見えるが、ある日、ふと自殺してしまってもおかしくないような危うさの中で生きている
これは現代の若者のテーマであるように思える

『色彩を持たない〜』の主人公は
自らの孤独と喪失の意味と向き合うために
巡礼の旅に出る
かつての友人と再会するための旅
ここは『ノルウェイ〜』の主人公より
自由で前向きなものを感じさせる

最後の巡礼地はフィンランド
流れる曲はル・マル・デュ・ペイ

『ノルウェイ〜』のラストが
電話で終わったのに呼応するように
『色彩を持たない〜』のラストにも
やはり電話のベルが鳴る

主人公のとった行動にどんな意味があるのか
もう一度、読み直して
深く考えてみたいと思った
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No.14
(5pt)

新刊

以前、(たぶん)村上さんは”よい小説というのは、心の中の湖に石を投げ込むようなもの”と言っていました。
今度の話は確かに私の心の中で波紋が起きています。
それがどんなものかは、著書の内容だけで決まるのではなく、受け取る自分によっても決まると思っています。
村上さんの小説は、それだけで完全なものを目指しているのではなく、それを読む読者と補完しあって完成する気がします。
もう一度、時間をおいて読み返すのが楽しみです。
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No.13
(4pt)

村上春樹さん自身の巡礼の年

<span class="tiny"> 長さ:: 9:47 分

</span>色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年

新刊を読みましたが優しいタッチですね。

ノルウェイの森を彷彿とさせます。

主人公の巡礼と言うよりも、「村上春樹さん自身の巡礼の年」だと思います。

感想を細かく、ビデオレビューにしてみました。
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No.12
(5pt)

ノルウェイの森タッチ風、村上春樹が初心に帰る。

さっそく新刊読みました。一言でいうといい作品ですね。

深くないし、難解さもないし、多崎つくるの心の動きをノルウェイの森タッチ風に仕上げた感じです。

深くない分、逆に心に残るかもしれません。

村上春樹が60歳を超えて、テクニックから基礎(初心)に戻った感じです。

最初の50ページの説明だらだらと、最後の章はちょっと消化不良だが、中盤から後半の筆致は、さすがとしか言いようがない。100点満点でいえば80点の作品なのだが、巡礼(それぞれの人との会話)の描写は、相変わらず瞬間風速100点です。

総合すると、90点ぐらいの作品かな。

個人的には「ノルウェイの森タッチ風の都会的なノリ」が結構(相変わらず)好きです。

ノルウェーの国の横のフィンランドが出てくるあたりも、村上が初心を思い出している風景がよく見て取れます。

村上春樹はロマンティストなので、北欧のような余裕のある優しい国の感触が好きなんでしょうね。

文章が今回は(いつもの通り?)優しい感じがします。

ジェットコースターは本人談どおりまったくない。(笑)
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No.11
(5pt)

当たり前の事を無駄のない文章で

無駄の少ない文章で現実のようで現実でないような物語を語る、そんな小説でした。個人的には「楽しませていただきました」まあ、村上ファンの欲目もあるでしょう。
推理小説ではないので全てがスッキリ!というわけではないですが、多分生きる、ってそういうことなのではないでしょうか。
恐らく読んですぐに感想を書く類いのものではないのでしょう(じゃあ、何故今書く)。読んだ後も心の中で小説が続いていく予感があります。
ノーベル賞がどうとか、そういうことはどうでも良いことでしょう。川端康成と大江健三郎と、宮澤賢治と村上春樹を比べることに意味があるのでしょうか?勿論、とれば嬉しいですが。
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No.10
(5pt)

「今」って感じ。

震災や、体罰や、いじめとか
そんなニュースばかりだけど、
そこから生まれた本の様に感じた。

村上春樹の本はメタファーだらけで
そこを読み取らないと、
全く内容を持たない本になると思う。
(村上春樹の文章は、例えば「林檎」とあっても
ただの「林檎」じゃなかったりする。)

ただ、全ての人が全ての内容を理解しようと
頭を使いながら読んでいる訳ではないと思うので、
そういう人は、気楽に読んで、
お気に入りに文章なんかをみつけて
楽しめばいいと思う。
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No.9
(5pt)

村上文学のエッセンスを凝縮

大学時代に心に取り返しの付かない傷を負った主人公多崎つくるが、2つの人間関係から付かず離れずしてその出来事に答えを見出そうとする物語。
つくるを除く登場人物の描写はあくまで表面的で、それがつくるの心情描写を際立たせています。
重層的で長大な「1Q84」から一転して、引きこまれながらも読んでいて時間の流れに心地よさを感じる小説でした。
難解な部分は無いものの、村上春樹の雰囲気が凝縮されています。ほかのレビュアーさんも仰っている通り、村上春樹初心者にオススメです。
作中にジャン・シベリウスの名前が出てきますが、如何にもその7番という感じ?

なお、この小説の英題は"Colorless Tsukuru Tazaki and His Years of Pilgrimage"となっています。
普通に読むと、「巡礼」はアオとの接触以降の数週間の期間だと思うのですが、yearが複数形であることからそうではないようです。
その理由はじっくり考えてみることにします。
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No.8
(4pt)

現代を舞台にした村上作品。

2010年代が舞台の村上春樹の新作。
facebookやらスマートフォンやらが出てくるのが異様に奇妙な感じがしましたが、時代の流れなのでしょうか。

若くして死をこころの内に抱える美しい女や、真夜中に枕元に立つ親密な相手など、今までに慣れ親しんだモチーフも登場します。
一方で、名古屋という、東京に対比して非常に閉鎖的でローカルな世界を今作の重要な舞台の一つに据えたことは新しい試みであるように思われます。

個人的には、小説も半ばを過ぎたところで語られる「休暇と友だちは、人生においてもっとも素晴らしい二つのものだ」という警句が心に残りました。
震災以降、私たち日本人は以前よりもこういう言葉をすんなりと飲み込めるようになっていると思うのは、私だけでしょうか。
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No.7
(4pt)

村上春樹さんを初めて読む方にもおすすめ

人生取り戻そうとする男の物語を描くこの作品は、村上春樹さんの初期の頃の
作品(例えば「羊をめぐる冒険」など)に相似すると感じた方も多いと思います。
己の過去の過ちや傷を直視することは、誰にとっても辛いことです。が、果敢に
その困難に向き合おうとするこの物語の主人公多崎に、自分自身を重ね合わせ
読まれる方も多いのではないでしょうか。
ストーリー自体はそれほど複雑ではないので、最後まで一気に読むことができました。
今まで村上春樹さんの作品を読んだことがない人にも、比較的とっつきやすい内容に
仕上がっていると思います。初めての方にもお勧めできる一冊だと思います。
ノーベル文学賞に最も近い我が国の作家の一冊をお楽しみになっては如何でしょう。
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No.6
(5pt)

僕にとっての本作は「ノルウェイの森」のある種の続編である

読んでいて強く「ノルウェイの森」を意識した。

 「ノルウェイの森」では主人公はキズキ、直子と3人でグループを作っていた。本作では主人公は5人のグループ一員である。
主人公が、その「グループ」から疎外されてしまう点が「感覚」として似ている。「ノルウェイの森」のキズキと直子は結局自死を選んだ。
本作の主人公以外の4名も、ある種の「死」を抱えている点が書き込まれていると僕は読んだ。「死に方」には色々あるし、全てばらばら
であるが「どこかが死んでいる」という状況では一致している。そんな気がした。

 若しくはエリという女性の造形も「ノルウェイの森」のレイコさんを思わせるものがある。話し方もどことなく似ているし、レイコさん同様
の傷を背負って生きていく姿も重なって見える。

 ユズが抱えていたものも直子やキズキが抱えたものに近いのではなかったろうか。「悪霊」という表現を使っているが、村上春樹の「通奏低音」
として「邪悪なものを自らに抱えるということ」というものがあるとしたら、ユズが抱えた「悪霊」もその一つの変奏曲ではないだろうか。

 思い返すと「ノルウェイの森」は未完であった。多くの謎が解決されぬままに放置されている作品でもあった。僕にとっての本作は
「ノルウェイの森」のある種の続編である。本作でも相変わらず未解決の謎が多い。村上という方はつくづく「答え」を出してくれない作家だと
思う。読んでいる方としては、いつも宙ぶらりんだ。宙につるされたまま、自分で色々と考えるしかない。それがある意味で「村上春樹の本
を読む体験」になっている。自分で答えを出すしかない。今回の作品は、そうは見えないが、「ノルウェイの森」の続編であるということが
僕なりの答えである。
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No.5
(5pt)

ハルキのスタンドバイミー

3時間半で読めた。

自分は色彩を持たない没個性の人間。

そう思い悩んでいた多崎つくるが過去に向き合う為に、巡礼をする。

過去と向き合うことで明らかになる真相。

それに起因するようにつくるの無機質だった作るの感情はクリアに情熱的に表現されていく。

アカ、アオ、シロ、クロを一つにしていた容器のつくる。

「私は自分が12歳の時に持った友人にまさる友人を、その後持ったことはない。誰でもそうなのではないだろうか。」

この作品では16歳だろうか。

ファンタジーな不思議な話も出てきて、羊を巡る物語に似ている。

何かを探し求めるお話だ。
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No.4
(4pt)

"村上春樹の新作"

村上春樹の新作「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」を読み終えた。「1Q84」や「海辺のカフカ」のようなファンタジー要素は後退したが、読みやすかった。難解と言われている村上春樹の長編小説の中では比較的わかりやすいので、初心者にはオススメだ。全体的に喪失と再生を表現している感じもあり、割と楽しめた。村上作品でここまで現実的な壁に立ち向かって、その解決に奔走する主人公の登場も珍しいので、驚いた。
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No.3
(4pt)

読後感は心地よかったです

久しぶりに村上春樹を読んだ、と言う感じがしました。
村上春樹を初期から読んでいる人は
いつものパターンの組み合わせと言う事に気づくので、
作品の世界に「入る」
のはそう困難ではないと思います。

内容は、タイトルがヒントになっていると
読み終えてわかりました。

もし感想を求められたら、
「最初のページの田崎つくると
最後のページの田崎つくるは
違う。別人とかでなく内面がいい方向に変化したと言う意味で。買って良かった」
と言います。

というくらい最終章は引き込まれました。最終章はこれからも読み返すと思います。

★が一つ少ないのは、
「この登場人物のエピソードはもっとふくらませてくれてもいいのでは。
こんなすぐいなくなるなんて」
「田崎つくるの普段の仕事ぶりはどうなっているんだ」
など、中身がちょっと少なめ過ぎる事。
上下巻くらいになりそうなのに。

村上春樹については二作品にひとつはハマる、というパターンの私。
今回はハマりました。
一つだけ言えるのは
「村上春樹を通販で買うのはバクチと同じ」
どうしても通販しか利用できないなら
ハマらないのも承知の上で購入するのをおすすめします。
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