虚像の砦

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評判

虚像の砦の評価:

3.95/5点 レビュー 40件。 B ランク

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平均点3.95pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全82件 41〜60 3/5ページ
No.42
(4pt)

よく出来てる

複数の視点を入れ替えて物語を紡ぎ出すという手法で、
各登場人物それぞれが個性的でリアルに感じられます。
物語は淡々と進むのですが一体どういう方向へ行くのだろうと
不思議に思う暇もなく、読み進められるのは著者の筆力というもの
なのかと思います。
脇の登場人物もリアルに感じられるので、それがこの小説の
よさなのかなと思います。
エンターテイメントととして純粋に楽しめます。
同じく元新聞記者の「半落ち」の著者の小説をちょっと彷彿とする感じ
というのは、登場人物が結構みな悩んでいるからか。
虚像の砦 Amazon書評・レビュー: 虚像の砦より
4048736256
No.41
(4pt)

魅力的な人物が続々登場。

真山作品に登場する人物はいつも魅力的だ。
ハゲタカの鷲津もしかり、今回の風見や黒岩もそうだ。
何かに立ち向かっていく強い人物がとてもカッコよい。
作品の最後にはフィクションであるということが強調されているが、
実在の人物、企業、団体に置き換えて読むと一層面白いかも。
ストーリーも先がドンドン読みたくなる作品。
おすすめです。
虚像の砦 Amazon書評・レビュー: 虚像の砦より
4048736256
No.40
(3pt)

プロレス上がりのアナウンサーのバカっぷり

私はテレビ番組製作業を営む会社に勤め、プロダクションマネージャーとして13年働いている。

そんな私が思うに、まあかなり良くできている話ではないかと思う。

テレビ局の営業担当の姿がないとか、代理店の影が薄いとか、今のテレビ局にこんなに気骨のある人がいるのかなあという疑問とか(ま報道局の人とは仕事したことないから実態は知らないけど)、

親子の会話が凄まじく不自然であるとか、お笑いプロデューサーと部下のディレクターの会話があり得ないくらい不自然で異常とか、

イラクがモデルの国を「イスラム共和国」というネーミングにするとか、アルジャジーラをメソポタミア放送とネーミングするとか、毎朝新聞という毎日新聞がモデルなのか朝日新聞がモデルなのかわからないようなべったべたなネーミングするとか凄まじいまでのセンスの無さ(あるいはステレオタイプなわかりやすさを示したかったのか?)とか、

そのくせヨルダンはヨルダンと実名を出しているアンバランスさとか、

報道局の37歳のディレクターが運転手付きの車で取材に行くなんていくら局とはいえそんな贅沢できるんですかい?とか、

まあいろいろと文句はあるけど、

まあ結局夜中の1時まで読みふけって一気読みしたので、面白かったんだろう。

それと、明らかに古舘伊知郎(がモデルとなっている数行だけ登場する人物)のことを問題外のバカと断言しているところに、著者の気概を感じる(大袈裟)。
虚像の砦 Amazon書評・レビュー: 虚像の砦より
4048736256
No.39
(5pt)

登場人物よりも「仕組み」

読ませますね。
ハゲタカもよかったけれど、
こっちもよかった。

企業もの、社会ものの小説の場合、
登場人物には、概して
わかりやすいキャラクターをもたせるものなので、
主人公は、「テレビの仕組み」と思って読んでも
よいのでは。

いろんな世界の小説を書いてほしい
作家です。
虚像の砦 Amazon書評・レビュー: 虚像の砦より
4048736256
No.38
(4pt)

ハゲタカ好きにはお勧め

読んで損はないと思います。ただ、イラクの人質事件の感情操作というくだりは、何度考え直しても違和感を感じました。単純に第一印象として、「行くなと言ったのに行って捕まった」その結果を引き受ける覚悟をしていたならまだしも、悪びれもせず助けろって…と思った記憶があります。強制的に行けなくしたら、それはそれで権力がどうのこうの騒ぐのでしょうし。まあ、それ自体が操作なのだと言われれば、精神分析よろしく反証のしようもないので、それ以上話は進みませんが…個人的にはあれは、政府の意図と常識的な正論がたまたま重なったのではないかと思えます。作品的には、中立的というか俯瞰した視点で書かれているので、権力の闇、テレビ局の闇などの記述が面白いですが、登場人物にはあまり感情移入できない感じがしました。「権力の監視」をモットーにするのもいいんですが、それは「目的」ではなく、民主主義が機能するための「手段」でしょうに。
虚像の砦 Amazon書評・レビュー: 虚像の砦より
4048736256
No.37
(3pt)

政治家や官僚がかわいく見えてしまう・・・?!

テレビ番組の作り手の視点から見た政治、社会、行政という設定。実際にあった宗教団体の弁護士一家殺害事件や某戦闘地域での邦人人質事件等を彷彿とさせる出来事をネタに話が進む。著者は大手新聞社記者出身という経歴のせいか、メディアの「正義」にどうも甘い。この小説を読むと、「現代社会で最も権力を有するのは結局メディアなのか?」という諦めとも絶望ともつかない思いにかられる。
政治家や大金持ちも個人、社長や次官もポストに過ぎず、いわば、期限付きの権力者だ。しかも所属と氏名、顔という個人性を表面に出した権力者だ。それに比べてメディアは、顔のない組織が、現代では最も威力を発する情報操作という「権力」で人の心や社会のシステムを動かしていく。その中にあって、マスコミ人が勘違いしてしまうのもむべなるかな。
メディアの報道は、所詮、つくりものだ。記者が取材した時点で既に「事実」は二次情報になり、視聴者や読者に届く頃には、無限のフィルターを通過し、しかも映像もコメントも切り貼り。今更と思いつつも、「報道」の必要性を考えてしまう。
この小説の中で、唯一救いなのは、バラエティ番組プロデューサーの「笑いを届けたい」という真摯な思いだ。案外、テレビ局の存在意義の本質は、今の世の中、バラエティやドラマという、完全な作り物にあるのかもしれない。
虚像の砦 Amazon書評・レビュー: 虚像の砦より
4048736256
No.36
(4pt)

TV局放送免許の仕組み・ジャーナリストとは何かを知りたい時に読むといい本

TV局の、ジャーナリスとお笑い番組プロデューサーがそれぞれの、目指すものに向けて進んでいく話

○気に入った言葉○
・情報とは、情けに報いる事
・報道とは、道に報いて初めて報道と言える
・人類には、誰も敵わない笑いという武器がある。

○感想○
ハゲタカ同様、一気に読み込める(リズムがいい)

TV局放送免許の仕組み・ジャーナリストとは何かを知りたい時に読むといい本
虚像の砦 Amazon書評・レビュー: 虚像の砦より
4048736256
No.35
(4pt)

テレビ局をめぐる権力闘争と情報操作を描く

超おもしろ小説「ハゲタカ」を書いた著者の本ということで、かなり期待した。
ハゲタカほどのおもしろさはないが、期待は裏切らない作品。
テレビ局ー広告代理店ー政治家ー官僚による、
情報操作と権力闘争が見事に描かれていて興味深い。

ただ題材とされているのがイラクで日本人3人が捕まった事件で、
政府が自衛隊派兵の責任を逃れるために、
被害者に自己責任論を押し付けたというくだりは、
違和感を覚えてしまうが、
まあそれはそれとして、権力や情報操作に負けず、
テレビの力を使って世の中をよくしていこうという、
2人のディレクターを描いている話はなかなかおもしろかった。
虚像の砦 Amazon書評・レビュー: 虚像の砦より
4048736256
No.34
(5pt)

放送業界は護送船団?

放送局は、自由な言論の砦をイメージしていましたが、この小説で、経営的には、昔の銀行業界と同じで競争の無いことで守られていることがわかりました。キー局がネット局の赤字を補填したり、赤字かくしのためのデリバティブ取引は、まるで、バブル崩壊の頃の銀行業界を髣髴させます。しかも、経営側が、未だにその事実に気づかないことには、滑稽さを覚えます。
 さて、ストリーは、政界、官界、金融界、3つどもえで展開します。かなりお勧めの物語です。ぜひ、いろいろの視点からお楽しみください。
虚像の砦 Amazon書評・レビュー: 虚像の砦より
4048736256
No.33
(4pt)

ハゲタカつながりで

NHKドラマ「ハゲタカ」の視聴率が平均7パーセントだったらしい。

それを踏まえて、テレビの前の視聴者のうち良識ある人のパーセンテージがそれである、と書いたコラムニストがいた。

正鵠を得ていると思う。

捏造や誤報でその質を糾弾されている時期だから余計に面白く読んだ。

もともと認可事業であり、スポンサーの影響に左右されるテレビ局に報道の質を求めるほうが難しいということがまざまざと語られる。

報道、バラエティ、総務省、広告代理店、政治家、財界すべてを巻き込んでドキュメンタリードラマの手法は相変わらずさえていると思う。

テレビを本当に楽しんで愛した人間たちが逃げ出していく昨今の問題点がここには列挙してある。

沈む巨大戦艦からすべての人々が下船する前に、放送局の中の人たちは今一度衿を正すべきだろう。

ところで、帯に経済小説と書くのはどうしてだろう。
虚像の砦 Amazon書評・レビュー: 虚像の砦より
4048736256
No.32
(4pt)

TVに対する不信感が高まった。

坂本弁護士一家殺害事件、イラク日本人拉致事件をモデルに

物語は進んでいきます。

物語的にはハゲタカ・バイアウトの方が個人的には好きですが、

メディアの公表する内容の影にどんな事情があるか、また、許認可事業と

いうものの弊害を考えることができました。

TVや新聞に対して、ほとんど信用していなかったのですが、

本書を読んで、不信感が高まりました。

羅生門のように真実に対しても見方は多岐にわたりますし、

TVや新聞などスポンサーが絡むと真実は見えませんね。
虚像の砦 Amazon書評・レビュー: 虚像の砦より
4048736256
No.31
(4pt)

テレビ業界の問題に踏み込んだ良作

デビュー作の「ハゲタカ」が面白かったので、本書を読んだ。今回は、テレビ業界を舞台に、政や官との関係、報道のあり方、いい加減なファイナンスなどのメディア問題に踏み込んでおり、実態を踏まえつつ、「ハゲタカ」と同様にノンフィクションに近いフィクションの仕上がりになっている。若干取材が雑で、「ハゲタカ」と比べるとリアリティに欠ける部分もあり、作品の質が若干落ちるという印象だが、それはきっと「ハゲタカ」が面白すぎたからであり、この作品も水準以上の出来なのではないか。読んで損はないと思われる。
虚像の砦 Amazon書評・レビュー: 虚像の砦より
4048736256
No.30
(5pt)

テレビという大メディアのあり方

本書ではテレビという大メディアを題材にすることで、メディアとは、ジャーナリズムとは、そしてそれらの根本的あり方とは、を強く考えさせる本になっている。
インターネットの登場でかつてのあまりにも大きな影響性を徐々に失いかけているテレビではあるが、それでも本書の石動政権のモデルとなったかつての政権のように、そこには依然として大きな影響があるといわねばならない。
この大きな影響の中でテレビはどのようにあらねばならないのか、それはまずは真実の報道であり、そして多角的な視点での検証であり、そしてジャーナリズム年の現政権などのへの監視機能のような現世界への疑問の問いかけであると思う。
しかし、現在の日本のテレビがこのような機能を発揮しているとはまったく持っていえない。
ものによって真実の報道さえ行われておらず、メディアを名乗る資格がないほどになっており、もはやその必要性でさえを失いつつあると思ってしまう。
また一方で、本書での拉致被害者家族へのバッシングのように、このテレビに影響を受ける私たち国民についても考えさせる。
現在でも多くの人々が簡単にテレビに影響されており、原発の問題などでも簡単に踊らされ、そのわりに前回の選挙ではテレビなどで争点が変わってしまったために、簡単に意見を変えてしまうなど、日本国民の無知蒙昧のひどさを感じずにはいられない。
本書ではメディアのあり方を考えさせる反面、それに触れ合う日本人のメディアリテラシーを考えさせられる。
しかし、本書のよさはこういった政治的側面だけで終わらせていないところだ。
黒岩と亀之助の笑いへの思いやマークトウェインの作品の引用などは、メディアのまた違った側面を考えさせられ、さらに笑いという人間固有の行動の奥深さとその偉大さを感じさせられた。

はげたかシリーズでおなじみの作者の第2作品が本作であるが、相変わらず面白く、解説にもあるように一度本を開いたら、栞いらずで一気に読み終わってしまうほど没頭した。
虚像の砦 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 虚像の砦 (講談社文庫)より
406275925X
No.29
(5pt)

虚像の砦

個人読書履歴。一般文学通算386作品目の読書完。2012/06/18
虚像の砦 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 虚像の砦 (講談社文庫)より
406275925X
No.28
(3pt)

政治家>官僚>メディア>政治家の三竦み状態が分かる。

「ハゲタカ」、「ベイジン」と来て久しぶりに真山氏の著作が読みたくなって、購入しました。各登頂
人物のキャラが立っていて、面白かったです。ただ、中盤までのしっかりしたストーリーワークから、終
盤が一気にやっつけで(ページが足りない?時間切れ?)エンディングを迎えてしまったのように感じた
のが、少し消化不良でした。

 政治家>官僚>メディア>政治家

 政治家、官僚、メディアの権力構造の仕組みが面白かったです。三竦み状態なんですね。三権分立では
ないですが、司法、立法、行政のようにお互いが監視しあって、健全な社会が維持される状態が理想なの
でしょう。ただ、揚げ足とりや細かいことを批判するのではなく、大きな方向性の中で、社会がよりよく
なっていってもらいたいと思います。最近の政治は、批判ばかりで大きな理念が見えてきません。批判する
なら、代替案も含めて提示してもらいたいものです。

 自分の志や夢、希望と責任感。自分にできることを誠実に実行すること。読みながら、考えていました。
虚像の砦 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 虚像の砦 (講談社文庫)より
406275925X
No.27
(5pt)

メディアの負の構図を学べる良書

色々と書く人がいますが、現在の特にテレビと言うメディアの問題点を
読みながら気付かせてくれる、と言う点では非常に評価出来ると思います。

真山作品らしく、登場人物のキャラが立っており、ストーリーもしっかり
しているので、飽きることなく読めますし。

知れば知るほど、現在のマスコミ報道には違和感を覚えます。例えば小沢
一郎の問題。検察が丸々二年かけても立証できなかった訳で、現在の殆ど
罪人扱い、擁護する側の視点の報道まるでなし、と言うのは、殆ど現在の
魔女狩りのような思いさえする。

そういった構図を気付かせてくれると言う意味で、読む価値はあると思います。
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406275925X
No.26
(3pt)

残念

残念, 2010/10/23
By 藤井崇 - レビューをすべて見る

レビュー対象商品: 虚像の砦 (単行本)
ハゲタカ大好きでした。私としては久しぶりに土曜の夜のNHKを待ったものでした。
ガラガラのグランベリーモールでも、ハゲタカ劇場版を楽しみました。

この『作品』も、物語としてはワクワクするので5点なのですが
著者の思想が挟まれている内容を総括すれば3点です。

イラクでの日本人捕虜3人に対する、自作自演・自己責任の声は
時の政府およびマスコミが勢いづく前に、ネット上にて大勢を占めていました。
この事実を掴んでいない、あるいは意図的に避けている点は納得いきません。

著者自らが認めているように、取材した者、キャスター、電通の主観を排除できない以上
完全中立な報道なんてないのでしょう。
にも関わらず、巻末にある『この作品はフィクションです。ただ・・・』という含みのある文章。
この作品はとても上質のフィクションです。

要するに、PTB社擁護が非常に不快なのです。
虚像の砦 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 虚像の砦 (講談社文庫)より
406275925X
No.25
(4pt)

読んだ時期が悪かった

テレビが鳩山政権を作り、今度は崩壊させようとしているこの時期に、
テレビ界のヒーローモノを読んだ自分が悪いと思う。
物語としては良くできているが、やっぱり時期が悪かった。

現在、世論を形成しているのは、テレビであるといっても過言ではない。
持ち上げるだけ持ち上げて、しばらく泳がせたあとバッシングという被害にあった芸能人や時の人がどれだけいることだろう。
平成22年の4月現在、この小説が色褪せて見えるのは確か。
ところどころ、テレビマンへのおもいがみえるが、
ヒーローがテレビマンでは。

この本は、あのイラク人質事件を縦糸にして、そこにさまざまな横糸を編んで
見事な織物にしている。
それは見事なアイデアであり、文章も読みやすい。
今度は、テレビ界を巨悪にしたモノを書いて欲しい。

世論形成をテレビがした端的な例として、埼玉で起きた
不法滞在の親子の事件をあげておきたい。
あのとき、お涙頂戴的な番組は腐るほどあったが、
不法滞在の外国人に、自発的に帰国するよう求めたデモ隊にどのようなことが待っていたか
を報じたテレビはなかった。

総じて、テレビに踊らされている一人として、
踊らされていることを自覚しているひとにはイマイチだろうが、
自覚がない人にはおもしろいだろう。
ただ、そこには、危険も潜んでいる。
まぁ今回の政権交代で目が覚めた人も多いだろうが。
虚像の砦 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 虚像の砦 (講談社文庫)より
406275925X
No.24
(4pt)

メディアの抱える問題。

護送船団、テレビ局。

テレビ局は官僚を、
官僚は政治家を、
政治家はテレビ局を恐れる。

そんな関係、潰れちゃえばいいじゃんって
思ってても、いつの間にか当事者に。
こうやって巻き込まれ、世界は硬直化していくのです。
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406275925X
No.23
(4pt)

相変わらず読み応え十分の真山作品

「マグマ 国際エネルギー戦争」に次いで読んだ真山仁の作品。

今回も惹きつけられて読んだ。昨夜だけで2/3ほど一気に読んで読み終えても良かったのだが、気持ちを落ち着けるために今夜読み終えた。そのぐらい相変わらず読み応えある作品だった。

今作品も社会派で舞台はTVという巨大メディア。

私がちゃんと見るTV番組は報道もので、TVに対する興味はずっと前に無くなった。「リアル」なものが好きだからだと思う。けれども近頃は、好きなジャーナリストが亡くなったからでもないだろうが、報道番組にいまひとつ魅力が無くなったように感じる。「劇場型」に演出したがっているようにも見える。

そんな報道に対して、本書でうなされた一節があった。自身が報道に対してトラウマを抱える総務省情報通信政策局調査官の織田馨(かおる)のセリフ
「私個人は、報道に人が関わる以上、客観報道などあり得ないと思っています。ですから、ある程度の主観が入るのは当然です。大切なのは、様々な角度で事件が取り上げられているかどうかだと思います。 ... (省略)...この映像の前後に挟まるであろうキャスターのコメント一つで、どうとでもなりますから」

結局は(本書でもしばし登場する)「自己責任」で自ら解釈を打ち立てるしかないのである。何事にも表層部分だけを知って分かった気になるのは危険だと思う。

本書では、報道だけでなくバラエティ番組の代表としてお笑い番組への作者の鋭い指摘も見逃せない。マーク・トウェインの言葉
「権力、金銭、説得、哀願、迫害。たったひと吹きで、それらを粉微塵に吹き飛ばしてしまうことのできるのは、この笑いってやつだけだな。笑いによる攻撃に立ちむかえるものはなんにもない」

当たり前のようでいて意外に深い言葉だと思う。「笑い」も「深い」のだ。

報道番組もバラエティ番組も、視聴率至上主義に走ったその末路に、「幸福」があるとは思えない。

著者の「ハゲタカ」は見事にTVドラマ化された。作品の出来は素晴らしかった。しかしこの「虚像の砦」がドラマ化されることはないだろう。この予想は裏切られて実現して欲しいとは思う、しかも「ハゲタカ」並みに面白く。その時は、メディアが大きな転換期を向かえたその時かもしれない。
虚像の砦 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 虚像の砦 (講談社文庫)より
406275925X