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D列車でいこう
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D列車でいこうの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.95pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全19件 1~19 1/1ページ
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この小説を読んで、過去の自分と重なる部分が多くありました。 ・子ども時代や学生時代の頃に趣味の話 ・仕事での挫折や成功 ・人間の機敏 仕事や人生をもう一度頑張ろうと思える1冊です。 | ||||
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終盤、あまりに「盛り上がり」が激しく、これじゃロングテールは難しいんじゃないかなあ、と思った。 「祭り」の後は下火になるだけな「先行き不安」前に終わったから読後感は良いです。 ただ、「ステップ」の転用の装置、「運転席から助手席に移動」出来る人なら普通に乗降できるんじゃないか?むしろ乗り降りするより「運転席から助手席に動く」方が大変なんじゃないか、に最後の最後で引っ掛かってしまった。 サイドブレーキとか、シートベルトの部品とか、シフトレバーとか、助手席との間には「仕切り」があるから。ハンドルシフト+足元サイドブレーキ+ベンチシートと想定しても…やっぱ普通に降りる方がまだしも楽だと思う。で、少々白けた部分がなきにしも非ず。 セクハラの犯人は誰だったんだろう? 基本的には楽しく読みました | ||||
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廃線寸前の鉄道を立て直す話。 まるで文化祭のようにあれやこれやとやりたいことを言い合って、プロジェクトを遂行、人気を集めていきます。 が、うーん、ちょっとやることなすこと上手くいきすぎかなーって感じます。 音楽ライブ、電車内で野菜売り、看板に絵を書く、小学生の絵を駅に飾る、電車講習などなど 様々な企画がことごとく大ヒットします。 この小説には挫折がありません。皆無です。 ほとんど思ったことがあっという間に成功します。 もうちょっと波あり谷ありを期待していただけに残念でした。 最終的に大成功を納めるのはいいのですが、 その後、赤字経営から脱却できたのかは一切描写がありません。 むしろそこが一番のメインなのに。 がっかりです。 彼らが考えたプランもさほど画期的でもなく、 本当に廃線寸前の鉄道でやっても儲けれない気がしました。 | ||||
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意外と面白かったんですよ。この本。 一度読んでみると良いかもしれません。 | ||||
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広島の田舎を舞台に繰り広げられる廃止決定済みのローカル線を復活するために3人の銀行退職者等が奔走する。アイデア盛沢山の人員呼び込み作戦で地域住民を巻き込みながら着実に成果を上げて行く点は読んでいても面白い。小説だからいいが出来過ぎ感に否めない。一般文学通算474作品目の感想。2012/11/11 | ||||
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【ヴェテラン・ビジネスパースンをワクワクさせる小説】 「人生で必要なものは、勇気と想像力と、ほんの少しのお金」という、映画「ライムライト」のチャールズ・チャプリンの台詞が好きだ。 若手ビジネスパースンはいろいろな悩みに直面するが、ヴェテラン・ビジネスパースンだってさまざまな問題を抱えている。『D(DREAM)列車でいこう』(阿川大樹著、徳間文庫)は、そういう悩み多きヴェテラン・ビジネスパースンに勇気と想像力を与えてくれるビジネス小説である。私も、これから先、落ち込んだ時にはこの本を読み返したくなるだろう。 【たった3人で難問に挑戦】 この小説の主人公は、2年後の廃線が運命づけられているローカル鉄道を自分たちの手で再建しようというドン・キホーテ的な3人である。MBAの資格を持つ才色兼備の銀行員、32歳、独身。町工場相手に良心的融資を実践する銀行支店長、55歳、バツイチ。鉄道マニアのリタイア官僚、58歳、妻と死別。誰に頼まれたわけでもないのに、このローカル鉄道に惚れ込んだ彼らが、3人きりの株式会社ドリームトレインを起業して、ローカル鉄道立て直しに果敢に挑む。しかし、なぜか、第三セクターのローカル鉄道の社長を兼ねる町長は、彼らの協力を受け容れようとしない。 【奇想天外、破天荒なアイディアで勝負】 キャッチ・バーではないのだから、乗客を無理やり引っ張ってくるわけにはいかない。いろいろな手を打って客に来てもらったとしても、繰り返し来てもらえなければ集客コストがペイしない。1回きりの反応ではなく、時間と費用の効果が蓄積され、投資が長続きするビジネス・モデルを作り上げなければならない。このローカル鉄道が赤字なのは、結局、人々にこの鉄道に乗る理由がないからだ。乗る目的がないなら目的を作ればいい。目的のある人がいないなら人を連れてくればいい。基本はシンプルだ。だが、それを実現する方法は簡単ではない。 小さな乗車目的であろうと、目的ごとに細かく客を拾い集めていくことで赤字解消が可能という信念の下に、3人はさまざまな奇想天外、破天荒なアイディア、プランを実行に移していく。地元野菜を車内販売する、車内で生演奏する、車窓から見える大きな壁に絵画を描く、駅の構内に小学生の絵を展示する、この鉄道の列車運転シミュレーション・ゲームを開発してもらう、この鉄道と町の開発シミュレーション・ゲームを開発してもらう、鉄道マニアを対象にリアル運転士講座・学科編を開催し、さらに、全くの素人をこの鉄道の運転士に養成する本格的な研修を実施する、町有地にミニ・ログハウスを建てログタウンを造る、有名楽器企業とタイアップして地元でバンド・コンテストのイベントを開催する――彼らは田舎町に次々と旋風を巻き起こしていく。 3人は、上記のアイディア実現のため、アイディアごとに協力者をきめ細かく獲得していく。さらに、地元の新聞社とテレビ局の協力を得ること、掲示板、ブログ、個人サイト等の鉄道マニアのネットワークを上手に活用することで、夢のゴールに一歩ずつ近づいていく。 【夢を共有する喜び】 土地の人々が鉄道を失わなくてすむようにローカル鉄道を救おうと、3人でアイディアを出し合い、ビジネス・プランを練り、アクションを起こす。その結果、いろいろな細かい作戦が一つずつ実を結んでくる。夢の実現に向けて確実に前進していると実感できた時の、「これほどワクワクする仕事ができるなどと想像できなかった。仕事ってなんて楽しいのだろう」という彼らの高揚感が、私たち読者にもリアルに伝わってくる。 今まで誰もやろうとしたことがないような大胆なプランを相手に理解させ、協力を得るには、赤々と燃える情熱と、周到に練られたプレゼンテーションが必要になる。真剣に限界に挑戦している人間は、相手の心を揺さぶることができるのだ。 彼らなら、また、きっと何か思い切ったサプライズを与えてくれる、そう人々から注目され、期待されることが、いい励みになる。自分たちの仕事のやり方、進め方に共感してくれる人々の存在が、心を癒してくれる。そして、この本は、私たちに夢を共有する喜びを教えてくれる。 | ||||
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同じ作者の別の本を読んで、楽しかったので買ってみました。 最近は本屋で面白い本を見つけて、前巻が読みたいとか、同じ作家の他のタイトルの本を読みたいと思っても流行作家のもの以外店頭に無いのでアマゾンは重宝してます。 ストーリは比較的単純で、成功物語ですから明るい気持ちで読むことが出来ます。 読んでる途中も、よんだあとも爽やかで、幸せは気分をあじわうことができます。 ちょっと落ち込んでいる時に読むと、気分転換にはいいと思います。 | ||||
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なかなか面白く、一気に読んでしまいました。山花線のモデルは広島県の可部線という意見もあったので、三段峡まで続いたかつての可部線を思い出しながら読んでしまいました。広島弁は、若干読みやすいようになっていると思いますが、田舎の状況をよく捉えていると思います。ただし、作中の次々仕掛けるイベントに関しては、実際には多くの準備や時間、人出が必要で、どれも、現実問題そう簡単には出来そうもないと感じてしまいました。(作中は伝手などで都合よく物語は展開されますが…)都会の方は、想定できないと思いますが、おそらくモデルとなっている田舎は天気も沿岸部と異なり曇りや雨天が多く、雪もあるし、土砂崩れ倒木など災害も多いと思います。自然が多いというのは裏返しに、蚊や蛇、ムカデ、我、イノシシ、鹿、サル、タヌキなど人間の住む領域に意外と簡単に侵入し人間に被害を与えるものも多く、都会暮らしの人からするとストレスの原因やイベントなどの障害になるものも少なくないと思います。(あくまで可部線をモデルイメージとして…。)としても本書のネガティブな状況から、起死回生へのストーリー仕立ては、勧善懲悪な物語と同じで、読んでいて次々と障害を乗り越える展開が痛快です。個人的に、満足度100点満点中73点です。(^-^) | ||||
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近くに「鉄」が何人かいますが、私は距離を置いていたクチです。この本は、そんな私でも楽しく読めました。 ヒロイン?が、男性の作品にしては珍しく、嫌みがなく共感できる素敵な女性です。男性の作品で、素直に共感できるキャリアウーマンは貴重な存在だと思います。 主人公3人が3人とも、あまりにも有能で、いろいろ出来すぎではないかと感じますが、出来すぎなところが読んでいて気持ちいいとも言えます。それ以前の人生で3人それぞれ抱えるものがある設定なので、対比としてD列車は楽しく位置付けられたのかなと思います。 昔のドリカム構成な主人公ですが、ドロドロした感情がないのも爽快です。 読んでいる間はとにかく楽しく、読後感はひたすら爽快。 これらの長所は、ひっくり返せばこの作品の弱点でもあります。 なお、途中で示唆される大きな問題が解決されることなく、さら〜〜〜〜っと「風」に流されてしまったのは、ちょっと「おや??」と思いました。あれは考えようによっては、善玉の顔をしているあの人が絡んでいないわけはないと感じるのですが……ここは、ひっくり返さなくても、この作品の弱点だと思います。 通勤電車でさらっと読んで、仕事って楽しいなあ!と感じられる一冊なので、月曜日の朝などにいかがでしょうか。 あっ、楽しい仕事は3人とも会社辞めてからだった…… | ||||
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D列車のDはDREAMのD。 赤字経営で廃線が決まったローカル線を再建するために、河原崎慎平(都市銀行支店長)と 深田由希(同支店のバンカー、MBA取得)、田中博(鉄道マニアの元官僚)の三人組は どんな夢を乗せて列車を走らせるのでしょうか。 広島県山花町の第三セクターが経営する山花線。過疎化が進むなか輸送収入は頭打ち。 経費を圧縮して、それでも年に三千万円の赤字を出し続けて廃線が決定。 そこに金有り、アイディア有りのお節介三人組が登場。頼まれもいないのに次から次と 奇策を打ち出し“風”を巻き起こします。 みんないい人ばかりなので安心して読めました。ハッピーになりました。 私だったらこんなアイディアでと、参加している自分が楽しかったです。 映画になったら、『RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語』と 2本立はいかがでしょうか。(株式会社ドリームトレイン代表取締役社長深田由希・談)なんてね。 | ||||
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本作のタイトルについて、解説にはジャズのスタンダード・ナンバー としての「A列車で行こう」が紹介されていますが、私が真っ先に 思い付いたのは、ゲームとしての「A列車で行こう」でした。 舞台は広島県にある第三セクター「山花鉄道」で、毎年の赤字により、 自治体によって廃止が決まっている鉄道です。 そこに子会社への栄転(?)を発令された銀行の支店長・河原崎と、 中央官庁の元官僚であり鉄道マニアの田中、そして河原崎の部下で 才女である深田が訳あって「(株)ドリームトレイン」を立ち上げ、 山花鉄道を存続させるために、さまざまなアイディアを出し合い、 住民を巻き込みながら再建していく、というストーリーです。 本作の魅力は、奇抜なアイディアでありながら、今までの人脈や インターネットをフルに活用し、実現していくという部分だと 思います。フィクションであり、多少、ご都合主義的な部分が あることは否定しませんが、登場人物が前向きで、結果として 笑顔になる人が増えていくのは、とても読後感の良いものです。 また、経済小説としての一面もあり、全ての案について収支や 費用対効果が検証されていることにも好感が持てます。 普段から「何かをしよう!」と思いながら何も出来ないでいる 自分にとって、気持ちを前向きにさせてくれる作品でした。 | ||||
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著者、およびこの本については、ツイッターを通じて知りました。 著者の阿川大樹氏は、ツイッター上では、理科系、文科系と幅広い 分野にわたる博識で、フォロワーを魅了させている方です。 最近は、鉄道ブームが再来したようで、かくいう私もそのはしくれ で、鉄道旅行を楽しみながら、家では、時々、「鉄道旅行地図帳」 などをながめています。 昨年は、「ぬれせんべい」で鉄道を立て直た銚子鉄道電鉄に乗って きましたが、この「D列車でいこう」という小説も、廃線が決定した ローカル鉄道を救いたいと、会社を退職した3人が、インターネット などを活用し、会社の収入を増やしていくという、読むと勇気が出 てくる、また、ほろりとする小説です。次に期待するのは映画化です。 | ||||
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「廃線寸前のローカル線を存続させる」というワクワクする題材にひかれて読み始めたものの、あまりにもリアリティーと筆力がなさ過ぎてガッカリ。「ああこりゃヒドイ……」。それが第一の感想でした。鉄道についてはもちろん、作品中に出てくる「音楽について」「企業について」など、全てが現実とかけ離れた薄っぺらい絵空事を前提に成り立っていて、だから大した交渉、大した困難なしにとんとん拍子でうまいこと決まっちゃう。誉田哲也や垣根涼介などは大した違和感なく読めるのに……。もしも私が、鉄ではなくて、音楽好きでもなくて、サラリーマンでもなくて、雑誌編集者でもなかったら、そんなことに気付かなかったかもしれないけれど、正直、作者のリサーチ不足を指摘せざるを得ないです。 | ||||
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廃線が決まった赤字ローカル線を、黒字化して存続させる そのためには、この本がテキストになる! そのように「錯覚」させてくれるのが、本書です。 錯覚かもしれませんが、再建の3人組が打ち出す施策はいずれも説得力があり 「そんなにうまくはいかないよ」 と思いながらも 「もしかして、やってみるといけるかも?」 と思ってしまうのでした。 もしかして、本書は、ローカル線黒字化のためのテキストになる!? いつまでも抵抗勢力になっていた町長が、実は計算ずくだった というのも、読んでいてサプライズです。 このからくりもあって、読後感の爽やかなこと! 不景気だ、高失業率だ、と言われて暗い話題の多い現在 フィクションではありますが、「実話か?」と勘違いできるほど 緻密で元気な本書は、久々にモチベーションエンジンとなる1冊です。 | ||||
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本当に名もないベンチャー企業が田舎で受け入れられることの難しさは、友人の姿を見ていてわかります。(私もちょっと手伝ってますから。そこはおじさん3人)この話のようにどんどんものごとは進みません。でもいいじゃないですか。夢を追っかけて、実現して、みんなが笑顔になる。無理矢理「大どんでん返し」をつけられて変に大人の「ほろ苦い」話にされるより、ずっと気持ちいい。だから☆5つ。 | ||||
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小説全体としては面白いほうだと思います。実際すぐに読みきってしまいました。 ですが対峙する登場人物の人間描写が曖昧、一回張られている地権がらみの伏線が解決されていない点などが気になりました。 | ||||
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「おやじの青春小説」みたいで、気持ち良く楽しめた。 会社の期待以上にサラリーマンとしての仕事をこなしながら、どこか本当の自分は違うところにあると感じている。そんなオヤジがふとしたことから田舎鉄道再生へのロマンチックな情熱を抱き、思いを現実のものにしていく。そしてそれを助けるのが、美人で頭の回る垢抜けた性格の、そしてそれなりにカゲもある女性。なんだかデキスギなストーリーだが、思わず応援しながら安心して読めた。「こういう心境、なんだか懐かしい」とノスタルジーを感じさせる点では「となりのトトロ」の大人版ともいえるか。 「思い」だけでは人は動かせない。具体的なアイデアがないと。ということで、様々な一見奇抜なアイデアが着実に実行され、大きなムーブメントになって行くのには引き込まれた。 早期退職後に運転士を目指す登場人物のセリフがいかしている。 「商社マンから、これまた大転身ですね」 「ちがいますよ。最初になりたかった職業が鉄道の運転士なんです。大学を出るときに志を商社に変えたんだから、商社マンになったことの方が大転身なんです」 | ||||
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「A列車で行こう」なら、ご存じデューク・エリントン楽団のテーマ曲でもある、ジャズのスタンダードナンバーである。あの軽快な曲が頭の中に聞こえてきて、何となく、この話も軽快に走ってくれるのではないか、と思わせて思わず手が出た。このD列車は、ドリーム・トレインの意味である。 物語の舞台になるのは、赤字が嵩んで、とうとう廃線が決まった第三セクターのローカル線。生き残るために長年にわたって合理化努力を払ってきていた。そのお陰で、このローカル線、経営効率という点からみれば、日本一かもしれない。そういう優れた鉄道が、年にたかだか数千万円の赤字のために消えようとしている。 この状況に、町工場相手に良心的な融資を実践し、生きたお金の使い方ならよく知っている大手銀行の支店長と、天下りを繰り返したお陰で、巨額の退職金を持っている鉄道マニアの元官僚が手を組み、それに、男社会の中で頑張って生きてきてMBAの資格まで持つ若い女が基本的なアイデアを提供し、全員キャリアを投げ捨てて押しかけ助っ人に乗り出す、という物語である。 ローカル線を救うために三人が繰り出すアイデアは、確かに奇想天外ではあるけれど、決して実現不可能ではないと思わせる。普通、ローカル線を救うためには、何とか地元の需要を呼び起こそうとする。しかし、そうした努力は、地元に詳しい人々の手でこれまでも散々行われて、うまく行っていない。そこで、主人公達は、定年を迎えた団塊の世代にターゲットを絞る。彼等は、金と暇と行動力の三つを兼ね備えている、という、今までの日本に存在しなかった人種なのである。その団塊の世代を、外から呼びんで新たな需要を作り出すという方法で、ローカル線復活の奇手を次々と繰り出すところが、本書の読ませどころである。ちょっと品のない表紙で損をしているが、読んで絶対に楽しい物語である。 | ||||
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「見捨てられた赤字ローカル鉄道を再建する」ことを、人生最大のロマンチックなプロジェクトと認識した三人の挑戦ストリーです。三人は、それぞれ有能なテクノクラート(仕事師)であり、目の前の組織を社会に有効なものとして引受け、その中で個人の能力を発揮すべく誠実に働きつづけてきた面々であり、組織は彼らの作業成果に一定の、正当に高くもないが、それほど低くもない評価を与えてきました。三人は、そのロマンチックな課題に正面から向かうため、それぞれ既成で既知の人生行路から、一歩外に外れます。会社員から、革命家やテロリストになる、或いは、アーティストになる、と言った衝撃度はないとしても。 当のローカル鉄道社長は、彼らを煙たがります。その状況に対し、三人は実績を上げることに集中します。嘗て、組織の中で培ってきた経験、技量、知識、人脈をベースとして、インターネット社会の仕組みを最大限利用、さらに、自分達と一緒に仕事をしてくれる人々を結集させて、成果をつかんで行きます。 このストーリーで、一番のポイントは、「赤字ローカル鉄道の再建」が、なぜ、彼らにとって、ロマンチックなプロジェクトとなったか、という理由でしょう。その個人の文脈は、十分な説明がされ共感するものがありましたが、読み終わって気が付いてみると、D列車でいこう、というのは、赤字鉄道会社組織・過疎地域社会コミュニティーの職人・仕事師の人生を全面肯定し、その仕事の腕前を信頼し、それだけを頼みとして、再建を成功させようと言うロマンチシズムを体現したプロジェクトであることが見えてきます。組織の論理と並立した職人の文化を活性化させる試みです。三人が当初、単に個人の文脈で始めたプロジェクトが、普遍性を持ちうるものに発展してきたという、ユートピアの体現をもって、三人の自己実現は達成される、というストーリーです。通勤電車に揺られながら、3日で読切りました。 | ||||
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